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『ネットは社会を分断しない』(田中辰雄, 浜屋敏 角川新書 2019)

著者:田中 辰雄[たなか・たつお](1957-) 計量経済学
著者:浜屋 敏[はまや・さとし](1963-) 経営情報システム
NDC:007.3 情報と社会:情報政策


「ネットは社会を分断しない」 田中 辰雄[角川新書] - KADOKAWA


【目次】
目次 [007-013]
まえがき(2019年8月 田中辰雄・浜屋敏) [003-006]


第1章 ネットへの期待と幻滅――認識され始めた「分断」 015
  「ネットは社会を良くする」
  現在のネットに漂う絶望感
  分極化(polarization)とは何か
  実証研究――アメリカの場合
  日本の場合はどうなっているか
  分極化の問題点とは何か
  「集合知」の弱体化
  「ネット原因説」の登場
注 044


第2章 分断のネット原因説――選択的接触とパーソナルメディア化 047
  選択的接触とエコーチェンバー
  選択の自由の拡大が招いた閉鎖性
  デジタルマーケティングと選択的接触
  実証研究の紹介――アメリカ・日本の事例
  意見の穏健化を説明する「ホテリングのモデル」
  メディアの多様性の拡大が引き起こした分極化
  ネットメディアを利用する人の方が過激
  サイバーカスケード、そして自由と民主主義
  本書が提示する答え
注 082


第3章 本当にネットが原因なのか? その1――分断が起きているのはネットを使わない中高年 083
  分極化をどのように測るか
  年齢効果
  中高年先鋭化の事例
  アメリカでも先鋭化しているのは中高年
  「ネット原因説」との矛盾をどう解決するか
注 100


第4章 本当にネットが原因なのか? その2――ネットメディア利用の影響 103
  相関と因果の違い
  差の差分析(difference-in-difference)
  ネットメディアの利用は分極化に寄与するか
  政治的動機の除外
  年齢・性別ごとの検証
  一つだけ存在した分極化が進むケース
  ネットメディアの効果は穏健化が優勢
  選択的接触の話はどうなったのか
注 138


第5章 選択的接触の真実――賢明なネット世代 141
  保守・リベラルの一方だけの意見に接する人は5%以下
  論客のうち接する約4割は自分と逆の意見の持ち主
  クロス接触率4割をどう評価するか
  選択的接触はあくまで限定的
  年齢・性別ごとの検証
  選択的接触はマスメディアの場合の方が起きている
  ブログ・ネット雑誌読者の政治傾向
  紙雑誌の場合との比較
  予想と現実のズレはなぜ起きたか
  両側の意見を聞くと穏健化する
  ネット草創期の希望はまだ死んでいない
注 193


第6章 ネットで見える世論と真の世論――罵詈雑言を生む構造的問題 197
  なぜネットの議論は極端に見えるのか
  ネットでの議論の困難さ
  政治傾向の分布と表明される意見の分布のズレ
  ヘビーライターという存在
  書き込み数に見る意見の表れ方の歪み
  「目に触れる」という違い
  炎上事件から見えてくる「閲覧頻度」という要因
  萎縮効果
  ネットで見える世論の特性
注 232


あとがき――ネットの議論を良くするために [233-236]





【メモランダム】
・田中辰雄氏のシノドスへの寄稿(本書の要約)。
ネットは社会を分断しない――ネット草創期の人々の期待は実現しつつある/田中辰雄 - SYNODOS



辻大介氏による本書への真っ向からの反論。とても明快。
「ネットは社会を分断しない」? ―― 楽観論を反駁する/辻大介 - SYNODOS

〔……〕問題点は多岐にわたるが、ひとまず次の3点に絞り、それぞれできるだけ簡潔に説明していく。専門的詳細については、私のウェブサイトにアップしてある学会報告時の配布原稿をご参照いただければと思う (http://d-tsuji.com/908/)。
  [1] ウェブ調査データの信頼性の限界
  [2] 政治関心という第三の要因をめぐる錯誤
  [3] ミスリーディングな「分断」度の測り方