英題:On Nationalism: Theory, History, and Area Study
編者:大澤 真幸[おおさわ・まさち]
編者:姜 尚中[かん・さんじゅん]
著者:佐藤 成基[さとう・しげき]
著者:嘉戸 一将[かど・かずまさ]
著者:テッサ・モーリス=鈴木[てっさ・もーりす=すずき]
著者:李 光一[り・こういち]
著者:富永 茂樹[とみなが・しげき]
著者:牧原 憲夫[まきはら・のりお]
著者:園田 茂人[そのだ・しげと]
著者:酒井 啓子[さかい・けいこ]
著者:白石 隆[しらいし・たかし]
著者:臼杵 陽[うすき・あきら]
著者:柴 宜弘[しば・のぶひろ]
著者:古矢 旬[ふるや・じゅん]
著者:黒宮 一太[くろみや・かずもと]
著者:鵜飼 哲[うかい・さとし]
装幀:デザイン集合ゼブラ + 坂井 哲也
シリーズ:有斐閣アルマ;Advanced
件名:ナショナリズム
NDC:311.3 政治学.政治思想
【目次】
はしがき(大澤真幸) [i-vii]
執筆者紹介 [viii-x]
information [xi]
目次 [xii-xxii]
序章 ナショナリズムという謎[大澤真幸] 001
0.1 ナショナリズム研究の中心的な問い 002
レーニンのショック
「想像された共同体」
0.2 ナショナリズムのパラドクス 006
ネーションの「古い起源」
無名戦士の墓標
二種類の系列性
0.3 三つの理論 019
産業化という要請:ゲルナー
出版/資本主義:アンダーソン
エトニーのナショナルな起源:スミス
0.4 ナショナリズムに季節外れの嵐 031
第I部 ナショナリズムの理論
第1章 ナショナリズムの理論史[佐藤成基] 039
はじめに 040
1.1 「古典以前」のナショナリズム論 041
1.2 「古典的」ナショナリズム論――近代主義と反近代主義 043
近代主義
反近代主義
「論争」の行方
1.3 「古典以後」のナショナリズム論 053
「古典」からの脱却
「意味」と「動員」:二つのアプローチ
接合の試み
おわりに
第2章 ナショナリズムとは何か――ドグマ人類学の立場から[嘉戸一将] 063
はじめに 064
2.1 ドグマ人類学という立場──法と国家を論じるために 066
いくつかの前提
法・国家・正統性
「国家は何に役立っているのか」
2.2 ナショナリズムに対する一つの観点 075
「祖国」という問題
「祖国のために死ぬこと」
「近代」と「祖国」
2.3 ドグマ人類学の可能性――結びに代えて 082
諸概念の普遍化をめぐって
近代日本と「国家」
おわりに
第3章 「わが国固有の領土」――日本史における境界とネーションをめぐるイメージ[テッサ・モーリス=鈴木] 089
3.1 地理的身体としてのネーション 090
歴史の名のもとに
イメージに内在された意味を引き出す
3.2 「日本」はいつから? 092
6000年前への投影
歴史的実在としての「日本国」
3.3 辺境からの眺め 096
日本の辺境から眺める
アイヌ社会
琉球諸島対馬
3.4 時間と空間の中の辺境 098
近代以前の北東アジア
オホーツク海周辺地域の社会
交易による社会の変化
3.5 「縄文時代」はどこにあったのか? 102
時代区分を問い直す
歴史的時代の多数性
3.6 誰が過去を所有するのか? 104
歴史は誰に「帰属」するのか
歴史の政治的利用を超えて
第II部 ナショナリズムの歴史
第4章 ヨーロッパにおける「国家」と「国民」の創出[李光一] 111
はじめに:概念の整理 112
4.1 絶対主義と権力機構としての「国家」 112
君主と国家
常備軍と官僚制による中央集権化
対外戦争と財政危機
4.2 軍事国家化・市民権・直接支配 116
フランス革命と継続する戦争
革命後の危機と市民権
市民権の拡大とその背景
4.3 二つのナショナリズム──国家主導型ナショナリズムと国家追求型ナショナリズム 122
インフラ整備と住民の国家帰属化
「国家追求型ナショナリズム」の台頭
おわりに 127
第5章 〈国民〉の困難──啓蒙,宗教,コミュニケーション[富永茂樹] 129
5.1 〈平地〉か〈尖端〉か 130
シエイエスの後退?
5.2 包摂という至上命題 131
国民であるためには
信仰の運命
5.3 画一と抽象 136
団体の精神から国民の精神へ
言語の統一 138
5.4 定着と散在 140
政治的代表制の成立
活字メディアの効用
統計学・公衆・人口
5.5 記憶の創出 146
国民の栄光を求めて
博物館の誕生
第6章 日本はいつネーションになったか[牧原憲夫] 151
6.1 国民をつくる 152
「戦者」の不在 152
客分意識の払拭 153
天下と憂楽を共にする 155
反政府的国民主義 157
自己規律と集団意識
6.2 国民意識の定着・深化 162
国民統合の4点セット
「国民の戦争」
挙国一致のための普通選挙
「帝国」の恩恵と「生き甲斐」としての戦争
6.3 「国民」を疑う 169
個人・国民・人類
自己客観化
第III部 ナショナリズムの様態
第7章 現代中国のナショナリズム──その過激化の論理と力学[園田茂人] 175
7.1 反日デモの衝撃 176
2005年の反日デモとその余波
愛国主義教育の結果?
中国国内の矛盾の表れ?
過激化するナショナリズム
7.2 台頭するナショナリズム──その過激化の論理と力学 181
新しい中華意識の生成
強国への愛憎二重心理
徳治主義的政治文化
電脳空間のなかの政治
7.3 ナショナリズム・ゲームを超えて 190
歴史を鑑にするということ
インターネット時代の相互理解
第8章 中東・アラブ地域におけるナショナリズム[酒井啓子] 195
8.1 ナショナリズムか,イスラーム主義か 196
ナショナリズムとイスラーム主義の共通性
宗教を矮小化するナショナリズム
8.2 「西欧の脅威」に抗する「共同体」の想像 199
19世紀末の「イスラーム共同体」防衛
言語に基づく共同体の再編
8.3 アラブ・ナショナリズムの展開 203
分断された 「アラブ・ネーション」
革新的アラブナショナリズムの出現
「アラブの統一」に優先する一国ナショナリズム
歴史的祖国意識と既存国家領域の齟齬
8.4 アラブ・ナショナリズムからイスラーム主義へ 210
イスラーム主義によるナショナリズム批判 210
領域に関心のないイスラーム主義
グローバルな「被害者共同体」意識の拡大
第9章 インドネシアにおけるイスラーム主義とナショナリズム──イマム・サムドラの手記を手がかりとして[白石隆] 215
はじめに 216
9.1 ジャマア・イスラミア──その歴史とイデオロギー 217
ジャマア・イスラミアの誕生
ジャマアイスラミアのネットワーク
9.2 イマム・サムドラ──その生い立ち 221
アフガニスタン
イスラーム主義殉教者の系譜
学校教育の危険
ジャビルとの出会い
アフガニスタンでの経験
アフガニスタン以降
9.3 なぜジハードなのか 233
ジハードの正当性
自衛と自尊のための「テロ」
9.4 イスラーム主義とナショナリズム 237
「ナショナリティ」の汚染
社会学的範疇の欠落
異なる「奸計」理解
ネットワークの「純化」
イスラーム主義の政治的想像力と可能性の貧困
第10章 イスラエルにおけるナショナリズム──宗教的/国民的アイデンティティ[臼杵陽] 249
10.1 はじめに──宗教とナショナリズム 250
10.2 ユダヤ人国家としてのイスラエルとユダヤ人ディアスポラ 251
イスラエルとディアスポラの関係
ユダヤ人意識とイスラエル人意識
ユダヤ人の定義とユダヤ教
10.3 「誰がユダヤ人か?」をめぐる宗教と市民の相克 256
正統派ユダヤ教徒と改革派および保守派ユダヤ教徒の対立
改宗ユダヤ人とイスラエル国籍
イスラエル帰還法
ユダヤ教ファンダメンタリズムの二湖流
10.4 イスラエル国家における宗教復興とユダヤ人のエスニック問題 262
シャス党の成立の意義
ベングリオンと超正統派ユダヤ教徒の現状維持協定
イスラエルの宗教と国家 266
10.5 おわりに 268
第11章 バルカンのナショナリズム[柴宜弘] 271
11.1 近代バルカン国家の建国 272
セルビア蜂起と国家のイメージ
在外ギリシア人の国家イメージ
ギリシア独立戦争と国家のイメージ
11.2 バルカン・ナショナリズムの特徴 278
国家なきナショナリズム
セルビアのナショナリズム
ギリシアのナショナリズム
11.3 変質するナショナリズム 284
国民国家への再編
よみがえる民族自決権
民族自決に代わる独立の原理
第12章 アメリカ・ナショナリズム――歴史と構造[古矢旬] 293
12.1 アメリカ・ナショナリズムの起源 294
アメリカン・ナショナリティの分離独立
イギリス的伝統の呪縛 : アメリカ独立の矛盾
12.2 アメリカ・ナショナリズムの原型 297
シビック・ナショナリズムの誕生
民族主義的人種主義的ナショナリズム
ヨーロッパ中心主義
12.3 アメリカ・ナショナリズムの展開 302
エスニックな多様性と国民統合
移民国家アメリカ
ハイフン付きアメリカ人
統治構造:連邦制という容れもの
ナショナルアイデンティティを求めて
社会的同化と国民統合
多文化主義の台頭と「アメリカの分裂」
12.4 アメリカ・ナショナリズムの国際環境 311
危機のナショナリズム
「テロとの戦争」
変貌するアメリカ・ナショナリズム
第IV部 今日のナショナリズム――『〈帝国〉』以降の世界
第13章 シビック/エスニック・ナショナリズム[黒宮一太] 317
13.1 戦後の国民形成における範型 318
二分される世界,一元化する「国民」
リベラルデモクラシーに参集する「市民」
13.2 シビック・ナショナリズム── 「シビック」から「リベラル」へ 322
「シビックネーション」という神話
「国民文化」の相対化
リベラリズムとナショナリズムの接合
13.3 国民の共有規範のありか 329
「国民であること」をめぐる自由討論
ネーションとは 「義務の共同体」
ナショナリズムの本義
おわりに
第14章 ナショナリズム,その〈彼方〉への隘路[鵜飼哲]339
14.1 あるパラサイトの経験 340
14.2 ナショナリズムとは何か 342
nationの語源
「生まれ」の「同一性」とは
14.3 この時代のナショナリズム 345
ナショナリズムと資本主義
冷戦以後のナショナリズム
単一の世界ルール
歴史との絆の喪失
14.4 もう一つの世界,もう一つの歴史,もう一つのアジア 351
日本人の課題
おわりに
終章 ナショナリズムをくぐりぬけて──あるナショナリストの現象学[姜尚中] 357
15.1 ゲゼルシャフトからゲマインシャフトへ 358
ナショナリズム,この不可解な現象
原因は外にある?
「世界システム論」的理解
矛盾を解き明かすために
15.2 ナショナリスト以前 361
冷戦構造のなかのヒエラルヒー
アンビバレンスに懊悩する
15.3 ナショナリストという病 364
日本における文化ナショナリズムの台頭
「遠隔地ナショナリズム」による「民族的覚醒」
ナショナリズムの「病」の自覚
15.4 ナショナリズムの彼方へ 368
国家に焦点を結ぶナショナリズムの広がり
政治的単位と文化的単位の一致を図る試み
基盤解体のなかでの高揚
変質したナショナリズムの彼方へ
15.5 むすび――東北アジア コモンハウス 374
引用・参照文献一覧 [377-390]
事項索引 [391-401]
人名索引 [402-405]
Column 一覧
① Nationという語
② ネーション,ナショナリズムの定義
③ ネーションと国家
④ ナショナリズムとリベラリズム
⑤ 国家間システム
⑥ 「固有の文化」を創る
⑦ 方言はスパイ
⑧ 台湾アイデンティティの台頭
⑨ 『ノーと言える中国』