原題:Why Smart Executives Fail (Portfolio, 2003)
著者:Sydney Finkelstein
訳者:酒井 泰介[さかい・たいすけ](1963-) 翻訳。
監訳・解説:橋口 寛[はしぐち・ひろし](1970-) 経営学。
装丁:木継 則幸[きつぎ・のりゆき]((株)インフォバーン)
レイアウト・DTP:アートマン
【目次】
献辞 [001]
目次 [003-008]
日本語版へのまえがき(2004年4月 シドニー・フィンケルシュタイン) [009-015]
謝辞(二〇〇三年二月日 ニューハンプシャー州ハノーバーにて シドニー・フィンケルシュタイン) [016-021]
第01章 “名経営者”が、失敗する理由――その失敗から我々は何を学ぶべきか? 022
なぜ、あの企業は失敗したのか?――“七つの俗説”を反証する
本書の調査・研究方法について
本書は、経営者という“人間”についての研究である
浮き彫りとなった“失敗のパターン”
パート I 優秀企業の大失敗
第02章 新規事業の失敗――あのビッグビジネスは、なぜ堕ちたのか? 048
“オールスター”が始めたPDAベンチャー ゼネラル・マジック物語
衛星で携帯電話のスターをめざせ! イリジウム物語
韓国財閥の長老が暴走! サムスン・モーターズ物語
インターネット買い物革命の行く末 ウェブバン物語
新規事業が失敗する本当の理由
新規事業に乗り出すときに覚えておくべき9カ条
第03章 「イノベーション」と「変化」への無為無策――巨人たちは、なぜ「何もしない」という道を選んだのか? 094
シェア9割からの転落 ジョンソン・エンド・ジョンソン物語
最優良企業の奢り ラバーメイド物語
携帯電話業界の巨人の誤算 モトローラ物語
原因は、組織の硬直化にあった
「イノベーション」と「変化」について覚えておくべき8カ条
第04章 M&Aの矛盾――有名企業の合併は、なぜシナジーも統合も生み出さなかったのか? 130
スナップルに一目惚れ クエーカー・オーツ物語 132
スナップル・ベバレッジ・コーポレーションの興隆
トラブルの始まり
クエーカーの失敗――スナップルはゲータレードではなかった
成功の秘訣忘れる
そしてスナップル売却へ――
ソニー、ハリウッドに行く ソニー物語 140
初期の教訓――ベータマックス失敗のトラウマ
ソフトウェアへの進出――CBSレコードとコロンビア・ピクチャーズ
やり手二人組、ガーバーとピータースの登場
ガーバーとピータースはいかにして「たかった」か?
二人組、闇に消える
エピローグ
天才創業兄弟の先見性と傲慢 サーチ&サーチ物語 149
手段を選ばないやり手
サーチ&サーチのビジョン――とにかくナンバー・ワンになること
傲慢がもたらした古典的失敗
年貢の納め時
ところが――サーチ兄弟復活!
目的が、“シナジー”から“傲慢”へ変わるとき 157
シナジーを実現し、価値を生み出すのは、なぜそんなにむずかしいのか?
M&A、成功の原則
M&Aに関してデューデリジェンスすべきこと
M&A失敗の本当の理由 168
買収後に何をするか
「社風の違い」という障害を取り除く
買収にかまけて、日常業務をおろそかにするな
CEOの自尊心に気をつけろ
M&Aでつまずかないための覚えておくべき6カ条 178
第05章 戦略のミス――トップ企業が、なぜ非合理的な戦略を選んでしまうのか? 180
現代のギリシャ悲劇 ワング・ラボラトリーズ物語 182
傲慢+憎しみ+競争相手への見くびり=破滅
戦略を理解するには、戦略家から学べ
己の失敗に学ばなかったツケ 雪印乳業物語 188
破滅――食中毒発生
破滅再び――狂牛病と詐欺
事件の背景
黒人選手差別があだとなるとき ボストン・レッドソックス物語 195
人種差別撤廃の歴史とニグロ・リーグの興隆
レッドソックスが人種差別撤廃に応じなかったわけ
もし黒人選手がプレーしていたら、レッドソックスの戦績は上がっていたか?
なぜレッドソックスは人種差別を撤廃しなかったのか?
企業が非合理的戦略に陥る理由 205
競争環境を読み違える
裸の王様
戦略家の胸のうち
自暴自棄な経営
いけにえ
挫折から前進せよ 214
非合理的戦略をとらないために覚えておくべき8カ条 215
パート II 失敗の原因 217
第06章 経営者の歪んだ現状認識――名経営者が、なぜ状況を見誤るのか? 218
経営者が陥る三つの落とし穴 220
魔法の解を求めて
聖杯を求めて
誤った評価基準〔スコアボード〕
四種類の心理的失敗 227
賞味期限切れの答え
別のゲーム
自己認識を見誤る
映画プロデューサーの失敗
たったひとつの解にこだわる心理 238
“狭い世界〔スモールワールド〕”の住人になる心理
他人の土俵で自分の相撲をとってしまう心理
拡大熱に冒される心理
まずは"現実"を見直せ 243
[質問リスト]あなたの会社の現状認識は正しいか? 244
「変化」への無為無策が、死を招く 245
“パーフェクト・ストーム”の誤謬
“スターウォーズ”の失敗
大局は正しいが、小局でつまずく
競争相手を見誤る
固定的なビジネスモデル
どうすれば変化を予測できるか? 253
[質問リスト]あなたの会社は、将来何が変わりえるかを正確に見通しているか? 254
誤りの連鎖
大きな謎――本当の問題は「社風」にある? 256
第07章 ドリーム・カンパニーの幻想――トップと組織は、なぜ現実から目を背けるのか? 258
生ける屍“ゾンビ企業” 260
俺たちが一番さ
我が社は特別なのだ
心配ない、自分のことならわかってるさ
客ごときに仕事のやり方を指図されるいわれはない
誰か止めてくれ
悪いニュースは聞きたくない
情報開示しても無駄
無意味な完璧主義
何が起ころうと私のせいではない
過剰な団結精神
広報や弁護士が問題になるとき
あなたの会社を“ゾンビ”にしないための6の課題 278
その1 自社へのプライドに惑わされないために
その2 自画自賛に惑わされないために
その3 舞い上がりに惑わされないために
その4 完璧主義に惑わされないために
その5 過剰な団結主義に惑わされないために
その6 広報が招く危機に惑わされないために
[リスト]環境の変化に敏感な組織をつくるための7カ条 287
情報"を見逃すな! 289
第08章 失われた“シグナル”――なぜ企業は、大切な情報を見落としてしまうのか? 290
情報に対応できる組織、できない組織 292
“迷子”になる情報は、そもそも情報ではない?
失われたコミュニケーション・チャネル
動機の喪失
監督機能の不在――「私は、自分の聞きたい話だけを聞きたい」
管理機能の不在――「すまんが、細かいことを気にしている暇はない」
ガバナンスを放棄した取締役会――「この取締役会は、なんの役に立つのかい?」
管理過剰の弊害――「心配するな、全部コントロールできる」
社内“スター”の傲慢――「大物幹部には、自由にやらせろ」
買収企業への不干渉主義――「彼らのことは、まあ放っておこう」
“失敗の教訓”の忘却――「もう次のビジネスを始めてもいいかな?」
責任者はどこにいる?
第09章 失敗するトップの“七つの七つの習慣”――リーダーたちは、どこで間違えるのか? 318
習慣その1 自分と会社が市場や環境を支配している。と思い込む 320
優秀さの幻想
滲み出る優越館
自社の優越性についての幻想
習慣その2 自分と会社の境を見失い、公私混同する 325
経営者の性格を表す判断
会社との自己同一視――その最悪の側面
習慣その3 自分を全知全能だと勘違いする 332
支配狂
習慣その4 自分を一〇〇%支持する人間以外を排斥する 336
習慣その5 会社の理想像にとらわれ、会社の、完璧なスポークスマンになろうとする 338
ニュー・ビジョンを売り込む
ポップなぜアイドルになってしまう
細事にかかわることを嫌がる
財務報告書をPRツールに使う
習慣その6 ビジネス上の大きな障害、を過小評価して見くびる 343
どん底に向けて突っ走る
エスカレートするコミットメント
習慣その7 かつての成功体験にしがみつく 348
決定的瞬間
“七つの習慣”から脱出せよ
[リスト]失敗するトップの“七つの習慣” 352
パート III 失敗から学ぶ 353
第10章 未来を予測せよ――会社があぶない! 初期警告サインを見逃すな 354
[リスト]「初期警告サイン」を見つけるための17の質問 356
必要以上に複雑な組織や戦略に気をつけろ 358
組織構造が複雑になっていないか?
本来、単純な問題に対して、必要以上に複雑な戦略をとっていないか?
会計手法が過度に複雑だったり、不透明だったり、非標準的ではないか?
複雑だったり非標準的な用語を使っていないか?
トップの“暴走”に気をつけろ 364
準備運動もなしに全速力で駆け出す
大きな失敗の前の小さな失敗
警告を無視する
“成功に次ぐ成功”には要注意
上級役員が突然退社する
CEOの資質に気をつけろ 374
チェックポイント1 CEOの人となり
チェックポイント2 CEOの行動パターン
チェックポイント3 CEOとカネ
過剰な“誇大宣伝〔ハイプ〕”に気をつけろ 382
未完成の商品のハイプ
M&Aのハイプ
会社についてのハイプ
ハイプの終焉――失われた里程標〔マイルストーン〕
経営者の性格に気をつけろ 387
“予測”の次は行動、である 390
第11章 名経営者は、いかに学ぶべきか?――失敗からのサバイバル術 392
どうすれば失敗の原因に気づけるのか? 397
“名経営者”がなぜ内向きの組織をつくってしまうのか? 403
よく学び、風通しのよい組織をつくれ! 405
人から学ぶ
「ベスト・プラクティス」だけではなく「ワースト・プラクティス」も大事
ニュースを広める
全社レベルで意識改革せよ マテル物語 413
現実を正確に把握するよう、意識改革をする
現実から目を背けない
情報をより効果的に管理する
うまくいかないリーダーシップのかたちを変える
最後に――あの“名経営者”たちはいま 417
脚注 [424-456]
解説(2004年5月 橋口寛) [458-469]
本書ができるまでの経緯について
本書の構成と読み方