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『戦後日本語教育学とナショナリズム――「思考様式言説」に見る包摂と差異化の論理』(牲川波都季 くろしお出版 2012)

著者:牲川 波都季[せがわ・はづき] 日本語教育学、教育言説分析。
装丁:桂川 潤[かつらがわ・じゅん](1958-2021) 装丁、イラストレーション。
備考:博士論文から成った本。
内容:1945年以降に『日本語教育』に掲載された論文を言説分析する。


http://www.9640.jp/xoops/modules/bmc/detail.php?book_id=30587
戦後日本語教育学とナショナリズム 「思考様式言説」に見る包摂と差異化の論理|くろしお出版WEB



【目次】
はじめに [iii-vi]
目次 [vii-xi]


第1章 なぜ戦後日本語教育学のナショナリズムを問うのか
1 ナショナリズムという信仰 002
2 国民国家の成立と言語 004
  2.1 国民国家と言語
  2.2 日本と日本語
  2.3 言語ナショナリズムによる統一と排除
3 日本語教育と日本語ナショナリズム 011
  3.1 日本語ナショナリズムを揺るがす日本語教育
  3.2 日本語普及の論理
  3.3 日本語普及に期待された役割
  3.4 帝国主義体制における日本語普及の位置づけ
4 日本語教育史研究の歴史観 023
5 本書の研究方法および目的 029
  5.1 方法:教育言説分析
  5.2 時期:戦後60年
  5.3 対象:日本語教育
  5.4 論点:ナショナリズムとの関係


第2章 思考様式言説の変遷
1 なぜ思考様式言説なのか 048
  1.1 日本への包摂
  1.2 ナショナリズムの二重の原理
  1.3 自明の正しさ
  1.4 戦前・戦中との連続性・断絶
  1.5 言語学ナショナリズム

2 研究目的 058

3 量的分析による時期区分 060
  3.1 対象および方法
    3.1.1 記述単位の抽出対象
    3.1.2 記述単位の抽出:「日本人の思考様式」
    3.1.3 記述単位の分類カテゴリー
  3.2 カテゴリーによる分類結果
    3.2.1 分類結果
    3.2.2 時期区分


第3章 第1期「日本語=日本人の思考様式論」前史:敗戦〜1970年代初め 

1 質的分析の視点と対象 072
  1.1 分析の視点
  1.2.分析の対象

2 第1期内の時期区分 074

3 「日本語-日本人の思考様式」の潜在化:敗戦〜1950年代初め 075
  3.1 敗戦後の日本語教育
  3.2 戦中と戦後の連続性
  3.3 占領期の思考様式言説
  3.4 占領期の日本語教育実践
  3.5 小括

4 母語・日本語の思考様式への言及:1950年代半ば〜60年代前半 089
  4.1日本語の思考様式
  4.2 母語の思考様式
  4.3 変わるべき日本語=日本人
  4.4 小括

5 母語・日本語の思考様式の研究開始:1960年代後半~70年代初め 099
  5.1 母語・日本語の思考様式の実証研究:日本語教育学の動き 099
    5.1.1 母語の思考様式の干渉
    5.1.2 日本語の思考様式研究
  5.2 日本人の思考様式から説明される日本語:日本語学の動き 106
    5.2.1 参酌されなければならない日本人の思考様式
    5.2.2 日本人の思考様式を暗示する日本語


第4章 第II期「日本語=日本人の思考様式」による包摂:1970年代半ば〜80年代前半 111
1 外国語と民族・国民の思考様式 112
  1.1 言語と文化,言語と思考様式の関係についての論調
  1.2 第2言語教育における民族・国民の思考様式
    1.2.1 理解させたい民族の思考様式
    1.2.2 外国語学習=外国的な思考様式の学習
  1.3 アメリカ語が制約する学習者の思考様式

2 「日本語=日本人の思考様式」の教育・学習 123
  2.1 教育・学習内容としての日本人の思考様式
  2.2 日本語習得の必要条件としての日本人の思考様式
    2.2.1 日本人の思考様式による洗脳とその困難
    2.2.2 日本語習得に不可欠な日本人の思考様式の植えつけ
    2.2.3 日本語習得を困難にさせる日本人の思考様式
    2.2.4 戦中の言語ナショナリズムの復活
  2.3 「日本精神」批判

3 小括 140


第5章 第III期「日本人の思考様式」理解がもたらす包摂と差異化:1980年代後半〜2000年代前半
1 日本に対処・適応するために 146

2 交流・体験から理解する日本人の考え方 150
  2.1 多様性の一つとしての日本人の考え方
  2.2 実践報告概要
  2.3 日本人の考え方とは何か
  2.4 真正さを獲得する日本人の考え方
  2.5 交流・体験から発見するという方法
  2.6 異質性・多様性の客観的・相対的理解

3 学習者中心 162
  3.1 多様性・異質性の理解と学習者中心との接点
  3.2 日本語教育における学習者中心の位置
  3.3 異文化性の重視
  3.4 母国文化/日本文化の異質性

4 異質性・多様性の理解という名の排除 168

5 日本人の思考様式による洗脳言説の残存または回帰 172

6 小括 175


第6章 戦後日本語教育学とナショナリズム
1 思考様式言説の変遷 180

1.1 戦前・戦中の「日本語= 日本精神論」との連続性と断絶 180
  1.2 ナショナリズムに規定された日本語教育学の理念
  1.3 ナショナリズムに亀裂をもたらす日本語教育学の理念

2 戦後日本語教育学は何をめざしてきたのか:結びにかえて 188
  2.1 戦後日本語教育学の教育目標
  2.2 無自覚な日本への包摂
  2.3 自覚的な日本への包摂
  2.4 自覚的な日本からの差異化
  2.5 無自覚な日本からの差異化/日本への包摂
  2.6 包摂/差異化言説が共有する問題点


おわりに(2011年11月1日 牲川 波都季) [201-206]
引用文献一覧 [207-218]
卷末資料 [219-221]
索引 [223-227]
著者紹介 [228]