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『社会学入門――〈多元化する時代〉をどう捉えるか』(稲葉振一郎 NHKブックス 2009)

著者:稲葉 振一郎[いなば・しんいちろう] (1963-) 
NDLC:EC1
NDC:361 社会学


NHKブックス No.1136 社会学入門 <多元化する時代>をどう捉えるか | NHK出版


※以下の目次では、小見出しに(私が勝手に)番号を振ってある。


【目次】
目次 [003-008]
はじめに [009-011]


I 社会学の理論はどのようなものか 
第1講 理論はなぜ必要か――共通理論なき社会学 014
1.1 社会学の理論 
1.2 社会学アイデンティティ問題 
1.3 統計調査にもとづく失業率の把握 
1.4 失業率と自殺率の数字の連動 
1.5 社会科学の存在理由 
1.6 牽引と結果をつきとめる 
1.7 社会科学における実験の難しさ 
1.8 第一の方法:統計的な大量観察 
1.9 第二の方法:歴史研究 
1.10 ケーススタディに論理は不要か 
1.11 社会学の特殊な状況 


第2講 「モデル」とは何か――合理的主体モデルの考察 036
2.1 「古典を読め」? 
2.2 「モデル」という考え方 
2.3 経済学のモデル――戦争ゲームとの対比から 
2.4 「合理的経済人」モデルへの懐疑 
2.5 経済学の言いぶん 
2.6 生物進化とのアナロジー 
2.7 ロボット・モデルの拡張 


第3講 方法論的全体主義というアプローチ 053
3.1 方法論的全体主義とは 
3.2 社会的に共有されるもの――演劇モデルの考察から 
3.3 社会を複雑なネットワークで捉える 
3.4 社会有機体説とは何か 
3.5 社会有機体説の危険性 
3.6 どの単位を全体とみなすか 
3.7 ゲームのルールに着目する 
3.8 「形式主義」の可能性 


第4講 社会学は何を対象にするのか――「形式」への注目  067
4.1 形式と内容 
4.2 知識・情報が人間を形作る 
4.3 文化のダイナミズム――コンピューター・モデルの考察から 
4.4 ハードウェアとソフトウェアの分離 
4.5 人間という万能機械 
4.6 ソフトウェアとしての文化 


II 社会学はいかに成立したのか――近代の自己意識の再検討 
第5講 社会学前史(1) ――近代社会科学の誕生 084
5.1 近代社会科学の出発点 
5.2 ヨーロッパの一七世紀という分水嶺 
5.3 自然状態というアイディア 
5.4 「万人の万人に対する戦争」 
5.5 自然状態のゲーム理論モデル 
5.6 「社会科学」と「社会学」のズレ 
5.7 ヒュームによる社会契約説批判 
5.8 ヒュームの「コンヴェンション」論 


第6講 社会学前史(2) ――進化論と比較文明史のインパクト 099
6.1 意図によらない秩序 
6.2 ダーウィンによる継承 
6.3 ダーウィニズムの一般理論化 
6.4 環境要因への注目 
6.5 比較という方法論――モンテスキューの功績  
6.6 モンテスキューとスミス 


第7講 モダニズムの精神――前衛芸術は何を変えたか 113
7.1 モダニズムの時代 
7.2 近代の時代区分 
7.3 近代と現代の転換期 
7.4 リアリズム絵画 
7.5 キュビズムの試み 
7.6 「これはパイプではない」という絵? 
7.7 モダニズム文学 
7.8 対象が美しいのか、作品が美しいのか 
7.9 芸術の自意識――「形式」への関心の高まり 


第8講 学問におけるモダニズム 133
8.1 ユークリッド以外の幾何学の発見 
8.2 徹底した功利主義 
8.3 フロイト精神分析 
8.4 精神分析の歴史的意義――無意識の発見 
8.5 モダニズム精神との共鳴 


第9講 デュルケムによる近代の反省 144
9.1 エスタブリッシュメントとしての社会学の確立 
9.2 学問と政治の峻別 
9.3 社会主義社会学に与えた影響 
9.4 アノミーというアイディア 
9.5 近代化による社会的連帯の解体 
9.6 「機械的連帯」と「有機的連帯」 
9.7 ロマン主義自由主義社会主義 
9.8 個人尊重による秩序の再生
9.9 デュルケム後の系譜


第10講 ウェーバーマルクス主義 159
10.1 ウェーバー人気の秘密? 
10.2 ロシアとドイツの因縁 
10.3 モダニズムの先駆としてのマルクス主義 
10.4 マルクス主義歴史観 
10.5 マルクス主義モダニズムの屈折した関係 
10.6 ウェーバーマルクス主義批判 
10.7 ウェーバーのヴィジョン――比較宗教社会学 
10.8 合理主義の勝利 
10.9 宗教に内在する合理主義 
10.10 宗教における合理化の限界 
10.11 ヨーロッパ・キリスト教の特異性 
10.12 宗教改革の意義 
10.13 モダニストとしてのウェーバー 
10.14 差別主義者の顔 
10.15 近代日本思想にとってのウェーバー 


III 〈多元化する時代〉と社会学 
第11講 危機についての学問 190
11.1 シンクロする二つの問い 
11.2 何が反省の対象とされたのか 
11.3 「素直な近代」とは何か 
11.4 一九世紀における自由主義の隆盛 
11.5 オリジナリティの尊重 
11.6 楽観主義の崩壊 
11.7 近代の堕落 
11.8 「大衆」の発見 
11.9 近代官僚制という元凶 
11.10 「近代の自意識」としての社会学 
11.11 形式の変容可能性についての学問 
11.12 再帰的近代化 


第12講 二〇世紀後半以降の理論社会学――パーソンズフーコー構築主義 211
12.1 機能主義の発想 
12.2 パーソンズ理論とその衰退 
12.3 工学的アプローチと科学的アプローチ 
12.4 見果てぬ夢としての「社会変動の理論」 
12.5 予測不能な変化へのそなえ――フーコーの作法 
12.6 「社会変動の理論」の不可能性 
12.7 社会的構築主義 
12.8 「割り切る」ということ 
12.9 パーソンズ以降の二つの潮流 


最終講 社会学の可能性――格差・差別・ナショナリズム 231
13.1 社会学に独自性はあるか 
13.2 理論の不在は危機ではない 
13.3 危機への強迫観念 
13.4 ニヒリズム的な立場 
13.5 生物学からのヒント――ダン・スペルベルの「疫学」 
13.6 社会問題の折衷科学 
13.7 差別の社会理論に向けて 
13.8 ナショナリズムの発生根拠 
13.9 ナショナリズムにおける社会学の優位? 
13.10 社会学の未来 


付録 初学者のための読書案内 [251-279]
主要人物年表 280
あとがき(二〇〇三年九月 マンハッタン、ユニオン・スクェア近隣、ニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチの研究室にて 稲葉振一郎) [281-285]



【メモランダム】
・この本の内容をオーソドックスなものとは言わないと思うが、帯には「デュルケム、ウェーバーからパーソンズまで」のほかに「世界の自明性を疑う」と、月並みの文句が書いてある。
 ただし、2009.06.18のブログで、「あんまり疑ってない」と書いている。2024.04.11もTwitterで否定した。