著者:村上 春樹(1949-) 小説。翻訳。
著者:柴田 元幸(1954-) アメリカ文学。翻訳。
カバー装画:横山 雄 イラストレ一タ一/グラフィックデザイナ一。BOOTLEG所属。
デザイン:新潮社装幀室
NDC:901 文学理論・作法
村上春樹、柴田元幸 『本当の翻訳の話をしよう 増補版』 | 新潮社
【目次】
目次 [003-005]
まえがき[柴田元幸] [009-011]
■OPENING SESSION 帰れ、あの翻訳 013
流行りすたりの中で――ロンドン、マッカラーズ
何が昔と違うのか
短編集は日本編集でチーヴァーもやりたい
訳しやすさ/訳しにくさ
復刊してほしい翻訳小説100 [052-057]
■僕たちはこんな(風に)翻訳を読んできた(I) 059
饒舌と自虐の極北へ――フィリップ・ロス『素晴らしいアメリカ野球』をめぐって 061
無理か法螺か
訳題について
綜合小説の可能性
ユダヤ人性と自虐と饒舌と
ほとばしるアイディアと言葉
ロスのベスト作品は
ハーディを読んでいると小説が書きたくなる――トマス・ハーディ『呪われた腕』をめぐって 085
超自然の使い方
細部の描写と作話と
日本人はハーディーが好き
風景の中にある人
テキストか、分析か
■INTERLUDE 公開翻訳 僕たちはこんな風に翻訳している 107
私? 俺? 僕?
「名文句」をどう訳す?
原文を忘れるのが翻訳の肝
翻訳の長さの違い
翻訳を始めるきっかけになった文章
体言止め、ダッシュ、カタカナ
歌詞を訳すことから始まった
■僕たちはこんな(風に)翻訳を読んできた(II) 151
雑然性の発熱――コリン・ウィルソン『宇宙ヴァンパイアー』をめぐって 153
雑然としたものが生み出す発熱のようなもの
いい小説が残るとはかぎらない
共同体から受け継ぐナラティヴ――マキシーン・ホン・キングストン『チャイナ・メン』をめぐって 171
移民、リアリズム、神話
藤本和子という翻訳者
共同体から受け継いだ家族の物語
神話的な想像力のもつ力
■INTERLUDE 日本翻訳史 明治篇[柴田元幸] 187
明治時代から始まる日本の翻訳史
江戸を引きずっていた翻訳
小説の翻訳のはじまり
聖書の翻訳
「あひゞき」が与えた影響
翻訳王と呼ばれた森田思軒〔しけん〕
豪傑訳の代表、黒岩涙香
二人の翻訳を比べる
とにかく翻訳しつづけた森鴎外
ほとんど翻訳をしなかった漱石
主な参考文献
■僕たちはこんな(風に)翻訳を読んできた(III) 259
闇のみなもとから救い出される――ジェイムズ・ディッキー『救い出される』をめぐって 261
ジェイムズ・ディッキーとレイモンド・カーヴァー
何から「救い出される」のか
三人はむずかしいが、四人は書きやすい
山に暮らす人々を描く
ラードナーの声を聴け――リング・ラードナー『アリバイ・アイク』をめぐって 281
短編小説のいる場所
普通の文章が書けない!
アメリカの雑誌・新聞の文体
■INTERLUDE 切腹からメルトダウンまで[村上春樹] 301
日本と西洋
忠実なる戦士
男と女
自然と記憶
近代的生活、その他のナンセンス
恐怖
災厄 天災及び人災
関東大震災、1933
原爆、1945
戦後の日本
阪神・淡路大震災、1995
東日本大震災、2011
■僕たちはこんな(風に)翻訳を読んできた(IV) 345
青春小説って、すごく大事なジャンルだと思う――ジョン・ニコルズ『卵を産めない郭公』をめぐって 347
大学生の時に出会った本
六〇年代の青春
サリンジャーとはどこが違うか
時代が変わっても、青春小説は変わらない
一九六五年をめぐって
この小説を訳せてよかった
一九三〇年代アメリカの特異な作家――ナサニエル・ウエスト『いなごの日/クール・ミリオン』をめぐって 377
生前・死後の評価
ユダヤ人としてのウエスト
ウエストとハリウッド
一九三〇年代という時代
■INTERLUDE 翻訳の不思議 395
二葉亭四迷との共通点
古びる翻訳と古びない翻訳
名訳は迷惑?
原文と翻訳を比べる?
ギンズバーグの詩を訳して
オースターは訳せない
■僕たちはこんな(風に)翻訳を読んできた(V) 423
小説に大事なのは礼儀正しさ――ジョン・チーヴァー『巨大なラジオ/泳ぐ人』をめぐって 425
ひとつの世界を書き続けた作家
窓のない地下室で書く
短編小説を成り立たせていたのは雑誌だった
アメリカ文化の本質は「異質なもの」が入ってくること
小説というのは「引っかかり」がないと駄目
「背筋が通った短編」はいくつ訳しても飽きない
短篇小説のつくり方――グレイス・ペイリー『その日の後刻に』をめぐって 459
主流になれない人たちの文学
ペイリーの良さは一篇だけではわからない
ストーリーテラーとしての本能
短篇小説の在り方を変えたヘミングウェイとフィッツジェラルド
村上流短篇小説の書き方
『ニューヨーカー』と Kindleのバラ売りについて
短篇は良いところが一つあればいい
■CLOSING SESSION 翻訳にプリンシプルはない 485
いい翻訳者の定義とは
オリジナルをつなぐものとしての翻訳
アメリカの作家からライフスタイルを学んだ
原文で読む喜び
あとがき[村上春樹] [507-509]