著者:永田 えり子[ながた・えりこ] 社会学。フェミニズム。
NDC:367.1 女性.女性論
【目次】
はじめに [i-iv]
目次 [v-x]
序章 なぜ道徳を語るのか 001
1 道徳嫌い 002
暫定的な真理
良心はどこまで自由か
プラグマティズムの道徳的背景
機能主義批判
機能主義における結果の原因への道徳的優越
機能主義の必要条件
機能主義的差別
社会の道徳的前提
2 道徳の道徳 016
3 社会の道徳的基盤の選択 018
注 021
第一章 主体性は世界を救えるか――道徳としてのフェミニズム 023
1 相違、抑圧、家父長制 024
2 フェミニズムと主体性 027
3 主体性の実証不可能性 029
4 制度としての主体性 030
5 主体化のよい面、悪い面 031
6 「凛々しい主体たち」と運動の困難 034
7 道徳を選択する主体 036
よい主体性/悪い主体性
共有道徳への訴え
道徳を選ぶ道徳としてのフェミニズム
注 041
第二章 自由主義は世界を救えるか 043
1 自由と人権 044
「人権」という客観的事実
自由主義的主張
2 強姦と「セクハラ」の違い 049
「セクハラ」とセクシュアル・ハラスメント
強姦は悪い
「地位利用による性交の強制」は強姦である
性的背任
3 被害と権利侵害 059
どんな加害がセクハラか
意図の判定問題
セクハラ被害=公認されざる被害
被害の主観性
社会慣習と権利
4 セクハラはなぜ悪いのか――文脈と尊厳 072
被害感の正当性
失礼
「意味づけ」権
「言う」セクハラ=女性の脱主体化
公害としての言説
情報公害
セクハラが悪い理由
5 近代とセクハラ 084
作為の契機
暗黙の合意
非合理性
権利の創出
6 自由主義と性の商品化 088
注 093
第三章 市場主義は世界を救えるか 101
1 市場主義の主張 102
2 「高級女性性市場」としてのミス・コンテスト 106
ミスコン批判と再批判
ミスコン批判への反論
ミスコン再批判
「ミスコン再批判」の再批判
女性性市場
「高級女性性市場」としてのミスコン
ミスコンのジレンマ
公共団体による美の判定は正当か
女性性市場の公認
3 売春、猥褻と恋愛――女性性市場の構造 129
売春が売っているもの
ミスコンと恋愛
ポルノが売っているもの
猥褻とポルノ
ポルノの広告はそれ自体がポルノである
ポルノの広告、流通、消費による外部効果
売春市場の問題点
4 女性性市場の効果 144
価格がつくということ
営業者/非営業者のメルクマール
女性性市場と労働市場の奇妙な関係
労働と女性性、二重の最適化(Double Optimality)問題
理念と現実のギャップ
解決の模索
5 結婚と女性性市場 163
理念的結婚
女性性市場の効果
婚姻契約の必要性
6 「市場だからよい」わけではない 168
注 168
第四章 「性の商品化」は道徳的か 179
1 「好きでやってるんだから、よい」とはいえない 181
2 快か不快か 183
3 権利か権利でないか 186
4 性道徳は健全である 187
5 ポルノは性道徳に依存している 191
性行為の非公然性
無効化原理によって支えられる性の商品化
猥雑化と反ポルノ言説
合意と強制
ポルノ業者のジレンマ
6 「性の商品化」は非公然性の規則に反する 200
7 性表現は自由であるべきか 203
行為と表現 ポルノと子ども
8 性道徳と不快 209
対象限定規則
道徳的迷惑
9 公然性道徳か非公然性道徳か 214
主体性は通用するか
性の「公然性」道徳
道徳からの中立性
10 フェミニズムと性道徳 220
性道徳とフェミニズムの奇妙な関係
フェミニズムの自由主義化
性道徳の無根拠性
道徳の選択
多様な社会の均一なルール
注 225
第五章 伝統は世界を救うか 233
1 SF的予測 235
2 現在の課題 238
3 生殖技術批判への反批判――自由抑制の根拠はない 239
「本人のためにならない」
家父長制による強制
技術による解決
良心の自由
他者に被害を与えるか――優生学批判の誤り
公共の福祉
4 仏教は答えられない 256
生殖への両義性
慈悲の抽象性
仏教とテクノロジー
否定と選択
5 儒教は選択できない 264
儒教の基本モデル
儒教の家父長制モデル
会社モデル
社会の選択と儒教
6 新たなる正当性の創出を 276
注 277
第六章 新しい再生産道徳に向けて 283
1 性と生殖は分離しているか 283
2 再生産責任 285
「道徳家」たちの危惧
もう一人分の責任――男性の再生産責任
フェミニズム的再生産道徳
3 売買春と再生産責任 299
売買春を公認することの意味
4 中絶と再生産責任 304
中絶論争
再生産責任の個人化と自己決定権
親権の限界
5 「性の自由」の代償 312
性行為責任と再生産責任の分離
子ども共産主義
6 生殖契約 317
7 道徳の混乱 319
注 320
最後に(一九九七年七月七日 永田えり子) 329
文献 [iv-xxiii]
索引 [i-iii]