著者:鶴見 良行[つるみ・よしゆき] (1926-1994) 人類学。評論。
NDC:625.81 果樹園芸 >> 熱帯果樹 >> バナナ
【目次】
目次 [i-iii]
地図 [iv-v]
1 バナナはどこから?――知られざる日・米・比の構図 001
日露戦争の前年、台湾から
「これだけまけても買わねぇか」
台湾産からフィリピン産へ
植物としてのバナナ
刈り取られたバナナは…
人類最初の農業?
自らは食べない作物を栽培
なぜミンダナオか――四つの理由
麻からバナナへ――古川義三の予言
対日進出が始まるまで
一人ひとりの問題としての〈東南アジア〉
2 植民地ミンダナオで――土地を奪った者、奪われた者 027
少数民族、ムスリム、クリスチャン
ブキッドノン州に開かれた牧場
デルモンテのパイナップル農園
ダバオ日本人社会の始まり
バゴボ族らの住んでいた土地を…
頻発した米人、邦人の殺害
日本の資金と人間がどっと流入
帝国主義の影の下で
領事館・日本人会による自治
法網をくぐって農園拡大
土地論争に欠落するもの
3 ダバオ麻農園の姿――経営・労働・技術 057
「自営者」に委託する方式
麻という植物
自営者の暮しと労働
「動力ハゴタン」による生産力向上
軍艦のロープに、和紙や小間物に
麻農園のフィリピン人と日本人
経営と生産技術
サトウキビ農園のパキアオ制度
防波堤としての流刑地ダペコ
急増した北方からの開拓農民
日本軍占領とゲリラの抵抗
戦後、ダバオ麻農園は…
4 バナナ農園の出発――多国籍企業進出の陰に 085
ダバオ市の東北方に
一九六二年――神保信彦の報告
日比友好通商航海条約が凍結されて
ユナイテッド・ブランズ社とドール社の暗躍
民族派議員による暴露
ドール社のパイナップル農園づくり
「ミンダナオ全島を貸与する気か」
バナナを低コストで
四つの生産単位
賃貸契約と経営契約
箱詰め・輸送コストを抑えるために
5 多国籍企業の戦略は?――フィリピン資本との結びつき方 109
タデコ農園と結んだユナイテッド・ブランズ社
大地主フロイレンドの横顔
デルモンテ社と地場農園九社の契約
価格移転、融資制度
地場農園の命運――この一〇年
大財閥と手を組んだドール社
国際資本と地場資本が分かちがたく統合
南コタバト州へも進出
住友商事とダバオ・フルーツ
遅きに失した政策発表
一九七九年の割当て地拡大指令
6 契約農家の「見えざる鎖」――ふくらみ続ける借金 135
入植者たち
現金収入も魅力的だったが…
農家の借金はふくらむ一方
市場原理が働かず
借金の原因は生産性の低さに?
廃棄率と買上げ価格
借金という「見えざる鎖」
月収の九六%を引かれて
抗議か節約か
埠頭わきスラムの住人たち
コーヒーも外資に押さえられて
人びとの食事は…
買う自由、買わされることの残酷さ
ペディキュア紅を塗る少女たち
7 農園で働く人びと――フェンスの内側を見る 165
輸出は豊かさをもたらしたか
外からもちこまれた経済
耕作面積の半分は輸出作物
農園労働者の賃金
不安定な収入と身分
農園で、作業場で、港湾で
受刑者の労働条件
農園のなかに入る
こまかく分かれている仕事
自然のリズムが奪われて
農薬が空中散布されて
ざまざまな農薬
第三世界への有毒殺虫剤輸出は急増
私たちが安全であればよいのか
フェンスの内側と外側
さまざまな武装集団
8 日本へ、そして食卓へ――流通ルートに何が起ったか 193
輸入元から小売業者まで
「青もの」をむろで熟成させる
買い手が強気の契約
輸入価格を下回る浜値
生産は増えたが消費は減る
港から港までを国際資本が支配して
輸入問屋集団は解散
米系三社が激しく食い込むなかで
フィリピン・バナナの一九七〇年代
9 つくる人びとを思いながら――平等なつながりのために 215
バナナの多様な利用法
安くて栄養価が高ければよいのか
生産地ダバオ――麻からバナナへ
国際資本の支配が拡大して
生産者に思いをはせよ
あとがき(一九八二年六月 鶴見良行) [227-230]
【メモランダム】
バナナ Musa paradisiaca
アバカ麻 Musa textirio