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目次とメモを置いとく場

『純粋機械化経済――頭脳資本主義と日本の没落』(井上智洋 日本経済新聞社 2019)

著者:井上 智洋[いのうえ・ともひろ] 経済学(マクロ動学理論、貨幣的成長理論、金融政策、人工知能が経済に与える影響)
ブックデザイン:新井 大輔[あらい・だいすけ](1982-) 装丁。
カバー写真:
 馬車 ©National Archives/Newsmakers/ゲッティ/共同通信イメージズ
 コンピュータ(計算手) ©Science Source/PPS通信社
 ドローン ©Hiroshi Watanabe/ゲッティイメージズ
NDC:007.13 人工知能


日経BOOKプラス


【目次】
はじめに [i-vi]
目次 [vii-xii]


第1章 AI時代に日本は逆転できるか 
1 ディープラーニングが知覚の扉を開いた 002
  なぜ日本は衰退するのか?
  人工知能とは何か?
  ディープラーニングとデータ
  人工知能は双子を識別できるか?
  デジタル・レーニン主義
  眼の誕生
  耳の誕生

2 第四次産業革命 020
  汎用目的技術
  情報空間のデジタル化
  第四次産業革命ではおむつがおつむ化する
  人間の脳もネットに接続される未来
  AI・ビッグデータ・IoT
  ドイツのインダストリー4.0

3 覇権を握るのはどの国か 038
  ヘゲモニー国家
  リオリエント
  世界の覇権は中国に回帰する

4 頭脳資本主義と日本の衰退 050
  自動車産業がAI産業になる日
  頭脳資本主義とは何か?
  日本が「後進国」に転落する日

5 AIがもたらすのはユートピアディストピアか 060
  技術の血塗られた歴史
  未来派の戦争賛美
  人類絶滅の危機は二度あった
  悪魔を使いこなせなくなった魔法使い
  ガンディーと情報社会

本章のまとめ 081


第2章 人工知能はどこまで人間に近づけるか 
1 ニューラルネットワークの隆盛を予見した哲学者たち 084
  セルフドライビングカー・セックス
  ノマドの哲学
  人は狼になれる
  リゾーム
  ニューラルネットワークの仕組み

2 今の人工知能に何ができて何ができないか 098
  20世紀の人工知能
  21世紀の人工知能
  ライプニッツの夢は打ち砕かれたか?
  感性と悟性の再現が難しい

3 人工知能に言葉の意味が理解できるか 107
  知識表現
  シンボルグラウンディング問題――猫の概念とは何か?
  チューリングテスト
  高次の概念を獲得できるか?
  理系の学者は先に職を失う!?

4 人工知能に常識的な判断はできるか 122
  フレーム問題
  DQN[deep Q-network]
  ブロック崩しの裏技もマスター
  神託AIと世界内AI
  フレーム問題を解くには人間らしい感性も必要だ
  AIが自律的に動いていないように見えるのはなぜか?
  欲望の多方向性

5 人工知能にとっての感情と意識 141
  クオリアとは何か?
  逆転クオリア哲学的ゾンビ
  クオリアにまつわる誤解
  感情の機能的な面と現象的な面

6 汎用人工知能は実現可能か 148
  特化型人工知能と汎用人工知能
  全脳アーキテクチャと全脳エミュレーション
  100年後、生身の人間は世界の片隅でひっそりと暮らす
  リゾームシステムのツリー的理解は可能か?
  生体模倣レベル
  
7 神が死んだように人間も死ぬのか 164
  自我は虚構のようにして存在する
  科学革命によって神は死んだ
  人間は波打ち際の砂の表情のように消滅する
  
本章のまとめ 174


第3章 人工知能は人々の仕事を奪うか 
1 技術的失業の実際 178
  最初の技術的失業
  自動車の普及によってなくなった仕事技術的失業と労働移転

2 アメリカにおける技術的失業 188
  アメリカでは事務労働が減っている
  トランプ大統領とその支持者たちの敵
  アメリカて雇用が減っているのはなぜか?

3 日本における技術的失業 199
  やはり事務労働は減少する
  銀行業は大失業時代を迎える
  肉体労働が減っていくのは2030年以降

4 人間並みの人工知能が出現したら仕事はなくなるか 208
  汎用人工知能は根こそぎ雇用を奪うか
  それでも残る仕事
  AI時代に感性は重要か?

5 未来の雇用と格差 217
  全人口の1割しか労働しない社会
  クリエイティブな世界は残酷だ

本章のまとめ 223


第4章 技術的失業と格差の経済理論 
1 経済学はなぜ技術的失業を軽視するのか 226
  経済学者は教条的!?
  古典派経済学における技術的失業
  マクロ経済学のセントラル・ドグマ
  長期・短期分離フレームワーク

2 現代経済学における技術的失業の扱い 238
  技術的失業が長期化する可能性
  ポストケインジアンとは何か?
  需要創造的な技術進歩が失業を減らす

3 雇用が生まれにくいAI時代に必要な経済政策とは 247
  ITは雇用を生まない
  労働市場の二極化との関係
  雇用が減少する経済で重要なのはマクロ経済政策

4 限界費用ゼロはなぜ格差を生むのか 255
  限界費用ゼロと自然独占
  限界費用ゼロは独占を生む
  限界費用ゼロは格差を生む

本章のまとめ 266


第5章 新石器時代の大分岐――人類史上最大の愚行はこうして始まった 
1 ガンディーと産業革命 270
  綿布の製造から始まった産業革命
  生産構造の変革

2 人類史上最大の過ちとは 274
  ネアンデルタール人との命運を分けたもの
  農耕の始まり
  人類史上最大の過ち
  マルサスの罠

3 自滅的な問題はなぜ引き起こされるのか 283
  不合理な振る舞いと合成の誤謬
  不合理な振る舞い
  合成の誤謬

4 人々が繁栄にとり憑かれて経済成長は始まった 290
  繁栄にとり憑かれる
  新石器時代の大分岐
  参照点
  繁栄は参照点との差によって満足度を高める
  新石器時代の成長パラノイア
  

本章のまとめ 304


第6章 工業化時代の大分岐――なぜ中国ではなくイギリスで産業革命が起きたのか 
1 大分岐論争 308
  ペストが蔓延すると豊かになる
  マルサスの罠からの脱却
  ポメランツの大分岐論
  大分岐は偶然の産物か

2 地理的条件が繁栄を決定づける 317
  なぜユーラシア大陸が繁栄したのか?
  肩車効果を発揮しやすかった中国とインド
  宋朝中国の華やぎと長いその後
  交易が生んだ中東と地中海の繁栄

3 近世以降ヨーロッパが勃興したのはなぜか 331
  モンゴル帝国がヨーロッパに繁栄をもたらした
  軍事革命と印刷革命
  ヨーロッパ世界経済から近代世界システム

4 中国が停滞したのはなぜか 345
  東アジアでは安定と秩序が好まれた
  中国における諸国併存体制の消失
  
本章のまとめ 350


第7章 AI時代の大分岐――爆発的な経済成長 
1 なぜ中国が最初にテイクオフを果たすのか――デジタル・レーニン主義の行方 354
  左側に改めろ
  中所得国の罠を抜けるには
  中国は中所得国の罠に陥るか
  毛沢東はマーガリン・エコノミスト
  易姓革命イノベーションの促進
  テイクオフとは何か

2 過去の三つの産業革命と経済成長率 376
  肩車効果と取り尽くし効果
  第二次産業革命の終わり
  第三次産業革命
  先進国の経済成長率が低いのはなぜか

3 AI時代に世界は再び分岐する 384
  純粋機械化経済とは何か?
  純粋機械化経済における成長率
  AI時代の大分岐
  テイクオフに遅れるとどのような災難に見舞われるか
  
4 テイクオフに必要な需要側の政策とは 395

本章のまとめ 402


第8章 AI時代の国家の役割――中枢を担うのは国家か、プラットフォーム企業か 
1 1968年革命 406
  敷石の下は砂浜だ
  恩寵の扉は閉じられた
  幻覚剤がもたらす心のアナーキズム
  美は乱調にあり

2 なぜ今アナーキズムの時代なのか 419
  マルチチュード vs. 帝国
  リバタリアニズム
  麦畑がバッハの曲を奏でる
  アナーキー・イン・カリフォルニア

3 未来の社会は「不用階級」と「不老階級」に二極分化するのか 433
  いちごを白書をもう一度
  シンギュラリティ
  ホモ・デウス

4 AI時代にソ連社会主義は可能か 444
  ソ連は怠け者の楽園ではない
  中枢によってコントロール
  社会主義経済計算論争
  人工知能社会主義

5 グーグルが通貨を発行してばらまく日 454
  アナーキズムでもなくソ連社会主義でもなく
  市場の失敗
  技術を高めるために政府がなすべきこと
  プラットフォームとしての貨幣
  人類史の三つのリンゴ
  脱労働社会へ
本章のまとめ 477


おわりに [478-479]
Notes [480-482]
参考文献 [483-488]