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『ロヒンギャ危機――「民族浄化」の真相』(中西嘉宏 中公新書 2021)

著者:中西 嘉宏[なかにし・よしひろ](1977-) 地域研究,比較政治学ミャンマー政治研究。
地図作成:地図屋もりそん
NDC:316.8238 カチン族 


ロヒンギャ危機―「民族浄化」の真相 -中西嘉宏 著|新書|中央公論新社


【目次】
はしがき [i-v]
目次 [vi-ix]
凡例 [x]
地図 [xi-xii]


序章 難民危機の発生 001
  難民とアジア
  予兆のあった危機
  ミャンマー
  バングラデシュと接するラカイン州
  ロヒンギャとは誰か
  ムスリムロヒンギャとの違い
  ラカイン州の経済的停滞
  紛争の発生
  難民の流出
  難民の保護
  本書の視覚と構成


第1章 国民の他者――ラカインのムスリムはなぜ無国籍になったのか 027
1 大英帝国の辺境で形成された国家 028
  開かれたムラウー朝とその崩壊
  イギリスによる殖民地統治
  複合社会の形成
  ラカインの複合社会

2 ナショナリズムの排他性 040
  ミャンマーナショナリズムの勃興
  アミョー・バーダー・ターダナー(民族・言語・仏教)
  反インド人暴動と仏教徒の危機感

3 日本軍政下での紛争勃発 050
  日本軍がもたらした混乱
  インパールの南で起きた衝突
  ラカインの奪還とムスリムの動員

4 独立とロヒンギャの「誕生」 054
  ミャンマー独立
  ラカインからみたミャンマー独立
  ロヒンギャの「誕生」


第2章 国家による排除――軍事政権下の弾圧と難民流出 063
1 二つの軍事政権 063
  ネーウィンによる社会主義的な軍事政権―― 一九六二〜一九八八
  タンシュエによる「なし崩し」の軍事政権―― 一九八八〜二〇一一

2 タインインダー(土着民族)と国籍法改正 069
  ネーウィンのナショナリズム
  国籍法の改正
  ロヒンギャの位置づけ

3 難民流出による国際問題化 079
  バングラデシュ独立戦争
  ヌガーミン作戦―― 一九七八
  二度目の大規模流出―― 一九九一〜一九九二
  ボート難民化

4 国家安全保障とロヒンギャ 086
  西から迫る脅威?
  イスラーム復興の影響

5 ラカイン人とロヒンギャ 093
  ラカイン民族主義
  ポスト軍事政権へ


第3章 民主化の罠――自由がもたらした宗教対立 099
1 軍事政権の終焉 100
  軍事政権下の統制
  民政移管はなぜ起きたのか
  民主化の進展
  拡大する自由

2 民主主義のダークサイド 112
  どうして民主化が暴力につながるのか
  二〇一二年のコミュナル運動
  メッティーラでの衝突
  紛争が拡大した理由

3 自由の代償 121
  969とマバタ
  民族・宗教保護のための四法
  右翼僧の役割
  背後にあるもの
  スーチー政権の成立


第4章 襲撃と掃討作戦――いったい何が起きたのか 135
1 ロヒンギャ武装勢力の変容 136
  ARSA[Arakan Rohingya Salvation Army]とアタウッラー
  二〇一六年事件の衝撃

2 二〇一七年八月二五日 142
  再び、ARSAの襲撃
  掃討作戦に関する二つの報告書

3 何が起きたのか 148
  三つの段階、三つの紛争
  動員の手段
  初動

4 掃討作戦の実態 153
  ミンジー村――最大規模の殺戮
  チュッピン村――村人への無差別発砲
  マウンヌ村――村人の処刑
  アレータンジョー村――村人の大量流出
  その他の事例
  掃討作戦はいつ終わったのか
  犠牲者数について
  国際社会の反応


第5章 ジェノサイド疑惑の国際政治――ミャンマー包囲網の形成とその限界 173
1 アウンサンスーチー、法廷に立つ 173
  国際司法裁判所
  裁判の背景
  ガンビアミャンマー、それぞれの言い分
  スーチーはなぜジェノサイドを否定するのか
  裁判の行方

2 ミャンマー包囲網と日本・中国 183
  ミャンマー批判の発展
  国際司法機関の動き
  日本の対応
  中国の対応

3 ジェノサイド疑惑の国内政治 194
  受け身のリーダーシップ
  民意と政治
  圧力を受ける国軍
  特別軍事法廷の設置
  ふたつの反動的ナショナリズム
  第二次スーチー政権へ


終章 危機の行方、日本の役割 209
1 難民帰還を阻む要因は何か 209
  (1) 国籍問題
  (2) 帰還後の支援への不安
  (3) 治安の急速な悪化
  (4) ロヒンギャミャンマー政府・仏教徒との間の相互不信

2 日本の役割を考える 215
  理想主義と現実主義とのバランス
  踏まえるべき前提
  現実を変える関与のために
  (1) 人道支援と帰還プロセスの支援
  (2) 国内司法による事実解明と責任者訴追への働きかけ
  (3) ラカイン州開発のための改発支援
  (4) 新しい連邦制の構築支援
  (5) 国軍・警察の能力開発

3 おわりに 226


あとがき(二〇二〇年一一月 中西嘉宏) [231-234]
主要参考文献 [235-242]
関連年表 [243-252]