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『動物と人間――関係史の生物学』(三浦慎悟 東京大学出版会 2018)

著者:三浦 慎悟[みうら・しんご](1948-) 生物学。動物行動生態学


動物と人間 - 東京大学出版会


【目次】
はじめに i
凡例 x


序章 ヨーロッパ文化のなかの自然 001
0.1 森林の国ヨーロッパ 001
0.2 人工化された自然 003
0.3 ヨーロッパの農業と牧畜 005


第1章 巨大動物相〔メガファウナ〕の鎮魂歌〔レクイエム〕 013
1.1 先史時代の人類と野生動物 014
  (1) ヨーロッパにおける人類の足跡 14
  (2) メガファウナとはなにか 15
  (3) オーバーキル仮説 18
  (4) オーバーキル仮説への疑問と反論 22
  (5) メガファウナと環境の変化 27
〈コラム1-1 C3植物とC4植物〉 29
  (6) メガファウナの誕生と盛衰 31
〈コラム1-2 低冠歯と高冠歯〉 32
  (7) 日本のメガファウナとその絶滅 36
1.2 旧石器時代における人類の狩猟,狩られる側の論理 038
  (1) ヨーロッパにおける狩猟の実態 38
  (2) 北米における先史時代の狩猟 40
〈コラム1-3 歯の分析〉 41
  (3) 先史時代の武器 43
1.3 最初の家畜――イヌ 046
  (1) イヌの起源を求めて 47
  (2) イヌと人間を結びつけるもの 52


第2章 西アジアでの創造 063
2.1 肥沃の三日月弧〔ファータイル・クレッセント〕 064
2.2 動物の家畜化 076
  (1) 家畜とはなにか 76
  (2) 家畜化前夜の狩猟 78
  (3) 草食獣の生物学 81
  (4) 家畜化とはなにか 82
  (5) 農耕の展開と家畜化 86
2.3 家畜化とミルク利用 091
  (1) ミルクは食品なのか 91
  (2) 搾乳の起源 91
  (3) ミルク利用の原点 93
  (4) 農耕の発展と遊牧民 95
2.4 ネコの家畜化? 95
2.5 家畜化の利益とコスト 99
2.6 現代の家畜 102
2.7 ミツバチは“ドメスティケート”されたか? 104
  (1) ミツバチの生物学 104
  (2) 養蜂の歴史とドメスティケーション 106


第3章 農畜融合文化の波紋 115
3.1 ヨーロッパへの道程 116
  (1) チャタル・ホユックの衝撃 116
  (2) ヨーロッパの中石器時代 118
  (3) ヨーロッパ新石器時代への飛躍 119
3.2 ヨーロッパ人とは何者か 121
  (1) ヨーロッパ人の遺伝学 122
〈コラム3-1 遺伝系統地理学〉 123
  (2) DNAによる現代のヨーロッパ人像 124
3.3 ヨーロッパの新石器時代 128
  (1) 新石器時代は人間になにをもたらしたか 128
  (2) 新石器時代の農耕と動物 135
3.4 遊牧社会の成立とウマの家畜化 139
  (1) 牧畜から遊牧社会への移行 139
  (2) ウマの起源と家畜化 140
  (3) 遊牧社会とウマとの出会い 143
〈コラム3-2 ランナーを支える器官〉 145
  (4) ウマの家畜化と騎乗の証明 147
3.5 乾燥草原地帯での動物の家畜化 148
  (1) ラクダの家畜化 149
  (2) ロバの家畜化 149
3.6 新石器時代から青銅器時代へ 150
  (1) ヨーロッパ,その後 150
  (2) 農耕民と遊牧民の軋轢 151
  (3) 草原文化のヨーロッパへの波及 152


第4章 ヨーロッパ古代社会の動物と人間 163
4.1 ケルト社会の成立 164
  (1) 鉄器時代の成立 164
  (2) ケルト社会の輪郭と動物 165
〈コラム4-1 食肉と宗教〉 172
4.2 ヨーロッパの自然観の源流 172
4.3 農畜融合文化が環境に与えた影響 176
4.4 古代ギリシャローマ帝国における動物と人間 178
  (1) 古典にみる動物と人間の関係 180
  (2) 食材としての野生動物 187
  (3) 料理とスパイス 189
  (4) 古代ヨーロッパから姿を消した野生動物たち 191
  (5) 家禽の起源とヨーロッパでの飼育 194


第5章 中世ヨーロッパの動物と人間 201
5.1 中世前期の農業と家畜 202
  (1) 農民の生活と地域差 202
  (2) 中世初期の農業革命と森林の消失 206
5.2 中世における野生動物と森林の管理 212
  (1) 狩猟と森林管理 212
  (2) 国王の狩猟と狩猟権 217
  (3) 農民たちの反乱と密猟 219
  (4) シカの角の生物学 221
  (5) パークと動物園の誕生 224
  (6) 森林の利用と評価 226
  (7) 中世の食生活 228
  (8) 森林の管理制度の展開 232
5.3 キリスト教と動物 233
  (1) キリスト教における自然と動物 233
  (2) 狩猟に対するキリスト教の視線 241
  (3) キリスト教動物裁判 243
  (4) キリスト教と魔女(狼人間)裁判 247
  (5) 魔女狩りと動物 253
  (6) キリスト教とミツバチ 262
5.4 オオカミへの迫害と根絶 263
  (1) ヨーロッパとオオカミ 263
  (2) フランスのオオカミ 264
  (3) ヨーロッパにおけるオオカミの現状 268
  (4) オオカミの再導入 269


第6章 近世への始動 277
6.1 ヨーロッパの辺境 277
  (1) サーミ人の物語 279
  (2) ヴァイキングの遺産(レガシー) 285
6.2 衣料としての動物 290
  (1) 裸のサルの登場 290
  (2) 人類はいつから服を着たのか 293
  (3) 衣類の歴史 294
6.3 古代の服装と動物との関係 295
  (1) 古代文明と衣料素材 295
  (2) 古代ギリシャとローマの服装 297
  (3) イスラム世界との交易 300
6.4 中世の服装と毛皮交易 302
  (1) 毛皮となめし技術の歴史 305
  (2) 毛皮交易のダイナミズム――ハンザ同盟 309


第7章 ヒツジとスパイス,そしてクジラ 325
7.1 近代を切り拓いたヒツジ 326
  (1) メリノ種とスペイン 326
  (2) 羊毛産業の発展と対立 330
〈コラム7-1 ヒツジと英国議会の椅子〉 333
7.2 奢侈禁止条例 337
7.3 スパイスの欲望――大航海時代 341
  (1) ポルトガルという国 341
  (2) スパイスとヨーロッパ 342
  (3) 中世期のスパイス交易 345
  (4) ポルトガルの挑戦 346
  (5) 大航海時代の意識と環境 347
7.4 海洋生態系における生物資源の争奪と乱獲 349
  (1) ヨーロッパの食糧事情――飢饉とジャガイモ 349
  (2) オランダの勃興とニシン 350
〈コラム7-2 ニシンの資源管理の現在〉 357
7.5 バスク人捕鯨 358
  (1) 北大西洋におけるクジラの乱獲 359
  (2) 世界を変えた魚――タラ 366
7.6 乱獲を支えた自然観 371
  (1) 自然と生物の有限性 372
  (2) 無主物の所有 373
  (3) 精神的バリアの解除 374


第8章 1つに結ばれる世界 383
8.1 "モンゴロイド"の旅 385
8.2 中南米の文明と家畜 387
  (1) 南米アンデス文明と動物 387
  (2) メソアメリカ文明とその盛衰 399
〈コラム8-1 中南米の野菜〉 404
8.3 北米大陸への植民と開拓 406
  (1) 北米における初期の毛皮交易 407
  (2) ハドソン湾株式会社と毛皮交易 411
〈コラム8-2 リンクスとカンジキウサギ〉 418
8.4 ロシアのシベリア開拓と毛皮獣 419
  (1) ロシアのシベリア征服 420
  (2) ラッコの乱獲がもたらしたもの 430


第9章 近代ヨーロッパでの動物の再発見 441
9.1 イギリスにおける動物(博物学)ブーム 441
  (1) 博物学(動物)ブームをもたらした社会の動向 442
  (2) 農業の発展と家畜の品種改良 449
  (3) イヌとネコ,ペットの世紀 456
  (4) 博物学の誕生とその背景 464
9.2 大陸における博物学の煌き 469
  (1) フランスの博物学 469
  (2) リンネの貢献 471
  (3) 収集から蒐集へ 477
〈コラム9-1 もう1つの動物園――“メナジェリー”〉 484
9.3 イギリスにおける博物学の発展と成熟 486
  (1) 博物学の離陸と自立 486
  (2) ロンドンの光と影――動物いじめ 490
  (3) 自然保護運動の萌芽 498
  (4) 動物愛護運動の展開 501


第10章 北米での野生動物の激動と保全 521
10.1 北米大陸での開拓と「発展」 521
  (1) 北米大陸での農業の原型 522
  (2) 北米大陸の開拓と野生動物 524
  (3) バイソンの王国 530
  (4) ジェノサイドの系譜 538
  (5) 海洋でのクジラの乱獲 545
10.2 アメリカにおける自然保護の覚醒 559
  (1) 灰燼の後に 559
  (2) 森林の危機から森林の管理へ 566
  (3) 科学としての野生動物管理の始動 571
10.3 アメリカにおける野生動物保全のうねり 579
  (1) アラスカと日本 580
  (2) 国際条約への道のり 584
  (3) サイレント・スプリングの波紋 586
  (4) 北米での野生動物の保全の到達点 592


第11章 動物保護の異相 605
11.1 野生の王国――アフリカ 605
  (1) アフリカの野生動物と植民地支配の歴史 606
  (2) アフリカの国立公園の歴史 614
  (3) アフリカ国立公園の政策と現実 624
〈コラム11-1 サファリ・ハンティング〉 629
11.2 ナチス・ドイツと動物愛護,自然保護 632
  (1) ナチスの動物法と環境法 633
〈コラム11-2 ゲーリングの夢〉 636
  (2) ナチス・ドイツを準備した生物学――ヘッケルの一元論 641
  (3) 全体論生物学の系譜 647


第12章 保全・管理と環境倫理の架橋 659
12.1 日本の生物資源管理 659
  (1) 捕鯨の歴史 659
  (2) 南氷洋ヒゲクジラ類 667
  (3) 現代捕鯨と日本 674
〈コラム12-1 最大持続生産量―― MSY理論〉 684
  (4) 捕鯨への視座――資源を利用し管理することの責任 685
  (5) 漁業資源の持続可能な管理 689
  (6) マグロ――日本から世界へ 692
  (7) 日本の資源管理 699
12.2 環境倫理学の始動 701
  (1) 環境大国アメリカ 701
〈コラム12-2 ヴェトナム戦争のエコサイド〉 703
  (2) 環境倫理学の誕生 704
  (3) 生物権利論の系譜 707
  (4) 自然の権利論 711
  (5) 地球全体主義の系譜 715
  (6) アメリ環境倫理学の到達点 719


終章 生物多様性と持続可能な社会 731
13.1 生物多様性とはなにか 731
  (1) 地球には何種の生物種が存在するのか 731
  (2) 生物界を構成する生物 734
  (3) 地球における生物多様性の起源 737
  (4) 生命によってつくられる地球 745
13.2 生物多様性と生態系保全への道程 746
  (1) 関連する地球環境条約 746
  (2) 生物多様性条約 753
  (3) ミレニアム生態系評価 761
〈コラム13-1 緑の革命と特許〉 764
〈コラム13-2 ハチのCCDと農薬〉 766
13.3 人間と生物多様性を守る価値観と経済学 768
  (1) 環境経済学の行方 768
  (2) 近代経済学における環境 771
  (3) 経済学の復権 774

〈コラム13-3 エコロジカル・フットプリント〉 779


おわりに 791


事項索引 793
生物名索引 805
人名索引 815