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『議論法――探求と弁論 第3版』(George W. Ziegelmueller, Jack Kay[著] 九州大学大学院比較社会文化学府言語コミュニケーション研究室[訳] 花書院 2006//1997)

原題:Argumentation: Inquiry & Advocacy, Third Edition. (Allyn and Bacon, 1997)
著者:George William Ziegelmueller (1930-2019) 議論学。ディベート教育。
著者:Jack Kay
翻訳:九州大学大学院 比較社会文化学府 言語コミュニケーション研究室
監訳:井上 奈良彦[いのうえ・ならひこ](1957-) 
訳者:中野 美香 
訳者:鎌田 裕文 
訳者:津田 晶子 
訳者:松田 隆治 
訳者:戸倉 信之 
訳者:スナイダー ともみ 
訳者:周 莉惠 
訳者:網野 薫菊 
訳者:塩川 絵里子  
出版社:花書院[はなしょいん]
シリーズ:比較社会文化叢書;III 
頁数:xvi + 434
件名:討論法
NDC:809.6 言語 >> 言語生活 >> 討論・会議法
備考:表紙カバーには「第3版」とあるが、これは原著第3版の意味。


花書院 / 議論法―探求と弁論 (比較社会文化叢書 (3))
http://scs.kyushu-u.ac.jp/modules/pico/index.php?content_id=79



【目次】
巻頭言(平成17年12月25日 根井 豊) [v]
訳者解題――比較社会文化叢書としての刊行に際し [vii-x]
目次 [xi-xiv]
序文 [xv]
謝辞 [xvi]


第I部 基盤――探求と弁論としての議論法 001

第01章 議論法についての一視点 003
  この章の概要
議論法の定義 004
  探究としての議論法
  弁論としての議論法
議論法の重要性 006
議論法の確実性 010
議論法の倫理性 013
要約 015
注/主要参考文献/学習のための設問/演習問題/実習問題の解答


第02章 基本概念 021
  この章の概要

命題 023
  命題の種類
    事実・価値命題
    政策に関する命題
  命題を表現すること
    現状の信念や政策からの変化
    変化の性質と方向性
    1つの中心的な考え
    中立の用語

推定 029
  制度化された概念
  推定の目的

証明責任 031
  実習問題:推定と証明責任 032
争点 033

一応の立件 035

要約 036
主要参考文献/学習のための設問/演習問題/実習問題の解答


第II部 批判的探究 041

第03章 議論の本質 043
  この章の概要
議論の定義 045
一貫性の仮定 046
根拠 047
  2種類の前提
    知覚的前提
    価値的前提
  証拠の種類
    事実証拠
    専門家の意見証拠
推論過程 050
  帰納的推論
    総合的な過程
    個別のものから始める
    蓋然的結論
  演繹的推論
    分析的過程
    一般的なことから始める
    形式上保障される結論
結論 055
  存在に関する結論
  性質に関する結論
  実習問題:機能と演繹
  説明に関する結論
要約 057
注/主要参考文献/学習のための設問/演習問題/実習問題の解答


第04章 根拠を見つける 061
  この章の概要
前提を明らかにする 063
  意識的に表現された前提
  象徴的に明かされる前提
  共同体について推測される前提
    個人の前提を吟味する
    聴衆分析を行う

証拠を探す 070
  調査計画の立案
  出典の目録を作る
    手動で索引検索する
      書籍/定期刊行物/新聞/年間とデータブック/政府刊行物/文献目録
    コンピュータで索引検索する
  証拠を得るために読む
  証拠の記録
    証拠自体の記録
    証拠の出典の文書化
  証拠のファイリング

根拠の倫理的使用 087

要約 088
注/主要参考文献/学習のための設問/演習問題/実習問題の解答


第05章 根拠の検証 095
  この章の概要
根拠の一般的な検証 097
  内的整合性の検証
  外的整合性の検証
  関連性の検証
知覚的価値的前提に特化した検証 099
  明確な定義
  適切な正当化
  良い結果
  より重要な前提の犠牲
  後半な受容
  専門家の支持
証拠の具体的検証 105
  新しさの検証
  情報源確認の検証
  情報源能力の検証
  情報源積極性の検証
  文脈の検証
  統計的証拠の検証
    適切な標本抽出
    適切な統計単位
    適切な期間
    実習問題:証拠の検出
    比較可能な単位
要約 114
注/主要参考文献/学習のための設問/演習問題/実習問題の解答


第06章 帰納的議論 119
  この章の概要

例示による議論 121
  例示による議論の特徴
  例示による議論の検証
    典型的な例
    反証例
    十分な例

類推による議論 125
  類推による議論の特徴
  類推による議論の検証
    比較例の本質的類似
    比較された特徴の正確さ

因果関係による議論 129
  因果関係による議論の特徴
    因果関係の否定
    必要かつ十分な原因
    ミルの公理
    説明の一般的あるいは個別的結論
  因果関係による議論の検証
    関連の一貫性
    関連の強さ
    規則的な時間順序
    関連の整合性

要約 137
主要参考文献/学習のための設問/演習問題/実習問題の解答


第07章 演繹的議論 141
  この章の概要
因果関係の一般化による議論 144
  因果関係の一般化による議論の特徴
  因果関係の一般化による議論の検証
    阻害要因
    原因の十分さ
    想定外の結果

徴候による議論 146
  徴候による議論の特徴
    存在または本質の結論
  徴候による議論の検証
    本質的な相関関係
    十分な徴候
    矛盾した徴候
  
演繹的議論の三段論法の形式 151
  定言的三段論法の検証
    中概念の普遍性
    前提と結論の普遍性の一致
    命題の1つは肯定形
    前提と結論の両否定
    概念の一貫性
  仮言的三段論法の検証
    前件肯定と後件肯定
    前件否定と後件否定
  選言的三段論法の検証
    肯定と否定の背理関係
    選択肢の相互排他性
    想定可能なすべての選択肢
  実習問題:演繹的議論を検証する

要約 161
主要参考文献/学習のための設問/演習問題/実習問題の解答


第08章 虚偽 165
  この章の概要

虚偽の定義 167
よくある虚偽 168
  論点先取り
  合成の誤謬
  分割の虚偽
  不合理な推論
  権威に訴える
  同情に訴える
  対人攻撃
  無知に訴える
  論点を無視する
  包括の虚偽
  危険な坂道
  わら人形の議論
  大衆受け議論
  擬似質問あるいは複問の虚偽
  実習問題:虚偽の特定

要約 176
主要参考文献/学習のための設問/演習問題/実習問題の解答


第III部 議論的弁論 181

第09章 事実・価値論争の分析 183
  この章の概要

論争の背景の分析 184
  論争の用語の理解
  議論の直接の原因を考える
  現在の意見の性質と歴史を調べる
  提案された意見の性質と歴史を調べる
  共通の土俵を見つける

事実・価値命題の対立点公式 189
  管轄権の範囲の枠組み
  定義の枠組み
  事実の存在の枠組み
  質の枠組み
  実習問題:対立点の枠組みを見つける

要約 195
注/主要参考文献/学習のための設問/演習問題/実習問題の解答


第10章 政策論争の分析 199
  この章の概要
論争の背景の分析 200
分析の公式の適用 201
  政策命題の定常争点の分析
    管轄権の範囲の定常争点
    害の定常争点
    責任の定常争点
    救済の定常争点
    費用の定常争点
  実習問題:定常争点を明らかにする
  政策命題の費用対効果システム分析
    システムの構成要素
    システムの目的
    代替政策の費用と効果
    最善の政策
  
要約 214
主要参考文献/学習のための設問/演習問題/実習問題の解答


第11章 議論の構成と準備書面作成 219
  この章の概要
論理アウトライン 220
  アウトラインの性質
    論理アウトラインの見本
  論理アウトラインの原則
    並列
    従属
    区分
    完全性
    簡潔さ
    分離
    記号化
  論理アウトラインの利点

準備書面の作成 231
  準備書面の役割
  準備書面の利点
  準備書面の作成過程
    論題の確認
    材料の収集
    準備書面の構築
  準備書面の使用
  
要約 237
主要参考文献/学習のための設問/演習問題/実習問題の解答


第12章 分野と場 241
  この章の概要
議論の分野 242
  分野の性質と目的
  特定分野への応用
    経済界
    法曹界
    歴史研究
  議論分野の示唆するもの

弁論の場 250
  意思決定の場
    法廷弁論の場
    教育ディベート
    議会ディベートの場
  情報探索の場
    聴衆主導の場
    パブリック・ディベートの場
  聴衆活性化の場
  
要約 254
注/主要参考文献/学習のための設問/演習問題/実習問題の解答


第13章 語り 259
  この章の概要
語りのパラダイム 261
  語りの基準
  モデルとしての語り

語りの本質と目的 262

語りの創造 263
  語りの主題の選択
  場面の設定
  語りの移行の説明
  競合する語りの統合

要約 269
主要参考文献/学習のための設問/演習問題/実習問題の解答


第14章 議論を伝える 273
  この章の概要
コミュニケーションの重要性 274

重要議論に絞る 276
  順序だて
  時間と紙面の配分
  口頭での強調
  グループ化
  枠組み

言葉の選択 281
  特殊用語(ジャーゴン
  決まり文句(クリシェ
  つなぎ語
  多感覚語

口頭発表 285
  直接的であること
  非言語的手がかり

要約 287
主要参考文献/学習のための設問/演習問題/実習問題の解答


第IV部 教育ディベート 291

第15章 教育ディベートの形成 293
  この章の概要
伝統的な教育ディベートの形式 294
  チーム・ディベート
    チーム・ディベートの形式――NDT[National Debate Tournament]
      理念的・教育的な基盤/論題の種類/立論におけるスピーカーの義務/反駁におけるスピーカーの義務
    チーム・ディベートの形式――CEDA[Cross Examination Debate Association]
      理念的・教育的な基盤/論題の種類/立論におけるスピーカーの義務/反駁におけるスピーカーの義務
  リンカーン・ダグラス・ディベート形式
    理念的・教育的な基盤
    論題の種類
    スピーカーの義務

他の教育ディベートの形式 306
  聴衆ディベート
  パーラメンタリー・ディベート
  模擬裁判

要約 311
注/主要参考文献/学習のための設問/演習問題/実習問題の解答


第16章 反論 315
  この章の概要

反論の本質 317
反論における選択 317

反論の提示 319
  反論の構成
  反論の形式

反論のためのメモの取り方 320
  フローシート
    略語

特別な反論方法 323
  矛盾を指摘する
  最小化する
  最大化する
  不条理へと転化する
  内因性を否定する
  関連性の欠如を指摘する
  両刀論法(ジレンマ)を確立する
  逆転法
  確率を評価する
  時間の枠組みを定義する
  実習問題:特別な反論方法

要約 332
主要参考文献/学習のための設問/演習問題/実習問題の解答


第17章 反対尋問 337
  この章の概要
直接尋問と反対尋問 339

反対尋問の目的 340
  それまでの発言を明確にする
  相手の立場を確定する
  それまでの発言に反論をする
  自分たちの議論を立てる準備をする
  応答者の信頼性を落とす

反対尋問の心理 343
  質問の心理
  応答の心理

質問者の技術 346
  基本となる質問を作る
  事実に関する質問をする
  短い質問を積み重ねる
  類推や類似の状況を使用する
  結論を言わせない
  応答者の発言を遮る
  結果の出ない質問を捨てる
  相手の認めたことを使う

応答者の技術 351
  答える前に考える
  答えを限定する
  質問を理解する
  明白な答えはすぐ行う
  無知を認める
  質問者に結論を言わせない

要約 354
主要参考文献/学習のための設問/演習問題/実習問題の解答


第18章 肯定側立件の設定 357
  この章の概要

戦略の本質 358

肯定側戦略の基本原則 360

肯定側立件の型 361
  事実・価値命題の立件戦略
    対立点公式ケース
    基準設定ケース
    基準適用ケース
  政策命題の肯定側立件戦略
    伝統型
    比較利益ケース
    目標・基準ケース
    結果志向ケース
    収支比較ケース

要約 377
主要参考文献/学習のための設問/演習問題/実習問題の解答


第19章 否定側立件の設定 381
  この章の概要

否定側立件戦略の本質 383

否定側戦略の基本原則 384
  事実・価値命題の否定側立件戦略
    基準の否認
    基準適用の否認
    代替価値体系の構築
  政策命題に関する否定側ケース戦略
    現行制度の擁護
    現行制度の修正
    単純否定
    対抗プラン

不利益の議論の重要性 395
  不利益の各要素
    外的リンク
    内的リンク
    重大性
    固有性
  不利益の議論の提示

要約 399
注/主要参考文献/学習のための設問/演習問題/実習問題の解答


教育ディベート専門用語集 [403-409]
索引 [411-433]





【抜き書き】


・本書冒頭にある井上奈良彦「訳者解題」の末尾に記載された、訳者クレジット。  

 本書の翻訳は比較社会文化学府で井上が指導教員を務める大学院生が中心となり、同学府の授業「言語コミュニケーション論」の受講生にも手伝ってもらい数年がかりの作業となった。主な分担は下記の通りである。なお、5章と8章は福岡教育大学大学院生であった比嘉さんと保家さんの翻訳が下敷きになっている。各章は最初に訳した者が点検者の意見を基に改定訳を用意し、さらに井上および別の者が点検した。 井上が点検の際に相当部分にわたって翻訳しなおした場合もある。多人数で長期間にわたる作業となったため、どうしても訳語の統一や直訳・意訳の程度などで困難が生じた。最終的に井上が調整を試みたが、 不十分なところが残っていることをお詫びしたい。

井上奈良彦     作業全体の監修。1、5、8章翻訳。訳文点検。編集作業。
中野美香      9、10、15章翻訳。訳文点検・編集作業。
鎌田裕文      7、18、19章翻訳。訳文点検 編集作業。
津田晶子      4、14、16章 用語集翻訳。 訳文点検。
松田隆治      6、11、13章翻訳。訳文点検。
戸倉信之      2、3、17章翻訳。
スナイダーともみ  12章翻訳 。
周 莉惠      訳文点検 編集作業。
網野薫菊      訳文点検。
塩川絵里子     訳文点検。

 さらに、最終的な校正と索引の作成時に次の方々にお手伝いいただいた。
   寺園直幸、村上慶、 明代元、 飛鳥井郁枝、 真鍋頼子、 井浦広貴。