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『ミクロ経済学――静学的一般均衡理論からの出発』(浦井憲,吉町昭彦 ミネルヴァ書房 2012)

著者:浦井 憲[うらい・けん](1962-) 数理経済学
著者:吉町 昭彦[よしまち・あきひこ](1970-2013) 数理経済学
Designer:奥野 あきら[おくの・あきら]
シリーズ:Minerva ベイシック・エコノミクス
NDC:331 経済学、経済思想。


ミクロ経済学 - ミネルヴァ書房 ―人文・法経・教育・心理・福祉などを刊行する出版社


【目次】
緒言(2012年1月 浦井 憲) [i-v]
目次 [vii-xi]


序章 経済学理論について 001
  市場と自由
  個人と社会
  合理性と経済学


第1章 基礎的概念 015
1.1 経済 
  1.1.1 経済と人間
  1.1.2 経済の語源

1.2 交換 
  1.2.1 交換と交易

1.3 商品 
  1.3.1 共通の様式を持つもの
  1.3.2 商品空間

1.4 価格 
  1.4.1 価格空間
  1.4.2 価値の理論ということ

1.5 消費と生産 
  1.5.1 行為としての消費と生産
  1.5.2 価値と行為

1.6 日付と出来事 
  1.6.1 日付と出来事(Date-Event)および市場

1.7 貨幣と市場 
  1.7.1 歴史的な貨幣
  1.7.2 流通貨幣(通貨)と銀行
  1.7.3 貨幣と今日的な市場構造

1.8 市場と均衡 
  1.8.1 市場と予想そして均衡と合理性
  1.8.2 予想と貨幣(世代重複モデルと貨幣的均衡)

1.9 我々の世界観は果たしてどこまで広くなったのか 

1.10 現実社会の諸相 
  1.10.1 グローバルな金融市場
  1.10.2 飢餓と貧困・自由貿易
  1.10.3 原発事故を巡って


第2章 個人の選択と社会の状態 093
2.1 選好 
  2.1.1 合理的選好
  2.1.2 効用関数表現
  2.1.3 補論─辞書式選好
  2.1.4 顕示選好の弱公理
  2.1.5 補論─選択対応

2.2 社会選択 
  2.2.1 アローの不可能性定理

2.3 均衡と合理性 
  2.3.1 非協力ゲーム
  2.3.2 合理性の共通認識
  2.3.3 ナッシュ均衡
  2.3.4 純粋戦略と混合戦略
  2.3.5 ナッシュ均衡と非協力ゲームの解
  2.3.6 期待効用


第3章 消費および生産の理論 131
3.1 消費の理論 
  3.1.1 効用最大化問題の解
  3.1.2 好ましさの向きを代表するベクトル
  3.1.3 顕示選好理論
  3.1.4 双対分析
  3.1.5 価格効果・代替効果・所得効果 

3.2 生産の理論 
  3.2.1 利潤最大化問題の解
  3.2.2 技術と時間および不確実性
  3.2.3 双対分析
  3.2.4 部分均衡論のための費用関数と供給関数 

3.3 補論─制約条件付最大値問題 


第4章 均衡分析とその応用 159
4.1 部分均衡と余剰分析 
  4.1.1 準線形の効用関数
  4.1.2 需要曲線と供給曲線
  4.1.3 余剰分析 

4.2 一般均衡と厚生 
  4.2.1 エッジワース・ボックス・ダイアグラム 
  4.2.2 ワルラス法則と模索過程 

4.3 投入産出分析 
  4.3.1 GDP等価
  4.3.2 国民経済とLP双対問題
  4.3.3 斉一成長経路とフォンノイマン成長モデル

4.4 ケインズ均衡 
  4.4.1 IS-LM 分析 

4.5 国際経済と交換のはたらき・その他 
  4.5.1 弾力性
  4.5.2 くもの巣理論
  4.5.3 比較生産費説─リカードの定理
  4.5.4 へクシャー=オリーンの定理
  4.5.5 要素価格均等化命題
  4.5.6 国際貿易その他の定理


第5章 経済学的均衡の存在・一意性・安定性及び動学 209
5.1 不動点定理と静学的一般均衡 
  5.1.1 非協力ゲームとナッシュ均衡
  5.1.2 抽象経済
  5.1.3 一般均衡厚生経済学の基本定理 

5.2 超過需要関数からのアプローチ 
  5.2.1 顕示選好関係
  5.2.2 粗代替性
  5.2.3 超過需要関数とベクトル場
  5.2.4 正則経済
  5.2.5 スペルナーの補題とスカーフのアルゴリズム
  5.2.6 ベクトル場のインデックス

5.3 一般均衡の動学的問題に向けて 


第6章 不完全競争・市場の失敗・非対称情報 271
6.1 独占・寡占 
  6.1.1 寡占市場におけるゲーム論的均衡
  6.1.2 寡占市場を含む一般均衡  
  6.1.3 法と経済
  6.1.4 自然独占と限界費用価格付け 

6.2 公共財と市場の失敗 
  6.2.1 外部性 

6.3 情報の非対称性 
  6.3.1 非対称情報
  6.3.2 非対称情報と市場の一般理論—市場の生き残り問題 

6.4 不完備情報と不完全情報 
  6.4.1 展開形ゲーム  
  6.4.2 ナッシュ均衡の精緻化(Refinement)
  6.4.3 繰り返しゲーム(Repeated Game)

6.5 今日的な経済学理論の構成形式 
  6.5.1 公理的特徴付け
  6.5.2 社会選択関数
  6.5.3 メカニズム・デザイン


終章 経済学という世界観 321
 経済学の方法論
 経済学という世界観
 経済学と倫理(社会と社会外)


索引 [340-349]





【抜き書き】

・本書p. iv から。

 後の目次を一瞥し、おそらく理論を周知の方々であれば、本書の扱う内容が、トピックスとしては入門書ではなく、Mas-Colell, Winston, and Green (1995), Microeconomic Theory, (Oxford University Press)のような、ほぼ千ページに及ぶ上級書でも取り扱い不十分な内容に立ち入っていることに気づかれるであろう。
 なぜこうなったかというと、それは我々が「解けている問題ではなく、解けていようといまいと重要な問題を優先した」からである。本書においては(厳密な数字は用いたけれど)難解な数学は用いていないので、おそらく高等学校2年次までの数学をきちんと学ばれた学生であれば、その議論をフォローすることは決して無理ではない。入門から上級までこの本一冊で事足りるよう工夫してみたつもりである。