著者:眞嶋 亜有[まじま・あゆ](1976-) 近現代日本社会文化史、心性史。比較文化論、身体文化論。
NDC:316.83 難民.民族運動.民族問題.
【目次】
題辞 [002]
まえがき [003-007]
身体という運命
西洋という最も重要な他者
目次 [009-012]
序章 近代日本の自己矛盾 015
西洋の権威化 016
「西洋化」の選択
日本の悲哀
エリート
近き、そして遠き他者 024
人種的同質性
人種的異質性
注 029
第1章 差別化という模倣――日清戦争後 031
内村鑑三とスコッチリー 032
「日本人離れ」
二つのコード
「シナ人」との同化 040
「最果て」の終焉
「黄色い大河」
「支那人」という蔑称
洗濯屋の「ジョン」
弁髪とpig tail
モンゴロイド 054
「蒙古症」
脱亜の共時性
和装と洋装のはざまで 057
「ジャップ」
「サーカス・ショー」
「大和魂」
見世物か国威発揚か
「日本の天職」
二つの写真
注 073
第2章 〈一等国〉の栄光とその不安――日露戦争後 083
語られぬみじめさ 084
夏目漱石の風貌
神経衰弱と人種意識
自己醜悪視 093
「小人国」
安住の地である日本
見劣り
気が引ける
「猿の顔」
「劣等人種」
「黄色の汚名」
罪悪としての「黄色」
「東洋人」の境界 118
ナショナル・プライド
埋めきれぬ隙間
「人格問題」
最後の砦
「同じ顔色」
「我々のお仲間」
所属感の欠如 137
不運
「大暗礁」
新運命の開拓
紐帯
疎外感
注 146
第3章 華麗なる〈有色人種〉という現実 155
「平等」の裏側――パリ講和会議 156
檜舞台
人種差別撤廃案の提唱
牧野伸顕の演説
反論と本来の意図
矛盾
アンチテーゼ
「失敗」の代償
挫折
排日移民法 178
排日傾向
煽動の時代
「写真花嫁」と第二次排日土地法
日本の対応と誤差
「同化」の限界―― 一九二二年小沢孝雄最高裁判決
自尊心のありか 190
「激昂」
「日米戦争はまさかないと思ふが」
怒りと自尊心
「泣き寝入り」
注 202
第4章 「要するに力」――日独伊三国同盟とその前後 213
現実主義と精神主義 214
現実主義的人種認識へ
「貧乏人の子沢山」――安岡秀夫
「軽薄」――稲葉君山
「机上的価値」――稲原勝治
「人種相互寛容論」――松原一雄
「ヘマ」――高木信威
「斯かる特殊な地位」――田中都吉
現実主義ゆえの精神主義
「武力が最初に口をきく今」――武者小路実篤
「黒い眼と青い眼」 232
日英同盟廃止から親独傾向へ
浮かび上がる矛盾
『我が闘争』邦訳版をめぐる問題
英国による日独離間策
可視的差異
「ナチスは日本に好意をもつか」――鈴木東民
乖離し、乖離しえないもの 244
「悪魔と手を組む」
「積怨の刃」
「聖戦」
「夢ならばとぞ思ふ」
注 256
第5章 敗戦と愛憎の念 263
ふたりの写真――昭和天皇とマッカーサー 264
「転向」の構造
玉音放送の涙
まぶしさ
「天皇と外人」
手中にあった震え
擁護という利用
神格性の否定
崇拝と落胆 281
心理的依存
埋めきれぬ空虚 286
否定
「それから生まれる淋しさ」
「アメリカ人に生まれたらよかつた」
「総決算」
注 296
第6章 永遠の差異――遠藤周作と戦後 301
神々と神と 302
光と影
合わない洋服
皮膚のかなしみ 312
「サール・ジョンヌ」
リヨンへ
黄色い人の哀愁
血の隔たり 320
ポール遠藤
「無縁な者」
血
「神さまは外国人ですか」
一流の二流性 330
九官鳥
寂寞の感
鍍金
食客
桜
内在化された自己否定
永遠の差異
注 351
終章 近代日本の光と影 357
明暗
烙印と誇り
「複雑な構造」
偏見の本質
美醜
自己否定
日本人であることの不安
悲哀
振幅
翳り
憂鬱
注 385