著者:脇田 成[わきた・しげる] (1961-) マクロ経済学、労働経済学。
【目次】
第3版へのはじめに(2012年1月 著者) [iii-v]
はじめに(2000年5月 脇田成) [vi-viii]
目次 [ix-xiv]
第I章 マクロ経済学の課題 001
マクロ経済学とはなにか
最少マクロモデルからマクロ経済学を理解する
クルーソーの寓話から、企業・政府・貨幣の導入
マクロ経済学の成り立ち
ミクロ経済学とマクロ経済学
マクロ経済学の対象[1]:トレンドサイクルで日本経済を理解する
マクロ経済学の対象[2]:どのように『動いているのか』と『対応すべきか』
日本経済の3つの「想定外」
第II章 経済データと国民経済計算 015
II-1 国民経済計算 016
マクロ経済活動水準の指標:会計的なアプローチ
国内総生産GDPとその計算
注意1:付加価値と二重計算
注意2:市場価格と帰属計算
注意3:「名目」と「実質」
注意4:「国内」と「国民」概念:GDPとGNP
注意5:純と粗
注意6:三面等価
ストックと国民資産
II-2 マクロ経済学で注目される指標1:失業率 026
失業率の計測
世界と日本の失業率
企業内失業と労働保蔵行動
労働保蔵と稼働率
II-3 マクロ経済学で注目される指標2:インフレ率 031
三種類の物価指数
世界と日本のインフレ率
フィリップス曲線とインフレと失業
日本のフィリップス曲線
II-4 現実の景気判断 036
景気動向指数
鉱工業生産指数と日銀短観
ヒト・モノ・カネと経験法則
第1部 基本的枠組み
第III章 新古典派のマクロ経済体系 043
マクロ経済学の2つのとらえ方
III-1 新古典派の労働市場観 046
完全雇用
最適労働供給
「限界」の選択
最適労働
III-2 新古典派の生産物市場観 054
家計の貯蓄
企業の投資需要
マクロ経済の循環と貯蓄・投資
III-3 貨幣とは何か 061
貨幣の社会的機能[1]:価値尺度
貨幣の社会的機能[2-1]:交換手段
物々交換経済との対比
貨幣の社会的機能[2-2]:交換手段
信用との対比
貨幣の社会的機能[3]:価値の保存手段
貨幣の需要動機:取引動機と投機的動機
III-4 貨幣数量説と新古典派の貨幣市場観 066
貨幣に対する新古典派の基本的な考え方
III-5 インフレーションと利子率 069
名目利子率と実質利子率
インフレーションのコスト
ハイパーインフレーションと政府のインフレ税
第IV章 IS-LM分析:ケインズ的なマクロ体系 075
3つの仮定と3つの分析手法
IV-1 ケインズ的な労働市場観:非自発的失業と名目賃金硬直性 078
非自発的失業が存在する労働供給のとらえ方
名目賃金率下方硬直性とフィリップス曲線
IV--2 有効需要原理と45°線分析:ケインズ的な生産物市場観 081
ケインズ型消費関数
乗数効果の意味
45°線分析と有効需要の原理
減税と均衡予算乗数の定理
45°線分析と財政政策の問題点:財政赤字と土木国家
IV-3 投資関数とIS曲線の導出 089
IS-LM分析とは何だろうか
投資関数の内生化
IS曲線の導出
IV-4 LM曲線とケインズ的な貨幣市場観 092
LM曲線:貨幣市場の均衡
IV-5 IS-LM分析による政策分析 094
財政支出増大と減税
金融政策の図解と問題点:インフレ・バブル・超低金利
水平なLM曲線:流動性の罠
名目・実質利子率とインフレ期待:マンデル=トービン効果
IV-6 総需要・総供給分析 101
総需要曲線:なぜAD曲線は右下がりか
総供給曲線:なぜAS曲線は右上がりか
IV-7 ケインズ政策のまとめ 104
第2部 個別需要項目
第V章 家計の行動と消費関数 109
家計の4つの側面――消費者・労働者・資本家と再生産
消費行動の現状
V-1 家計消費の「現在・過去・未来」 112
ケインズ型消費関数の問題点
説明すべき統計的事実
V -2 消費関数の3大仮説 114
3大仮説[1]:相対所得仮説と習慣形成
3大仮説[2]:フリードマンの恒常所得仮説
3大仮説[3]:モディリアーニのライフ・サイクル仮説
V-3 の現代的定式化 117
ホールのランダム・ウォーク仮説
恒常所得仮説の限界:流動性制約
V-4 日本人の貯蓄と資産選択 121
日本人の貯蓄率はなぜ高かったのか?
世代間移転の手段と動機
日本人の資産選択
資産選択の基準:お金をどうやって貯めていくのか
V-5 少子高齢化と公的年金問題 124
少子高齢化の実態
日本の公的年金のあらまし:三階建ての構造
賦課方式と積立方式
年金改革の争点:二重負担と初期時点
付論1 ライフサイクル仮説から動学モデルへ 130
付論2 世代間移転とマクロ動学モデル 133
第VI章 企業と投資関数 137
投資とは基本的にどのように考えればよいのか
90年代の投資低迷
VI-1 加速度原理 141
さまざまな投資理論
加速度原理とマクロ・ダイナミックス
VI-2 トービンのqから新古典派アプローチへ 142
トービンのq
新古典派投資理論と企業規模の制約
調整費用関数の導入
調整費用投資理論とトービンのq理論との接合
新しい投資のモデル:集計・タイミング・流動性制約
VI-3 在庫投資 149
第VII章 政府の役割と財政政策 157
政府の役割
政府の行動:収入・支出・再分配
VI-1 財政の三つの考え方と現状 160
財政政策の3つの考え方と日本の現状
財政は破綻するのか
フローの状況を表すプライマリー・バランス
VI-2 財政中立論の限界 164
『日本人から日本人が借金』という議論は成り立つか?
等価定理の限界
最適課税性理論から具体的な税制へ
VI-3 財政問題をどう考えるか 173
第VIII章 中央銀行と金融政策 177
貨幣をめぐる2つの代表的な考え方
VIII-1 マネーストック:銀行行動と信用創造 179
なぜマネーストックにさまざまな種類があるのか
ハイパワードマネーとマネーストック
信用創造とはどのように進むのか
貨幣乗数を数式で理解する
「通貨主義」対「銀行主義」:マネー論争をレンタルビデオで理解する
VIII-2 金融政策の手段 186
3つの主要な金融政策の手段
VIII-3 新しい金融政策 187
ゼロ金利政策とは何か
量的緩和の2つの意味:『量的』の部分
量的緩和の2つの意味:『緩和』の部分
量的緩和の役割
量的緩和のメカニズム(1):時間軸効果
量的緩和のメカニズム(2):ポートフォリオ・リバランス効果
量的緩和の副作用
VIII-4 金融政策を取り巻く環境の変化 198
「容態」の変容(1):企業の黒字化
「容態」の変容(2):金融市場の世界的統合と円高懸念
金融政策と日本経済
第IX章 国際マクロ経済学の基礎 203
IX-1 国際収支の基礎 204
進展するグローバル化と資本移動
混乱しがちな輸出と内需の見方
国際収支表の4項目
表裏一体の経常収支と資本収支
IX-2 純輸出をどうとらえるか 209
取引からの利益と経常黒字
IX-3 為替レートはどう決まるのか 211
名目為替レートと実質為替レート
円高は得か損か
商品券と株主優待券で直観的に理解する為替レート
為替レート決定理論(1):フロー・アプローチ
為替レート決定理論(2):アセット・アプローチ
為替レート決定理論(3):購買力平価説(PPP)
IX-4 開放体系の政策分析 220
マンデル=フレミング・モデル
なぜ財政政策が無効になり、金融政策が無効になるのか
数式を使ってマンデル=フレミング・モデル
新しい政策分析
第3部 マクロ経済学の発展と日本経済
第X章 マクロ経済学の新展開と日本経済 227
動学的マクロ経済学学習の難しさ
実務家のマクロ経済学
政策の副作用
X-1 動学的モデル:時間を通じた最適化 230
新古典派的マクロ経済学と最適成長理論とその拡張
X-2 新しい景気循環理論:新古典派とケインジアン論争の現状 232
リアル・ビジネス・サイクル・モデル
景気変動を生み出す外生的なショック
RBCモデルの意義
X-3 新ケインジアン経済学:名目価格硬直性と協調の失敗 237
新ケインジアン経済学
新ケインジアン経済学の限界
遊休設備があればケインズ政策は必要か:財政政策
価格変更費用があれば金融政策は有効か
X-4 内的成長理論 240
成長モデルの限界
ソローの非最適化成長モデルと定常均衡の安定性
内的成長理論の出現
非対称情報と動学モデル
日本経済とマクロ経済学
日本経済閉塞を打開する:サイクル
日本経済閉塞を打開する:地方の衰退と人口減少トレンド
マクロ経済学と日本経済:10のポイント ――あとがきに代えて [253-255]
考えよう 略解 [256-258]
索引 [259-263]
● 日本経済トピックス
企業利潤を軸とする考え方の落とし穴 038
不良債権と一進一退期 041
日米景気循環の特色の違い 120
企業貯蓄と家計貯蓄、そして乗数の経験法則 134
日本企業とガバナンス問題 152
国の債務 168
輸出依存体質と家電バイアス 225
● 数学トピックス
企業の利潤最大化 051
現在価値・等比数列と資産価格 053
コンソル債の価格 053
等比数列と等比級数 053
数式で考える新古典派 060
● 上級トピックス
名目価格硬直性の理由 082
セイ法則 100
「協調の失敗」と新ケインジアン経済学 106
デリバティブとはどんなものか 148
インフレ・ターゲットとクルーグマンの流動性の罠の議論 196
ハロッド=ドーマーの成長理論 243
内的成長理論 245