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『「良い仕事」の思想――新しい仕事倫理のために』(杉村芳美 中公新書 1997)

著者:杉村 芳美[すぎむら・よしみ](1948-) 社会経済学。
NDC:153 職業倫理



【目次】
目次 [i-vi]


  第一部 ポスト勤勉社会と仕事意識 

第一章 労働倫理は衰退したか 002
1 価値の転倒 002
  日本人と勤勉
  「働き過ぎ」
  「会社人間」
  「終身雇用」
  勤勉倫理の衰退

2 労働状況の変化 012
  労働の変化
  精神労働化
  文化と労働
  新しい労働倫理?
  精神的な要求


第二章 高度産業社会と労働倫理
1 「勤勉」から「自己実現」へ 024
  産業社会と勤勉倫理
  勤勉と幸福主義
  高度産業化と労働
  自己実現と「新しい労働倫理」
  労働の快楽主義

2 「良い仕事」 036
  労働と倫理
  意味ある労働
  自己実現の限界
  「良い仕事」
  良い仕事の思索


  第二部 「良い仕事」の思想 

第三章 良い仕事と「善く生きること」 050
1 ヘシオドスと「労働の尊さ」 050
  『仕事と日』
  「労働は恥ではない」
  「労働の尊さ」
  労働は尊くないか

2 ソクラテスと「善く生きること」 060
  仕事観の告発
  アテネ市民の反発
  農民の仕事
  職人の仕事
  職人の名誉
  市民の仕事
  ソクラテスの仕事観
  善く生きること


第四章 良い仕事と「善い行い」 079
1 パウロと「善い行い」? 079
  「働きたくない者は、食べてはならない」
  善い行い
  聖書の労働観

2 アウグスティヌスと「修道士の労働」 088
  『修道士の労働について』
  パウロの教えと福音書の言葉
  信仰と労働

3 ベネディクトの「祈れ、かつ働け」 097
  「祈れ、かつ働け」
  平衡のとれた生活
  修道院の発展

4 トマス・アクィナスと「職分」 106
  肉体労働は義務にあらず
  職分としての仕事
  キリスト教と良い仕事


第五章 良い仕事と芸術 116
1 モリスの「良い仕事」 116
  良い仕事と悪い仕事
  仕事の芸術性
  希望ある労働と現代

2 ギルと「仕事の再神聖化」 126
  芸術と労働
  労働と責任の分離
  正常な仕事
  仕事の再神聖化
  ギルと現代


第六章 良い仕事の概念 140
1 ルイスの「良い仕事」 140
  「いい仕事と生き行ない」
  二種類の仕事
  仕事の区別は可能か
  判断の基準
  良い仕事を求める
  ルイスのメッセージ

2 シュマッハーの「グッドワーク」 154
  グッドワーク
  伝統の英知
  「三つの使命」と「三つの行動基準」
  良い仕事の「三つの目的・機能」
  生活の必要
  自己の完成
  他者とのつながり
  良い仕事への教育


  第三部 「新しい仕事倫理」の可能性

第七章 良い仕事と全体性 174
1 職人仕事の理想? 174
  職人気質と近代的労働
  職人仕事と自己実現の理想
  構想と実行の一致?
  職人仕事の全体性

2 全体を豊かにする仕事 185
  仕事と共同善
  「内的な善と外的な善」
  「心の習慣」
  「社会的エコロジー
  コーリングとしての仕事
  「良い仕事」の再発見


第八章 仕事におけるインテグリティ 202
1 良い仕事の条件 202
  良い仕事を考える伝統
  過去の抽象的思索?
  「良い仕事」の条件
  良い仕事と現実

2 仕事とインテグリティ 212
  仕事の二軸
  仕事の十字
  仕事とインテグリティ
  新しい仕事倫理
  仕事倫理―――地層をなすもの
  伝統としての仕事観


あとがき(一九九七年九月 杉村芳美) [228-230]
参考文献 [231-235]




【メモランダム】
・労働について現代的な問題意識が前面に出された論集。著者(杉村芳美)が「第一章 成熟社会で〈働く〉こと」を執筆している。
『〈働く〉は、これから――成熟社会の労働を考える』(猪木武徳[編] 岩波書店 2014) - contents memorandum はてな

・日本の職業倫理というテーマでは、作家の塩野米松による取材記録が参考になった。
失われた手仕事の思想|文庫|中央公論新社