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『フィールド言語学者、巣ごもる。』(吉岡乾 創元社 2021)

著者:吉岡 乾[よしおか・のぼる](1979-) ブルシャスキー語、ドマーキ語、記述言語学、南アジア研究(特にパキスタン北部)。
ブックデザイン:鈴木 千佳子[すずき・ちかこ](1983-) グラフィックデザイナー。武蔵野美術大学デザイン情報学科卒業。
装画・挿絵:朝野 ペコ[あさの・ぺこ] イラストレーター。
NDC:801 言語学


書籍詳細 - フィールド言語学者、巣ごもる。 - 創元社


【目次】
まえがき [002-007]
目次 [008-011]
ざっくり言語学マップ [012-013]


  I

言語学が何をして何をしないか|言語学とは何か[二〇二〇年六月二九日] 016
  言語学がすること
  言語学がしないこと
  言語学で夢を見られるか
注釈 022


文法のない野蛮な言語を求めて|言語は何か[二〇二〇年六月二九日] 023
  ブルシャスキー語と出会った
  そして「文法のない言語」に出会った
注釈 028


語学挫折法|語学[二〇二〇年八月一八日~一九日] 029
  ちゃんとした発音を身に付ける
  毎日欠かさず続ける
  本気になれる動機を作る
  語学継続法
注釈 039


喋る猫のファンタジー|音声学・生物学[二〇二〇年一〇月一四日~一七日] 041
  猫の言語の研究の古今東西
  人語を話す猫を科学する
注釈 050


差別用語言葉狩り|差別語・罵倒語・卑語・誹謗・中傷[二〇二〇年八月二七日~三一日] 052
  言語表現の曖昧さ
  協調性と文脈による支えが理解を絞り込む
  「差別用語」という幻想
注釈 061


僕は言葉|社会言語学・隠語・アイデンティティ[二〇二一年二月一四日~二一日] 062
  私の僕と俺
  言葉とキャラ
  敬語と距離感
  言葉とアイデンティティ
  言葉は映りの悪い鏡
注釈 074


  II

日常をフィールド言語学する|フィールド言語学・個人語[二〇二〇年一〇月一一日~二三日] 078
  しがない関西弁のメモ書き
  動画配信サイトをフィールドワークする
  漫画をフィールドワークする
  生の言葉を相手取ってこそ
注釈 090


【緊急】リモート調査チャレンジ|文字・フィールド調査[二〇二〇年一〇月二二日] 092
  「    」研究者
  リモート調査の試み
注釈 097


翻訳できないことば|意味論・翻訳・文化的背景[二〇二〇年一一月一〇日~一二日] 098
  翻訳と意味
  言葉は構造をなしている
  言葉による概念の切り分け
  言葉にへばり付いたイメージ
  各人の頭の中の百科全書
注釈 110


言語が単一起源ではない理由|歴史言語学・文字・生物学[二〇二〇年一〇月一九日] 113
  生物の樹形図と言語
  生命体の化石、言語の化石
注釈 119


淘汰されたプロの喩え話|成句・比喩・諺[二〇二〇年一一月一六日~日] 121
  様々な言い換え表現
  見立て・擬え〔なぞらえ〕
  歴々のミームたち
注釈 130


無文字言語の表記法を編み出すには|文字・音韻論・文化的背景[二〇二一年一〇月一三日~一四日] 132
  文字のメリットと、個別に書かれ始める無文字言語
  文字化することの難しさ
  社会的問題と綴り字の癖と
  骨折り損は避けたいので
注釈 146


例のあのお方|敬語・借用語・音韻論[二〇二〇年一〇月二九日~一一月一〇日] 149
  ハリー・ポッターと例のあのお方
  区別する音の違いと借用語への姿勢
  ハリー・ポッターと個々のキャラ名
  外来語に開拓される発音の幅
注釈 165


  III

どうして文法を嫌うのか|言語と文法[二〇二一年一月二六日~二八日] 170
  ルールは類推を可能にし、表現力を爆増させる
  新表現を書き散らす
  深掘りで文法は面白くなりだす
注釈 179


軽率に主語を言えとか言う人へ|主語と主題と主格[二〇二〇年八月二四日~二六日] 181
  主語とは何か
  助詞の「が」が付いたものは?
  主語でも主格でもない、主語
注釈 195


意味と空気|意味論・語用論[二〇二〇年一一月一二日~一三日] 197
  意味とは何かを考える
  意味以外の意味
注釈 207


語とは何か|音韻論・形態論・統語論・意味論[二〇二一年一月七日~一五日] 208
  通言語的な「語」の定義
  「猫が鳴く」の語数は?
  音韻的な側面から
  分離のしやすさ・しにくさを考慮する
  結局、「語」とは何か
注釈 221


ことばの考古学|比較言語学[二〇二一年二月二四日~三月三日] 225
  どうやって言語を手掛かりとするか(一)
  どうやって言語の手掛かりを発掘するか
  どうやって言語を手掛かりとするか(二)
注釈 235


日本語はこんなにも特殊だった|類型論[二〇二一年二月二六日~三月三日] 238
  日本語は平凡である
  日本語は平凡とも稀有とも言いがたい
  日本語は稀有である
注釈 253


なくなりそうな日本のことば|方言と言語・危機言語[二〇二一年一月二九日~二月五日] 255
  琉球諸語は日本語とは別の言語なのか
  話題に上がることの少ないもう一つの言語
  日本の大きい言語から小さい言語まで
  冒頭から僕は「日本で話されている言語」と言っていた
注釈 266


あとがき(二〇二一年四月吉日 著者) [268-272]
言語解説 [274-281]
参考文献 [282-283]
著者紹介 [284]

『現代高等英文法――学習文法から科学文法へ』八木克正 開拓社 2021)

英題:An Advanced Grammar of Present-day English
著者:八木 克正[やぎ・かつまさ](1944-) 英語学。
Cover Design:Nakamura Shinoko
NDC:835 英語 >> 文法.語法


現代高等英文法 株式会社開拓社


【目次】
はじめに(2021年7月 著者喜寿の年に) [v-vii]
凡例 [vii]
目次 [viii-xix]


  PART I 文と文型 

第1章 文と文型
1 5文型 002
  1.1 文型の用語
    (1) 述語動詞[predicate verb]
    (2) 自動詞,他動詞,完全動詞・不完全動詞
    (3) 直接目的語と間接目的語
    (4) 副詞的語句[adverbial]
  1.2 なぜ5文型か
2 基本要素とその他の要素 007
3 文を構成する要素と品詞 008
  3.1 主部と主語
  3.2 10品詞
4 文を構成する基本要素 009
  4.1 主語
  4.2 述語動詞
    (1) 述語動詞の構成要素
    (2) 述語動詞の構成表示
    (3) 法[mood]の扱い
    (4) 無標[unmarked]と有標[marked]
  4.3 目的語
  4.4 補語
    (1) 補語の種類
    (2) 第V文型のOとCの関係
  4.5 副詞的語句


第2章 修飾要素,独立要素と文の分類
1 修飾語句[modifier] 016
  1.1 形容詞的修飾語句
  1.2 副詞的修飾語句
2 独立要素 018
  2.1 間投詞
  2.2 副詞
  2.3 動詞から変化した副詞please
  2.4 節句から変化した談話辞
3 節と句 021
  3.1 節
    (1) 節の種類
    (2) 主節,従属節,等位節
  3.2 句
4 形態から見た文の種類 023
5 意味から見た文の種類 024
  5.1 平叙文[declarative sentence]
  5.2 疑問文[question sentence]
    (1) wh疑問文
    (2) yse-no疑問文
    (3) 付加疑問文[tag-question]
      1) 付加疑問文の作り方
      2) 命令文の付加疑問文
      3) 付加疑問文の代名詞
      4) 意味の違い
      5) I am ... の付加疑問文
    (4) エコー疑問文[echo-question]
    (5) 間接疑問文[indirect question]
      1) 間接疑問文がwh疑問の場合
      2) 間接疑問文を導く動詞・形容詞
      3) yse-no疑問文の場合
      4) 前置詞の目的語になる場合
      5) 主語になる場合
      6) 間接疑問文の語順
    (6) 文末疑問詞疑問文[sentence-final wh-interrogative]

6 感嘆文[exclamatory sentence] 036
  6.1 種類
  6.2 what感嘆文と how感嘆文の違い
  6.3 funの感嘆文
  6.4 間接感嘆文

7 命令文[imperative sentence] 038
  7.1 命令文の成り立ち
  7.2 命令文の主語
  7.3 let 命令文
  7.4 命令文 + or/and ...
  7.5 命令文以外の命令的な意味の表現
8 肯定と否定 041
  8.1 肯定と否定
  8.2 部分否定


  PART II 述語動詞構成要素と準動詞

第1章 動詞と動詞型
1 動詞 044
  1.1 動詞の活用変化
  1.2 規則変化と不規則変化
  1.3 主語の数と時制による動詞の変化表
2 定形と非定形 045
  2.1 定形
  2.2 非定形
  2.3 定形節(文) という用語
3 5文型と動詞 047
  3.1 他動詞と自動詞
  3.2 自動詞+前置詞と前置詞動詞
  3.3 完全自動詞と不完全自動詞
  3.4 完全他動詞と不完全他動詞
  3.5 与格動詞
4 自動詞と他動詞の対応 049
  4.1 能格動詞
  4.2 自動詞と他動詞の入れ替わり
    (1) 目的語の省略
    (2) 再帰代名詞の省略
    (3) 前置詞の有無
5 5文型と動詞型 052
  5.1 tellの動詞型
  5.2 Hornby (1976)の動詞型
6 第I文型 SV (A) 053
  6.1 Aの役割
  6.2 第I文型のbeと第II文型のbe
  6.3 非人称動詞
  6.4 there 構文の動詞
7 第II文型SVC 056
  7.1 連結動詞
  7.2 補語が前置詞句の場合
  7.3 補語が形容詞の場合
  7.4 主語の名詞が補語の形式を指定する場合
  7.5 主語の数と補語の数
  7.6 自動詞の連結動詞化
  7.7 非人称の“it”
  7.8 seem to be, appear to be, happen to be
  7.9 it seems apparent that ...
  7.10 look like, feel like
  7.11 look と look like
  7.12 断定の法表現 It is that ... と類似構文
  7.13 分裂文
    (1) 構造
    (2) thatの代わりにwho
    (3) that,who以下の省略
    (4) thatの代わりにwhere,when
    (5) 前置詞の目的語がFになる場合
  7.14 擬似分裂文
8 第III文型 SVO (A) 066
  8.1 第III文型の動詞型
  8.2 that節を取る動詞
  8.3 自動詞の他動詞化
    (1) 臨時目的語
    (2) 体の全体と一部
    (3) 同族目的語
  8.4 that節を従えるもと自動詞
    (1) thatの前の前置詞脱落
    (2) 動作動詞の伝達動詞化
    (3) object
  8.5 説得脅迫の使役動詞[causative verb]
9 第IV文型SVOO 072
  9.1 二重目的語
  9.2 二重目的語構文の種類
  9.3 第III文型にならない動詞
10 第V文型SVOC 074
  10.1 OとCの関係
  10.2 結果構文
  10.3 信念の動詞
  10.4 命名動詞
  10.5 知覚動詞
  10.6 意思動詞
  10.7 使役動詞
    (1) 補語に原形またはto不定詞をとる場合
    (2) [O C] の受動形
    (3) 補語に現在分詞をとる場合
  10.8 特殊なmake の用法
11 主語の種類 080
12 状態と動作 081
  12.1 動作と状態とは
  12.2 have
  12.3 see
  12.4 完了形と期間を表す副詞
  12.5 命令文と動作・状態
13 群動詞 083
  13.1 句動詞[phrasal verb]
  13.2 句動詞とは
  13.3 句動詞と目的語の語順
  13.4 前置詞動詞[prepositional verb]
    (1) 前置詞動詞と類似の表現の区別
    (2) 句動詞と前置詞動詞の区別
  13.5 句前置詞動詞[phrasal-prepositional verb]
  13.6 複合動詞[compound verb]
  13.7 イディオム動詞[idiomatic verb]


第2章 時制と相
1 時制 089
  1.1 時制[tense]とは
  1.2 未来時制
2 相[aspect] 090
3 時制と相の組み合わせ 091
4 現在時制 092
  4.1 現在時制が表す時
  4.2 現在時制の動作動詞
  4.3 現在時制の表す過去時
  4.4 現在時制の表す未来時
  4.5 副詞節の中で使われる現在時制
5 過去時制 095
  5.1 過去時制が表す「時」
  5.2 時制の一致
  5.3 現在完了形の代用
  5.4 主節の過去完了形に続くwhen節の過去形
6 未来時制 098
  6.1 未来時制の表し方
  6.2 will/shall of
7 完了形 099
  7.1 現在完了形
    現在完了形の表す意味
    (1) 完了
    (2) 継続
    (3) 経験
    (4) 現在完了形が表す意味の整理 (1)
    (5) 現在完了形が表す意味の整理 (2)
    (6) 過去時制との違い
    (7) 過去を表す副詞(句)と現在完了
    (8) ever,neverと過去形
    (9) have got
    (10) habe been to の「経験」と「完了」
    (11) 過去時を表す副詞と現在完了形
    (12) Are you finished?
  7.2 過去完了形
    過去完了形の意味
    (1) 大過去[past in the past]の用法
    (2) 現在完了形の過去
    (3) 仮定法過去完了
    (4) 基準になる過去時が明示されていない場合
    (5) 過去の計画の変更
    (6) had wanted to do
    (7) hardly / scarcely ... when,hardly / scarcely ... than
    (8) 接続詞のbefore,after
    (9) before節に過去完了
    (10) 時制の一致による過去完了
  7.3 未来完了形
8 進行形 110
  8.1 現在進行形
    現在進行形の表す意味
    (1) 動作動詞・状態動詞の進行形
    (2) 完結動詞
    (3) 丁寧表現
    (4) 近接未来
    (5) be動詞の進行形
    (6) have toの進行形
    (7) 連続した行為を表す場合
    (8) 動作動詞の進行形と状態動詞の単純形
  8.2 過去進行形
    過去進行形
    現在進行形と過去進行形
  8.3 未来進行形
9 完了進行形 115
  9.1 現在完了進行形
    現在完了進行形の意味
    現在完了形と現在完了進行形の違い
  9.2 過去完了進行形
  9.3 未来完了進行形


第3章 助動詞
1 助動詞の種類 118

2 法助動詞の種類 118

3 助動詞の意味と用法 120
  3.1 do
    用法
    3種のdo
    (1) 助動詞,代動詞,動詞
    (2) 代動詞
    (3) 代動詞か助動詞か
  3.2 will
    意味
    (1) 未来
    (2) Will you ...? で依頼・命令
    (3) 誘い
    (4) 推量
    (5) 習性・習慣
    (6) 苛立ち
    (7) if節の中のwill
    (8) 成句のif you will (...)
    (9) will not の縮約形のwon't
  3.3 shall
    意味
    (1) 単純未来
    (2) Shall I ...? で相手の意思を聞く
    (3) shall not の縮約形shan't
  3.4 be going to
    意味
    (1) 単純未来のwillとgoing toの違い
    (2) 意思未来のwillとbegoing toの違い
  3.5 would
    意味
    (1) 過去の習慣のwouldとused to
    (2) would を使った成句
  3.6 should
    意味
    lest ... should
  3.7 can / could
    意味
    (1) 能力
    (2) 可能
      1) ――
      2) 依頼のCan you ...? / Could you ...?
    (3) 許可
    (4) 可能性
      1) ――
      2) could wellの成句
      3) could have+PP の成句
    (5) 強い疑念
    (6) 時制の一致のcould
  3.8 may / might
    意味
    (1) 推量・可能性
      1) ――
      2) may/might + have + PP で不確実な推量
      3) may + have + PP
      4) might「……してもよさそうなものだ」
    (2) 許可を求める May I ... ?
      1) ――
      2) May I be excused?
      3) 許可を求めるmight
      4) you might で提案
  3.9 must
    意味
    (1) 義務
    (2) 推断
  3.10 have to/have got to/had to
    意味
    (1) 義務
    (2) 推断
  3.11 be to
    意味
    (1) be to と類似表現の区別
    (2) 条件節のam/are/is to
    (3) 条件節のwere to
  3.12 be about to
  3.13 ought to
    意味
    (1) 疑問文 Ought I ... ? の代わり
    (2) mustとの比較
  3.14 need
    意味
    過去の表現
  3.15 dare
  3.16 had better/had best
    意味
    had better の主語
  3.17 used to

4 助動詞が完了形を従える場合の意味 147
  4.1 実現した(と思われる)行為
  4.2 未実現の行為


第4章 法と仮定法構文
1 現代英語の法 150
  1.1 法とは
  1.2 直説法・命令法と仮定法構文
  1.3 現代英語の仮定法
  1.4 仮定を表現する方法

2 仮定法現在形構文 153
    (1) 主節が動詞の場合
    (2) 主節が形容詞の場合
    (3) 主節が名詞の場合
    (4) 接続詞の場合
    (5) 英米の違い
    (6) 名詞の同格節の場合
    (7) 否定形

3 条件と直説法 仮定法過去形・ 仮定法過去完了形 156
  3.1 条件と仮定
    (1) 開放条件[open condition]
    (2) 開放条件のshould
    (3) 開放条件のwill
    (4) 却下条件[rejected condition]
  3.2 条件の表し方

4 仮定法過去形構文 159
  4.1 if節による条件
  4.2 if節以外の条件の表し方
  4.3 条件が明示されない場合

5 仮定法過去完了形構文 161

6 仮定法構文の異形 162
    (1) 仮定法過去形構文の異形
    (2) 仮定法過去形と仮定法過去完了形の混合形
    (3) 仮定法過去完了形の異形
    (4) I wish が導く節

7 願望仮定法 166


第5章 態 167
1 態とは 167
2 動的受動態と静的受動態 168
3 getを使った受動態 168
4 get受動文の動作主 170
5 能動文と受動文の意味関係 170
6 目的語と態 171
  6.1 文型と態
  6.2 第III文型
    (1) 受動態にできる動詞,できない動詞
    (2) 句動詞
    (3) 前置詞動詞
    (4) 前置詞句動詞
    (5) イディオム動詞
    (6) 目的語がthat節の場合
  6.3 第IV文型
    (1) 間接目的語が主語の受動態
    (2) 間接目的語がthat節の場合
    (3) 直接目的語を主語にできない場合
  6.4 第V文型
    (1) 受動態にできる動詞,できない動詞
    (2) 意思動詞のwant
    (3) 知覚動詞の受動形
7 受動態のほうが普通に使われる場合 179
  7.1 受動形を使う理由
  7.2 受動形で動作主を出す理由
8 受動文の前置詞 180
    
    
9 能動受動動詞 181


第6章 話法と時制の一致
1 話法とは 182
  1.1 話法の種類
  1.2 話法の転換
  1.3 中間話法
  1.4 伝達動詞のリスト
  1.5 直接話法の伝達部の語順
  1.6 人称代名詞・時・場所の副詞の転換
2 文の種類による直接話法と間接話法の対応関係 186
  2.1 命令文→間接命令文
  2.2 平叙文→間接平叙文
  2.3 疑問文→間接疑問文
  2.4 感嘆文→間接感嘆文
3 主節と従属節の時制の一致 188
4 時制の一致の例外 189
  4.1 時制の一致の例外
  4.2 現在完了形と時制の一致
  4.3 仮定法過去と時制の一致


第7章 準動詞 (1) ――動名詞
1 準動詞の種類 193
2 動名詞とは 194
    ingを付加する場合の注意事項
    動名詞と名詞の区別
3 動名詞の用法 195
  3.1 主語
    意味上の主語
    to不定詞との違い
  3.2 他動詞の目的語
    ING(G)を目的語にとる動詞のリスト
    ING(G)とto不定詞の両方をとる動詞
    受動の意味のING(G)
  3.3 形容詞の目的語
  3.4 前置詞の目的語
  3.5 be 動詞の補語
  3.6 名詞の同格
4 完了形の動名詞動名詞の表す「時」 201
5 受動態の動名詞 202


第8章 準動詞 (2) ――不定
1 不定詞とは 203
2 原形不定詞の用法 203
3 to不定詞の用法 205
    to不定詞の意味上の主語
  3.1 名詞用法
    (1) 主語
    (2) be動詞の補語
      1) 主語の名詞が補語にto不定詞を指定
      2) be NP to do から NP の省略でできたbe to do
      3) 完了不定詞の場合
    (3) 動詞の目的語
      1) to不定詞を目的語にとる動詞
      2) 目的語 + to不定詞をとる動詞
      3) 疑問詞 + to不定詞をとる動詞
      4) ING(G)もto不定詞もとる動詞
      5) ING(G)とto不定詞で意味が異なる動詞
  3.2 副詞用法
    目的を表す用法の異形〔いけい〕 
  3.3 形容詞用法
    (1) 形容詞用法の種類
    (2) 前置詞削除構文[preposition deletion construction]とは
    (3) 軽動詞構文[light verb construction]
4 完了不定詞の用法 216
    (1) 名詞用法で実現しなかったことを表現する
    (2) 副詞的用法では主節の時より前の出来事


第9章 準動詞 (3) ――分詞
1 分詞とは 217

2 現在分詞 217
    (1) 名詞の修飾
      1) 前位修飾
      2) 後位修飾
    (2) 知覚動詞の目的格補語
    (3) 使役動詞の目的格補語
    (4) 形容詞・名詞の後で意味の補足
    (5) there構文の意味の補足
    (6) 動詞句の後で意味の補足
    (7) 分詞構文
      1) 分詞構文の意味
      2) 接続詞を伴う分詞構文
      3) 独立分詞構文

3 過去分詞 222
    (1) 名詞の修飾
      1) 前位修飾
      2) 後位修飾
      3) 分詞構文


  PART III 品詞を中心として 

第1章 名詞 228
1 名詞とは 228
2 名詞の複数形 228
3 名詞の種類 229
  3.1 伝統的分類
  3.2 普通名詞・物質名詞の可算・ 不可算
  3.3 抽象名詞の可算・不可算
  3.4 可算・不可算と具象 抽象
    (1) 同一単語でU,Cの役割分担
    (2) 同義の別単語でU,Cの役割分担
    (3) 集合名詞の単数扱い・複数扱い
    (4) 集合名詞eliteの使い方
4 不可算名詞の数え方 235
    (1) 部分詞[partitiv]による数え方
    (2) 部分詞のいろいろ
    (3) 生活密着語の部分詞
    (4) 固体の群れ
5 固有名詞型 238
    名と愛称
    固有名詞の可算名詞化
6 名詞型 239
  6.1 内容名詞と機能名詞
  6.2 トピック名詞と叙述名詞
  6.3 トピック名詞
    (1) 主語と補語の入替
    (2) トピック名詞と内容名詞
    (3) 補語にthatをとるトピック名詞
      1) 強調形
      2) theの省略
      3) that節に仮定法現在がくる名詞
    (4) 補語にto不定詞をとるトピック名詞
  6.4 叙述名詞
    (1) It is NP that のタイプ
    (2) It is NP to do のタイプ
  6.5 have, give, do NP to do / that の構文
    (1) have NP to do / give 人 NP to do
    (2) have NP that節
    (3) have NP of / for / in doing
    (4) do a / the / one's N
    (5) give / make / take / have a N
    軽動詞 + a N の特徴
      1) give a N
      2) make a N
      3) take a N
      4) have a N
7 状態と動作 249
8 複数形の用法 250
  8.1 相互複数[reciprocal plural]
  8.2 総称複数[generic plural]
    (1) 普通名詞の総称
    (2) 普通名詞の総称の例外
    (3) 民族・国名
    (4) 目的語になった名詞の総称用法
  8.3 配分複数[distributive plural]
  8.4 常時複数[plural only]
    (1) ペア名詞[pair noun]
    (2) 複数形のみの名詞
      1) 本来の意味と比喩的意味
      2) -sで終わる病気名は単数扱い
      3) 常に -sで終わるその他の名詞
    (3) 単数形とは違う意味で使う複数形名詞
    (4) 不定複数[indefine plural]
9 主語と動詞の数の呼応 258
  9.1 主語の文法的数に一致する場合
  9.2 主語が of ... をとる場合
  9.3 主語の意味に一致する場合
  9.4 there 構文の数の一致


第2章 代名詞
1 代名詞の種類 262
2人称代名詞 263
  2.1 所有代名詞
    (1) 所有代名詞の文法機能
    (2) itの所有代名詞形のits
    (3) a book of hers / that book of yours
  2.2 人称代名詞の格の選択
  2.3 it の多様な用法
  2.4 総称用法の we, you, they one
  2.5 単数の人を受ける they
  2.6 人称代名詞の照応関係
3 再帰代名詞 270
4 指示代名詞 272
  4.1 指示代名詞の種類
  4.2 that / those of ... の that/ those
5 不定代名詞 273
  5.1 不定代名詞の定義と用法
    (1) 定義
    (2) all,both,each
    (3) some,any
    (4) either,neither
    (5) none
    (6) other,another
  5.2 oneの用法
    (1) oneとit
    (2) oneとthat
    (3) 総称のoneは何で受けるか
  5.3 複合形不定代名詞の名詞的性質


第3章 冠詞
1 冠詞の種類 280
2 不定冠詞[indefine article] 280
  2.1 特定と不特定
  2.2 総称
  2.3 種類・性質
  2.4 不可算名詞と共に
  2.5 数量を表す名詞と共に
    (1) 《a + 名詞(of)》で数量を言う成句の場合
    (2) 《a + 名詞》で「……につき」の意味になる場合
  2.6 固有名詞と共に
3 定冠詞[define article] 284
  3.1 歴史的・文化的了解
  3.2 文脈状況による了解
  3.3 順序による了解
  3.4 総称
    (1) the + 単数名詞
    (2) the + 民族・国民名
    (3) the + 形容詞
4 無冠詞 287


第4章 形容詞と限定詞
1 形容詞の種類 291
2 形容詞と形容詞用法 292
3 形容詞の機能と特徴 293
4 限定用法・叙述用法 295
  4.1 限定用法・叙述用法
  4.2 叙述用法のみ, 限定用法のみの形容詞
  4.3 (R) タイプの例と意味的特徴
  4.4 (P) タイプの例と特徴
5 段階性・非段階性 298
6 形容詞の一時性と永続性 299
  6.1 一時性形容詞と永続性形容詞
  6.2 一時性と形容詞型
  6.3 永続性から一時性へ
7 形容詞型 301
  7.1 5種の形容詞型基本型
  7.2 It is Adj. that
    (1) It is Adj. that の型をとる形容詞4種
    (2) モダリティの形容詞
    (3) 指示の形容詞[directive adjective]
    (4) 不確定な予測の形容詞[uncertainty adjective]
    (5) 信念の形容詞[certainty adjective]
  7.3 NP be Adj. that
    (1) NP be Adj. that をとる形容詞
    (2) 感情の形容詞
    (3) 確信・認識の形容詞
    (4) 主張の形容詞
    (5) 葛藤の形容詞
  7.4 It is Adj. to do
    (1) It is Adj. to do の型をとる3種の形容詞
    (2) 行動評価の形容詞
    (3) 人・事物の評価の形容詞
    (4) 行為に基づく人の評価
  7.5 NP is Adj. to do
    (1) NP is Adj. to do の2つのタイプ
    (2) 文の主語と不定詞の意味上の主語が同じ場合
    (3) 形容詞が感情を表し,to do がその感情の原因
    (4) 形容詞が行動の遅速を表し,to do がその行動を表す
    (5) be ADJ. to が準擬似法助動詞
    (6) 事物・人の評価
  7.6 NP is Adj. PrepP
8 前置修飾形容詞の語順 316
9 限定詞[determiner] 316
  9.1 all の用法
  9.2 every,each 
    (1) everyの代名詞用法
    (2) eachと否定文
    (3) eachとeveryの違い
    (4) eachの複数呼応
  9.3 many,much,a lot,lots 
    (1) many,muchの特徴
    (2) 代名詞用法
    (3) 副詞用法
    (4) a lot of / lots of
  9.4 some,any 
    (1) some,anyの特徴
    (2) 限定詞のsome,any
      1) 数量
    (3) anyの「どれをとっても」の用法
    (4) 少しの程度を言う用法
    (5) someの「かなりの,相当の」
    (6) someの疑問文,否定文,条件文での用法
    (7) 代名詞のsome,any
    (8) 副詞のsome,any
  9.5 (a) few, (a) little 
    (1) a few,few,a little,little
    (2) few,fewer,fewest;little,less,least
    (3) 副詞用法の little,a little
  9.6 no 


第5章 関係詞と疑問詞
1 関係詞[relative]と疑問詞[interrogative] 328
2 関係詞 329
  2.1 関係詞の種類と役割
    (1) 関係詞とは
    (2) 関係詞の成り立ち
  2.2 限定用法と叙述用法
  2.3 関係代名詞[relative pronoun]
    (1) 種類
    (2) 人を先行詞とするwhoとwhom
    (3) 人を先行詞とするthatとΦ
    (4) 人を表す名詞が先行詞でwhichが受ける場合
    (5) thatの特徴
    (6) that,which,whoの選択と先行詞の性質
    (7) whichの特殊な用法
    (8) 先行詞が人と物の場合,関係代名詞はthat
    (9) 主格の関係代名詞が省略される場合
    (10) 自由関係代名詞
      what,whatever
      who,whoever,whomever,whichever
    (11) 成句としてのthe same A as B / such A as B
  2.4 関係副詞[relative adverb]
    (1) when,where
    (2) how
    (3) why
    (4) whenever,wherever
  2.5 関係形容詞[relative adjective]
3 疑問詞 344
  3.1 疑問代名詞・疑問形容詞
    (1) 語順
    (2) whom
    (3) whoとwhich
    (4) whoとwhat
    (5) whichとwhat
    (6) whose
  3.2 疑問副詞
    whyの特徴
  3.3 疑問詞が分裂文の焦点(F)に来る場合


第6章 副詞と副詞的語句
1 副詞[adverb]と副詞的語句[adverbial] 350
2 副詞の種類 350
      付加詞[adjunct]
      下接詞[subjunct]
      離接詞[disjunct]
      接合詞[conjuct]
3 副詞の例 352
  3.1 付加詞
    (1) 時
    (2) 時間
    (3) 場所
    (4) 距離
  3.2 下接詞
    (1) very,much,a lot,lots
    (2) 否定辞 not,never
    (3) 頻度
    (4) 程度 (i) 《a + 「少し」の意味の名詞》
    (5) 程度 (ii) kind of
    (6) 程度 (iii) that
    (7) 程度 (iv) much,far
    (8) 程度 (v) all
    (9) 程度 (vi) quite
    (10) 制限のonlyは「ただ……だけ」の意味
    (11) 様態副詞が動詞を修飾する例
    (12) 過去分詞の修飾
    (13) 手段のby,by means of
    (14) 理由
    (15) 目的
  3.3 離接詞
  3.4 接合詞


第7章 比較
1 形容詞 副詞の比較変化 362
  1.1 規則変化
  1.2 不規則変化
2 比較の種類 363
3 同等比較[equal comparison] 364
  3.1 as... as, such ... as / like 
  3.2 as... as any (other) .... 
  3.3 as... as anything 
4 優勢比較[superior comparison] 366
  4.1 比較級による比較
    (1) 実例
    (2) 2つの物の比較
    (3) the + 比較級,the + 比較級
    (4) 比較級の否定
  4.2 最上級による比較
    (1) 最上級の範囲
    (2) 最上級とthe
  4.3 比較の程度を修飾する副詞(下接詞)
    (1) a bit,a deal
    (2) 比較級・最上級を強めるeasily
  4.4 独立比較[absolute comparison]
      1) 比較級による表現
      2) 最上級による強意表現
  4.5 同等比較 優勢比較の意味的な関係
5 劣勢比較[inferior comparison] 370
6 同定比較[identity comparison] 370
    (1) 表現の適格性の比較
    (2) 名詞句の比較
    (3) 名詞の抽象化による比較
    (4) 成句のbe more of A than B
    (5) 同定比較の成句


第8章 接続詞・前置詞
1 接続詞と前置詞 373
2 接続詞 374
  2.1 等位接続詞と従属接続詞
  2.2 thatが導く名詞節
  2.3 wh-wordが導く名詞節
  2.4 wh-word asが導く形容詞節
  2.5 多様な接続詞が導く副詞節
3 前置詞 378
  3.1 種類
    基本前置詞
    二次前置詞
  3.2 前置詞句の機能
    副詞用法
    形容詞用法


あとがき [381-382]
参考文献 [383-388]
索引 [389-399]





【抜き書き】


・「はじめに」から、文法用語について。

文法用語は,文法を理解するための基本単語のようなものである.これを避けて文法を理解することはできない.読者は本書の中で,おそらく学習文法にはみられない多くの事実や用語を発見するであろう.首尾一貫した記述のために,本書独自の文法用語もいくつか使っている.
 本書で記述する文法を科学的なものにするために,次の4点に留意した.

(1) 今実際に使われている英語の実態調査を基礎にした.言語事実に根ざした文法にするために,本書は常に事実の確認を怠らず,綿密な調査を行った.本書では重要な文法事項の解説の冒頭に精選した範例を列挙した.それは先ず事実を確認するためである.言語の研究は事実の確認から始まる.
(2) 言語事実に則っていても、事実の羅列にならず,言語事実について,なぜそうなるのかという説明を重視した.
(3) 多様な言語学的知見に目を配りながら,言語事実を忠実に反映するために,諸説とは別の新しい独自の知見を加えた.
(4) 諸説をただ羅列せず,本書独自の視点で首尾一貫した文法体系を追求した.本書独自の文法体系とは「伝統文法を基本にした,意味と型,成句の文法」である.

・補部について(PP. 196-198)。

3.2 他動詞の目的語

(1) This room will look cheerful once you've finished painting it.
 (ペンキを塗り終えたら,この部屋は明るくなるだろう)

(2) Everyone said how much they had enjoyed listening to the speech.
 (皆が口々に,スピーチはとても楽しく聞けたと言った)

(3) The best way to learn a foreign language is to practice speaking it as often as possible.
 (外国語学習の一番の方法は,できるだけ多く話す練習をすることだ)

 他動詞は,名詞句,to 不定詞,ING (G),that 節,wh節などを目的語にとる.これらを総称して動詞の補部(complement)〔……〕と言うが,動詞によって取りうる補部が異なる.特に,ING (G) をとるもの,to不定詞をとるもの,それらの両方をとるものの区別は簡単ではない〔……〕.


 ING (G) を目的語にとる動詞のリスト
 以下にあげる動詞がとるING(G)は,現実に行われていることや現実に起こることが予測されることを言う.avoid は習慣になっている行為をしないようにする意味であり,stop,give up〔……〕などの 「停止」に関する意味の動詞は,現実に起こっていること,または,現実に起こると予測されることを停止するのであり,これから起こることを予測するのではない:

acknowledge,admit,advocate,anticipate,appreciate,avoid,contemplate,delay,deny,detest,dislike,dispute,doubt,dread,can't endure,enjoy〔……〕.

 ING (G) をとるか to 不定詞をとるかは英々辞典や文法書で必ずしも一定していない[注3].文法書のリストもかなりの異同がある.著作の目的や方法の違いが反映している場合もある.例えば,The sea came rushing in. (Francis et al. 1996: 81)は確かに形の上では《動詞+〜ing》であるが,came は自動詞で,rushingは動名詞ではなく現在分詞 ING (P) である.したがって,本書では rushing in は現在分詞で,付帯状況の分詞構文(PART II 第9章2範例(6)(p. 217, 219)参照)と考える.

注3 英々辞典やBBI でも記述がまちまちな場合がある.例えば deny は英々辞典では動名詞をとることが明示されているが,BBI にはその旨の記述はない.Graver (1986: 142) では doubtがING (G)をとる動詞のリストに入っているが,英々辞典にはING (G) をとる旨の記述はない.endureはまれにING (G) をとるが,MED CALDに記載はなく,OALD LDOCEには記載がある.このような状況を踏まえて,本書のリストはコーパスで1つひとつ検証した結果を示した.

 あるいは,stop が ING (G) と to 不定詞の両方をとるとする文献(例えば Swan 2016: 100.4)があるが,stop は目的語としてはING(G) しかとらず,to 不定詞は行動の目的を表す副詞用法(PART II 第8章 3.2 (p.213〜) 参照)である.

『言語景観から考える日本の言語環境――方言・多言語・日本語教育』(ダニエル・ロング, 斎藤敬太 春風社 2022)

著者:Daniel Long(1963-) 
著者:斎藤 敬太[さいとう・けいた](1990-)
装丁:矢萩 多聞[やはぎ・たもん](1980-) 画家・装丁家



言語景観から考える日本の言語環境―方言・多言語・日本語教育 | 春風社 Shumpusha Publishing


【目次】
献辞 [002]
目次 [003-009]
まえがき(2020年8月 ダニエル・ロング 斎藤敬太) [010-018]


  第I部 無敬語地帯・敬語地帯における言語景観 019

第1章 震災後の方言景観にみる 福島県会津方言の変容
1.1 会津の観光と方言景観 021
1.2 方言景観を扱う意義 022
1.3 会津地方と会津方言 022
1.4 大河ドラマと方言景観 023
1.5 方言分布の変化 029
1.6 待遇表現の減少 固定化 035
1.7 まとめ 039


第2章 福島市の依頼・命令表現にみられる待遇表現
2.1 福島市の言語景観にみられる方言使用 043
2.2 勧誘・意志形 043
2.3 依頼・命令形 053
2.4 まとめ 065


第3章 福島県中通り浜通りの勧誘・推量表現にみられる待遇表現
3.1 中通り地方 069
3.2 浜通り地方の「ペ」 072
  3.2.1 推量
  3.2.2 勧誘
  3.2.3 意志
3.3 キャラクターと方言 079
3.4 待遇表現 084
  3.4.1 丁寧辞 「ない」
  3.4.2 軽い尊敬命令 「〜せ」「〜しぇ」
  3.4.3 依頼 「〜くんちぇ」
3.5 まとめ 088

第4章 近畿圏の待遇表現における方言敬語と方言丁寧語
4.1 近畿地方の言語景観にみられる方言使用 089
4.2 近畿地方の言語景観にみられる依頼・命令形 091
4.3 各地の方言における「方言敬語」と「方言丁寧語」 096
4.4 近畿地方の言語景観にみられる勧誘 意志形 105
4.5 まとめ 110


第5章 外国人集住地域の多言語表示にみられる待遇表現
5.1 言語景観にみられる方言の依頼・命令形 112
5.2 言語景観にみられる多言語使用 124
5.3 言語景観にみられる多言語の依頼 命令形 128
5.4 まとめ 134


Column 1 気づかない方言(疑似標準語) 135


  第II部 複言語使用地域における言語景観 137

第6章 ブラジル人集住地域の言語景観に採用される言語に関する定量的研究
6.1 対象となる言語景観 139
6.2 公的表示と私的表示 140
6.3 調査概要 142
6.4 公的表示の採用言語 144
6.5 公的表示における言語数と組み合わせ 147
6.6 私的表示の採用言語 148
6.7 私的表示における言語数と組み合わせ 152
6.8 店名・商品名の採用言語 154
6.9 まとめ 155


第7章 豊田市でくらす在日南米人の複言語環境
7.1 保見団地という言語環境 159
7.2 多言語表示の全体傾向 164
7.3 臨時借用語 165
7.4 リテラシー 168
7.5 内容の不一致 172
7.6 まとめ 184


第8章 外国人集住地域の言語環境に表れる観光戦略
8.1 観光協会への聞き取り調査 186
8.2 観光戦略 186
8.3 観光の外国語表示 191
8.4 街並み 195
8.5 まとめ 198


第9章 異国情緒を演出する言語景観
9.1 調査対象 202
9.2 分析 202
  9.2.1 パーク内施設名(店名)
  9.2.2 メニュー
  9.2.3 その他の言語景観(背景的言語景観)
9.3 まとめ 206


第10章 非母語話者からみた看板の語用論的むずかしさ
10.1 日本語の看板にみられる語用論的変異 208
10.2 語用論的に分かりにくい言語景観 220
10.3 まとめ 228


第11章 世界の少数言語とアイデンティティ
11.1 マオリ語 229
11.2 オーストラリアの中国語 230
11.3 ノーフォーク語 232
11.4 ビスラマ語 235
11.5 パラオ語 237
11.6 チャモロ語 239
11.7 まとめ 241

Column 2 文法事項の疑似標準語 243


  第III部 方言主流社会における言語景観 245

第12章 東北地方の言語環境としての方言景観
12.1 東北地方各地にみられる方言景観 247
12.2 方言景観がみられない地域 251
12.3 まとめ 258


第13章 北海道の文化的観光資源としての言語景観
13.1 北海道の多言語表示 259
13.2 地域の独自性をアピールする同根異形語 259
13.3 文化的観光資源として活用される北海道方言 263
13.4 まとめ 268


第14章 奄美方言の言語景観
14.1 奄美とその言語変種 269
14.2 標準日本語訳の有無 272
14.3 訳の順番 274
14.4 受け手・送り手 277
14.5 永久性 279
14.6 言語レベル(文法レベルの使用か単語レベルの使用か) 281
14.7 表記法 282
14.8 方言内の変異 286
14.9 方言の定型化 288
14.10 まとめ 291


第15章 南大東島ことばにみられる言語接触の分析要因
15.1 言語景観の課題 298
15.2 言語景観の社会言語学 301
  15.2.1 Who ?
  15.2.2 What ?
  15.2.3 When ?
  15.2.4 Where ?
  15.2.5 How ?
  15.2.6 Why?
15.3 まとめ 313

Column 3 注意を引く「時代劇ことば」


  第IV部 教室における言語景観 321

第16章 教員が興味を持たせたい言語景観
16.1 予想される言語景観 324
16.2 期待される言語景観 325
16.3 言語景観を授業で使う際の留意点 327
16.4 まとめ 328


第17章 語学授業に興味を持ってもらうツールとしての言語景観
17.1 多言語表示にみられる地域差 329
17.2 方言の象徴的な使用 333
17.3 方言の言語景観 336
17.4 まとめ 344


第18章 言語学的課題の分類と言語景観
18.1 言語景観とは何か 345
18.2 これまでの言語景観研究 346
18.3 音声学的分析と音韻論的分析 347
18.4 意図的に使われる方言 355
18.5 一段動詞の文法変化 357
18.6 まとめ 362


第19章 アクティブラーニングと教材化
19.1 縮約形 省略形の表現 366
  19.1.1 縮約形の表現
  19.1.2 省略形の表現
  19.1.3 動詞融合形の表現
19.2 さまざまな「〜ちゃう」 表現 370
  19.2.1 可能 + 「〜ちゃう」の表現
  19.2.2 「〜ちまった」の表現
19.3 まだ出てくる当為表現 372
19.4 形式名詞「〜のこと」 374
19.5 まとめ 375

Column 4 東京都にもみられる 「観光資源」 としての方言使用 377
Column 5 各地にみられる方言による歓迎ことば 379


あとがき(2021年6月 ダニエル・ロング 斎藤敬太) [381-384]
  謝辞
初出/参考文献一覧 [385-394]
索引 [395-400]




【抜き書き】
・初出一覧

第1章  斎藤敬太 (2016.06) 「震災後の方言景観に見る福島県会津方言の変容」『日本語研究』 首都大学東京東京都立大学日本語・日本語教育研究会、36号、pp.27-42

第2章  ダニエル・ロング、斎藤敬太 (2016.03) 「隣接する無敬語・敬語地帯の言語景観にみられる待遇表現の違い(福島市編)」『人文学報』 512-7: 75-93、首都大学東京人文科学研究科

第3章  書き下ろし。 この内容で次の口頭発表を行ない、予稿集6頁分の原稿を基にこの章を執筆した。斎藤敬太、ダニエル・ロング (2018.03.24) 「隣接する敬語・無敬語地帯の言語景観に見られる待遇表現の違い―福島県中通り地方と浜通り地方の現地調査の結果を踏まえて」「韓國日本語學會 第37回國際學術發表大會」東国大学校惠化館

第4章  ダニエル・ロング、 斎藤敬太 (2017.03) 「隣接する無敬語 敬語地域の言語景観にみられる待遇表現の違い(近畿編)」) 『人文学報』 513-7: 33-44

第5章  ダニエル・ロング、 斎藤敬太 (2018.03) 「隣接する無敬語・敬語地帯の多言語景観にみられる待遇表現の違い(外国人集住地域編)」『人文学報』 514-7: 11-26

第6章  斎藤敬太 (2019) 「ブラジル人集住地域の言語景観に採用された言語に関する定量的研究」『都市空間を編む言語景観 = Linguistic landscapes in the production of urban spaces』(李舜炯編) 大邱中文出版社(대구:중문출판사)

第7章  斎藤敬太、 ダニエル・ロング (2020.03) 「外国人集住地域における多言語景観の社会言語学的実態 (豊田編) 在日南米日系人の複言語的環境」『人文学報』516-7: 33-50

第8章  書き下ろし。 この内容で次の口頭発表を行い、その学術論文集に掲載された4頁分の原稿を基にこの章を執筆した。斎藤敬太 (2015.11.29) 「外国人住民の言語環境としての観光――ブラジル人集住地域の群馬県大泉町三重県伊賀市の比較」『第30回日本観光研究学会全国大会』高崎経済大学

第9章  斎藤敬太 (2020.02.24) 「異国情緒をコンセプトにした観光地に見られる言語景観」『2019年度言語景観研究報告論文集(李舜炯編)』

第10章  ダニエル・ロング(2014.03) 「非母語話者からみた日本語の看板の語用論的問題日本語教育における「言語景観」の応用」『人文学報』488: 1-22

第11章  ダニエル・ロング(2011b) 「世界の少数言語の言語景観に見られるアイデンティティの主張」『世界の言語景観 日本語の言語景観』 3-12、桂書房

第12章  斎藤の博士論文 「東北地方の外国人住民の日常生活における方言理解問題の解決を目指した社会言語学的研究』(未刊行)の第3章の一部を基に新たな言語景観を追加したうえで加筆し、この章を執筆した。

第13章  ダニエル・ロング (2020.02.24) 「北海道における文化的観光資源としての言語 言語景観で活用される北海道方言」 『2019年度言語景観研究報告論文集(李舜炯編)』

第14章  ダニエル・ロング(2010) 「奄美ことばの言語景観」 『東アジア内海の環境と文化(内山純蔵、中井精一、中村大編、 日本海総合研究プロジェクト報告 5)』 174-200、 桂書房

第15章  ダニエル・ロング(2009) 「南大東島ことばが作り上げる言語景観」『南大東島の人と自然(中井精一、東和明、ダニエル・ロング編)』 74-87 を基に新たな言語景観を追加したうえで大幅に書き直し、 11枚の写真を追加した改稿である。

第16章  書き下ろし。この内容で次の口頭発表を行ない、予稿集の原稿を基にこの章を執筆した。 ダニエル・ロング (2019.04.27) 「教員が興味を持たせたい言語景観」『韓国日語教育学会第35回国際学術大会』 ソウル 明知専門大学

第17章  ダニエル・ロング (2017.01.31) 「語学授業に興味を持ってもらうツールとしての言語景観」『首都大学東京教職課程紀要』 1:79-89 首都大学東京教職課程紀要編集委員会

第18章  ダニエル・ロング (2018.02.23) 日本語表現法における言語学的課題の分類を考える―ツールとしての言語景観の応用について」 『首都大学東京教職課程紀要』2:51-64、首都大学東京教職課程紀要編集委員会

第19章  ダニエル・ロング (2019.03) 「日本語学習者を悩ませる言語景観―看板のアクティブラーニング教材化」『都市空間を編む言語景観』 中文出版社

『語用論の基礎を理解する』(Gunter Senft[著] 石崎雅人, 野呂幾久子[訳] 開拓社 2017//2014)

原題:Understanding Pragmatics (Routledge, 2014)
著者:Gunter Senft(1952-) オーストロネシア語・パプア諸語(キリヴィラ語)、人類言語学、語用論。
訳者:石崎 雅人[いしざき・まさと](1960-) 社会言語学。専門家と非専門家のコミュニケーション、医療コミュニケーション。
訳者:野呂 幾久子[のろ・いくこ] 社会言語学。医療コミュニケーション 。
NDC:801 言語学


語用論の基礎を理解する 株式会社開拓社


【目次】
訳者はしがき(訳者を代表して 石崎雅人) [v-vi]
著者から日本の読者へのメッセージ(グンター・ゼンフト) [vi]
本書の出版に寄せて(井出祥子) [vii-viii]
省略記号 [xiv-xvi]
謝辞 [xvii-xviii]


序章 001
事例による本書の案内 001
語用論的転回 !? 003
本書の構成 005
  第1章 語用論と哲学 006
  第2章 語用論と心理学 007
  第3章 語用論と人間行動学 008
  第4章 語用論と民族誌学 009
  第5章 語用論と社会学 010
  第6章 語用論と政治 011
  第7章 語用論の基礎を理解する 013


第1章 語用論と哲学――我々は言語を使用するとき,何を行い,実際に何を意味するのか:言語行為論と会話の含みに関する理論 015
1.1 はじめに 015
1.2 ジョン・オースティンによる言語行為論 017
  1.2.1 陳述対何かをする発話(事実確認発話対行為遂行発話) 017
  1.2.2 オースティンの議論における2つの転回 020
  1.2.3 何かを言う,何かを行う,効果を生み出す発話:発語行為,発語内行為,発語媒介行為 023
1.3 サールによる言語行為論 027
  1.3.1 言語行為とは何か 027
  1.3.2 誠実な約束と命題内容条件 029
  1.3.3 発語内行為と構成的規則 030
  1.3.4 サールによる発語内行為の分類 032
  1.3.5 直接・間接言語行為 036
  1.3.6 複数の文化の視点からの言語行為論 040
1.4 社会的なつながりをつくる力に関するピーター・シューレンによる論考 043
1.5 会話の指針となる格率:グライスによる会話の含みに関する理論 045
  1.5.1 はじめに 045
  1.5.2 グライスによる協調の原則とそれを構成する会話の格率 046
  1.5.3 どのようにして会話の格率は破られるか,あるいは,「故意に守られないか」 048
  1.5.4 会話の含みに関する5つの性質 050
  1.5.5 人類言語学の観点からのグライスの理論 051
1.6 まとめ 053
1.7 課題 054
1.8 さらに学びを深めるための文献 055


第2章 語用論と心理学――直示参照とジェスチャー 057
2.1 はじめに 057
2.2 直示参照 058
2.3 空間直示 062
  2.3.1 キリヴィラ語における空間直示 068
    2.3.1.1 指示詞 068
    2.3.1.2 キリヴィラ語における指示詞の非空間的用法 077
    2.3.1.3 場所格と方向詞 079
    2.3.1.4 空間参照枠 082
2.4 ジェスチャー 087
  2.4.1 はじめに 087
  2.4.2 ジェスチャー,言語,心 089
  2.4.3 複数の文化における発話とともになされるジェスチャーの多様性:ジェスチャー使用に関する語用論 096
  2.4.4 語用論的ジェスチャー 102
2.5 まとめ 105
2.6 課題 107
2.7 さらに学びを深めるための文献 108


第3章 語用論と人間行動学――コミュニケーション行動の生物学的基盤 109
3.1 はじめに 109
3.2 表出動作およびその記号への儀礼化 110
  3.2.1 表情 112
  3.2.2 対人距離と身体動作行動:近接空間学と身体動作学 116
3.3 儀礼儀礼的コミュニケーション,相互行為方略 119
  3.3.1 儀礼儀礼的コミュニケーションに関する総論 119
  3.3.2 基本的相互行為方略の概念 122
  3.3.3 エイポ族言語共同体における要請する,与える,受け取る行為に見られるちょっとした儀礼 124
  3.3.4 儀礼的コミュニケーション形式:ヤノマモ族の椰子の実祭り 129
  3.3.5 人間の「相互行為エンジン」 136
3.4 まとめ 139
3.5 課題 141
3.6 さらに学びを深めるための文献 142


第4章 語用論と民族誌学――言語・文化・認知の相互関係 143
4.1 はじめに 143
4.2 交感的言語使用 144
4.3 言語相対説:サピア-ウォーフの仮説 157
4.4 言語使用の民族誌学 166
  4.4.1 クナ語の言語使用 170
    4.4.1.1 クナ語における挨拶と別れの表現 172
    4.4.1.2 治療と呪術の言語 173
    4.4.1.3 思春期の少女の儀礼における言語 174
  4.4.2 言語使用の民族誌学:批判的評価 177
4.5 まとめ 179
4.6 課題 181
4.7 さらに学びを深めるための文献 182


第5章 語用論と社会学――日常における社会的相互行為 183
5.1 はじめに 183
5.2 アーヴィング・ゴフマンによる相互行為の秩序 183
5.3 ハロルド・ガーフィンケルによるエスノメソドロジー 194
5.4 ハーヴィ・サックスと会話分析 201
5.5 まとめ 220
5.6 課題 221
5.7 さらに学習を深めるための文献 222


第6章 語用論と政治――言語,社会階級,人種,教育,言語イデオロギー 223
6.1 はじめに 223
6.2 バジル・バースティンによるコード理論 225
6.3 ウィリアム・ラボフと変異理論 228
6.4 言語イデオロギー 233
  6.4.1 太平洋地域における 2 つの言語共同体の言語イデオロギー 235
    6.4.1.1 ソロモン島ホニアラにおける言語イデオロギー 236
    6.4.1.2 ラパ・ヌイ語における言語イデオロギー 237
  6.4.2 敬語の言語イデオロギー 242
6.5 まとめ 249
6.6 課題 251
6.7 さらに学習を深めるための文献 252


第7章 語用論を理解する――まとめと展望 253
7.1 はじめに 253
7.2 まとめ 253
7.3 解放的語用論:語用論における将来の展開に関する概観 258


参考文献 [261-288]
索引 [289-304]
著者・訳者紹介 [305]

『言葉はいかに人を欺くか――嘘、ミスリード、犬笛を読み解く』(Jennifer M. Saul[著] 小野純一[訳] 慶應義塾大学出版会 2021//2012)

原題:Lying, Misleading, and What is Said: An Exploration in Philosophy of Language and in Ethics (Oxford University Press, 2012)
原題:Dogwhistles, Political Manipulation, and Philosophy of Language, in: New Work on Speech Acts, pp. 360-383, Oxford University Press, 2018.
著者:Jennifer Mather Saul(1968-) 言語哲学
訳者:小野 純一[おの・じゅんいち] 哲学、思想史。
装丁・イラスト:中尾 悠[なかお・ゆう]
NDC:801.01 言語哲学.言語美学


慶應義塾大学出版会 | 言葉はいかに人を欺くか | ジェニファー・M・ソール 小野純一


【目次】
目次 ([i-iii])
凡例 ([iv])
献辞 [002]


序文 003


第1章 嘘をつくとはどういうことか
1 「言うこと saying」とは何か 014
2 嘘をつく人は「言われていること」が誤りだと信じていないといけないのか 016
3 「言われていること」は誤りでなければならないのか 017
4 欺く意図は何か、それをどう表現するか 018
  「欺く意図」を定義に含めることの利点
  単純な「欺く意図」ではない
  「聞き手にPだと信じさせる意図」
5 欺く意図を定義に組み込むことに反対の立場 021
6 「保証 warrant」を定義に加える 023
  保証を与える文脈についての知識
7 最後に残ったやっかいな問題 027
  隠喩〔メタファー〕
  偶発的な誤り
  定義(8)の障害とさらなる変更
    隠喩や言語的な思い違い、マラプロピズム[malapropism]を伴う嘘とは何か
    保証を与える文脈に自分がいるとみなすこと
  これまでの要約
  終わり――いかさま〔ブルシット〕との対比


第2章 「言われていること」をめぐる議論
1 背景と舞台設定 039
  「言われていること」に対するグライスの見解
  複雑な問題
    指標辞(指標詞) indexical
    指示詞 demonstrative
    完成化 Completion
    拡張 Expansion
  やっかいな事態に対処する
  用語法
  偶発的な誤り
2 「言われていること」の「非制約的な概念」 050
3 「言われていること」の「制約的な概念」 054
  完成化
  拡張
  偶発的な誤り
    ビリーとエンパイアステートビル(ヴァージョン1)
    ビリー(ヴァージョン2)
    ビリー(ヴァージョン3)
  嘘をつくこと

4 「言われていること」の「厳格な概念」 066
  バック[Kent Back]の意味内容と「言われていること」
    問題
      指示詞
      完成化
  ボーグ[Emma Borg]の意味内容
    問題
      "完成化"
  カペレン[Herman Cappelen]とルポア[Ernest Lopore]の意味内容
    問題
      「完成化」
  統語的な省略――「言われていること」の「厳格な概念」にとっての問題を最小化する
    統語的な省略と「完成化」
      怒鳴ること
    統語的な省略の限界
    統語的な省略のより広い理解


第3章 「言われていること」とは何か
 1 問題の分析 087
  非制約的な概念
  「言うこと」についての制約的な概念
    レカナティ[François Récanati]の「言われていること」と「関連性理論 Relevance Theory」の表意
    ケント・バックの含意
    ジェイソン・スタンリー[Jason Stanley]の意味内容と「言われていること」
  厳格な概念
  緩和された厳格さ――「完成化」と「拡張」を区別することの重要性

 2 文脈による寄与をどこまで許容するか 094
  真偽判定にとっての必要最小限の条件
  文脈による寄与の選択
    対立するケース
    不確定なケース
      選択肢1「事物による完成化」
      選択肢2「不確定な完成化」

 3 結論 110


第4章 嘘は本当にミスリードより悪いのか 115
 1 明確にすべき問題点 118
 2 主張Mへの反例 119
  シャーラ、デイヴ、HIV
  ジョージとピーナッツオイル
  玄関先の殺人鬼
 3 無効にできる(defeasible)主張とは何か 122
  カント[Immanuel Kant]とマッキンタイア[Alasdair MacIntyre]――異なる義務
  チザム[Roderick Chisholm]とフィーアン[Thomas D. Feehan]――背信行為
  "聞き手に用心させよ―― Caveat Auditor"
  努力と犠牲
  生産的な交流を継続する能力
  カントとアドラー[Jonathan E. Adler] ――推論と責任
  より厳密な推論の捉え方とは何か
  アドラー ――欺瞞の必要性

 4 代替案 139
  行為の評価と人格の評価
  なぜ嘘かミスリードかの選択が、人格の道徳性を露呈させるのか
    異常な文脈
    道徳性に関する他の誤った信念
    嘘とミスリードの区別に関する誤った信念に基づかない選択
      異なる欲望に基づく選択
      誤りに気づいたうえでの選択
  特別な文脈
    法的な文脈とそれに潜在的に類似したその他の文脈
      法的な文脈
      関連する文脈
    明示的な合意とそれほど明示的ではない合意
 5 複雑な代替案 158


第5章 さまざまな「欺瞞」を読み解く
 1 これまでのまとめ 162
  「嘘をつくこと」の定義
  「言われていること」の定義
  道徳的な意義

 2 決疑論の策略 164
  心裡留保の教義
    簡潔な説明
    分析
  多義性の教義
  指示詞 demonstrative

 3 「完成化」のケース 183

 4 エンパイアステートビルと、別の場所でしたジャンプ 186

 5 クリントンの発話と偽証罪 189
  「ある is」の意味
  クリントンが語る性的な関係
    この定義の標準的な解釈
    定義の再検討
    「ジョーンズ裁判」の外で
  二人きりの時

 6 マダガスカル人 200

 7 気配りと配慮 201

 8 聞き間違いにつけこむ 206

 9 文脈を無視した引用 206

 10 「言われていること」の他の用法 209
  「近所で何かをやっている」
  政治家、結婚、子ども
  推薦状
  助産師と母乳育児
  目的としての政権交代


結論 215


附録 犬笛、政治操作、言語哲学 217
1 犬笛 219

2 意図的な犬笛 220
  意図的であからさまな犬笛
    「奇跡を起こす力」
    「ドレッド・スコット」判決
  隠れた意図的な犬笛
    ウィリー・ホートン
    「インナーシティ」

3 意図的でない犬笛 231
  ウィリー・ホートンとレポーターたち
    「財政支出」の人種化

4 現在の理論が完全には捉えられないこと 238
  現在の理論が捉えられること
  より捉えにくいケース
    スタンリー
    ラングトン[Rae Langton]とマクガワン[Mary McGowan]
    隠れた発語媒介的な言語行為としての隠れた意図的な犬笛
    意図的でない隠れた犬笛

5 政治的な結果 248
  犬笛と民主的な権限
  スタンリー


注 [257-281]
訳者解題 [283-290]
参考文献 [5-10]
人名索引 [3-4]
事項索引 [1-2]




【関連記事】

『話し手の意味の心理性と公共性――コミュニケーションの哲学へ』(三木那由他 勁草書房 2019)