原題:The Clash of Civilizations and the Remaking of World Order (Simon & Schuster, 1996)
著者:Samuel Phillips Huntington(1927-2008) 政治学。
訳者:鈴木 主税[すずき・ちから](1934-2009) 翻訳家。
NDC:319 外交.国際問題
・2017年に文庫版刊行。
【目次】
日本語版への序文(サミュエル・P・ハンチントン 一九九八年五月) [001-004]
目次 [005-010]
献辞 [012]
はしがき(S・P・H) [013-016]
第一部 さまざまな文明からなる世界 017
第一章 世界政治の新時代 019
序:国旗と文化的なアイデンティティについて
多極的で多文明的な世界
他の世界は?
世界の比較:リアリズムと簡略化と予測
第二章 歴史上の文明と今日の文明 051
文明の性質
文明と文明のかかわり
第三章 普遍的な文明? 近代化と西欧化 076
普遍的な文明:その意味
普遍的な文明:根拠
西欧と近代化
西欧化及び近代化への対応
第二部 文明間のバランスのシフト 113
第四章 西欧の落日:力、文化、地域主義 115
西欧の力:支配と衰退
地域主義:非西欧文化の復興
神の復讐
第五章 経済、人口動態、そして挑戦する文明圏 150
アジアを見直す
イスラムの復興
変わる脅威の内容
第三部 文明の秩序の出現 183
第六章 文化による世界政治の構造変化 185
グループの形成:アイデンティティの政治
文化と経済協力
文明の構造
引き裂かれた国家:文明の再定義の失敗
第七章 中核国家と同心円と文明の秩序 234
文明と秩序
西欧の境界を定める
ロシアとその近隣諸国
大中国とその共栄圏
イスラム:つながりのない意識
第四部 文明の衝突 273
第八章 西欧とその他の国々:異文化間の問題点 275
西欧の普遍性
兵器の拡散
人権と民主主義
移民
第九章 諸文明のグローバル・ポリティックス 312
中核国家と文明の断層線での紛争
イスラムと西欧
アジア、中国、アメリカ
文明と中核国家:新たな提携
第十章 転機となる戦争から断層線の戦争まで 373
転機となる戦争:アフガニスタンと湾岸
フォルト・ライン戦争の特徴
事件:イスラムの血なまぐさい国境
原因:歴史、人口構成、政治問題
第十一章 フォルト・ライン戦争の原動力 405
アイデンティティ:文明意識の高まり
文明の団結:同族国家と離散者(ディアスポラ)
フォルト・ライン戦争を止めるために
第五部 文明の未来 459
第十二章 西欧とさまざまな文明と単数形の文明 461
西欧の再生はなるか?
世界の世界のなかの西欧
文明間の戦争と秩序
文明の共通した特性
訳者あとがき(一九九八年五月) [495-499]
参考文献 [500-536]
索引 [537-554]
収録図表一覧 [555]
【抜き書き】
・「はしがき」より。
本書の目的は、私の論文が提起した疑問にたいして、より完全に、より奥深く、より徹底的かつより詳細な答を提示することである。本書ではあの論文で述べたテーマをくわしく説明し、さらに洗練させ、補足し、ときには限定しようとつとめ、また多くのアイデアを発展させるほか、論文のなかで扱わなかった話題やことのついでに触れたようなトピックも網羅しようと心がけた。
本書は社会科学の研究を意図したものではない。そうではなく、冷戦後の世界政治の変化をどう解釈すればよいかを示そうとしている。また、世界政治を眺めるための枠組みというか、パラダイムを示し、学者にとっては有意義で、政策決定者にとっては有益なものにしたいと願っている。それが有意義で有益かどうかは、世界政治に起こっていることをすべて説明しているかどうかによって決まるのではない。本書は決してすべてを説明してはいない。だが肝腎なのは、国際情勢の進展を見るための道具として、他のどんなパラダイムよりも有意義かつ有益なレンズを提供しているかどうかなのである。文明という観点からの研究は、二十世紀末および二十一世紀初頭の世界政治を理解するのには役立つかもしれない。だが、それが二十世紀半ばにも同じように役立つとはかぎらないし、二十一世紀半ばにも役立つということにもならない。