編者:鳥越 皓之[とりごえ・ひろゆき](1944-) 環境社会学、環境民俗学、文化人類学。
編者:金子 勇[かねこ・いさむ](1949-) 少子化と高齢化の福祉社会学、都市社会学、音楽社会学。
著者:武田 尚子
著者:石川 良子
著者:奥村 隆
著者:阿部 真大
著者:櫻井 義秀
著者:杉浦 郁子
著者:荻野 昌弘
著者:福永 真弓
著者:土井 隆義
著者:谷 富夫
著者:足立 重和
著者:宮本 みち子
著者:関 礼子
著者:金 菱清
著者:川端 浩平
著者:牧野 厚史
NDC:361.21 社会学説史(日本社会学)
現場から創る社会学理論 - ミネルヴァ書房 ―人文・法経・教育・心理・福祉などを刊行する出版社
【目次】
はしがき――フィールドからどんな理論が生まれるのか(二〇一七年一〇月一日 鳥越皓之) [i-ii]
目次 [iii-xi]
第I部 時代・社会を読み解く理論 001
第1章 どんな魅力ある理論を形成できるか(鳥越皓之) 003
日本で発達したモノグラフ手法
自然と人間との関係
川内村での原発対応
自分たちは土地をまかされている
自分たちにとっての自然とは
最も影響を受けた研究者 有賀喜左衛門
第2章 高齢社会の健康長寿研究(金子 勇) 013
沖縄県の健康文化の個性
長野県の健康文化の普遍性
「ぴんぴんころり」(PPK)運動
「保健補導員」制度
社会調査の力
家族が健在
観察された事実から
最も影響を受けた研究者 高田保馬
コラム1 音楽社会学が生涯学習のテーマ(金子 勇) 023
第3章 民族関係のリアリティを求めて(谷 富夫) 025
リアルな社会関係
道徳社会学としての民族関係論
中範囲の理論化
民族関係の「剥奪仮説」
世代間生活史調査と「バイパス仮説」
最も影響を受けた研究者 鈴木広
第4章 カルト問題と宗教社会学(櫻井義秀) 035
カルト問題とは何か
カルト問題研究事始め
統一教会の調査
トライアンギュレーションによる調査法の革新
統一教会からのリアクション
カルト問題と公共性
最も影響を受けた研究者 ロバート・N・ベラー 038
コラム2 フィールド調査の力――炭都夕張から高齢過疎地夕張へ(笹谷春美) 046
第5章 被害の社会的認知論――自然の共同性と公害被害の全体性(関 礼子) 049
被害の社会的認知論
個から出発する被害構造論
未認定患者と差別・偏見
誰が差別するのか
地域を母数として被害をみる
半強制的な自然との「分断」から始まる地域の被害構造
最も影響を受けた研究者 G・H・ミード 052
第6章 若者研究の展開――家族・仕事・社会的包摂への統合的アプローチへ(宮本みち子) 059
〈長期化する親への依存〉への着目
就労困難な若者への支援開始と研究の展開
貧困・社会的排除の若者を把握する方法論
若者移行政策を構想する
諸問題への挑戦に終わりはない
最も影響を受けた研究者 ステファニー・クーンツ 062
第7章 鳥獣害の社会学(牧野厚史) 071
鳥獣害と社会学
山野の鳥獣による「害」とは
「害」への対策と農山村の人々
「害鳥」と共存する村
最も影響を受けた研究者 鳥越皓之
コラム3 次現場からの社会学――TPPと「小農学会」(徳野貞雄) 084
第II部 社会理論の方法 087
第8章 身近な世界のエスノグラフィ― ――「ありのまま」の日常を描く技芸と倫理(川端浩平) 089
身近な世界を記述する
「知ってるつもり」を学び直す技芸
「ありのまま」を描き出すこと
現場における感受性の交換
エスノグラフィの記述における技芸と倫理
最も影響を受けた研究者 保苅 実 092
第9章 記録筆記法による「痛み温存」論と震災メメントモリ―—東日本大震災の被災者はなぜカウンセリングに行かないのか(金菱 清) 101
痛みの温存
負けから始める災害調査
調査者と被調査者の捉え方のズレから見えてきたもの
記録筆記法によるヒーリング効果――あえて被災経験を書き記す意味
「痛み温存」論――カウンセリングと記録筆記法の違い
震災メメントモリ——死者との回路をつなぐ
最も影響を受けた研究者 鳥越皓之 105
第10章 「アマの領域」のモノグラフ的探究(武田尚子) 113
山あいの集落にて――ムラ・ノラ・ヤマ 風と神と雨飾山
ムラ・ノラ・ハラのコミュニケーション
第四の領域――「アマ」
「アマ」と「ムラ・ノラ・ヤマ」のコミュニケーション
最も影響を受けた研究者 中野 卓 116
コラム4 「眼」の形成のフィールドワーク(石岡丈昇) 124
第11章 生きざまの社会理論――ある地域の頼母子講の事例から(足立重和) 127
フィールドワーカーにとって理論とは何だろうか
頼母子講とは
実際のX町での頼母子講
真偽を宙吊りにするセリの遊び
偽装としての遊び
生きざまの社会理論へ
最も影響を受けた研究者 メルヴィン・ポルナー 131
第12章 想像力と社会学理論――マンガメディアから出発して(荻野昌弘) 138
漫画家の「フィールドワーク」
マンガからテレビ映像へ
根拠がない世界
虚実皮膜
私の赤羽フィールドワーク
戦後の都市空間の生産
零度のメニュー 現場の想像力
最も影響を受けた研究者 ジャン・ボードリヤール 141
第13章 比較から生まれる新たな知見(土井隆義) 150
南条あやのウェブ日記
高野悦子の『二十歳の原点』
人間関係に対する満足感
人間関係に対する不安感
最も影響を受けた研究者 H・S・ベッカー 153
コラム5 ロマンティック社会学批判を超えて(山北輝裕) 161
第III部 個人・身体をめぐる理論 165
第14章 「私」というフィールド(奥村 隆) 167
私はフィールドを持たない
「私」というフィールド
思いやりとかげぐちの体系としての「私」
もう一つの「フィールド」
吉田文五郎のコミュニケーション
社会学者たちの「私」と読み手の「私」をつなぐ
最も影響を受けた研究者 千葉大学の社会学者たち 170
第15章 「分からない」と「分かった」を往復する――「ひきこもり」の調査研究から見えたこと(石川良子) 180
「ひきこもり」をどう捉えるか
「ひきこもり」の当事者とは誰か
分からないことが分かる
後期近代における存在論的不安と「ひきこもり」
「ひきこもり」を理解するための視点の生成――ふたたび“分からない”へ
最も影響を受けた研究者 江原由美子 183
第16章 同性愛者のライフヒストリーとともに分析方法を探す――人々の経験をかたちづくるものの解明に向けて(杉浦郁子) 191
同性愛者のライフヒストリー
データがあっても分析ができない
データを事実として扱えない
きっかけとなったケース
ある人物を「理解」する方法への着目
常識や規範を扱う手つき
「社会学的な分析とは」への一つの回答
最も影響を受けた研究者 掛札悠子
コラム6 ライフストーリー(桜井 厚) 204
第17章 「言葉」はあてにならない――映像、自分語り、統計と「身体」の問題(阿部真大) 206
雄弁な言葉と壊れる身体
「自己実現系ワーカホリック」を伝えることの困難
「居酒屋甲子園」の見せ方
『搾取される若者たち』と『煙か土か食い物』
「痛み」にフォーカスする
統計と「身体」
繰り返し伝えること
最も影響を受けた研究者 佐藤良明、柴田元幸 209
第18章 想起の調査から想起の社会理論へ――記憶のフィールドワークから得たもの(福永真弓) 217
場所を取り戻すために
「スカ」という記憶の空間
場所に宿る記憶、贈与としての記憶
記憶の贈与と場所 記憶のフィールドワークへ
最も影響を受けた研究者 嘉田由紀子
コラム7 都市的生活様式と生活構造(森岡清志) 229
あとがき(二〇一七年六月二六日 金子勇) [231-232]
事項索引 [3-6]
人名索引 [1-2]