原題:Neurogastronomy: How Brain Creates Flavor and Why It Matters(Columbia University Press)
著者:Gordon Murray Shepherd (1933-) 神経科学。
訳者:小松 淳子(1954-)
NDC:491.376 嗅覚
NDC:491.377 味覚
【目次】
目次 [001-009]
はじめに 味わいは脳の創造物である [010-011]
序文 新しい風味の科学「ニューロ・ガストロノミー」 012
第 I 部 鼻とにおい
第01章 においと風味の研究の革命 024
歴史を動かす
「風味の哲学」の誕生
第02章 犬と人間の嗅覚を比べる(レトロネイザル経路に注目) 036
においを乗せた呼吸の流体力学
鼻の中
人間の鼻は退化した?
第03章 口が脳をたぶらかす 048
鼻つまみテスト
風味の主役はなにか?
口の一人勝ち
分子ガストロノミーとの連携
第04章 風味の分子 055
バナナの香りとアルコール依存症
官能プロフィールの完成
植物がにおいの達人であるわけ
ハーブとスパイス
肉に肉らしい味があるわけ
チーズのにおいは、牛が食む牧草によっても変わる
第II部 においを描く
第05章 におい分子の受容体 074
鍵と鍵穴説/嗅覚研究の課題
におい分子を特徴づけるもの
受容体の正体を求めて
技ありの実験
におい分子結合ポケット
におい分子とにおい受容体
組み合わせ相互作用
においと色
においの世界は多次元
最大の遺伝子ファミリー
第06章 感覚イメージの形成 090
カブトガニの眼からわかったこと
側方抑制とコントラスト協調
脳内イメージの形成
ノイズの低減
食物の特徴抽出
第07章 においの空間パターン 101
嗅球
においを表彰する仕組み
脳機能マッピングの新手法
打ってつけの方法
初めて目にしたにおいのパターン
万華鏡のような多彩さ
第08章 においは顔に似ている 115
fMRIで見るにおいのパターン
においのイメージ画像
においの識別能力は別格
手法の種類だけあるパターン
新たな発想の台頭
においと顔の認識
第09章 においのイメージは点描画 127
においのクオリア
においのイメージから知覚へ
視覚系はキツネ、嗅覚系はハリネズミ
においのイメージの解像度
糸球体モジュールの特異的な相互作用
第10章 イメージの強調 136
顆粒細胞の謎を解く
「目からウロコ」の瞬間が次々と
微小回路の発見
糸球体モジュール間の協調
満腹か、空腹
第11章 嗅皮質への注目 146
嗅皮質のCEO紹介
内容参照可能記憶
刺激と記憶
においの意識的知覚がおこる場所は?
必須アミノ酸のセンサー
第III部 風味の創出
第12章 嗅覚と風味 156
嗅覚ならではの特権
人間の嗅脳は大きい
結合の多さ、桁違いの複雑さ
においの創出
第13章 味覚と風味 166
味蕾
味覚の分子的基盤
味の符号化
多次元の味質
皮質に専用の味覚地図あり?
味覚の風味を生み出すために
味とにおいの融合
生まれた時から、甘味は幸せ
スーパーテイスター
ベアネーズ・ソース現象
第14章 マウス・フィール(口中での質感) 182
口腔内の体性感覚受容器
鼻腔内の体性感覚受容器
食物のテクスチャーは実に多彩
大脳新皮質への触覚伝導路
触覚・味覚・嗅覚の相互作用
第15章 視覚と風味 192
視覚と嗅覚を比べる
色の影響
ワイン・テイスティングの実験
第16章 聴覚と風味 203
聴覚路
食物の音
グルーグルー
第17章 風味を生む筋肉 208
唇と舌の動き
噛めば噛むほど増す風味
液体を転がす動き
口に詰め込む量
風味は能動的な感覚だ
第18章 知覚系+行動系=ヒト脳風味系 218
風味知覚系
風味行動系
第IV部 風味が大切なわけ
第19章 嗜好と渇望 230
食の渇望と薬物乱用
チョコ渇望からチョコ嫌悪へ!
第20章 風味と記憶――プルースト再解釈 242
プルーストの能を活性化させたもの
「この喜びはどこからやって来たのか?」
よみがえったコンブレー
海馬の役割
第21章 過食と肥満の原因 255
風味過剰がカロリー過剰の現況
スーパーマーケット効果
第22章 風味と栄養の神経経済学 266
ドーパミンとヒト脳風味系
網様賦活系は、あなたのUSBポート
能はいかに食物を選ぶか?
制御システムの破綻
第23章 ヒト脳風味系の可塑性 276
ターンオーバー(代謝回転)
味覚は経験により誘導される
においの感受性の増強におい知覚の可塑性
第24章 言語とのかかわり 285
言語あってこその風味
においを言葉で表すのが難しいわけ
ワインのアロマ・ホイール
ロバート・パーカーとワインを語る言葉
語り尽せぬ世界
第25章 意識・無意識とのかかわり 298
「盲嗅ってあるの?」
嗅覚系の「O1」
においの意識的知覚
嗅覚を失った男
第26章 においと風味が人類を進化させた 308
遺伝子の記録
嗅覚と視覚の競合が始まる
脳の拡大の引き金に
古代版ハーブとスパイスを探す旅
調理する動物
第27章 胎児から老年まで 320
胎内にいる時から
乳幼児の嗜好
なぜ、子どもの脳風味系は脆弱なのか?
思春期問題
ダイエットと伝統料理の真髄
風味と老年期
謝辞 [334-337]
参考文献 [1-11]
解説(本書出版プロデューサー 真柴隆弘) [350-353]