著者:永江 朗(1958-) ライター
装幀:松田 行正 + 杉本 聖士
NDC:024.1 図書の販売(出版取次業.出版販売.書籍商)
【目次】
目次 [003-009]
凡例 [010]
すこし長いまえがき――不愉快な旅だちのまえに 011
本屋はただそこにあるだけで影響力がある
モラルハザードが起きやすい流通システム
「返品しない」のも判断
書店員も組織の一員
どんどんネトウヨが喜ぶ社会に
ヘイト本を「ヘイト本」と呼ぶのは適切か
インターネットが生んだ出版トレンド
雑誌・ムックから書籍・新書へ
ヘイト本とポルノの類似性
1 ヘイト本が読者に届くまで
■町の本屋のリアル――書店経営者座談会 038
「こういう本を望んでいたんだよ」
女性が『WiLL』を買うのを見たことがない
反対する本は、どれもこれも売れそうにない
中高年男性の癒しとファンタジー
どの店でも売れるわけではなかった
新書はブームのきっかけになりやすい
中韓経済崩壊本は『ムー』と読者が重なる
買う・買わないはお客さんが判断すること
いちど出版しておいて、引っこめるのはおかしい
女性客が多い店で「成人向け」は置けない
営業に支障が出るのは怖い
店が小さくったって、間口は狭めちゃだめ
■チェーン書店―― 個人の意思だけでは決められない 071
すべてがオートマチック―― 某大手チェーン本部の場合
どう扱うかは各店にまかされる――あゆみBOOKSの場合
書店人としての意見を旗幟鮮明にする――ジュンク堂書店・福嶋聡の場合
クレームへの対応――「アリーナとしての書店」の困難①
「書店員の仕事」ができない――「アリーナとしての書店」の困難②
どんな本も積極的に排除はしない――某大手書店の場合
■出版取次――まったくの透明な装置 089
出版社と書店のあいだを“取り次ぐ”会社
「出版社がつくった初版部数を基本、信頼はする」
「そもそも、ヘイト本のブームなんてありましたっけ?」
担当書店の返品率をいかに下げるか
ヘイト本ブームとPOSは無関係?
たんに入荷したから並べているだけ
■出版社――「売れるから」と「売れなくても」 106
ちょっと新しい見方の本
売れたジャンルをイナゴのように食いつくす
歴史に名を残す出版社の〝大転回〞
パワハラとヘイト本
ひと炎上三万部
〝自己実現〞のための本づくり
■編集者――かなりの部分、仕事だからやっている 126
インターネットが重要な供給源
編集者は仕事だからやっている
青林堂で“ピンチヒッター”
読むのは意外と〝知識層〟
『マンガ嫌韓流』刊行の立役者もあの人?
保守系の本をつくる人にはバランス感覚が必要
■ライター ――願望をなぞり、陰謀をほのめかす 146
「こんなの読むのはバカだよね」
ヘイト本の読者はネット右翼ではない
ネット右翼誕生の伏流、『戦争論』
保守デフレ時代を生きのこる「経済右翼」
ネットと無知の融合が生んだ都市伝説
民主化以前の韓国をみんな知らない
自信がないから日本自賛本を読む
ヘイト本ブームが去っても
2 ヘイト本の現場を読み解く
■川上から川下まで――出版界はアイヒマンか 170
ヘイト本はポルノとは違う
ホロコーストも、こんなふうに
■書店への幻想――書店員は本を選べない 177
セレクト書店はヘイト本を選ばない
「書店=アリーナ」論は有効か
本屋大賞の成功と「カリスマ書店員」と
ひろがる誤解、ふくらむ幻想
選ばないのか、選べないのか
■取次の岐路――いまのままでは維持できない 192
POSデータが生んだ画一化とランキング依存
出版業界の外から迫る危機
■出版社の欺瞞――だれも責任をとらない 202
不本意な仕事の結果にも責任がある
本当は出してはいけないものを知っている
編集者の名を本に明記するべき
■ネットと本とマスメディア―― 刷りこまれる嫌悪感 212
「ヘイト本を買うのは普通のこと」
マスメディアによる日常的な刷りこみ
自分の店にマイノリティが来ると思っていない
現代でも人間は簡単に扇動される
マスメディアへの不満のはけ口
わたしたちになにができるか
◎すこし長いあとがき――変わらなければ、滅ぶだけ 231
この難題とどう向きあえるか
答えは出ているのに変われない現状
日本の出版産業の欠陥のあらわれ
“人”が働く本屋をとりもどすには
パターン配本と委託制をやめなければ変われない
ヘイト本が客を遠ざけてはいないか
魅力のない本屋は滅びるのだから
著者紹介 [252]