編者:野田 研一
著者:中川 僚子
著者:窪田 憲子
著者:久守 和子
著者:木下 卓
著者:北川 扶生子
著者:仲程 昌徳
著者:山里 勝己
著者:笹田 直人
著者:竹内 理矢
座談会 編集・構成:吉村 聡
座談会 話し手:森口 邦彦
座談会 聞き手:久守 和子、中村 邦生、野田 研一
NDC:210.6 日本史(近代 1868-.明治時代 1868-1912)
NDC:361.5 文化.文化社会学:文化変容,社会進歩,社会解体
〈日本幻想〉 表象と反表象の比較文化論 - ミネルヴァ書房 ―人文・法経・教育・心理・福祉などを刊行する出版社
【目次】
目次 [i-vii]
序論 日本幻想──表象と反表象[野田研一]
一 失われる「他者の時間」――文化比較とは何か 001
二 〈日本幻想〉とは何か――自己発見を超える試み 008
三 理論的枠組みについて 011
四 本書の構成 016
注・参考文献 020
第I部 幻想の産出――他者の発見
第1章 〈日本〉という想像の岸辺――キプリングと明治期の日英工芸デザイン[中川僚子]
一 キプリングの日本旅行 027
怒るキプリング
日本への賛辞
二 イギリスの工芸デザインと日本趣味―― E・W・ゴドウィンとドレッサー 035
イギリスにおけるジャポニスム開花
ゴドウィン邸の室内・キプリング邸の室内
ウィーン万博と「日本」イメージ
三 日本は「でっち上げである」とは? 047
オスカー・ワイルドとキプリング
ロマン派的受容と現実主義的受容
四 小さなエピローグとして 051
注・参考文献 053
第2章 ヴァージニア・ウルフの東方へのまなざし――「友情のギャラリー」の〈日本幻想〉(窪田憲子)
一 封印されていたウルフの著作 057
ニ ウルフの〈日本〉との遭遇――日本印象記を書評して 059
世紀の発見?
ウルフが読んだ日本印象記
三 日本を舞台にした作品―― 「友情のギャラリー」 063
埋もれたままだった初期の伝記物語
〈闖入〉する日本――第二章
日本が舞台となったウルフの物語
四 幻想の〈日本〉――ウルフの〈船出〉 074
なぜ舞台が東京なのか?
二〇世紀初頭のイギリスにおける日本
可能性の瞥見
作家ウルフの船出
注・参考文献 080
第3章 若きバーナード・リーチの〈日本像〉――ホイッスラー、ファン・ゴッホ、劉生との関わりを考える(久守和子)
一 テムズ河畔チェルシーにて 085
画家・エッチャーを名乗る
「ノクターン」を模写して
溢れかえる「日本」のモノたち
静謐の構図
広重、そして日本
春の暮れこ夢……
ニ ファン・ゴッホ騒動 093
鉄瓶をひっくり返す
革命に馳せ参じたい
滞在五年後の〈日本像〉
三 茶碗と切通しと 099
二枚の肖像画
絆を刻む
リーチの劉生評
二つの日本
注・参考文献 108
第II部 見いだされる〈日本〉――自己の発見
第4章 幻想としての日本/イギリス――日英博覧会(1910)と庭園文化をめぐって(木下 卓)
一 日英博覧会 113
博覧会と展示品
博覧会場または帝国主義のディスプレイ装置
先住民展示
ニ 庭園文化の近代 121
無鄰菴〔むりんあん〕の庭園
イギリス式風景庭園
象徴主義的庭園から自然主義的庭園へ
日英博覧会とキュー・ガーデンの日本庭園
三 幻想としての日本/イギリス 134
幻想としての〈イギリス〉
幻想としての〈日本〉
参考文献 138
第5章 自然を書く・見る――世紀転換期における古典文化の再利用と〈日本〉(北川扶生子)
一 メディアのなかで書く 141
百年前のメディア革命
「文章を書く」という楽しみ
帝国の勃興と自然表象
ニ 〈文章》というフォーマット 144
文というジャンル
文の種類と歴史的背景
三 忘れられた明治青年のロマン主義――美文ブームと伝統回帰 146
美文ブーム
古典的自然表象と美文
感性の体系――暮らしのなかの自然
生活美学としてのレトリック
四 古典文化の転用と近代人の誕生 151
近代化によるレトリックの変化
〈私〉を支える物語
五 お手本がつくる私――作文と規範 153
古典の通俗化と再生産
競争社会への参入と感性のマニュアル化
女性国民の形成と「教養」
六 見いだされる《帝国日本との文化 157
注・参考文献 160
第6章 本土「幻想」の結末――山之口貘の「沖縄よどこへ行く」をめぐって(仲程昌徳)
一 「復帰」願望 161
二 「郷愁」の色調 165
三 輝く「日本語」 170
四 「習俗」の差異 174
五 沖縄の風物たち 177
注・参考文献 180
第III部 交錯する日本幻想――反表象の力学
第7章 弱さと正義、力と不正義――琉球・沖縄、日本、アメリカをめぐる〈幻想〉試論(山里勝己)
一 琉球、沖縄、日本、アメリカ――錯綜する幻想 187
〈幻想〉の淵源
「アメリカ」――文明と未開
「アメリカン・プログレス」の行方
二 帝国化するアメリカと琉球 192
ユーロ・アメリカンの世界像
琉球とベイジン・ホール
ペリーの琉球観
アメリカの第一次琉球占領と牧志朝忠
三 弱さと正義、力と不正義 201
軍事と倫理
牧志朝忠のアメリカ観
通時という存在
牧志朝忠の日本幻想とアメリカ幻想
四 ペリー百年の夢と琉球・沖縄の自己幻想 210
コンタクトゾーンのアイデンティティ
戦後沖縄の〈自己幻想〉と〈反表象〉の生成
引用文献 214
第8章 乱反射する日本幻想、オリエンタリズム小論――小島信夫の小説を手がかりに[笹田直人]
一 オリエンタリズムとオクシデンタリズム 217
合わせ鏡の日本幻想、内なる日本幻想
オリエンタリズム出現前のオクシデンタリズムの痕跡
オクシデンタリズムの出現
ニ 劣等複合の幻影 224
打ち切りになったCF
日本人の複雑な憧憬
三 すれちがう他者幻想 228
伊佐の煩悶
敵性語の反動
占領政策とオリエンタリズム/オクシデンタリズム
箸とハイ・ヒール
四 反転するオリエンタリズム/オクシデンタリズム 238
米国二世の二重意識
日本幻想から内なる日本幻想への拉致
引用文献 243
第9章 フォークナーの見つめた「近代」日本――芸者人形とアメリカ南部(竹内理矢)
一 敗戦国からの文化大使フォークナー 245
ニ 「アメリカ幻想」の打破――戦後の刻印 247
日本の知識人への衝撃、フォークナーとの邂逅
「日本の若者へ」、南部との地続き
「アメリカ」の脅威、保守と文芸の開花
三 フォークナーの「日本幻想」――「芸者」と「着物」 255
「日本の印象」、芸者とハーン
日本女性、薔薇とエロス
四 「近代」の歴史的共振――戦後を生きた女性たち 259
「エミリーにバラを」「近代」への憧憬
日本の「苦悩」、「近代」への両面感情
フォークナーの捧げた「バラ」、日本と南部の交錯
注・参考文献 267
第Ⅳ部 日本幻想の遠近法
①座談会 二人の父、二つの文化――友禅をめぐって[森口邦彦 聞き手:久守和子・中村邦生・野田研一 編集・構成:吉村聡] 273
はじめに
「モダンという怪物」の後に
江戸時代の「ゆふぜん」
伝統の中の革新
もう一人の父、バルテュス
自然を介した共通言語
自然、幾何学、美
佇まいへの挑戦
(日時:2011年7月14日 場所:森口邦彦氏 工房)
②不思議の国のゴリウォグ――日本への眼差し(高田賢一) 301
1 日本への関心の高まり
ジャポニスムの背景
ゴリヴォグ絵本
2 ゴリヴォグの見た日本
ゴリヴォグとパリ
ゴリヴォグ、日本へ
中近東での発見
3 「本当」の日本の姿
日本の庶民との出合い
4 未知の世界への好奇心――なぜ日本なのか
ゴリヴォグ・シリーズ全13巻リスト 314
参考文献 314
③〈日本幻想〉の手前で息継ぎをする――未完の思考として(中村邦生) 317
遠景と近景
堂々巡り
巣穴にある〈日本幻想〉の遺失物のいくつか
これがイギリスのイメージだった
複合的な運動体または幻想のアマルガム
こんなところにも出没している
手前の思考へ
複層的な遊動性
こまかいほこり
④はっぴいえんど的日本幻想、もしくは「渚感覚」(野田研一) 331
《はっぴいえんど》問題
さよなら アメリカ
そして「さよなら ニッポン」
はいからはくち
「渚感覚」あるいは反表象のテクノロジー
注 342
あとがきに代えて――「美化の拒否」に抗して(野田研一) [345-349]
事項索引 [4-6]([351-353])
人名索引 [1-3]([354-356])
執筆者紹介 [357-360]