著者:片山 一道[かたやま・かずみち] (1945-) 考古学、先史人類学、骨考古学。
NDC 469.91 人類学(日本人)
【目次】
目次 [003-008]
はじめに 009
古人骨研究と人類学
「日本人」とはなにか
I 日本人の実像を探る
第1章 旧石器時代人 015
1 最古の日本人 015
日本人の登場
最古の日本人はいつやって来たのか
どこから来たのか
どんな人々だったのか
よみがえる「港川人」
日本列島の旧石器時代の人物像
2 日本史の教科書から消えた「原人」たち 031
おかしな「原人史観」
消えた「明石原人」「高森原人」
日本の旧石器時代人に関する真実
コラム1 骨考古学でなにがわかるか 038
第2章 縄文人 041
1 縄文人のルーツ 041
縄文人の物語
縄文列島の景観
慎ましき「なんでも屋」
土器の発明
縄文人はどこから来たのか
2 古人骨から復原する縄文人 051
ありがたき哉、貝塚遺跡
よみがえる縄文人たち
縄文人の骨相・人相を探る
縄文人の身体――顔型と体形
縄文人のユニークな特徴
縄文人の歯
奇妙な風習――抜歯と研歯
研歯の特別な役割
縄文人の食べ物
縄文人は日本人の基層をなす
コラム2 人骨の仕組みと法則性 076
第3章 「弥生人」 079
1 縄文人から「弥生人」へ 079
弥生時代のイメージ――その移りゆきと潮目の変化
弥生時代の幕開け
「渡来した弥生人が縄文人に置きかわった」は本当か?
「渡来系か縄文系か」という二分論の限界
「弥生人」さまざま
2 「弥生人顔」神話 090
「弥生人」の地域性
北部九州地方と西部中国地方の弥生時代人骨
弥生時代の海峡地帯――対馬海峡と朝鮮海峡
どれほどの渡来人が来たのか
弥生時代人骨の出土地偏在性
渡来系「弥生人」の身体特徴
縄文人もどきの「弥生人」――もうひとつの作業仮説
「縄文人顔か弥生人顔か」は粗雑な二分論
殺傷痕に見る戦乱の時代――倭国の大乱
戦乱の時代背景
コラム3 弥生時代には大型船があった 115
第4章 古墳時代人 117
1 階層分化による身体変化 117
古墳時代――日本人の成立前夜
古墳時代の墓地と被葬者たち
大型古墳の被葬者たち――高身長の特権階級
2 渡来人の影響 122
顔立ちの変化は混血よりも社会構造の変化によるもの
常民の骨格と顔立ち
倭人の時代――のちの日本人に向けての身体変化の画期
古墳時代の渡来人の数
コラム4 藤ノ木古墳の人骨は誰か 131
第5章 「中世人」・近世人・近現代人 135
1 「中世人」 135
本家本元の「日本人」
奈良・平安時代は冬の時代
奈良・平安時代人の身体特徴
鎌倉時代から戦国時代にかけての身体特徴
2 近世人 144
江戸時代の身体特徴
江戸時代人の食物事情と生活環境
江戸時代人の健康白書
梅毒の蔓延
江戸時代人の一生
3 近現代人 156
近世人から近代日本人へ――通婚圏の拡大
ガリヴァーのような現代日本人
短絡的な日本人観を越えて
コラム5 横穴墓の興味深い埋葬法 161
II 「身体史観」の挑戦
第6章 旧来の日本人論の誤りをただす 167
1 身体史を俯瞰する 167
「身体史」とはなにか
「吹きだまり」の旧石器人、独特な縄文人
なにもかもが様変わり――「弥生人」
「日本人顔」の登場――古墳時代人と奈良時代人
階層性が顕著に――鎌倉時代から戦国時代、さらには江戸時代へ
2 旧来の説を検証する 178
日本人の始まり
縄文人をめぐるさまざまな説
縄文人は日本列島で誕生し、日本列島で育まれた
弥生時代の開国日本列島
海峡地帯を渡る――船と人々と風
日本人起源論と日本文化起源論は表裏にあらず
日本人はみな混血なのか――「混血」概念をただす
3 身体の時代変化 193
日本人の身体特徴の時代変化
身長の変化
顔立ちの変化
4 アイヌと琉球の人々 200
アイヌの人々
琉球諸島の人々
コラム6 神戸の新方人骨でわかる弥生時代の真実 204
第7章 旧来の歴史観はどこが誤っているのか 207
1 歴史教育の欠陥 207
歴史教育の理念
先史時代にも歴史はあった
広義の歴史学
ボーダーレス化した現代社会に必要な世界史教育
失われた歴史の全体性
日本人のアイデンティティを育む日本史教育を
2 間違いだらけの歴史教科書 222
とんでもない顔立ちの肖像画――織田信長や聖徳太子
リアルな人物像をうとむ歴史教科書類
それぞれの時代を表現する人物像の描き方
3 旧来の歴史学の時代区分のおかしさ 229
中等教育でこぼれる縄文時代と弥生時代
日本語の「古代」の摩訶不思議
日本史における「古代」という時代
中世の兆しと古墳時代
4 「司馬史観」に物申す――日本人は一筋縄では規定できない 238
日本人とは「司馬史観が好きな人たち」?
卑下と自尊の間
司馬史観に見る「民族」の濫用、「人権」の誤用
武家史観・関東史観
歴史人物像にはリアリズムが不可欠
コラム7 伏見人骨が明らかにする江戸時代の庶民像 246
おわりに(二〇一五年二月一二日 鈍孤庵にて 片山一道) [249-251]
参考文献 [252-254]