著者:野矢 茂樹[のや・しげき] (1954-) 哲学(分析哲学,心の哲学)。
解説:田島 正樹[たじま・まさき](1950-) 哲学、倫理学。
【目次】
文庫版のまえがき(二〇一二年 夏) [003-009]
目次 [010-011]
凡例 [012]
第一章 虚と実 015
1 意識の繭 015
虚実判定の困難
の立ち現われ
立ち現われと絵のディスアナロジー
立ち現われの陸地と孤島
触覚の優越性
2 枠組としての実在 033
〈連関性による虚実分類〉という考えの周辺
鵜呑みにされる実在
実践の枠組
実践の枠組としての実在
3 幻覚論法 049
知覚と幻覚
アスペクト変化
アスペクト中立的な何ものかなどありはしない
幻覚論法の失敗
二重視の問題
二重視とパースペクティブ変化
4 「実在」の意味 069
実在の意味の問いに潜む罠
枠組概念とその可視化
否定主導語
否定主導語としての「正常」
否定主導語としての「実在」
非実在性を規定するいくつかの観点
(1) 連関性
(2) 異常の原因
(3) 背景となる信念
「見えている通りにある」ということ
虚実のねじれ
第二章 〈内界〉という神話 090
1 心身二元論 092
身体に宿るものとしての心
他者の不可知性
他我の無意味性
他人の意志
2 他我のアニミズム 108
二元論の足し算図式
心ある描写の基底性
アニミズム
3 独我論 118
アニミズム原点としての私
独我論への道
黒い犬・こわい犬
主観的と客観的
「こわさ」の在りか
「世界現象」としての感情
他の心的諸現象
世界へと開かれた思考
世界霊魂
他我問題の再出発
第三章 眺望論 146
1 視点状況とパースペクティブ 148
知覚における他我問題
キュビズム的世界了解
他人の知覚
知覚報告の状況
知覚内容と視点状況
2 痛みと身体 164
知覚と感覚
感覚報告と身体状態
感覚報告における当人の特権性
「感覚対象」という考え
感覚の単眼性
複眼的世界と単眼的世界の二元論?
身体状態
見透かされた身体
見透しにおける当人の特権性
3 相貌論 197
他者と心の在りか
反転図形
アスペクト報告
対象と意味
文法把握
単相状態と複相状態
意味の散乱
感情論素描
他者の思考
意図とアスペクト的体験
他者の意図
意味の他者性と自己知
〈私〉・〈心〉・〈他者〉
第四章 規範の他者 233
1 〈意味〉の脱神話化 236
ウィトゲンシュタインの講義室
「植物」の意味
意味と使用
規則の根元性
規則のパラドックス
規則遵守の理由と原因
人間の一致
2 記号のアニミズム 265
記号の生命
大工の言語ゲーム
言語ゲームとそれを取り巻く状況
思考
語の表情
アスペクト
アスペクト盲
意味盲
意味体験
意味体験と〈示し〉
意味盲の世界
アスペクトゲーム
一抹の夢
意味盲と規則遵守
3 自然と規範 300
行動と実践
意味盲と実践盲
見方の変化と物の変化
アスペクト盲と見誤り
予測と知覚
意味盲と誤解
計算まちがい
賞罰と条件付け
約束と意味の発生
意味盲と規範性
註 [331-349]
文庫版のあとがき(二〇一二年月 野矢茂樹) [351-353]
解説(田島正樹) [355-361]
参考文献 [362-365]
大森荘蔵のメモ [366-380]
編集部の断り書き [381]