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『ヤバい経営学――世界のビジネスで行われている不都合な真実』(Freek Vermeulen[著] 本木隆一郎, 山形佳史[訳] 東洋経済新報社 2013//2010)

原題:Business Exposed: The naked truth about what really goes on in the world of business (Pearson Education)
著者:Freek Vermeulen 経営学(戦略論、アントレプレナーシップ)。
訳者:本木 隆一郎[もとき・りゅういちろう] コンサルタント
訳者:山形 佳史[やまがた・よしふみ] コンサルタント
ブックデザイン:重原 隆[しげはら・たかし]
本文DTP群企画 [むれきかく] 
件名:経営
NDLC:DH1 経済・産業 >> 企業、経営
NDC:335 経済 >> 企業、経営


ヤバい経営学 | 東洋経済STORE


【目次】
日本の読者の皆さんへ(二〇一三年二月、ロンドンにて フリーク・ヴァーミューレン) [iii-vi]
  経営の「ヤバい」側面
  ホンダの記憶
目次 [viii-xvi]


Introduction:モンキーストーリー 001


Chapter 1 今、経営で起きていること 007
  真似したくなくても、してしまう?
  集団慣性――真似をしたら負け?
  製薬会社の特殊な営業活動
  アビリーンのパラドックス
  模倣の中の差別化
  選択バイアス
  数字と戦略は両立するのか?
  酔っ払いの自転車乗り
  難しいのは意思決定じゃない
  自分の会社のこと、どれくらい知ってますか?
  企業戦略を作り出す六つのステップ
  戦略とはボードゲームと同じ?
  フレーミングコンテスト――戦略会議で起きている本当のこと
  結局、戦略なんて存在しない?


Chapter 2 成功の罠(とそこからの脱出方法) 043
  なぜ優良企業が失敗するのか
  イカロスのパラドックス
  視野狭窄――「最後には何も残らない」
  マーケット・ガーデン作戦
  メンタルモデル――同じ箱に入れて考えてみよう
  クレオソート・ブッシュ――活用が探索を追いやる
  良薬は口に苦し
  脅威かチャンスか、それが問題だ
  不況時に目を向けるべきはコストより売上
  危機にはイノベーション
  あなたの会社は生き残る覚悟を持っているか


Chapter 3 登りつめたい衝動 073
  ヤム芋の大きさにこだわる経営者
  企業買収に熱中する経営者――部族的な本能的行動
  経営者、結婚、M&A、年老いたミリオネアとピュアな花嫁
  企業買収病
  時間圧縮の不経済――多すぎるし、早すぎる
  種と肥料から始める会社の作り方
  やった、ついにやったぞ!
  ほとんどの買収は失敗に終わる、間違いなくそうなのだ
  うまい、すっきり、ハイネケン
  ヒキガエルと買収――経営者の「うぬぼれ病」はどこから来るのか


Chapter 4 英雄と悪党 099
  現代のヒーローたち
  ナルシシストと謙虚なヤツ、勝つのは……
  自信過剰の経営者は生まれつきか
  ヒーローの断罪
  スター経営者と期待の重さ
  大成功した経営者は本当に有能か
  経営者が超人になるとき
  経営者の峠越え
  チーフ・ストーリー・テラー
  マネージャーとリーダーは異なるか
  女性の経営者


Chapter 5 仲間意識と影響力 125
  フィクションを超えた真実
  アナリスト、星占い師、レミング──実はみんな同類
  相反する利益――アナリストは自分の銀行の顧客に肩入れするか
  投資銀行の曖昧な評価といいとこ取り
  流行を生み出すアナリスト
  セイレーンと投資銀行の共通点
  アナリストの飼い馴らし方
  買うのはアドバイスか影響力か――なぜ天下りを受け入れるのか
  取締役というエリート仲間たち
  取締役のクローン化現象
  仲良し取締役会
  経営者とストックオプション
  ストックオプション、リスク、そして利益操作
  なぜ経営者の報酬は高いのか?
  経営者の報酬を正当化できるか?
  業績連動給の経営者はアドバイスを求める
  臭いものにフタをしているのは誰か?


Chapter 6 経営にまつわる神話 173
  おいしい話にご用心
  言えばそのとおりになる
  経営者と予言の自己実現
  期待が自分を動かす
  単純すぎる「エクセレント・カンパニー」
  エドおじさんに学ぶリストラの効果
  リストラは本当に効果があるのか
  どうすれば人員削減を成功させられるのか
  流行りの経営がもたらすもの
  TQMって覚えてる?
  ISO9000ではポスト・イットは発明できない
  悪い習慣の広がり方
  マーケットは非効率的?
  ピンストライプ・スーツを着たハトたち
  経営コンサルタントってどんな人たち?
  スター専門職に報いすぎてはいけない
  パテントシャーク
  情報過多への対応方法
  ノウハウが悪さをするとき
  やはりデータベースは問題だ
  無能な研究開発部門の使い道


Chapter 7 暗闇の中での歩き方 219
  赤の女王
  霧の中を見渡すのに双眼鏡は必要か?
  「今のビジネスは昔より速く変化している」って本当?
  イノベーションって本当にいいこと?
  ああ、顧客のことなんて忘れていた
  手段と目的――利益とイノベーション
  経営者だって、ラッキーだったと認めればいいのに
  運のつかみ方――チャンスはその準備を整えたところに舞い降りる
  「決断しない」ことも大事だ
  どうやって金を稼ぎ続けるか――因果関係の曖昧さ
  成功したければ、会社をそのままコピーしよう
  企業買収をアドバイスするコンサルタントは必要か?
  買収にトラブルはつきものだ
  組織構造を変えるのも良いことだ
  何度でも組織再編しよう
  組織変革の男
  イノベーションネットワークで市場を広げる
  顧客をかき回す?――マッキンゼーの流儀


Chapter 8 目に見えるものと目に見えないもの 267
  上場の隠れたコスト
  「株主価値経営」はいったいどこから来ているのか
  最優先にすべきは本当に株主か
  人間の本質――自己中のくそったれか、コミュニティの建設者か
  コルカタの下町企業
  給与格差は部門業績にプラスか
  金融危機の本当の原因
  第三の罪
  「働きやすい職場」は意味があるか
  CSRは儲かるのか
  企業は愛と金を生む(ただし、株主が許せば)


Epilogue 裸の王様
  別に裸だって構わない


訳者あとがき(二〇一三年二月 本木隆一郎 ・山形佳史) [297-301]
参考文献 [1-7]




【抜き書き】


・イントロダクションから。

 また、これは単なるビジネス書ではない。おそらく、ウォーターストーンズW・H・スミスのような大手書店では、ビジネス書のコーナーに置かれるだろう。言葉遊びをするつもりはないが、これは純粋なビジネス書ではない。〔……〕ビジネス書とは、たとえばビジネスで大成功したい人に、何をしたら良いかを教えるものだ。それは、ピンストライプのスーツにネクタイを締めた人たちのための「ハウツー」本である。それは、いつも「経営の神様」と呼ばれる著者が考えていることだったり、著者が単に知っていることだったりする。ある企業や人々はXを正しく実行して成功した。それに関する一二四ページの事例を読んだ後に、Xをすればよい、と教えてくれる。私はXについて話すこともしないし、何をしたらよいかを教えるつもりもない。私がやりたいのは、ビジネスにおけるおかしな点について、何が起きているのかを伝えることである〔……〕。 誤解をしてほしくないが、私が明らかにしたいのは、今日のビジネスの本質にかかわることだ。これまでのビジネスの見方に疑問を投げかけ、何が本当に起きているのか、何がどのように企業の業績に影響を与えているかがテーマだ。〔……〕多くの詳細な研究をたどりながら、今日のビジネスの世界を基礎から理解してもらえればと思う。


・本書の瑕疵というわけはないが、欧米の人名が片仮名表記なので、唯一の手掛かりの文献リストにない場合は、その人物を探すのに苦労する。例(222頁):

 ロンドン・ビジネススクールでの仲の良い同僚であるドン・スル教授は、比喩の天才だ。

このドン・スルとは、Donald Sullのこと。