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『ケースからはじめよう 法と経済学――法の隠れた機能を知る』(福井秀夫 日本評論社 2007)

著者:福井 秀夫[ふくい・ひでお] 行政法、法と経済学。
NDC:321 法学


ケースからはじめよう 法と経済学|日本評論社


【目次】
はじめに(2007年8月 福井秀夫) [iii-viii]
目次 [ix-xv]
凡例 [xvi]


序章 「法と経済学」のすすめ 001
1 法の隠れた機能を知る 001
2 任意規定強行規定の意味を検証する 005
3 法のもたらすパラドックスを正確に把握する 006
4 法による当事者への介入の条件を踏まえる 006
5 「政府の失敗」を軽視しない 010
6 法と経済学で考える 011
  第1原理――人々はトレードオフ(相反する関係)に直面している 011
  第2原理――あるものの費用は、それを得るために放棄したものの価値である 013
  第3原理――合理的な人々は限界的な部分で考える 013
  第4原理――人々は様々なインセンティブ(誘因)に反応する 014
  第5原理――交易(取引)はすべての人々をより豊かにする 015
  第6原理――通常、市場は経済活動を組織する良策である 015
  第7原理――政府は市場のもたらす成果を改善できることもある 018


第1章 金利に対する政府介入はどうあるべきか――契約法の経済分析の基礎 021
第1章で使う経済学:市場への政府介入の効効果 022
1 背景説明および法と経済の理論 025
  (1) 金利規制の実態 025
  (2) 金利規制の影響 027
2 判例とその解説―― 一最近の最高裁判決にみる「みなし弁済」規定の空文化 032
3 法と経済学で考えてみよう 035
  (1) 最高裁判決の意味 035
  (2) グレーゾーン金利の明記について 036
  (3) 規制の弊害 037
  (4) 市場の失敗の是正 038
4 回答骨子 039


第2章 解雇規制は誰を保護するのか――完備契約と不完備契約 043
第2章で使う経済学:需要と供給の理論 044
1 背景説明および法と経済の理論 047
  (1) 解雇規制の実態 047
  (2) 解雇規制の影響 048
2 判例とその解説――解雇を制約する判例法 056
3 法と経済学で考えてみよう 059
  (1) 解雇はなぜ起きるのか 059
  (2) 解雇規制の正当化根拠は何か 059
  (3) 日本の経済社会への解雇規制への影響 063
  (4) 労働契約法の課題 064
4 回答骨子 064


第3章 河川の流水はどのように配分すべきか――所有権法の理論 067
第3章で使う経済学:公共財・共有資源と所有権の経済学 068
1 背景説明および法と経済の理論 070
  (1) 共有地の悲劇 070
  (2) コースの定理と所有権 072
2 判例とその解説―― 一公水使用権の限界 073
3 法と経済学で考えてみよう 074
  (1) 公水使用権の成立要件 074
  (2) 公水使用権の性格 076
  (3) 公水使用権の効果 079
4 回答骨子 081


第4章 構造計算偽造事件の損失は誰が負うべきか――損害賠償法の経済分析 083
第4章で使う経済学:私人のイニシャティブによる外部性の内部化 084
1 背景説明および法と経済の理論 085
  (1) 損害負担に関する取決めの難易度 085
  (2) 損害負担のルール 089
2 判例とその解説――私人のイニシャティブによる外部性の内部化 094
3 法と経済学で考えてみよう 096
  (1) 単体規定と集団規定 096
  (2) 構造計算偽造事件の特異性 097
  (3) なぜ契約の当事者だけに委ねることが適切でないのか 097
  (4) 責任負担のあり方 098
  (5) 過失責任か無過失責任か 100
  (6) 審査機関の決定 100
  (7) 保険によるリスクの分散 101
4 回答骨子 102


第5章 担保不動産からの債権回収はなぜ進まないのか――担保執行法の経済分析 105
第5章で使う経済学:取引費用の経済学 106
1 背景説明および法と経済の理論 107
  (1) 担保不動産市場の失敗107 
  (2) 短期賃貸借保護による執行妨害の助長 108
  (3) 最低売却価額の矛盾 110
  (4) コースの定理と初期権利配分 110
  (5) 金融市場・担保不動産市場への担保執行法の影響 112
2 判例とその解説――抵当権者はどこまで不法占有排除に関与できるか 116
3 法と経済学で考えてみよう 120
  (1) 担保不動産市場は民間の不動産市場と何が違うのか 120
  (2) 担保執行法に何が求められるか 122
  (3) 民間競売の導入は多くの問題を解決する 125
  (4) 事後的な個別当事者間における利益衡量がもたらす歪み 125
4 回答骨子 126


第6章 犯罪抑止にとって刑罰とは何か――刑法の経済分析 129
第6章で使う経済学:国家のイニシャティブによる外部性の内部化 130
1 背景説明および法と経済の理論 132
  (1) 刑罰の法と経済分析の基礎理論 133
  (2) 犯罪はなぜ悪い 139
  (3) 「効率的」犯罪は存在するか 140
  (4) 刑罰の重さと刑罰執行確率をどう組み合わせるか――効率的刑罰とは 140
  (5) 損害賠償法と刑法はどう違うのか 141
2 判例とその解説――犯罪者のインセンティブと刑法 143
3 法と経済学で考えてみよう 147
  (1) 刑法の目的の明確化 148
  (2) 犯罪者のインセンティブコントロールの重視 148
  (3) 損害賠償法と刑法の連続性 149
  (4) 計画的犯罪と衝動的犯罪 151
  (5) 非犯罪化の可能性 152
  (6) 責任無能力者による加害行為 152
4 回答骨子 153


第7章 企業規律に責任を持つのは誰か――会社法の経済分析 155
第7章で使う経済学:契約理論と不法行為理論の狭間 156
1 背景説明および法と経済の理論 157
  (1) 会社と会社法の意味 157
  (2) 不完備契約論からみた会社法158
  (3) 不完備契約はなぜ発生するのか 161
  (4) 「標準書式」としての会社法 161
  (5) 多数株主と少数株主の利害対立を会社法が調整すべきか 162
  (6) 会社支配権の移転は悪か――企業買収の是非 165
  (7) 会社債権者の保護をどう図るか 166 
  (8) 会社と契約関係にない第三者との法的関係 168
2 判例とその解説――企業買収と会社法 170
3 法と経済学で考えてみよう 175
  (1) 法ルールの意味 175
  (2) 当事者が意思決定することの意義 176
  (3) 取引費用の削減策 177
  (4) 事前のルールと事後のルール 177
4 回答骨子 178


第8章 知的財産は有体物と何が違うのか――独占権付与の経済分析 181
第8章で使う経済学:独占の経済学 182
1 背景説明および法と経済の理論 183
  (1) 知財保護のディレンマ 184
  (2) 知財は有体物の所有権とどう違う 185
  (3) 独占権の強さと技術・アイデアの流布 186
  (4) 職務発明にどのように報いるか 191
  (5) 消尽理論 193
2 判例とその解説――知的財産保護のトレードオフ 195
3 法と経済学で考えてみよう 201
  (1) 知財を利用する権利の独占をめぐるトレード・オフの解決 201
  (2) 知財の一般開放に対するインセンティブ付与 201
  (3) 職務発明の果実をどのように大きくするべきか 203
  (4) 消尽理論の根拠 204
  (5) 知財に関する法的判断の基本的視点 204
4 回答骨子 205


第9章 価格戦略は「反競争」的か――独占禁止法の経済分析 207
第9章で使う経済学:産業組織論を踏まえた政府の介入 208
1 背景説明および法と経済の理論 209
  (1) 独禁法の規律 209
  (2) 企業の行動と価格戦略 211
2 判例とその解説――企業の価格戦略への法の介入 220
3 法と経済学で考えてみよう 228
  (1) 独禁法と効率性 228
  (2) 市場の失敗と政府の失敗 228
  (3) 正当性を欠く絶対的費用優位性に対する介入 228
  (4) 競争政策と知財保護の交錯 229
4 回答骨子 230

第10章 環境を守ることとは何か――環境法の原理 231
第10章で使う経済学:外部性と公共財の法的処理 232
1 背景説明および法と経済の理論 233
  (1) 外部性と環境 233
  (2) 差止め請求と損害賠償請求 240
2 判例とその解説――外部性コントロールと初期権利配分の規律 241
3 法と経済学で考えてみよう 248
  (1) 環境法と効率性 248
  (2) 環境アセスメントの改善 249
  (3) 国と自治体の役割分担 250
  (4) 公法と私法の交錯 251
  (5) 汚染者負担原則 251
  (6) 環境を「守りすぎる」ことはあるか 252
4 回答骨子 252


引用文献と判例 [254-258]
さらに学習をすすめるために [259-271]
事項索引 [273-278]