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『ファシズムの教室――なぜ集団は暴走するのか』(田野大輔 大月書店 2020)

著者:田野 大輔[たの・だいすけ](1970-) 歴史社会学。ドイツ現代史。ナチズム研究。
装幀:鈴木 衛東京図鑑
写真:田中 圭祐 
NDC:311.8 全体主義ファシズム


http://www.otsukishoten.co.jp/book/b505628.html



【目次】
はじめに [003-008]
目次 [009-014]


第1章 ヒトラーに従った家畜たち? 015
1 小さな権力者たちの暴走 016
  「大衆運動」としてのナチズム
  プロパガンダ論の限界
  末端の権力者を突き動かすもの
  権威への服従がもたらす「自由」
  ユダヤ人迫害のメカニズム
  「水晶の夜」の暴動 

2 「民族共同体」という理想郷 028
  階級のない「公正」な社会
  「喜び」を通じて「力」を

3 統合の核としての指導者 034
  『意志の勝利』に見るヒトラー
  「アイドル」としてのヒトラー
  「普通の人間」のイメージ

4 大量殺戮への道 041
  「異分子」の排除とホロコースト
  「悪の陳腐さ」
  「彼らは自由だと思っていた」

コラム 水晶の夜 046
コラム 悪の陳腐さ 048


第2章 なぜ「体験学習」なのか? 051
1 「体験学習」が生まれるまで 053
  『ウェイヴ』の衝撃
  授業化にあたっての課題
  暴走の疑似体験

2 「社会意識論」のテーマ 058
  普通の人間の残虐行為
  ミルグラム実験
  「権威への服従」がもたらすもの

3 「体験学習」の概要 063
  授業の流れ
  授業のねらい

コラム ミルグラム実験 


第3章 ファシズムを体験する 071
1日目 072
  受講にあたっての注意
  独裁とは?
  独裁に不可欠なもの
  拍手で指導者を承認
  ナチス式敬礼
  独裁を支える団結
  共同体の力
  ここまでのまとめ
  席替えで受講生を分断
  制服
  ロゴマーク
  集団の目的 

2日目 087
  ほぼ全員が制服を着てくる
  再び糾弾の練習
  前回の復習
  柄シャツ登場
  ワッペン作成
  グラウンドに整列
  隊列行進
  リア充の糾弾
  意識の変化を書かせる

コラム ナチ党大会の実態 098


第4章 受講生は何を学んだのか? 101
1 受講生のレポートからわかること 102
  高い参加意欲
  レポートの概要
  典型的な感想
 
2 デブリーフィングで学ぶこと 109
  3つの論点
    ① 集団の力の実感
    ② 責任感の麻痺
    ③ 規範の変化
  日常の問い直し
  危険性の認識につなげる 

3 ファシズムの正体とは? 121
  ファシズムの「魅力」
  集団行動の快楽
  ファシズムが生まれるとき
  「正義」の暴走 

コラム ホロコースト 128
コラム ナチ体制は全体主義国家なのか? 130


第5章 「体験学習」の舞台裏 133
1 「体験学習」の工夫と注意点 135
  ① 主体的な関与を促す指示
  ② 共通の制服とワッペン
  ③ ナチス式の呼称と敬礼
  ④ ネタ的な過剰演出
  ⑤ 事前の入念な準備
  ⑥ 状況に応じた適切な指示
  ⑦ 実習の場所の設定
  ⑧ 実習の期間の限定

2 「体験学習」の教育的意義 151
  主体的な学び
  座学の重視
  台本の役割
  集団行動の危険性を学ぶ
  民主主義教育の限界

3 「体験学習」が直面する課題 155
  否定的な価値を学ばせる
  「寝た子を起こすな」論
  意義を理解してもらうこと

コラム 青い目、茶色い目 160


第6章 ファシズムと現代 163
1 ポピュリズムの時代 
  現代に蘇るファシズム
  生の実感を取り戻す
  ポピュリズムの危険性
  「正論」の限界 

2 日本の不寛容な空気 173
  「HINOMARU」騒動
  「右も左もない愛国心
  「政治的正しさ」への反発
  ヘイトの動機
  ファシズムに抗するには?
  「責任からの解放」 

コラム ネット右翼 184
コラム ヒトラー社会主義者なのか? 186


おわりに(2020年2月 田野大輔) [189-199]
初出一覧 [201]