著者:杉村 芳美[すぎむら・よしみ](1948-) 社会経済学。
NDC:153 職業倫理
【目次】
目次 [i-vi]
第一部 ポスト勤勉社会と仕事意識
第一章 労働倫理は衰退したか 002
1 価値の転倒 002
日本人と勤勉
「働き過ぎ」
「会社人間」
「終身雇用」
勤勉倫理の衰退
2 労働状況の変化 012
労働の変化
精神労働化
文化と労働
新しい労働倫理?
精神的な要求
第二章 高度産業社会と労働倫理
1 「勤勉」から「自己実現」へ 024
産業社会と勤勉倫理
勤勉と幸福主義
高度産業化と労働
自己実現と「新しい労働倫理」
労働の快楽主義
2 「良い仕事」 036
労働と倫理
意味ある労働
自己実現の限界
「良い仕事」
良い仕事の思索
第二部 「良い仕事」の思想
第三章 良い仕事と「善く生きること」 050
1 ヘシオドスと「労働の尊さ」 050
『仕事と日』
「労働は恥ではない」
「労働の尊さ」
労働は尊くないか
2 ソクラテスと「善く生きること」 060
仕事観の告発
アテネ市民の反発
農民の仕事
職人の仕事
職人の名誉
市民の仕事
ソクラテスの仕事観
善く生きること
第四章 良い仕事と「善い行い」 079
1 パウロと「善い行い」? 079
「働きたくない者は、食べてはならない」
善い行い
聖書の労働観
2 アウグスティヌスと「修道士の労働」 088
『修道士の労働について』
パウロの教えと福音書の言葉
信仰と労働
3 ベネディクトの「祈れ、かつ働け」 097
「祈れ、かつ働け」
平衡のとれた生活
修道院の発展
4 トマス・アクィナスと「職分」 106
肉体労働は義務にあらず
職分としての仕事
キリスト教と良い仕事
第五章 良い仕事と芸術 116
1 モリスの「良い仕事」 116
良い仕事と悪い仕事
仕事の芸術性
希望ある労働と現代
2 ギルと「仕事の再神聖化」 126
芸術と労働
労働と責任の分離
正常な仕事
仕事の再神聖化
ギルと現代
第六章 良い仕事の概念 140
1 ルイスの「良い仕事」 140
「いい仕事と生き行ない」
二種類の仕事
仕事の区別は可能か
判断の基準
良い仕事を求める
ルイスのメッセージ
2 シュマッハーの「グッドワーク」 154
グッドワーク
伝統の英知
「三つの使命」と「三つの行動基準」
良い仕事の「三つの目的・機能」
生活の必要
自己の完成
他者とのつながり
良い仕事への教育
第三部 「新しい仕事倫理」の可能性
第七章 良い仕事と全体性 174
1 職人仕事の理想? 174
職人気質と近代的労働
職人仕事と自己実現の理想
構想と実行の一致?
職人仕事の全体性
2 全体を豊かにする仕事 185
仕事と共同善
「内的な善と外的な善」
「心の習慣」
「社会的エコロジー」
コーリングとしての仕事
「良い仕事」の再発見
第八章 仕事におけるインテグリティ 202
1 良い仕事の条件 202
良い仕事を考える伝統
過去の抽象的思索?
「良い仕事」の条件
良い仕事と現実
2 仕事とインテグリティ 212
仕事の二軸
仕事の十字
仕事とインテグリティ
新しい仕事倫理
仕事倫理―――地層をなすもの
伝統としての仕事観
あとがき(一九九七年九月 杉村芳美) [228-230]
参考文献 [231-235]
【メモランダム】
・労働について現代的な問題意識が前面に出された論集。著者(杉村芳美)が「第一章 成熟社会で〈働く〉こと」を執筆している。
『〈働く〉は、これから――成熟社会の労働を考える』(猪木武徳[編] 岩波書店 2014) - contents memorandum はてな
・日本の職業倫理というテーマでは、作家の塩野米松による取材記録が参考になった。
失われた手仕事の思想|文庫|中央公論新社