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『治療文化論――精神医学的再構築の試み 〈同時代ライブラリー〉』(中井久夫 岩波書店 1990//1983)

著者:中井 久夫[なかい・ひさお](1934-) 精神病理学。病跡学。
カバー・デザイン:岩田 友仁 ブックデザイン、バンド活動。
シリーズ名:同時代ライブラリー;30
NDC:493.7
備考:初出は、「概説――文化精神医学と治療文化論」in『叢書 精神の科学[第8巻]境界事象と精神医学 』(岩波書店 1983.12刊)。
備考:書籍版のタイトルから外れたが、文化精神医学 Cross-cultural psychiatryはサブタイトルに入れる方がよかったと思う。


治療文化論 - 岩波書店


※2001年には(江口重幸の解説を附して)岩波現代文庫として再刊。
治療文化論 - 岩波書店


【目次】
献辞 [ii]
目次 [iii-vii]
題辞 [002]


一 文化精神医学をめぐる考察――文化精神医学と文化精神医学者 003


二 「文化依存症候群」の問題 022


三 ヨーロッパの「文化依存症候群」―― 一つの逆説」―― 027


四 「文化依存症候群」についての再考察 034


五 「個人症候群」という概念に向かって 038
1 西欧世界における「非」普遍症候群の欠如性 038
2 科学的「創造の病い」と宗教的「創造の病い」 040
3 宗教的「創造の病い」としての中山ミキの変貌 044
4 現代における一例 054
5 「創造の病い」の再検討 057
  (1) 「創造の病い」(エランベルジェ)
  (2) 卑近な一例
6 「妖精の病い」と神話産生機能 063


六 「個人症候群」概念導入の試み 068
1 熟知性のなかで起る治療 068
2 「治療集団」的側面を持つ小集団 072
  (1) 敗戦直後の年少者
  (2) 集団の集団の永続性・営為・構造
  (3) 困難への対処
  (4) 歴史家の職業病としてのうつ病
  (5) ヒューマン・ファクター
  (6) 少し違った他の例


七 三症候群の文化精神医学に向かって 089
1 深い治療と個人症候群性 089
2 三症候群の構造的基底 093
  (1) 病いの深さ・古さ・患者の発達との関連
  (2) 治療者側の問題と開眼の仕方
3 医学的認識の二方法との関連 099
4 精神医学における診断についての一考察 104


八 治療文化論 111
1 定義の試み 111
2 病者と非病者 115
3 ヤップの破断回復論再考 118


九 治療文化の諸形態 125
2 非職業的治療文化 125
  (1) 一人治療文化
  (2) 家庭治療文化
  (3) 小コミュニティ治療文化
2 職業的治療文化 132
  (1) システムとしてのシャーマニズム
  (2)「内治療」集団としてのアルコーリック・アノニマス
  (3) 修道院キリスト教治療
  (4) メスメリズム・催眠術・フロイト
3 力動精神医学の起源を求めて 144


一〇 精神科治療文化の複数性 154
1 エランベルジェの逆理 154
  (1) SMOPと精神科医の有徴性
  (2) 精神医学はSMOPに収斂しうるか
  (3) 分裂病の不思議さ
2 精神科医と土着治療師 166
  (1) インドネシア体験
  (2) 「文化依存症候群」の積極的意味


一一 患者と治療者 185
1 階級と周縁性 185
2 患者・中心指向・縁辺 186
3 民間治療とヒュプリス 187


一二 終末と新しい地平 199


参考文献 [201-210]
あとがき(一九九〇年五月一五日 神戸にて 中井久夫) [211-227]