contents memorandum はてな

目次とメモを置いとく場

『私は本屋が好きでした――あふれるヘイト本、つくって売るまでの舞台裏』(永江朗 太郎次郎社エディタス 2019)

著者:永江 朗(1958-) ライター
装幀:松田 行正 + 杉本 聖士
NDC:024.1 図書の販売(出版取次業.出版販売.書籍商)


私は本屋が好きでした|太郎次郎社エディタス


【目次】
目次 [003-009]
凡例 [010]


すこし長いまえがき――不愉快な旅だちのまえに 011
  本屋はただそこにあるだけで影響力がある
  モラルハザードが起きやすい流通システム
  「返品しない」のも判断
  書店員も組織の一員
  どんどんネトウヨが喜ぶ社会に
  ヘイト本を「ヘイト本」と呼ぶのは適切か
  インターネットが生んだ出版トレンド
  雑誌・ムックから書籍・新書へ
  ヘイト本とポルノの類似性


1 ヘイト本が読者に届くまで 

■町の本屋のリアル――書店経営者座談会 038
  「こういう本を望んでいたんだよ」
  女性が『WiLL』を買うのを見たことがない
  反対する本は、どれもこれも売れそうにない
  中高年男性の癒しとファンタジー
  どの店でも売れるわけではなかった
  新書はブームのきっかけになりやすい
  中韓経済崩壊本は『ムー』と読者が重なる
  買う・買わないはお客さんが判断すること
  いちど出版しておいて、引っこめるのはおかしい
  女性客が多い店で「成人向け」は置けない
  営業に支障が出るのは怖い
  店が小さくったって、間口は狭めちゃだめ


■チェーン書店―― 個人の意思だけでは決められない 071
  すべてがオートマチック―― 某大手チェーン本部の場合
  どう扱うかは各店にまかされる――あゆみBOOKSの場合
  書店人としての意見を旗幟鮮明にする――ジュンク堂書店福嶋聡の場合
  クレームへの対応――「アリーナとしての書店」の困難①
  「書店員の仕事」ができない――「アリーナとしての書店」の困難②
  どんな本も積極的に排除はしない――某大手書店の場合


■出版取次――まったくの透明な装置 089
  出版社と書店のあいだを“取り次ぐ”会社
  「出版社がつくった初版部数を基本、信頼はする」
  「そもそも、ヘイト本のブームなんてありましたっけ?」
  担当書店の返品率をいかに下げるか
  ヘイト本ブームとPOSは無関係?
  たんに入荷したから並べているだけ


■出版社――「売れるから」と「売れなくても」 106
  ちょっと新しい見方の本
  売れたジャンルをイナゴのように食いつくす
  歴史に名を残す出版社の〝大転回〞
  パワハラヘイト本
  ひと炎上三万部
  〝自己実現〞のための本づくり


■編集者――かなりの部分、仕事だからやっている 126
  インターネットが重要な供給源
  編集者は仕事だからやっている
  青林堂で“ピンチヒッター”
  読むのは意外と〝知識層〟
  『マンガ嫌韓流』刊行の立役者もあの人?
  保守系の本をつくる人にはバランス感覚が必要


■ライター ――願望をなぞり、陰謀をほのめかす 146
  「こんなの読むのはバカだよね」
  ヘイト本の読者はネット右翼ではない
  ネット右翼誕生の伏流、『戦争論
  保守デフレ時代を生きのこる「経済右翼」
  ネットと無知の融合が生んだ都市伝説
  民主化以前の韓国をみんな知らない
  自信がないから日本自賛本を読む
  ヘイト本ブームが去っても


2 ヘイト本の現場を読み解く 
■川上から川下まで――出版界はアイヒマンか 170
  ヘイト本はポルノとは違う
  ホロコーストも、こんなふうに


■書店への幻想――書店員は本を選べない 177
  セレクト書店はヘイト本を選ばない
  「書店=アリーナ」論は有効か
  本屋大賞の成功と「カリスマ書店員」と
  ひろがる誤解、ふくらむ幻想
  選ばないのか、選べないのか


■取次の岐路――いまのままでは維持できない 192
  POSデータが生んだ画一化とランキング依存
  出版業界の外から迫る危機


■出版社の欺瞞――だれも責任をとらない 202
  不本意な仕事の結果にも責任がある
  本当は出してはいけないものを知っている
  編集者の名を本に明記するべき


■ネットと本とマスメディア―― 刷りこまれる嫌悪感 212
  「ヘイト本を買うのは普通のこと」
  マスメディアによる日常的な刷りこみ
  自分の店にマイノリティが来ると思っていない
  現代でも人間は簡単に扇動される
  マスメディアへの不満のはけ口
  わたしたちになにができるか


◎すこし長いあとがき――変わらなければ、滅ぶだけ 231
  この難題とどう向きあえるか
  答えは出ているのに変われない現状
  日本の出版産業の欠陥のあらわれ
  “人”が働く本屋をとりもどすには
  パターン配本と委託制をやめなければ変われない
  ヘイト本が客を遠ざけてはいないか
  魅力のない本屋は滅びるのだから


著者紹介 [252]