著者:森本あんり[もりもと・あんり] (1956-) 神学。宗教学。
NDC:192.53 キリスト教史.迫害史(アメリカの)
森本あんり 『反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―』 | 新潮社
【目次】
はじめに [003-006]
目次 [070-016]
プロローグ 019
レーガン大統領とピューリタン
祝福か滅びか
「契約」概念のアメリカ化
宗教の伝播とウィルス感染
単純な二本線の論理
幸福の神義論
反知性主義の成分要素
第一章 ハーバード大学 反知性主義の前提
1.極端な知性主義 031
リバイバリズムを生む土壌
高学歴社会
ハーバード大学の設立
牧師養成の神学校として
一般教養の大学として
神学ではなく教養
学部と大学院
「万人祭司制」の教育
カトリックの神学教育
その後の高等教育
2.ピューリタンの生活ぶり 047
教会の成り立ち
高度に知的な礼拝
実像のピューリタン
水没した学長
第二章 信仰復興運動 反知性主義の原点
1.宗教的熱狂の伝統 055
テレビ伝道者と大統領選挙
信仰復興運動の発端
「誠実な報告者」エドワーズ
信仰復興はなぜ起きたか
幼児洗礼と半途契約
教会員籍と公民資格
人口増と印刷業の発展
メディアとコンテンツの循環
2.「神の行商人」 068
「メソポタミア」の一言で
フランクリンとの出会い
フランクリンの絶賛
メディアの活用
ホイットフィールドとエドワーズ
歴史の証言者になるとは
伝道集会の規模
3.反知性主義の原点 082
なぜ野外集会なのか
古女房かコーラスダンサーか
反知性主義の決めぜりふ
原点への回帰
「熱心」の逸脱
「詐欺師」の伝統
信仰復興と「アメリカ」の成立
第三章 反知性主義を育む平等の理念
1.アメリカの不平等 095
平等理念のプロテスタント的起源
平等は画に描いた餅か
平等の超越的な根拠
宗教的には平等だが
宗教的反逆と政治的反逆
ニューイングランドの矛盾
2.宗教改革左派とセクト主義 104
第三の改革勢力
チャーチ型とセクト型
ミュンスターの惨劇
迫害への抵抗
法律違反という挑戦
クエーカーの過激な平等主義
フランクリンとクエーカー
3.宗教勢力と政治勢力の結合 115
建国父祖たちとの協力
マディソンの確信
アメリカ的な政教分離の真意
窮地に陥ったジェファソン
反知性主義を育む平等論
大きな政府への警戒心
「キリスト教国アメリカ」の意味
第四章 アメリカ的な自然と知性の融合
1.釣りと宗教 127
「リバー・ランズ・スルー・イット」
自然の法に聞き従う
語り得ないものを伝える
2.「理性の詩人」と「森の賢者」 132
自然と魂との連続
映画化された哲学
エマソンの反知性主義
ヨーロッパ的な知性に抗して
ラディカル・セクトとの共通性
「森の賢者」ソロー
第五章 反知性主義と大衆リバイバリズム
1.第二次信仰復興運動 145
広がりゆくアメリカ
メソジスト教会の発展
「読み書きのできるバプテスト」
バプテスト教会の発展
諸教派の乱立
2.反知性主義のヒーロー 153
間抜けなロバ
ジャクソンの生い立ち
「読み書きのできるアダムズ」
大衆動員による選挙
反知性主義の使命
ジャクソン政権の遺産
ジェントルマンの凋落
ほら話のできるヒーロー
詐欺師の伝統
強者をやっつける反知性主義
3.リバイバルのテクニック 174
チャールズ・フィニー
弁護士のように説教を語る
宗教か呪術か
リバイバルは奇跡ではない
リバイバルのプロデューサー
女性と黒人の平等へ
第六章 反知性主義のもう一つのエンジン
1.巨大産業化するリバイバル 185
第三次信仰復興運動
子どもたちの日曜学校から
独立系教会のはじまり
理想のビジネスモデル
イギリスへの伝道旅行
体制派知識人の反発
スコットランド教会の立場
困惑するリベラリズム
唯物論者エンゲルスの見解
2.信仰とビジネスの融合 201
徹底した組織化
リバイバル集会の会場
資金と報酬
巡回セールスの起源
3.宗教の娯楽化 209
元祖パブリック・ビューイング
音楽家サンキーの魅力
秩序立った興奮
「天助」と「自助」の相即
温和な反知性主義
宗教と現世の利益
第七章 「ハーバード主義」をぶっとばせ
1.反知性主義の完成 221
戦闘的な反知性主義のヒーロー
サンデーの生い立ち
大リーグ選手へ
野球のプロスポーツ化
二つの出会い
妻に釣り合う人間となるために
伝道者への転身
牧師資格の取得
2.知性の平等な国アメリカ 234
トクヴィルの驚き
知性の前進を促す反知性主義
「たたき上げ」の可能な時代
成功が成功を生む時代
アメリカン・ドリームの体現者
成功神話に隠された心理
3.アメリカ史を貫く成功の倫理 245
ショービジネス化する伝道集会
政教分離の副産物
リバイバルと音楽
ナショナリズムへの傾斜
反知性主義の変質
キリスト教の土着化
素朴な道徳主義
矛盾に満ちた晩年
エピローグ 259
知性とは何か
知性をもつのはどんな人か
反知性主義とは何か
反知性主義が生まれた背景
反知性主義の存在意義
反知性主義のゆくえ
ポジティヴ病の現代アメリカ
反知性主義は輸出されるか
あとがき(森本あんり) [271-276]
註 [277-282]