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『日本の思想』(丸山眞男 岩波新書 1961)

著者:丸山 眞男[まるやま・まさお]
NDC:121.02 日本思想


日本の思想 - 岩波書店


【目次】
目次 [i-vi]


I 日本の思想 001
まえがき
  日本思想史の包括的な研究がなぜ貧弱なのか
  日本における思想的座標軸の欠如
  自己認識の意味
  いわゆる「伝統」思想と「外来」思想
  開国の意味したもの

一  
  無構造の「伝統」その(一)――思想継起の仕方
  無構造の「伝統」その(二)――思想受容のパターン
  逆接や反語の機能転換
  イデオロギー暴露の早熟的登場
  無構造の伝統の原型としての固有信仰
  思想評価における「進化論」

二 
  近代国家の基軸としての「國體」の創出
  「國體」における臣民の無限責任
  「國體」の精神的内面への渗透性


  天皇制における無責任の体型
  明治憲法体制における最終的判定権の問題
  フィクションとしての制度とその限界の自覚
  近代日本における制度と共同体
  合理化の下降と共同体的心情の上昇
  制度化の進展と「人情」の矛盾


  二つの思考様式の対立
  実感信仰の問題
  日本におけるマルクス主義の思想的意義
  理論信仰の発生
  理論における無限責任と無責任

おわりに


II 近代日本の思想と文学―― 一つのケース・スタディとして 073
まえがき
  政治‐科学‐文学

一 
  明治末年における文学と政治という問題の立てかた
  文学の世界をおそった「台風」
  「社会」の登場による走路の接近
  マルクス主義が文学に与えた「衝撃」
  文学者に焼付けられたマルクス主義のイメージ
  昭和文学史の光栄と悲惨
  政治(=科学)の優位から政治(=文学)の優位まで

二 
  プロ文学理論における政治的および科学的なタータリズム
  政治的と図式的
  政治過程におけるエモーションの動員
  政治における「決断」の契機
  思考法としてのトータリズムと官僚制合理主義
  政治の全体像と日常政治との完全対応関係
  方法的トータリズムの典型
  政治(=科学)像の崩壊――転向の始点と終点
  日本の近代文学における国家と個人
  「台風」の逆転と作家の対応の諸形態
  旧プロ文学者における文学の内面化と個体化
  対立物(文学主義)への移行契機


  文化の危機への国際的な対応
  各文化領域における「自立性」の模索
  政治・科学・文学における同盟と対抗の関係
  科学主義の盲点
  トータリズムの遺産の否定的継承
  「意匠」剝離の後に来るもの

おわりに


III 思想のあり方について 137
  人間はイメージを頼りにして物事を判断する
  イメージが作り出す新しい現実
  新しい形の自己疎外
  ササラ型とタコツボ型
  近代日本の学問の受け入れかた
  共通の基盤がない論争
  近代的組織体のタコツボ化
  組織における隠語の発生と偏見の沈殿
  国内的鎖国と国際的開国
  被害者意識の反乱
  戦後マス・コミュニケーションの役割
  組織の力という通念の盲点
  階級別にたたない組織化の意味
  多元的なイメージを合成する思考法の必要


IV 「である」ことと「する」こと 169
  「権利の上にねむる者」
  近代社会における制度の考え方
  徳川時代を例にとると
  「である」社会と「である」道徳
  「する」組織の社会的擡頭
  業績本位という意味
  経済の世界では
  制度の建て前だけからの判断
  理想状態の神聖化
  政治行動についての考え方
  市民生活と政治
  日本の急激な「近代化」
  「する」価値と「である」価値との倒錯
  学問や芸術における価値の意味
  価値倒錯を再転倒するために


あとがき(一九六一年一〇月 丸山眞男) [201-213]