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『原因を推論する――政治分析方法論のすゝめ』(久米郁男 有斐閣 2013)

著者:久米 郁男[くめ・いくお] (1957-) 政治学。比較政治経済学。
NDC:311.16 政治学方法論


原因を推論する | 有斐閣


【目次】
目次 [i-v]
凡例 [vi]


序章 説明という試み 001
  政治をめぐる二つの議論
  フォアボールと安打
  規範的評価と説明


第1章 説明の枠組み――原因を明らかにするとはどういうことか 009
  肥満と出世
  高身長は得か?
  独立変数と従属変数の共変
  他の変数の影響をそろえる
  原因の時間的先行
  因果関係が成立するための三条件
  光合成の実験
  投票率を説明する
  質的研究と因果推論
  民主主義と社会関係資本――イタリアをめぐる航海
  丸山眞男政治学――「ファシズムもまともに持てなかった日本?」


第2章 科学の条件としての反証可能性――「何でも説明できる」ってダメですか? 031
  陰謀史観
  金星は自分の意思で動いている?
  コミュニティー権力論争
  スティーブン・リードの Making common sense of Japan
  根本的な帰属の誤り
  フロイト精神分析とその批判
  文化論の問題点
  文化論説明の論理的問題
  ステレオタイプ
  N = K問題
  トートロジー


第3章 観察,説明,理論――固有名詞を捨てる意味 047
  個別的説明と一般的説明
  二大政党制
  抽象化と理論的説明
  一般化に対する批判
  理論の役割
  理論的発展
  理論の検証と操作化


第4章 推論としての記述 061
  説明と記述
  記述は推論か?
  記述的推論と誤差
  世論を知りたい
  サンプルバイアス―― 100人に聞きました!?
  質的研究における記述的推論とバイアス
  記述的推論の困難さ――不平等を測る
  日本の不平等
  質的研究における記述的推論手法
  記述と特殊性論の危うさ


第5章 共変関係を探る――違いを知るとはどういうことか 083
  変化をめぐる問い
  学力低下論争
  超能力を疑う
  帰無仮説という考え方
  ボウリングの腕前争い
  グループ間の差異
  相関関係


第6章 原因の時間的先行――因果関係の向きを問う 101
  「風が吹けば桶屋が儲かる
  少子化をもたらす原因とは?
  少子化対策
  政策提言と因果関係
  統計データの誘惑
  実験と観察
  内生性
  ビジネス書は信じるにたるか?
  選挙活動の効果


第7章 他の変数の統制――それは本当の原因ですか? 123
  朝ご飯食べた?
  非行と朝食
  因果推論の検討
  解決法としての実験とその不完全性
  因果推論の根本問題
  根本問題の「解決」方法
  消費者は自由貿易を好む?
  自然実験
  観察と他の変数の統制
  重回帰分析


第8章 分析の単位,選択のバイアス,観察のユニバース 141
  デュルケムの『自殺論』
  仮説の検証
一 分析の単位 145
  理論と分析の単位
  生態学的誤謬
  集計データで見る場合の注意
二 選択のバイアス 153
  従属変数に基づく選択
  恣意的事例選択のバイアス
  研究上の問いが生み出すバイアス
三 観察のユニバース 161
  民主化と経済成長
  民主化と偽の相関
  民主化と事例選択
  理論仮説と観察のユニバース


第9章 比較事例研究の可能性 169
  定量的研究と質的研究
  ジョン・スチュアート・ミルの差異法と合意法
一 比較事例研究と差異法 175
  バリントン・ムーアの『独裁と民主政治の社会的起源』
  比較政治経済体体制
  比較福祉国家研究
  差異法のメリットとデメリット
  差異法における方法論的前提
  Most Similar Systems Design
  理論による改善――ダン・スレーターの Ordering Power
  自然実験という方法
二 比較事例研究と合意法 189
  合意法の名作『革命の解剖』
  合意法に基づく因果推論
  スコッチポルの比較革命研究
  合意法の方法論的課題
  Most Similar Systems Design


第10章 単一事例研究の用い方 197
  政治学における方法論争
  キング=コヘイン=ヴァーバの単一事例研究批判
  観察の数を増やす対処法
  抽象概念の導入という対処法――社会革命としてフランス革命を見る
  因果効果と仮説検証
  仮説演鐸法
  決定的事例研究
  Most Likely Case Method
  Least Likely Case Method
  決定的事例研究とパズル
  理論検証としての決定的事例研究への批判
  理論の改善と決定的事例研究
  『資源の呪い』とCrude Democracy
  仮説構築の研究デザイン
  変数志向型研究と因果メカニズム
  政治学における過程追跡と事例内分析
  過程追跡と研究デザイン


終章 政治学と方法論 227
  戦後日本政治学
  政官関係と政治主導
  選挙制度改革と政治改革
  因果関係推論と政策提言
  入れ替わる攻守
  説明の方法論
  事実証拠に基づく政策提言
  残る問題?――政治との関係
  残る問題? ――不確実性


ちょっと長い,少し個人的な,あとがき(二〇一三年九月二十日 バンクーバーの美しい夜景をのぞむ書斎にて 久米郁男) [243-249]
引用参考文献 [250-263]
事項索引 [vii-ix]
人名索引 [i-vi]



◆コラム
 (1) 原因から見る、結果から見る 059
 (2) 実験室実験と記述的推論――渡る世間は鬼ばかり? 080
 (3) 帰納的推論の正当化――そのお茶飲んで大丈夫? 098
 (4) 「棄権することで損をする若者?」――時系列データに気をつけて 121
 (5) 反証できない? 139
 (6) 女性の社会進出と出生率――働く女性は子だくさん!? 166
 (7) 決定的分岐(critical juncture)と過程追跡――繁栄と貧困の別れ道を探す 194
 (8) モンティ・ホール問題、帰納的推論そして統計学 223