著者:宮澤 節生[みやざわ・せつお]
著者:武蔵 勝宏[むさし・かつひろ]
著者:上石 圭一[あげいし・けいいち]
著者:大塚 浩[おおつか・ひろし]
装丁:西垣 泰子[にしがき・やすこ] ブックデザイナー
シリーズ:BRIDGEBOOK
ブリッジブック法システム入門 ― 法社会学的アプローチ(第3版) - 信山社出版株式会社 【伝統と革新、学術世界の未来を一冊一冊に】
・2023年に第5版が刊行。
ブリッジブック法システム入門 ― 法社会学的アプローチ(第5版) - 信山社出版株式会社 【伝統と革新、学術世界の未来を一冊一冊に】
【目次】
第3版はしがき(2015年3月 東京の桜開花宣言を聞きながら 宮澤節生) [iii-iv]
初版はしがき(2008年7月 宮澤節生) [v-vi]
目次 [vii-xv]
略語一覧 [xvi]
執筆者紹介 [xvii-xviii]
プロローグ 本書を十分に活用し,楽しむために 001
1 この本の目的はなにか 001
2 この本は誰が書いたか 002
法システムの「実態」
法社会学者の発想
この本が提供する「基本的な知識」
3 この本は誰のために書かれたか 004
自分で考え,調べよう
4 この本はどのように使うか 006
考えさせる教材として
PART I 立法過程と行政過程
UNIT 1 法律はどのようにつくられるのか 010
1 法律案を作っているのは誰か 011
法律案の作成はどのように行われているのだろう
(i) 立法の主体
(ii) ボトムアップ型の立法手続
(iii) 議員立法の現状
立案過程の問題点は何か
(i) 官僚優位論
(ii) 政党優位論
(iii) 本人・代理人論
(iv) 鉄の三角形政治
(v) 政治の大統領制化
2 国会で法律案はどのように審議されているのだろう 017
日本の国会は野党に影響力を付与しているか
(i) 国会の法審議手続
(ii) 国会機能論
(iii) 野党の粘着力
(iv) 野党に融和的な理論
(v) 国対主導の委員会運営
(vi) 政府の予測的対応
与野党協調か与党主導か
(i) 多数決主義の優先
(ii) 議事運営権の所在
(iii) ねじれ国会と衆議院の優越
国会審議の問題点
国会審議の空洞化
改革の試み
(i) 国会審議活性化法
(ii) 予備的調査制度の活用
3 立法過程に市民のアクセスは可能か 026
決定過程へのアクセスの困難性
少数派の利害と議員立法
司法裁判所の役割
参考文献 028
ステップアップ 029
UNIT 2 法律は行政によってどのように運用されるのか 030
1 規制行政はどのように行われているのか 031
許認可行政をめぐる規制官庁と被規制団体の行動
(i) 規制行政の実態
(ii) 運送事業をめぐる許認可行政
(iii) 捕虜理論とは
規制行政の転換
(i) 同一運賃原則の撤廃
(ii) 規制行政と利益団体
(iii) 規制緩和の進展
行政指導による行政
(i) ソフトな手法の必要性
(ii) 行政指導の問題点
(iii) 石油ヤミカルテル事件
(iv) 行政手続法の制定
2 給付・サービス行政はどのように行われているのか 038
裁量的政策と政官業の癒着
(i) 普遍的政策
(ii) 裁量的政策
(iii) 行政外部からの介入
(iv) 求められる改革
ストリートレベル官僚制[Street-level bureaucracy]の機能とジレンマ
(i) エネルギーの振り分け
(ii) 第一線公務員のジレンマ
実効性ある行政裁量の統制とは
3 行政の決定過程への参加と透明性の確保 043
実施過程への国民の参加は可能か
(i) 国民の参加手続の法制化
(ii) パブリック・コメントの義務づけ
(iii) 国民からの意見は反映されているのか
(iv) 情報公開法の制定
問われるアカウンタビリティ
(i) 法的アカウンタビリティと裁判所
(ii) 行政訴訟の改革
(iii) 今後の展望
参考文献 046
UNIT 3 市民にとっての地方自治とは 048
1 地方自治体は何をしているところか 048
2 条例はどのようにして作られるか 049
一般的な条例の制定過程
専決処分による条例制定
住民参加と条例
3 市民は地方自治にどのように参加できるか 052
(i) イニシャティブ,リコールの権利
(ii) 住民投票とその限界
(iii) 情報公開と住民訴訟
(iv) その他の市民参加の方法
4 自治体サービスの提供方法の変化 056
民間的手法の導入
(i) PFI(Private Finance Initiative)
(ii) 指定管理者制度
(iii) 地方独立行政法人
(iv) 民間手法導入の課題
事業仕分けの導入
求められる冷静な検討
5 「地方自治は民主主義の学校」になっているか 059
参考文献 060
PART II 法律のプロフェッショナル
UNIT 4 法曹とはどういう職業なのか 064
1 「法曹」の範囲 064
2 法曹の誕生と発展 065
裁判官・検察官の成立
(i) 裁判官・検察官の成立
(ii) 戦後の裁判官制度
(iii) 戦後の検察官制度
弁護士の誕生
(i) 代言人の誕生
(ii) 戦前の弁護士
(iii) 戦後の弁護士
3 日本の法曹養成制度 068
法曹養成制度の歴史
(i) 戦前の法曹養成制度
(ii) 戦後の法曹養成制度
司法制度改革と法曹養成のあり方
4 法曹の団体 071
弁護士会と日弁連
法律家の任意加入団体
5 弁護士業務の職務理念 072
在野精神論
(i) 戦前の弁護士
(ii) 戦後の弁護士
プロフェッション・モデル
(i) 弁護士の業務とプロフェッション
(ii) 今日の弁護士プロフェッション論
法サービス・モデル
関係志向モデル
6 弁護士分布と市民の弁護士アクセス 077
参考文献 078
UNIT 5 弁護士はどういう活動をしているのか 080
1 国際比較で見た日本の法律家の数 080
2 弁護士の偏在と弁護士業務 081
3 弁護士はどういう依頼者のどういう事件を取り扱っているか 083
弁護士の抱える事件――その数と種類
(i) 弁護士の取扱事件数
(ii) 弁護士が扱う事件の種類
弁護士を依頼する人はどういう人か
4 弁護士の事務所はどうなっているか 085
多様な法律事務所
(i) 弁護士法人
(ii) 単独法律事務所
(iii) 共同法律事務所
(iv) 大規模法律事務所
(v) 多国籍法律事務所
公設法律事務所
(i) 日弁連ひまわり基金による公設事務所
(ii) 弁護士会等の支援による公設事務所
5 拡がる弁護士の活動領域 090
組織内弁護士
(i) 企業に所属する組織内弁護士
(ii) 行政庁に関与する弁護士
(iii) 営利業務に従事する弁護士
企業におけるその他の弁護士
法科大学院の実務家教員
日本司法支援センター ――法律扶助制度から日本司法支援センターへ
法テラスの業務
(i) 情報提供業務
(ii) 民事法律扶助
(iii) 国選弁護の態勢整備
(iv) 司法過疎対策
(v) 犯罪被害者支援
法テラスのスタッフ――スタッフ弁護士
6 弁護士の倫理と階層分化 096
弁護士の非行と懲戒
弁護士界内の社会階層分化とその影響
参考文献 098
UNIT 6 法務サービスと多種多様な法律家 100
1 隣接法律専門職の種類とその業務内容 100
公証人
(i) 公証人の業務
(ii) 公証人になるには
司法書士と行政書士
(i) 司法書士の業務
(ii) 司法書士になるには
(iii) 行政書士の業務
(iv) 行政書士になるには
その他の隣接法律専門職
(i) 弁理士
(ii) 税理士
その他の法律専門家
(i) 企業の法務担当者
(ii) パラリーガル
大きな隣接法律専門職の役割
2 法律家間の職域争い 106
(i) 司法書士と弁護士の職域争い
(ii) 司法書士と行政書士の職域争い
(iii) 職域争いの背景
(iv) 職域争いの今後
3 司法制度改革と隣接法律専門職の今後 108
(i) 司法支援センター
(ii) ADRの促進
今後の展望
参考文献 109
UNIT 7 検察官は刑事裁判のゲートキーパー 111
1 検察官という職業 111
検察官の種類
検察官の資格
検察官の給与
2 検察官の職務とは 116
3 検察官が起訴・不起訴を決める 118
起訴権限の独占と起訴猶予
増え続ける起訴猶予
検察官裁量のコントロール
(i) 告訴人等に対する起訴・不起訴の通知
(ii) 付審判請求
(iii) 検察審査会
4 検察官の職場 125
検察庁と法務省
法務大臣と検事総長
独任官庁制と検察官一体の原則
検察と警察の微妙な関係
参考文献 129
UNIT 8 裁判官はその良心に従い独立してその職権を行う(1) 131
1 三権分立と裁判官
2 裁判官の種類と数
3 裁判官の任命資格と任命手続 133
最高裁長官と最高裁判事
(i) 任命資格と任命手続
(ii) キャリア・パターン
高裁長官
判事
判事補
簡裁判事
4 裁判官の給与
5 裁判官の身分保障
6 司法権の独立
7 最高裁事務総局
参考文献 145
UNIT 9 裁判官はその良心に従い独立してその職権を行う(2) 147
1 裁判官の独立の実態
裁判官の転勤と内部評価
不利益処遇の事例
不利益処遇の統計分析
2 裁判官制度改革の導入
改革審の裁判官制度改革提言
裁判官任命手続の改革
人事評価制度の改革
新たな任命手続と人事評価制度の運用状況
3 裁判員制度のインパクト 1
参考文献 158
UNIT 10 裁判所はどのように構成されているのか 160
1 裁判所の構成
2 簡易裁判所
3 地方裁判所
4 家庭裁判所
5 高等裁判所
6 最高裁判所
上告理由と違憲審査権
大法廷と小法廷
事件負担
意見の表示
最高裁調査官
違憲審査権行使の実績
裁判所による政策形成
参考文献 179
PART III 民事紛争過程
UNIT 11 自主的解決と裁判外紛争処理 184
1 紛争の自主的解決 184
紛争とは何か
(i) 紛争の定義
(ii) 紛争の発生
裁判だけではない紛争の解決方法
(i) ADR[Alternative Dispute Resolution]
(ii) 示談
自主的紛争解決
(i) 紛争当事者以外の第三者
① 法律専門家
② 隣接法律専門家
法へのアクセスの充実
(i) 法律相談事業の充実
(ii) 志望過疎対策
(iii) 消費生活相談事業
2 裁判外紛争処理(ADR) 193
ADR とは何か
ADRの諸類型
(i) 裁判所型
(ii) 行政型
(iii) 業界型
(iv) 専門職型
(v) 民間型
ADRの方式(1) ――合意型
(i) 当事者の任意の合意
(ii) 司法調停の制度
(iii) 調停と和解
(iv) 日本の合意型ADRの特徴
ADR の方式(2) ――裁定型
(i) 仲裁
(ii) 裁判との相違点
ADR のメリット
(i) win-winの処理
(ii) 低コストでの解決
ADR のデメリット
(i) 非公開性
(ii) 不確実性
(iii) 非対称性
ADR の目的論と多様性
(i) ADR の多様性
(ii) 二つの目的
(iii) なぜ多様か
ADR の社会的背景
(i) 訴訟爆発への対応
(ii) ADRは「二流の正義」
(iii) 変質するADRへの期待
(iv) ADRの将来
参考文献 204
UNIT 12 民事訴訟の構造と動態 206
1 民事訴訟の構造はどうなっているのか 206
民事訴訟手続の流れ
(i) 訴えの提起
(ii) 争点整理手続
(iii) 証拠調べ手続
(iv) 尋問の進め方
(v) ラウンドテーブル法廷
(vi) テレビ会議システム
(vii) 自由心証主義
訴訟の終局
簡裁に特徴的な制度
(i) 司法委員
(ii) 少額訴訟制度
2 民事訴訟はなぜ利用されないのか 212
民事訴訟率の国際比較
訴訟選択/不選択の要因
(i) 法文化説
(ii) 機能不全説
(iii) 予測可能性説
(iv) 統合説
訴訟の機能不全と対策
(i) 弁護士へのアクセス
(ii) 裁判所へのアクセス
(iii) 裁判にかかる費用
訴訟救助と法律扶助
(i) 訴訟救助
(ii) 民事法律扶助
(iii) 訴訟救助と法律扶助の問題点
訴訟に要する期間
(i) 訴訟に時間のかかる理由
(ii) 迅速な訴訟の必要性
3 民事訴訟制度をめぐる新たな動き 219
知財高裁の設置
簡裁の改革
(i) 事物管轄の引き上げ
(ii) 司法書士への簡裁代理権付与
消費者団体訴訟制度
(i) 消費者団体訴訟制度の創設
(ii) 消費者団体訴訟制度の課題
専門家の活用
4 使いやすい訴訟制度のための課題 222
参考文献 223
UNIT 13 国や自治体を訴えることはできるか 225
1 行政訴訟制度の仕組み 225
行政訴訟の意義
(i) 行政国家モデル
(ii) 司法国家モデル
民事訴訟との相異
行政訴訟の種類
2 現代型訴訟としての行政訴訟 228
行政訴訟の必然性
行政訴訟の機能
(i) 行政訴訟選択の積極的理由
(ii) 予防訴訟的機能
国家賠償訴訟
(iii) 事後賠償的機能
(iv) 国家賠償の制度
(v) 具体的な事例
3 行政訴訟の機能不全とその背景 233
現代型訴訟としての行政訴訟の機能不全
水俣病認定遅延訴訟
行政訴訟制度全体の機能不全
ドイツとの比較
取消訴訟の訴訟制度上の問題点
(i) 「原告適格」の狭さ
(ii) 「処分性」の問題
(iii) 「訴えの利益」
4 行政事件訴訟法改正のインパクト:司法改革と行政訴訟 238
原告適格の拡大
(i) もんじゅ訴訟
(ii) 国立市マンション除却命令事件
(iii) 小田急高架訴訟最高裁判決
義務付け訴訟および差止訴訟の新設
その他の主な改正点
残る問題点
行政指導
司法行政:法務省と裁判所の人事交流
(i) 人事を通した司法の統制
(ii) 法務省と最高裁事務総局での勤務
(iii) 長良川水害訴訟
(iv) 東京高裁の判決傾向
5 行政訴訟はより原告に使いやすい制度になるか? 246
法改正の問題点
組織的統制の作用
参考文献 247
PART IV 犯罪・非行の処理過程
UNIT 14 犯罪・非行はどのように処理されるのか 250
1 成人犯罪はどのように処理されるのか 250
刑事手続の流れ
警察による捜査
検察官による捜査と訴追
裁判所による審理
刑の執行
再審
2 統計で見る刑事手続 258
捜査段階
訴追段階
裁判段階
刑の執行
3 刑事手続の3つの特徴 261
ディヴァージョン
人質司法と精密司法
厳罰化
4 少年非行はどのように処理されるのか 263
少年法の基本思想
少年法の対象者
(1) 犯罪少年
(2) 触法少年
(3) 虞犯少年
少年事件の捜査
家裁の調査と観護措置
家裁の審判
保護処分
[1] 保護観察
[2] 児童自立支援施設・児童養護施設送致
[3] 少年院送致
被害者の権利
検察官送致
統計で見る少年手続
参考文献 274
UNIT 15 刑事手続はどのように変わりつつあるか 275
1 刑事手続改革のふたつの波 275
2 刑事手続へのあるべき視点 276
刑事手続を見るふたつの視点
刑事手続へのあるべき視点
罪刑法定主義
責任主義
3 改革審『意見書』に基づく改革の動向 280
改革審『意見書』の欠落と代用監獄の存続
国選弁護の拡大と法テラス常勤弁護士
裁判員裁判と手続改革
裁判員裁判と取調べの可視化
4 犯罪被害者運動の影響 285
犯罪動向と厳罰化論議
全国犯罪被害者の会
裁判所による厳罰化
刑事裁判への被害者参加制度
被害者参加制度の問題点
5 裁判員裁判の現状と課題 291
有罪・無罪の認定
量刑判断
今後の課題
PART V 法の変動と社会の変動
UNIT 16 法使用と政策形成 298
1 訴訟を通じた政策形成 298
政策形成の場を司法に求めることはできるか
政策志向の現代型訴訟とその困難
「政治過程」という視点
2 「権利」の政治学的見方 302
権利の政治学
政策形成効果の限界
3 法使用の効果 303
法使用の間接効果 I ――象徴的機能
(i) 象徴的な機能
① ハンセン病国家賠償訴訟
② スモン訴訟と水俣病訴訟
(ii) 法使用の積極的意義づけ
法使用の間接効果 II ――権利意識の変容
(i) 権利意識の変容
(ii) 社会意識の変容作用
法使用の実質的効果
(i) 実質的効果の具体的事例
(ii) 政策形成のタイミング
(iii) 実質的効果を生む条件
(iv) 法使用の意義
新しい視点の必要性
4 訴訟による権利の形成再検討 310
(i) 政治的機会構造の変化
(ii) 法使用の積み重ね
(iii) 「法の支配」の要請
勝訴の効果
弁護士活動の重要性
UNIT 17 法による社会変動 316
1 法は社会を変化させるか? 316
法による社会変化
法による社会変動の限界
2 明治期の西洋法継受と社会構造の変動 318
入会権と所有権
(i) 伝統的な社会構造
(ii) 西洋近代法システムの影響
(iii) 所有権と入会権の対立
(iv) 変容する入会の意義
3 戦後改革と家族法 321
戦後改革による法の変容
高度成長と家族法
矛盾と逆機能
離婚法の国際比較
相続法と農家相続
4 労働市場の変化と男女雇用機会均等法 329
労働力人口の推移
1985年均等法
非正規雇用の増加と均等法
(i) 均等法のインパクト
(ii) 雇用形態の非正規雇用化
均等法の改正
むすびに
事項索引 [337-347]
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『ブリッジブック法哲学』(長谷川晃, 角田猛之[編] 信山社 2004) - contents memorandum はてな