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目次とメモを置いとく場

棋書:相振り飛車

 蔵書の確認のために棋書を列挙する。ブクログが昨年リスト機能を廃したので、一覧は手で作るしかない。著者(段位・敬称は省略)ごと。

■相振り飛車
藤井猛

相振り飛車を指しこなす本〈1〉 (最強将棋21)

相振り飛車を指しこなす本〈1〉 (最強将棋21)

相振り飛車を指しこなす本〈2〉 (最強将棋21)

相振り飛車を指しこなす本〈2〉 (最強将棋21)

相振り飛車を指しこなす本〈3〉 (最強将棋21)

相振り飛車を指しこなす本〈3〉 (最強将棋21)

相振り飛車を指しこなす本〈4〉 (最強将棋21)

相振り飛車を指しこなす本〈4〉 (最強将棋21)

□杉本昌隆
相振り革命最先端 (マイコミ将棋BOOKS)

相振り革命最先端 (マイコミ将棋BOOKS)

マイコミ将棋BOOKS 相振りレボリューション

マイコミ将棋BOOKS 相振りレボリューション

相振り飛車の教科書

相振り飛車の教科書

杉本流相振りのセンス

杉本流相振りのセンス

対振り革命 中飛車左穴熊 (マイナビ将棋BOOKS)

対振り革命 中飛車左穴熊 (マイナビ将棋BOOKS)

戸辺誠小林健□西川和宏
これからの相振り飛車 (マイナビ将棋BOOKS)

これからの相振り飛車 (マイナビ将棋BOOKS)

高崎一生
わかる! 勝てる! ! 現代相振り飛車 (マイナビ将棋BOOKS)

わかる! 勝てる! ! 現代相振り飛車 (マイナビ将棋BOOKS)

日本将棋連盟
力戦相振飛車の戦い (激闘シリーズ)

力戦相振飛車の戦い (激闘シリーズ)

棋書の備忘メモ

■定跡

マイコミ将棋BOOKS 西川流振り飛車 居飛車穴熊破り

マイコミ将棋BOOKS 西川流振り飛車 居飛車穴熊破り

……矢倉流振り直しを勉強したいので。

南の右玉

南の右玉

……先手居飛車を詳しく知るため。目次を見る限り、この本自体はオールラウンドな人に向けて書かれているようだ。

 学生トップを突っ走っていた中川さんが著した、「得意戦法をもとう。最先端を追わずとも、勝負は可能だ」というモットーに基づいた定跡書。



詰将棋、その他問題集

詰将棋の創り方―実例と楽しみ方

詰将棋の創り方―実例と楽しみ方

知人が貸してくれるとかなんとか。期待はしないで待つ。

『頭脳対決!棋士vs.コンピュータ』(田中徹,難波美帆 新潮文庫 2013//2011)

著者:田中 徹[たなか・てつ](1973-) 記者。
著者:難波 美帆[なんば・みほ](1971-) 記者。
解説:飯塚 祐紀[いいづか・ひろき](1969-) 棋士
装画:土屋 尚武[つちや・しょうぶ](1963-) イラストレーター。
備考:梧桐書院から刊行された『閃け! 棋士に挑むコンピュータ』を文庫化した本。一般人向けに平易に書かれた本文に加えて、飯塚祐紀先生の解説にも注目してほしい。


頭脳対決! 棋士vs.コンピュータ 田中 徹(著/文) - 新潮社 | 版元ドットコム


【目次】
まえがき(二〇一一年一月 難波美帆) [003-009]
目次 [011-015]


第一章 日本将棋連盟への挑戦状 019
  「知性」の再現
  受けて立つ女流王将
  コンピュータ一六九台を接続
  「苦節三十五年」の歴史
  コンピュータに勝てるのは数百人


第二章 「知能」の探求 033
  理論上、必勝法が存在する「完全情報ゲーム」
  一〇手先を読むのに二〇万年
  「評価関数」と「探索」で局面を読む
  無駄な手は読まない
  禁じられた対局
  解禁第一号「竜王対『ボナンザ』」
  人工知能研究の最適モデル
  「ドラゴンクエストIV」の試行錯誤
  チェスは五〇年でコンピュータが勝利
  人工知能研究の最終ゴール
  コンピュータは「ひらめく」のか


第三章 天性の勝負師・清水市代 059
  「なぜ私が?」
  「人間が不利」に掻き立てられて
  男と女、棋風に違いはあるのか
  「私が目標というわけではないでしょう」
  感情のない相手をどう受け止めるか
  コンピュータ世代の棋士
  「清水」という最適解


第四章 「あから2010」と多数決合議制 079
  「身を滅ぼす」といわれた人工知能研究
  並列処理の「激指」
  「サチって」しまうコンピュータ
  機械学習の「ボナンザ」
  化学分野からの参戦
  「ボナンザ」惜敗の理由
  チェスで始まった合議システム
  単純多数決か、楽観的合議か


第五章 清水市代女流王将 vs. 「あから2010」 105
  舞台は東京大学本郷キャンパス
  「米長と羽生」で東大教授陣に対抗
  「あから」の四手目に会場がわく
  期待以上の好勝負を展開
  合議する四つのソフト
  一見悪手、よく見るとスキなし
  勝負の分かれ目
  清水、会心の一手
  「あから」の攻め、清水の防戦
  「あから」、恐れを知らない一手
  清水、負けを覚悟する


第六章 コンピュータが見せた「人間らしさ」 163
  人間と互角以上の思考力
  なぜ、「あから」は強いのか
  合議制がもたらす「ゆらぎ」
  「勝ったから強いというわけではない」
  勝敗を決めた「もう一つの人間らしさ」


第七章 科学者たちが夢見る「アトム」 181
  コンピュータ将棋が向かう先
  「AI−UEO」に集まった若者たち
  「ひらめき」を解き明かす
  「ヒューリスティック」の実現がカギ
  哲学からコンピュータへ
  「知性」のメカニズム
  必要なのは「生きたい」という欲求


第八章 ロボットに「心」を宿らせる 205
  なぜ「アトム」なのか
  世界初のフルスケール二足歩行ロボット
  分野横断のプロジェクト
  「つくる」から「育てる」へ
  ピョンピョン跳ねる黄色いゲル
  人間はなぜ、ロボットに心を感じるのか
  技術者の気持ちを伝える媒体
  ロボット技術は「感じて動く」技術
  「人間とは何か」の答えが変化する


第九章 「歴史的一戦」が遺したもの 239
  切り捨ててきた選択肢を拾い上げる
  チェス発展の四つの段階
  ブレイクスルーの萌芽
  「ともに棋譜をつくり上げる喜び」
  竜王渡辺明の研鑽


あとがき(二〇一一年一月 田中 徹) [258-263]
文庫版あとがき――挑戦し続けること。「負けない」こと。百年先の未来へ(二〇一三年三月、札幌にて 田中 徹) [264-275]
関連年表 [276-281]
参考文献・資料 [282-287]
解説 飯塚祐紀(平成二十五年三月、棋士) [286-292]




【抜き書き】
 下線は全て引用者によるもの。


□pp. 83-87 
 東京大学生産技術研究所助教(当時)で、「激指」〔げきさし〕開発者の一人でもある横山大作氏への取材から。ここでは並列処理について一般人向けの解説がなされている。

 コンピュータ将棋の強さは、局面を判断する評価関数の出来と、探索できる深さ、そして両者のバランスにかかっている。
 横山は「速度アップはもっとも副作用のない強化策といわれている。三〇秒かかる探索処理を三秒でできるようになれば、それはもう、コンピュータ将棋ソフトは絶対に強くなる」と強調した。「激指」の場合、大まかにいって、コンピュータの計算処理スピードが二・五倍速くなると、将棋の局面にしてもう一手先まで読めるようになる。
 「半導体の性能は約二年で倍増する」という、半導体メーカー、インテル社の創業者、ゴードン・ムーアが提唱した法則がある。ところが、一九六五年に提唱されたこの経験則は、近年、限界に達しつつあるとみられている。シリコンチップの微細化技術が、物理的な限界に近づいているためだ。
 ハードウェアの進化があれば、ソフトウェアを工夫しなくても、コンピュータ将棋は強くなる。しかし、ハードウェアの進化のスピードが落ちて、コンピュータ一台の処理速度があまり向上しなくなってきた。ハードウェアの進化頼みでは、棋力の向上も、これまでのスピードほどは望めないということだ。
 横山は「そこでコンピュータの台数を増やして、並列処理することが課題になっている」と、自身の研究目的を説明する。

 パソコンやサーバーを複数、結合した並列コンピュータを一般的にクラスタという。「あから2010」も、東京大学にある「Intel Xeon 2.80GHz, 4 cores」というコンピュータを一〇九台、「Intel Xeon 2.40GHz, 4 cores」というコンピュータを六〇台、合計一六九台結合したクラスタマシンと呼ばれる並列コンピュータの一つだ。チェスの世界チャンピオン、ガリカスパロフに勝った「ディープ・ブルー」も並列コンピュータだった。
 並列コンピュータとともに、一個のプロセッサ(CPU)に複数のコア(もっとも核になる演算をする部分)を積む、マルチコアという技術も広がっている。「あから」に使われるコンピュータの「4 cores」というのは、一個のプロセッサに四つのコアが入っていることを示す。
 これまでの方法では、ハードウェアの性能向上のスピードにかげりが見えてきたため、別の方法でさらに性能を向上させる、そのためにコンピュータを複数結びつけようという発想だ。

・saturationについて。
 なお、「空いた計算能力」の利用については、仮想通貨のマイニングのおかげで、良くも悪くも人口に膾炙したと思う。

  「サチって」しまうコンピュータ
 大規模な並列コンピューティングの試みに、「SETIQホーム」というプロジェクトがある。電波望遠鏡が受信するデータをインターネットにつながっているコンピュータの空いた計算能力を使って分析し、地球外知的生命体が発信する電波を探そうという科学実験だ。無料のプログラムをダウンロードすれば、だれでも自宅で「宇宙人探し」に貢献することができる。 
 横山によれば、並列処理は、「SETIQホーム」のように、一つ一つの問題について分担が割り当てられ、ほかとは関係なく規則的に処理すればいいだけの計算、高校数学で初歩を習う行列計算、また、問題に相互に依存する関係のほとんどないような計算に向く。
 並列処理で行う計算には向き不向きがあって、単純にコンピュータをつなげればそれだけ速くなるというわけではないのだ。将棋の探索は、並列処理では難しい計算に分類される。
 データ処理の速度が上がらなくなる現象を横山は、「サチってくる」と表現した。「飽和」を意味する「saturation」が語源だ。マルチコアや並列コンピューティングによって実現できる処理速度アップは、経験則上「ルート台数倍」になるという。二台なら一・四倍、九台なら三倍、一〇〇台で一〇倍ということだ。コンピュータやCPUを増やしても、増やしただけの処理速度アップができず、サチってしまうわけだ。
 「一台のノートパソコンにコアが四個も八個も入るようになってきて、でも、どうすればそれを効率的に使えるようなプログラミングができるか、よくわかっていない」と横山。 
 並列コンピュータの性能を最大限引き出すため、計算を効率的に分散させるにはどんなプログラムやハードウェアの設計が最適なのか。横山はそんな研究をしている。



【メモランダム】
 ここからは余談。
 電王戦(特に5vs.5で行われた第2回)の映像を見返すと、この本の意義が再確認される。
 出場する棋士、解説を担当した棋士、陰に陽にかかわる棋士・新聞社社員・連盟関係者の方は多数いる。そのなかでも、コンピュータ将棋について勉強された方は絶対数としては多いはずだろう。
 しかし、特に、上に抜粋した内容(並列処理の難しさ)は、少なくないプロ棋士には誤解されてい。例えば「100台つなげれば100倍速い(強い)」などの発言もあった(つづけて「だから不公平」と冗談まじりの発言すらあった)。
 たとえ棋士の専門外とはいえ、そして催しのメインが対局とはいえ、コメントや解説においてコンピュータ将棋について、杜撰な発言をそのまま放送されてしまっていたことが悔やまれる。
 

『先崎学のすぐわかる現代将棋』(先崎学, 北尾まどか NHK出版 2010)

著者:先崎 学[せんざき・まなぶ] 棋士。随筆。
著者:北尾 まどか[きたお・まどか] 女流棋士
著者:羽海野 チカ[うみの・ちか] 漫画家。
シリーズ:NHK将棋シリーズ
備考:符号を表す部分のみ、全角アラビア数字にしている。


NHK将棋シリーズ 先崎学のすぐわかる現代将棋 | NHK出版


【目次】
はじめに(2010年7月 先崎学 北尾まどか) [002-003]
目次 [004-005]


第1章 進化するゴキゲン中飛車 007
 ゴキゲン中飛車の誕生 008
 5筋位取り中飛車の攻防 022
 居飛車党の意地☗7八金 034
 常識を超えた☗2二角成 048
 ゴキゲン中飛車vs居飛車穴熊 058
[コラム]対イビアナ! 振り飛車反撃のドラマ 074


第2章 よみがえる石田流三間飛車 075
 石田流の基本と現代流☗7七銀 076
 石田流対策の☖7二飛と棒金 092
 超急戦!早石田と新戦法 114
 ☖3二飛戦法、新たな可能性 128
[コラム]三間飛車はこれからの成長産業 142


第3章 なんでもあり角交換振り飛車 143
 角交換振り飛車の基本と狙い 144
 単純明快! 一手損向かい飛車 162
 ☖3三角戦法と最新の対策 176
[コラム]楽しく攻めて勝ちましょう 206


スペシャル対談]羽海野チカ×先崎学 [207-222]






【メモランダム】
感想:
 NHK講座をもとにしているだけあって綺麗な構成。先崎八段(当事の段位)による解説は、初心者~級位者を意識しており分かりやすい。
 本書の中身は、「石田流」「ゴキゲン中飛車」「角交換振り飛車」の三本立て。角交換振り飛車・力戦振り飛車の解説は繁雑になりやすいが、玄人の簡潔な定跡書として類書は珍しい(大半の定跡書は想定読者を本書より高めに設定している。対抗できるのは上野裕和の『序盤完全ガイド』シリーズ(マイナビ刊)くらいだと思う)。
 2010年の本だが(追記2019年から見ても)、まだまだ現役。
 棋書ミシュランのレビューも公開されている。戦術面に着目した詳しい書評なので、有段者はそちらを参照してほしい。
http://rocky-and-hopper.sakura.ne.jp/Kisho-Michelin/14/978-4-14-016184-5.htm

『最新戦法の話』(勝又清和 浅川書房 2007)

著者:勝又 清和[かつまた・きよかず](1969-) 棋士
NDC:796 将棋


浅川書房/商品詳細 最新戦法の話


【目次】
まえがき [003]
目次 [005]
流行戦法の変遷 [006-007]
凡例 [008]


第1講 一手損角換わりの話 009
(1)なぜ手損するのか
(2)復活するバリエーション
(3)先手右玉と相腰掛け銀
(4)勝率4割の謎
(5)手損をとがめる
(6)佐藤康光は現代の升田幸三
(7)手損と戦術
(8)爆発的に進化した 


第2講 矢倉の話 033
(1)現代矢倉の始まり
(2)破るのは端である
(3)穴熊か攻めか
(4)宮田新手現る
(5)新たな攻め筋
(6)矢倉から生まれた思想
(7)森下システムの復活 


第3講 後手藤井システムの話 057
(1)藤井システム登場
(2)急戦モードも搭載
(3)スレットカードを使え
(4)模索するシステム
(5)新型システムの完成
(6)▲5五角急戦現る
(7)これで穴熊に組める
(8)若手棋士を見よ
(9)室岡新手がブレイクした 


第4講 先手藤井システムの話 095
(1)一手多く指せる
(2)スレットカードと新システム
(3)△6四銀右急戦の復活
(4)戦法の多様化
(5)創造前の破壊
(6)まだまだこれから
(7)選択肢が増えた 


第5講 ゴキゲン中飛車の話 119
(1)戦法とスペシャリスト
(2)ゴキゲン前史
(3)ゴキゲン旋風
(4)ゴキゲン化する世界
(5)超急戦は少ない
(6)丸山ワクチン
(7)二枚銀急戦
(8)終盤力を鍛えよ
(9)ゴキゲン主義で行こう
(10)驚きの連続 


第6講 相振り飛車の話 161
(1)マイナーからメジャーへ
(2)囲いの進化
(3)オープニングの変化
(4)矢倉の要素が加わる
(5)角換わりの要素が加わる
(6)トッププロの相振り術
(7)すべての囲いは相対的である
(8)「なんちゃって」問題とは
(9)金無双はなくなる
(10)角の利きに注意せよ
(11)パラレルワールド 


第7講 石田流の話 207
(1)升田と石田流
(2)棒金なんかこわくない
(3)早石田がよみがえった
(4)石田流の楽しみ


第8講 コーヤン流の話 231
(1)職人と呼ばれる男
(2)穴熊には直撃弾をぶちこめ
(3)コーヤン流の試練
(4)定跡を創る男
(5)中田功はみんなの憧れ


第9講 8五飛戦法の話 255
(1)誕生秘話
(2)△5五飛の話
(3)8五飛戦法の現在
(4)戦法の記憶
(5)創始者に聞く


参考資料 藤井システムの基本手順 283
(1)3二銀型の基本手順
(2)4三銀型の基本手順


あとがき(羽生のミニインタビュー付き) [293-294]