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『社会〈思考のフロンティア〉』(市野川容孝 岩波書店 2006)

市野川 容孝[いちのかわ・やすたか](1964-) 医療社会学生命倫理学。
シリーズ:思考のフロンティア;
NDC:304 社会科学 >> 論文集.評論集.講演集
NDC:361 社会科学 >> 社会 >> 社会学


社会 - 岩波書店


【目次】
はじめに [iii-xi]
目次 [xiii]


I 社会的なものの現在 001
第1章 日本の戦後政治と社会的なもの 001
  「社会」の消滅  対立と分裂の理由  ソーシャル対リベラル――頓挫した問い


第2章 冷戦以後と社会的なもの 018
  終点を失った「道」  ベルリンの壁とその崩壊  誰がなぜ忘れているのか  R. ルクセンブルグ政治学


第3章 社会学と社会的なもの 035
  社会学的忘却  社会学的啓蒙  開きつつ閉じること


第4章 社会民主主義 046
  目的の正しさと手段の正しさ  「社会民主主義」という言葉――ドイツ  「労働党」へ――イギリス  1848年革命とその後――フランス  日本と「社会民主主義」  社会民主主義と国境  ドイツ革命  法を措定する暴力と議会  「神的暴力」とは  議会制を超える議会制  APO


II 社会的なものの系譜とその批判 089
第1章 ルソー 089
  政治的なものと社会的なもの  『不平等論』  『社会契約論』  “social”の系譜――イギリス道徳哲学  ルソーにおける“social”  「自尊心」と「所有」――「平等」を立ち上げるもの  ルソーとマルクス  平等と不平等――社会的なもののコード  自由をめぐって  比較と平等  ルソーとニーチェ  差異の平等、平等の差異  死,固有名,社会的なもの  反ニーチェ  永劫回帰と「勇気」  ニーチェの狂気


第2章 社会科学の誕生 140
  19世紀の課題――自由と平等の亀裂  コンドルセの「社会学」  文明とコロニアリズム  政治経済学批判――シスモンディとコント  分配の問題と「社会科学」――トムソン  脱マルクス  女性の解放と「社会科学」  自由と共産主義――ミル  反ユダヤ主義と「社会科学」――ブーフホルツ  私有地の悲劇――ラヴェルニュ‐ペギラン  社会と国家  「個人主義」という言葉  日本の「社会科学」  「社会」の消滅――「厚生」へ


第3章 批判と展望 200
  全体の可視化――「見えざる手」と「無知のヴェール」  分配的正義と租税国家  社会的なものと政治的なもの  民主主義と「人間の複数性」  「人間経済学」を超えて  脱特権化と脱国境


III 基本文献案内 225


あとがき(2006年9月) [235-237]





【抜き書き】

(同情は)自分と同じにするために、他者に死を要求する。ナチの優生政策と安楽死計画を、ドイツの一精神科医として批判的に検証してきたK.ドゥルナーは、その背後にあった人びとの心性を『死に至る憐れみ』という言葉で表現している。

Klaus Dörner(1933-) 精神科医



『何て可哀想な人』『何て気の毒な人』『何て惨めな人』――そういう深い同情とともに、『健康』な人びとは、自分たちとは違う生命を大量に殺したのである。


※この個所に関連して、著者のブログ記事をリンクしておく。
NHK・ETV特集『それはホロコーストのリハーサルだった』(初回放送・2015年11月7日、再放送・2015年11月14日)に関連して - Ichinokawaの日記