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『「比喩」とは何か』(Barbara Dancygier, Eve Sweetser[著] 野村益寛ほか[訳] 開拓社 2022//2014)

原題:Figurative Language (England: Cambridge University Press).
著者:Barbara Dancygier
著者:Eve Eliot Sweetser
訳者:野村 益寛[のむら・ますひろ] 英語学,認知言語学
訳者:眞田 敬介[さなだ・けいすけ] 英語学,英語文法論,認知言語学
訳者:山添 秀剛[やまぞえ・しゅうごう] 英語学(意味論,語用論),認知言語学
訳者:封馬 康博[つしま・やすひろ] 英語学,認知言語学(認知文法・構文文法).
訳者:水野 優子 [みずの・ゆうこ] 英語学,語用論.
Cover Design:Shihoko Nakamura


「比喩」とは何か 株式会社開拓社

 1980年代から始まった認知言語学による比喩研究は、当初はメタファーを中心としたものの、その後メトニミー、アイロニー、シミリー、ブレンディング、文法構文、ディスコースへと研究対象を拡大するとともに、理論的枠組みを洗練しながら、コーパスや実験的手法など新しい研究方法を取り入れつつある。本書はそうした潮流を概観し、「「比喩的」とはどういうことか?」に答えることを試みた最新かつ最も包括的な概説書である。


【目次】
献辞 [iv]
謝辞 [v-vi]
訳者まえがき(2021年6月 野村益寛) [vii-xv]
  弁論術から修辞学へ
  修辞学の復権
  認知言語学におけるメタファー研究
目次 [xvi-xix]
図表一覧 [xx]


第1章 序論 
1.1 比喩を再評価する 001
1.2 メタファー:「比喩的」とは何を意味するのだろうか? 004
1.3 メトニミー 006
1.4 「比喩的」 についての理解を広げる:ブレンディングと比喩文法 008
1.5 比喩 ・ 認知・文化 010
1.6 比喩の使用 012
1.7 基本的道具立て:カテゴリー,フレーム,メンタルスペース 014
1.8 今後の予定 016


第2章 メタファーの基本
2.1 写像の概念 017
2.2 フレームと領域 023
2.3 写像はどのように経験に根ざすか 029
  2.3.1 イメージ・スキーマと経験における相関関係
  2.3.2 原初的メタファー,融合,《身体としての心》写像
  2.3.3 「双方向的」 メタファー
  2.3.4 メタファーに基づく意味変化
2.4 慣習的それとも創造的? 047
2.5 認知メタファー理論を支持する実験的証拠 049
2.6 起点領域と目標領域の間で何が転移されるのか? 054
2.7 結論 057
2.8 要約 058


第3章 メタファーの構造:レベルと関係
3.1 メタファー間の継承関係と合成関係 060
3.2 様々なレベルの複合性 068
3.3 複合的写像の経験的基盤 074
3.4 イメージ・メタファー 082
3.5 起点フレーム――目標フレームの関係に課される制約:具体と抽象に関するものだろうか? 086
  3.5.1 擬物化と擬人化
  3.5.2 抽象的なものを具体的にする
  3.5.3 メタファー群
3.6 結論:具体的/抽象的,包括的/特定的 097
3.7 要約 099


第4章 メンタルスペースとブレンディング
4.1 なぜ2領域よりも多くの構造が必要なのか:ブレンディングとしてのメタファー 102
4.2 メンタルスペースとフレームの関係 105
4.3 スペースとフレーム:種類と関係 108
4.4 プレンディングの過程と融合スペースの種類 113
  4.4.1 融合スペースの構築方法
  4.4.2 融合スペースの種類
  4.4.3 複雑な多スコープの例
4.5 結論 135
4.6 要約 136


第5章 メトニミー
5.1 部分全体のフレーム・メトニミー,フレーム化,物扱い化 140
5.2 メトニミーとメタファー 142
5.3 メトニミーによる多義と意味変化 146
5.4 言語形式のメトニミー 150
5.5 言語と認知におけるフレーム・メトニミーと非対称性 154
5.6 カテゴリー・メトニミーの認知基盤 157
5.7 メンタルスペース構築とブレンディングへのメトニミーの貢献 159
5.8 視覚のブレンディングにおけるメトニミー 166
5.9 結論 167
5.10 要約 170


第6章 文法構文と比喩的意味
6.1 導入 171
6.2 文法と意味 174
6.3 構文のメタファー用法 178
6.4 文法的な非対称性と起点――目標領域の非対称性 181
6.5 写像としてのシミリーと構文 186
  6.5.1 シミリーの特徴づけ
  6.5.2 狭域シミリー
  6.5.3 広域シミリー
6.6 代替スペース,シミリー,メタファー 203
6.7 名詞修飾構文とフレーム・メトニミー 206
  6.7.1 XYZ構文
  6.7.2 名詞修飾
  6.7.3 固有名詞:フレーム化と指示
  6.7.4 属格表現と経験的視点
  6.7.5 構文の合成性
6.8 構文と比喩的意味の性質 218
6.9 要約 220


第7章 メタファーの通言語的研究
7.1 序論:言語と認知パタンの通文化的比較 222
7.2 言語におけるバリエーションと普遍的特性の考察 223
7.3 メタファーの通言語的対比,そして通言語的普遍性? 227
7.4 時間を表す空間メタファー:《時間は相対運動である》というメタファー群 231
7.5 《時間は相対運動である》というメタファーを超えて 239
7.6 ジェスチャーと時間メタファー 244
7.7 視覚ジェスチャー言語と比喩の使用 246
7.8 結論 248
7.9 要約 249


第8章 談話における比喩
8.1 メタファーと視点:病気と中毒の談話 252
  8.1.1 境界スキーマ:病気の2とおりの捉え方
  8.1.2 メタファーとアイロニー
  8.1.3 特定の視点を帯びた経験とメタファー:中毒についての語り

8.2 論証と言語の選択肢 258
  8.2.1 「〈起点領域〉 of 〈目標領域〉」 メタファー
  8.2.2 論証の戦略としての圧縮
  8.2.3 政治演説におけるフレームと文法

8.3 拡張されたメトニミーと視点 267

8.4 文学と比喩的意味 270
  8.4.1 詩学におけるミニマリズムとマキシマリズム
  8.4.2 語りとブレンディング

8.5 科学の談話 280
  8.5.1 原子のモデル化と科学的創造性
  8.5.2 科学のメタファーの地位
    8.5.2.1 理論構成的なメタファー
    8.5.2.2 科学における起点領域

8.6 宗教のメタファー 289

8.7 結論 293
8.8 要約 294


第9章 結語
9.1 理論的根本原理 295
  9.1.1 概略性の諸レベルと解釈の諸レベル
  9.1.2 視点と経験
  9.1.3 談話を分析する
  9.1.4 実験的研究の役割
9.2. 言語学上の諸問題 303


読書案内 [307-308]
参考文献 [309-322]
索引 [323-331]
著者・訳者紹介 [333-334]