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『包摂と排除の教育学――戦後日本社会とマイノリティへの視座』(倉石一郎 生活書院 2009)

著者:倉石 一郎[くらいし・いちろう] 教育学。教育社会学
NDC:372.107 日本教育史(昭和時代後期・平成時代 1945- )
NDC:376.9 外国人学校.在外邦人学校


生 活 書 院


・2018年に増補新版が刊行された。
増補新版 包摂と排除の教育学 | 生活書院


【目次】 
目次 [003-008]


序章 戦後日本社会と〈包摂〉への視座 009


第1部 〈包摂〉のフロンティア――在日朝鮮人教育を通して
第1章 「包摂=教育の語り」の成立――1970年前後の大阪市における在日朝鮮人教育の「言説の交代劇」から 026
1  本章の問題設定 026
2  本章で扱う事例の概要と背景:大阪市の「市外教」の性格 029
3  在日朝鮮人教育における〈排除〉の語り:「問題生徒児童の指導事例」から 031
  (1)  前書き・主人公の家庭背景の語り
  (2)  「問題児」との格闘の日々の語り
  (3)  〈排除〉の語りのレイシズムと語りの揺らぎ
4  在日朝鮮人教育における〈包摂〉の語り:「切断」を経ても継承されたもの 042
  (1)  「考える会」周辺の教育実践者による〈排除〉言説否定
  (2)  〈包摂〉の語りの実際:「荒れ」という用法を中心に
5  考察と結論 052


第2章 「包摂=教育の語り」の展開――『全国在日朝鮮人教育研究集会』資料を手がかりに 059
1  本章の問題設定 059
2  本章で使用する資料の概要 062
3  教育実践記録のテクストにおける「人間」理念の転倒と〈外部〉の発生 063
4  「包摂=教育の語り」における対話的テクストの事例 072
  (1)  言説空間内の相互作用による「転倒」の可視化
  (2)  「肩を並べる構図」・「子どもの肩越しにのぞかれる世界」
5  「生成の自伝」から「生成する自伝」へ:ある記録に見る「呼称の変更」を手がかりに 088
6  本章のむすび 103


第3章 「包摂=教育の語り」の前史――1950−60年代の大阪市における「朝問協」、玉津中学校における展開を中心に 107
1  序論 107
  (1)  問題の設定 
  (2)  時代背景・地域事情 
  (3)  本章の構成 
2  草創期の「公立学校における在日朝鮮人教育」の論理:玉津中学校の視点から 111
  (1)  「行政/運動」あるいは「権力/民衆」二元論からの脱却、学校文化論の地平へ 
  (2)  玉津中学校が追求した教育の「公共性」:不自由から自由への転換 
  (3)  本節のまとめ 
3  「公立学校における在日朝鮮人教育」への教育界のまなざし:日教組全国教研集会から 136
  (1)  分科会の名称から浮かび上がる「まなざし」
  (2)  大阪からの報告をとりまく状況
4  結論 142


補章 マイノリティ教育の「語り」に走る断層――小沢有作『在日朝鮮人教育 歴史篇』によせて 147
1  はじめに 147
2  高志明の『歴史篇』批判 148
3  七〇年前・後を分かつ断絶 150
  (1)  実態としての変動・再論 
  (2)  言説空間における変動 
4  テクスト内在的な検討 156
  (1)  二項対立的叙述とそこからの翻身 
  (2)  「教育的」世界への安息から回帰へ 
5  おわりに 169


第2部 〈包摂〉の古層――高知県の「福祉教員」の事例を手がかりに

第4章 〈社会〉と教壇のはざまに立つ教員たち――境界上の「ゲートキーパー」という視点から 174
1 視点 175
2 福祉教育制度の発足と活動の展開 178
  (1) 県当局の長欠・不就学確認 
  (2) 福祉教員配置の「原点」 
  (3) 精度の裏づけおよび概要 
  (4) 研究交流団体「高知県福祉教育協議会」の発足とその雑居性 
3 〈社会〉というフィールドでのアクターとしての福祉教員 187
  (1) 『高知新聞』紙面から読み取った福祉教員の肖像 
  (2) 実践のなかでの福祉教員像 
  (3) 山間部におけるアクターとしての福祉教員 
  (4) 地域因習の打破をめざして 
4 福祉教員における閉鎖的側面の再検討 202
5 二面性をめぐる考察:結論にかえて 207


第5章 三つの実践記録を結ぶもの・隔てるもの――福祉教員が経験した「歴史的断層」に関する考察 216
1 本章の目的 216
2 『きょうも机にあの子がいない』 217
3 『子らをみつめて』 224
4 『あさかぜ』 249
5 おわりに 267


第6章 紙の世界の向こうを張ろうとする〈声〉をきく――草創期福祉教員へのインタビュー経験から 272
1 本章の目的 272
2 予期せぬ出会い 274
3 インタビュー過程のなかから (1):「矜持の語り」をめぐって 276
4 インタビュー過程のなかから (2):部落出身者としての語りの顕現 285
5 紙の世界の向こうを張ろうとする〈声〉をきくこと 291
6 後日譚 294


第7章 戦後初期同和教育におけるハイブリディティ――日教組教研集会報告における〈特殊〉の用語法を手がかりに 301
1 問題と方法 301
2 全国教研における「三頭立て構造」の俯瞰と複数の語りのチャンネルの存在 303
3 「特殊教育」のスコープの拡大 306
4 基本エッセンスの胚胎:第1次教研資料に注目して 309
5 「局地化=中央化する力」の制度への定着:第3次教研資料から 315
6 〈特殊〉の終焉:「純化」の果てにあるもの 323


終章にかえて 327


謝辞(二〇〇九年秋の日に 倉石一郎) [335-337]
初出一覧 [339]