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『〈高卒当然社会〉の戦後史――誰でも高校に通える社会は維持できるのか』(香川めい,児玉英靖,相澤真一 新曜社 2014)

著者:香川 めい[かがわ・めい](1976-) 教育社会学、社会調査法。
著者:児玉 英靖[こだま・ひでやす](1972-) 教育学、法学。高校教諭。
著者:相澤 真一[あいざわ・しんいち](1979-) 教育社会学、歴史社会学
NDC:376.41 教育 >> 幼児・初等・中等教育 >> 高等学校.高校生活

 

〈高卒当然社会〉の戦後史:誰でも高校に通える社会は維持できるのか - 新曜社

〈高卒当然社会〉の戦後史

〈高卒当然社会〉の戦後史

 

 

【目次】

はじめに 「高校に通えることが当たり前の社会」の成り立ち――高校教育機会の提供構造とは(著者を代表して 児玉英靖) [i-iv]
目次 [v-ix]

 

序章 今、なぜ「誰でも通える社会」について考えるのか 001
  「成人学力世界一」の日本
  「十五の春」に泣いた頃
  高校教育を受ける機会の保障は今こそ議論されるべきである
  ナショナル・ミニマムとしての高校教育をどう提供するか?
  高校教育機会の提供をデザインし直すために
〈高卒当然社会〉の成立 012
本書の学術研究上の意義について 014
  (1) 日本全国にあるローカル・コミュニティの構造の理解に向けて
  (2) 日本の教育における平等観の再検討
  (3) 日本におけるプライバタイゼーション(privatization)の読み直し
  本書で用いるデータ
注 019

 

第1章 新制高等学校黎明期から見る高校教育機会の提供構造 025
1 全国一律の「高校」という制度 026
  新制高等学校の発足
  地方に任された「高校三原則」の実施
2 高校教育提供構造の地域性 028
  縮小していく都道府県別高校進学率の格差
  「全入状態」へと高校収容能力を変化させた第一次ベビーブーマー
  見逃せない私立高校の役割
  高校教育機会の提供構造とは比率の構造である 
3 高校教育における教育機会の平等とは――学区制の議論から 033
  高校の学区制に込められた後期中等教育の平等観
  学区制の「弊害」に対する批判
  「学区制」批判の背後にあった当時の大きな進学率の格差  
第1章のまとめ 038
注 038


第2章 一九六〇年代の高校教育拡大は何をもたらしたのか 041
1 第一次ベビーブーマーの高校進学が与えたインパクト 042
  一九六〇年代の高校進学は厳しかった
  高校生急増対策への国の関与
  第一次ベビーブーム世代の高校への入学 
2 高校進学率の上昇は、高卒学歴の持つ意味をどう変えたのか?――高卒学歴に人々が期待していたものとその裏切り 045
  世代ごとの高卒学歴の見え方
  高まる教育への希望
  裏切られた高卒学歴
  高卒学歴取得者にその後の巻き返しはあったのか?
  「行けば得するところ」から「行かないと損するところ」へ
3 「誰でも高校に通える社会」はなぜ可能となったのか?――私立高校が引き起こした高校教育拡大のスパイラル 054
  定員を大きく上回っていた一九六〇年代当時の高等学校
  もし私立高校がなかったならば
  「安上がりの教育拡大」    
第2章のまとめと地域性への問いの展開 059
注 060

 

第3章 高校教育機会の提供構造の地域的布置と類型化 063
1 地域によって異なる私立高校依存度 064
2 都道府県の類型化 067
  どのように都道府県を類型化するのか
  四つのクラスターの特徴
  中庸型クラスタ
  公立拡張型クラスタ
  私立拡張型クラスタ
  大都市型クラスタ
3 各類型の特徴と高校の威信構造における地域性 074
  各類型と高校教育の威信構造の関連
  どのような高校に誰が入学したのか――高校の威信構造の変化
  「受け皿」か「ブライト・フライト」  
第3章のまとめ 082
注 083

 

第4章 各都道府県のケーススタディ(1)中庸型――静岡県香川県兵庫県 085
はじめに――第4章から第7章のケーススタディについて 085
  各章のケースを見る視点 
中庸型の三県(静岡県香川県兵庫県)の検討 088
1 静岡県――日本の社会経済システムの「縮図」における教育拡大 088
  静岡県に見る全国の教育拡大の特徴
  高校教育拡大によって強化されてきた静岡県の独自性
2 香川県――大規模化した公立高校とバッファーとしての私立高校で数年を乗り切る 095
  見逃せない私立高校の役割
  伝統校の意向が支える地域の構造
3 兵庫県――大都市圏と広大な中山間地域の併存がもたらした県内の多様性 101
  歴史的に「私学優位」となってきた神戸・阪神地域
  急増期に顕著となる地域性
中庸型クラスターのケーススタディのまとめ 107
注 108

コラム 大学附属高校と高校教育拡大 111

 

第5章 各都道府県のケーススタディ(2)公立拡張型――徳島県・愛知県 113
1 徳島県――山地の多い地域で「平均並み」を求める取り組みと私立高校への低い信頼感 113
  山地の多い地域と低かった高校進学率
  強い私立不信の下での公立高校増設
  徳島県で私立高校が拡大しなかった理由――私立不信と県内における起業家精神の弱さ? 
2 愛知県――比率による高校教育機会の提供構造によって拡大した進学率 120
  高校進学率の低かった愛知県
  厳しい「ジョンソン旋風」の下での高校三原則の実施とその後の転換
  第一次ベビーブーマー通過時における公私協同体制の構築  
公立拡張型クラスターのケーススタディのまとめ 127
注 128

 

第6章 各都道府県のケーススタディ(3)私立拡張型――宮崎県・山形県群馬県 129
1 宮崎県――全国最低の進学率から「平均」への取り組み 130
  全国最低の高校進学率をめぐる中央と地元の認識
  「平均に持っていく」宮崎県の高校増設過程
  私立高校の拡大を支えた地元のアントレプレナーシップとその後の経営難 
2 山形県――新設された私立高校による公立高校不足の補完 138
  戦後に行われた着実な公立高校の整備
  見積もりの低かった公立高校急増対策と相次いだ私立高校の開校
3 群馬県――男女別学を前提とした高校教育機会の拡大 143
  占領期の政策によって形成された男女別学体制
  男女別学を強化した生徒急増期の対処
私立拡張型クラスターのケーススタディのまとめ 147
注 149

コラム 甲子園(一) 151

 

第7章 各都道府県のケーススタディ(4)大都市型――大阪府・神奈川県 153
1 大阪府――マンモス私立高校による高校進学希望者の収容とその結末 154
  安上がりの教育拡大
  安上がりの教育拡大が遺した問題
2 神奈川県――急激な人口増に対応した公立高校の増設と二極化した私立高校の対応 161
  当初より高かった進学率と私学率
  対応の分かれた私立高校とそのゆくえ
  伝統的に威信の高い公立高校と私立高校の形成と併存 
ケーススタディによる四つのクラスターの検討のまとめ 168
注 170

コラム 東京(一) 173
コラム 東京(二) 174


第8章 拡大した高校教育のその後――生徒減少期における高校教育機会の近未来像 175
はじめに――生徒減少期における高校教育機会提供構造の変容 175
  生徒減少期における問題の所在
1 生徒減少期における私学率の規定要因の変化 177
  ジェームズとベンジャミンによる先行研究
  一九九〇年代以降の私学率を規定する要因の変化
  生徒減少とともに人口の多いところに私学は集中する  
2 特徴的な県の検討(1)――神奈川県の事例から 183
  公立高校百校増設とその後の計画的再編がもたらしたもの
  見込まれていた生徒減少期の対応
  高校百校新設計画達成後の神奈川県立高校の評価の変化
  生徒減少期における公立高校の計画的統廃合の進展
  公立高校の「威信回復」がもたらしたもの――全日制高校への進学率の低下
  公立高校の威信回復と私立高校・定時制高校へと締め出される生徒たち
3 特徴的な県の検討(2)――徳島県の事例から 192
  公立高校の計画的再編と競争と淘汰による私立高校の再編
  三分の一まで減少し続ける生徒数
  再編される公立高校と消えゆく私立高校
第8章のまとめ 197
注 199
コラム 甲子園(二) 203

 

終章 人口減少期における〈高卒当然社会〉のゆくえ 205
高校教育機会の提供構造の将来像 205
  公立高校改革の「意図せざる結果」と高校進学をめぐる「自己責任論」への回帰
  私学の生き残り競争と「特権的な私学」への転換
  教育バウチャーと「公立高校の私学化」の加速
  今、高校教育機会の保障について議論するということ
注 211

 

あとがき(著者を代表して 相澤真一) [213-219]
初出一覧 [vii]
索引 [ii-vi]
著者紹介 [i]