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『本当の翻訳の話をしよう[増補版]』(村上春樹, 柴田元幸 新潮文庫 2021//2019)

著者:村上 春樹(1949-) 小説。翻訳。
著者:柴田 元幸(1954-) アメリカ文学。翻訳。
カバー装画:横山 雄 イラストレ一タ一/グラフィックデザイナ一。BOOTLEG所属。
デザイン:新潮社装幀室
NDC:901 文学理論・作法


村上春樹、柴田元幸 『本当の翻訳の話をしよう 増補版』 | 新潮社


【目次】
目次 [003-005]
まえがき[柴田元幸] [009-011]


■OPENING SESSION 帰れ、あの翻訳 013
  流行りすたりの中で――ロンドン、マッカラーズ
  何が昔と違うのか
  短編集は日本編集でチーヴァーもやりたい
  訳しやすさ/訳しにくさ
  復刊してほしい翻訳小説100 [052-057]


■僕たちはこんな(風に)翻訳を読んできた(I) 059

饒舌と自虐の極北へ――フィリップ・ロス『素晴らしいアメリカ野球』をめぐって 061
  無理か法螺か
  訳題について
  綜合小説の可能性
  ユダヤ人性と自虐と饒舌と
  ほとばしるアイディアと言葉
  ロスのベスト作品は


ハーディを読んでいると小説が書きたくなる――トマス・ハーディ『呪われた腕』をめぐって 085
  超自然の使い方
  細部の描写と作話と
  日本人はハーディーが好き
  風景の中にある人
  テキストか、分析か


■INTERLUDE 公開翻訳 僕たちはこんな風に翻訳している 107
  私? 俺? 僕?
  「名文句」をどう訳す?
  原文を忘れるのが翻訳の肝
  翻訳の長さの違い
  翻訳を始めるきっかけになった文章
  体言止め、ダッシュ、カタカナ
  歌詞を訳すことから始まった


■僕たちはこんな(風に)翻訳を読んできた(II) 151
雑然性の発熱――コリン・ウィルソン『宇宙ヴァンパイアー』をめぐって 153
  雑然としたものが生み出す発熱のようなもの 
  いい小説が残るとはかぎらない 


共同体から受け継ぐナラティヴ――マキシーン・ホン・キングストン『チャイナ・メン』をめぐって 171
  移民、リアリズム、神話
  藤本和子という翻訳者
  共同体から受け継いだ家族の物語
  神話的な想像力のもつ力


■INTERLUDE 日本翻訳史 明治篇[柴田元幸] 187
  明治時代から始まる日本の翻訳史
  江戸を引きずっていた翻訳
  小説の翻訳のはじまり
  聖書の翻訳
  「あひゞき」が与えた影響
  翻訳王と呼ばれた森田思軒〔しけん〕
  豪傑訳の代表、黒岩涙香
  二人の翻訳を比べる
  とにかく翻訳しつづけた森鴎外
  ほとんど翻訳をしなかった漱石
  主な参考文献


■僕たちはこんな(風に)翻訳を読んできた(III) 259
闇のみなもとから救い出される――ジェイムズ・ディッキー『救い出される』をめぐって 261
  ジェイムズ・ディッキーとレイモンド・カーヴァー
  何から「救い出される」のか
  三人はむずかしいが、四人は書きやすい
  山に暮らす人々を描く


ラードナーの声を聴け――リング・ラードナー『アリバイ・アイク』をめぐって 281
  短編小説のいる場所
  普通の文章が書けない!
  アメリカの雑誌・新聞の文体


■INTERLUDE 切腹からメルトダウンまで[村上春樹] 301
  日本と西洋
  忠実なる戦士
  男と女
  自然と記憶
  近代的生活、その他のナンセンス
  恐怖
  災厄 天災及び人災
    関東大震災、1933
    原爆、1945
    戦後の日本
    阪神・淡路大震災、1995
    東日本大震災、2011


■僕たちはこんな(風に)翻訳を読んできた(IV) 345
青春小説って、すごく大事なジャンルだと思う――ジョン・ニコルズ『卵を産めない郭公』をめぐって 347
  大学生の時に出会った本
  六〇年代の青春
  サリンジャーとはどこが違うか
  時代が変わっても、青春小説は変わらない
  一九六五年をめぐって
  この小説を訳せてよかった


一九三〇年代アメリカの特異な作家――ナサニエル・ウエスト『いなごの日/クール・ミリオン』をめぐって 377
  生前・死後の評価
  ユダヤ人としてのウエス
  ウエストとハリウッド
  一九三〇年代という時代


■INTERLUDE 翻訳の不思議 395
  二葉亭四迷との共通点
  古びる翻訳と古びない翻訳
  名訳は迷惑?
  原文と翻訳を比べる?
  ギンズバーグの詩を訳して
  オースターは訳せない


■僕たちはこんな(風に)翻訳を読んできた(V) 423

小説に大事なのは礼儀正しさ――ジョン・チーヴァー『巨大なラジオ/泳ぐ人』をめぐって 425
  ひとつの世界を書き続けた作家
  窓のない地下室で書く
  短編小説を成り立たせていたのは雑誌だった
  アメリカ文化の本質は「異質なもの」が入ってくること
  小説というのは「引っかかり」がないと駄目
  「背筋が通った短編」はいくつ訳しても飽きない


短篇小説のつくり方――グレイス・ペイリー『その日の後刻に』をめぐって 459
  主流になれない人たちの文学
  ペイリーの良さは一篇だけではわからない
  ストーリーテラーとしての本能
  短篇小説の在り方を変えたヘミングウェイフィッツジェラルド
  村上流短篇小説の書き方
  『ニューヨーカー』と Kindleのバラ売りについて
  短篇は良いところが一つあればいい


■CLOSING SESSION 翻訳にプリンシプルはない 485
  いい翻訳者の定義とは
  オリジナルをつなぐものとしての翻訳
  アメリカの作家からライフスタイルを学んだ
  原文で読む喜び


あとがき[村上春樹] [507-509]