原題:Business Exposed: The naked truth about what really goes on in the world of business (Pearson Education)
著者:Freek Vermeulen 経営学(戦略論、アントレプレナーシップ)。
訳者:本木 隆一郎[もとき・りゅういちろう] コンサルタント。
訳者:山形 佳史[やまがた・よしふみ] コンサルタント。
ブックデザイン:重原 隆[しげはら・たかし]
本文DTP:群企画 [むれきかく]
件名:経営
NDLC:DH1 経済・産業 >> 企業、経営
NDC:335 経済 >> 企業、経営
【目次】
日本の読者の皆さんへ(二〇一三年二月、ロンドンにて フリーク・ヴァーミューレン) [iii-vi]
経営の「ヤバい」側面
ホンダの記憶
目次 [viii-xvi]
Introduction:モンキーストーリー 001
Chapter 1 今、経営で起きていること 007
真似したくなくても、してしまう?
集団慣性――真似をしたら負け?
製薬会社の特殊な営業活動
アビリーンのパラドックス
模倣の中の差別化
選択バイアス
数字と戦略は両立するのか?
酔っ払いの自転車乗り
難しいのは意思決定じゃない
自分の会社のこと、どれくらい知ってますか?
企業戦略を作り出す六つのステップ
戦略とはボードゲームと同じ?
フレーミングコンテスト――戦略会議で起きている本当のこと
結局、戦略なんて存在しない?
Chapter 2 成功の罠(とそこからの脱出方法) 043
なぜ優良企業が失敗するのか
イカロスのパラドックス
視野狭窄――「最後には何も残らない」
マーケット・ガーデン作戦
メンタルモデル――同じ箱に入れて考えてみよう
クレオソート・ブッシュ――活用が探索を追いやる
良薬は口に苦し
脅威かチャンスか、それが問題だ
不況時に目を向けるべきはコストより売上
危機にはイノベーションを
あなたの会社は生き残る覚悟を持っているか
Chapter 3 登りつめたい衝動 073
ヤム芋の大きさにこだわる経営者
企業買収に熱中する経営者――部族的な本能的行動
経営者、結婚、M&A、年老いたミリオネアとピュアな花嫁
企業買収病
時間圧縮の不経済――多すぎるし、早すぎる
種と肥料から始める会社の作り方
やった、ついにやったぞ!
ほとんどの買収は失敗に終わる、間違いなくそうなのだ
うまい、すっきり、ハイネケン
ヒキガエルと買収――経営者の「うぬぼれ病」はどこから来るのか
Chapter 4 英雄と悪党 099
現代のヒーローたち
ナルシシストと謙虚なヤツ、勝つのは……
自信過剰の経営者は生まれつきか
ヒーローの断罪
スター経営者と期待の重さ
大成功した経営者は本当に有能か
経営者が超人になるとき
経営者の峠越え
チーフ・ストーリー・テラー
マネージャーとリーダーは異なるか
女性の経営者
Chapter 5 仲間意識と影響力 125
フィクションを超えた真実
アナリスト、星占い師、レミング──実はみんな同類
相反する利益――アナリストは自分の銀行の顧客に肩入れするか
投資銀行の曖昧な評価といいとこ取り
流行を生み出すアナリスト
セイレーンと投資銀行の共通点
アナリストの飼い馴らし方
買うのはアドバイスか影響力か――なぜ天下りを受け入れるのか
取締役というエリート仲間たち
取締役のクローン化現象
仲良し取締役会
経営者とストックオプション
ストックオプション、リスク、そして利益操作
なぜ経営者の報酬は高いのか?
経営者の報酬を正当化できるか?
業績連動給の経営者はアドバイスを求める
臭いものにフタをしているのは誰か?
Chapter 6 経営にまつわる神話 173
おいしい話にご用心
言えばそのとおりになる
経営者と予言の自己実現
期待が自分を動かす
単純すぎる「エクセレント・カンパニー」
エドおじさんに学ぶリストラの効果
リストラは本当に効果があるのか
どうすれば人員削減を成功させられるのか
流行りの経営がもたらすもの
TQMって覚えてる?
ISO9000ではポスト・イットは発明できない
悪い習慣の広がり方
マーケットは非効率的?
ピンストライプ・スーツを着たハトたち
経営コンサルタントってどんな人たち?
スター専門職に報いすぎてはいけない
パテントシャーク
情報過多への対応方法
ノウハウが悪さをするとき
やはりデータベースは問題だ
無能な研究開発部門の使い道
Chapter 7 暗闇の中での歩き方 219
赤の女王
霧の中を見渡すのに双眼鏡は必要か?
「今のビジネスは昔より速く変化している」って本当?
イノベーションって本当にいいこと?
ああ、顧客のことなんて忘れていた
手段と目的――利益とイノベーション
経営者だって、ラッキーだったと認めればいいのに
運のつかみ方――チャンスはその準備を整えたところに舞い降りる
「決断しない」ことも大事だ
どうやって金を稼ぎ続けるか――因果関係の曖昧さ
成功したければ、会社をそのままコピーしよう
企業買収をアドバイスするコンサルタントは必要か?
買収にトラブルはつきものだ
組織構造を変えるのも良いことだ
何度でも組織再編しよう
組織変革の男
イノベーションネットワークで市場を広げる
顧客をかき回す?――マッキンゼーの流儀
Chapter 8 目に見えるものと目に見えないもの 267
上場の隠れたコスト
「株主価値経営」はいったいどこから来ているのか
最優先にすべきは本当に株主か
人間の本質――自己中のくそったれか、コミュニティの建設者か
コルカタの下町企業
給与格差は部門業績にプラスか
金融危機の本当の原因
第三の罪
「働きやすい職場」は意味があるか
CSRは儲かるのか
企業は愛と金を生む(ただし、株主が許せば)
Epilogue 裸の王様
別に裸だって構わない
訳者あとがき(二〇一三年二月 本木隆一郎 ・山形佳史) [297-301]
参考文献 [1-7]
【抜き書き】
・イントロダクションから。
また、これは単なるビジネス書ではない。おそらく、ウォーターストーンズやW・H・スミスのような大手書店では、ビジネス書のコーナーに置かれるだろう。言葉遊びをするつもりはないが、これは純粋なビジネス書ではない。〔……〕ビジネス書とは、たとえばビジネスで大成功したい人に、何をしたら良いかを教えるものだ。それは、ピンストライプのスーツにネクタイを締めた人たちのための「ハウツー」本である。それは、いつも「経営の神様」と呼ばれる著者が考えていることだったり、著者が単に知っていることだったりする。ある企業や人々はXを正しく実行して成功した。それに関する一二四ページの事例を読んだ後に、Xをすればよい、と教えてくれる。私はXについて話すこともしないし、何をしたらよいかを教えるつもりもない。私がやりたいのは、ビジネスにおけるおかしな点について、何が起きているのかを伝えることである〔……〕。 誤解をしてほしくないが、私が明らかにしたいのは、今日のビジネスの本質にかかわることだ。これまでのビジネスの見方に疑問を投げかけ、何が本当に起きているのか、何がどのように企業の業績に影響を与えているかがテーマだ。〔……〕多くの詳細な研究をたどりながら、今日のビジネスの世界を基礎から理解してもらえればと思う。
・べつだん本書の瑕疵というわけはないが、欧米の人名が片仮名表記だけなので、唯一の手掛かりの文献リストその人名が載っていない場合は、その人物を探すのに苦労する。
例(222頁):
ロンドン・ビジネススクールでの仲の良い同僚であるドン・スル教授は、比喩の天才だ。
このドン・スルとは、Donald Sullのこと。