著者:末木 文美士[すえき・ふみひこ] (1949-) 仏教学。日本思想史・宗教史。
装幀:高麗 隆彦[こま・たかひこ] (1947-) 装幀家、エディトリアルデザイナー。
NDC:181 仏教教理.仏教哲学
http://www.transview.co.jp/books/490151041X/top.htm
思想としての仏教入門 - 株式会社トランスビュー
【目次】
はじめに [i-iii]
目次 [v-xi]
1 いまなぜ仏教か
1 多様な仏教 003
三つの大きな流れ
東アジア仏教の多様性
共通了解はあるか
2 さまざまな視座 009
思想の視点から
統一理念の終わり
3 方法としての仏教 011
伝統批判の意味
外来思想としての仏教
常識の解体
2 歴史的概観
1 インド 015
ブッダの生涯
教団の分裂
大乗仏教の展開
インドでの滅亡とチベットへの伝来
2 中国 021
経典の翻訳
隋・唐時代の発展
浄土教と禅
朝鮮の仏教
3 日本 026
伝来と展開
実践思想としての鎌倉仏教
3 テキストの森
1 仏典の言語 029
なぜ多様化したか
2 仏典の成立 030
三蔵成立の経緯
大乗経典の系統
3 訳経 034
漢訳の三つの時期
漢訳仏典の特徴
チベットと日本の場合
4 仏典の整理 038
整理と体系化
大蔵経の編纂
4 解釈のパラダイム
1 教相判釈 041
矛盾をどう解消するか
天台智顗の教判
華厳宗と禅の場合
2 総合か選択か 046
空海の総合性
最澄の二者択一
専修という方向
3 大乗非仏説論 050
今日の方法の先取り
学問対信仰
5 苦悩としての存在
1 ブッダの出現 053
ウパニシャッドと異端の自由思想家
2 苦・無常・無我 055
四苦と無常
不変の実体はない
ドグマとしての無我説の問題
3 縁起 060
十二縁起の考え方
輪廻は含まれるか
4 涅槃 063
涅槃とはどのような状態か
理想の境地の曖昧さ
5 四諦 065
迷いと悟りの四つの真理
6 言語と存在
1 存在の分析 066
アビダルマ仏教の形成
時間の連続性をどう説明するか
2 ナーガールジュナの論法 069
『中論』の過激な論法
無自性の立場と実践主義
ニ諦説をめぐる議論
3 言語と存在の議論 074
言語と体験
禅の言葉
二元論を崩す意味
7 象徴としての世界
1 神話的世界 079
大乗経典の神話的言語
ブッダの神話化
多数のブッダと三昧体験
2 密教の世界 083
金剛乗の立場
チベット密教のシンボル言語
3 密教の体系 086
『即身成仏義』の体系
曼荼羅の宇宙観
三密と密教の意義
8 心の深層
1 三界唯心 093
出発点としての『華厳経』
心を見る二つの方向
2 唯識説 096
ヨーガから生まれる
認識なくして実在なし
アーラヤ識とマナ識
悟りへの道
3 天台の止観 100
『摩訶止観』の体系
一念三千の理論
悟りの実現
9 他者と関わる
1 菩薩の精神 105
ストゥーパ崇拝と在家信者
平川彰説の検討
「死せるブッダ」から「生けるブッダ」へ
菩薩における利他の精神
2 『法華経』の場合 110
迹門〔しゃくもん〕と本門
『法華経』成立の三段階
第一類の読み解き
第二類の実践思想
3 『法華経』の展開 116
日本での圧倒的信仰
日蓮による革新
10 コミュニティの形成
1 在家と出家 119
原始仏教以来の教団組織
守るべき戒律
2 出家者の教団 121
サンガの構成
入門儀礼
サンガの生活
3 大乗仏教と戒律 125
部派の戒律
梵網戒と『四分律』
国家仏教の時代
最澄の真俗一貫の主張
薄れる戒律の意味
11 超脱の道
1 禅と三昧 132
禅定の修行
般舟三昧〔はんじゅ ざんまい〕
2 修行の段階と即の概念 134
悟りの段階
現世における悟り
即と不二〔ふに〕の危険性
3 頓悟と即身成仏 138
南宗禅の考え方
ラサの宗論
漸悟と頓悟の違い
即身成仏の発想
成仏の思想と葬式仏教
12 来世と救済
1 世界の構造 145
地獄・餓鬼・畜生
修羅・人・天
仏国土の構造
2 阿弥陀仏と極楽世界 148
さまざまな浄土
阿弥陀の誓願
称名〔しょうみょう〕念仏の起源
3 浄土教の展開 152
観想念仏と心の中の浄土
悪人往生と絵解き
法然と親鸞
阿弥陀という他者
13 楽観論の陥穽
1 仏身論の展開 158
法身〔ほっしん〕とは
真如のとらえかた
三身〔さんじん〕説への展開
2 如来蔵と仏性 161
だれでもブッダになれる
東アジアの現実主義
『起信論』の体系
3 日本における展開 166
現実肯定の思想
本覚思想の問題
仏性論の見方
14 差別と平等
1 仏教の平等観 171
ラディカルな階級批判
アンベードカルの仏教復興
2 業と輪廻 174
差別の思想
仏教の「業‐輪廻」説
中国における神滅不滅論争
業‐輪廻説をどう見るか
3 一乗と三乗 180
最澄と徳一〔とくいつ〕の論争
『法華経』における差別と平等
仏教の女性観
15 思想史の中の仏教
1 思想史の中の仏教 185
インドと中国における過渡期の思想
日本の独自性
2 インドの場合 187
シャンカラの不二一元論
なぜ過渡期の思想なのか
3 中国の場合 190
仏教と道教
朱子学と陽明学への影響
4 日本の場合 193
受容から神仏習合へ
神道の優越
保持された影響力
進んで仏教を学ぶ人のために 197
何を学ぶか
どこで学ぶか
何を読むか
いかに学ぶか
あとがき(二〇〇六年四月 著者) [205-206]
事項索引 [XII-XV]
書名解説索引 [VII-XI]
人名解説索引 [I-VI]
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『日本仏教史――思想史としてのアプローチ』(末木文美士 新潮文庫 1996//1992//1988)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20110601/1325343600