著者:児玉 真美[こだま・まみ](1956-)
装丁:糟谷 一穂[かすや・いちほ] 装画。
件名:人権--障害児
件名:医療倫理
NDLC:EG57
NDC:369.27 社会福祉 >> 公的扶助.生活保護.救貧制度 >> 障害者福祉:身体障害者福祉,肢体不自由者福祉
NDC:369.49 社会福祉 >> 児童福祉 >> 心身障害児福祉・養護施設
【目次】
はじめに [003-009]
目次 [010-014]
第1部 アシュリー・Xのケース
1 アシュリー事件とは 016
“アシュリー療法”論争
今なお続く論争
P・シンガー「犬や猫にだって尊厳認めない」
2 アシュリーに何が行われたのか 025
事実関係の確認
子宮・乳房芽と盲腸の摘出
エストロゲン大量投与による身長抑制
「成長抑制」と“アシュリー療法”
3 “アシュリー療法”の理由と目的 038
主治医論文は「在宅介護のため」
親のブログは「本人のQOLのため」
身長抑制の理由と目的
子宮と乳房芽摘出の理由と目的
基本は「用がない」それから「グロテスク」
4 アシュリーとはどのような子どもなのか 052
論文が描くアシュリー
親のブログが描くアシュリー
「重症障害児」というステレオタイプ
ディグマのステレオタイプ
ステレオタイプの背後にあるもの
5 経緯と、それが意味するもの 068
2004年初頭から夏
異例の厚遇
隠ぺいと偽装
隠ぺいと偽装が意味するもの
第2部 アシュリー事件 議論と展開
6 議論 090
効果はあるのか?
「科学とテクノで簡単解決」文化
優生思想の歴史とセーフガード
医療化よりもサービスと支援
7 WPAS調査報告書 107
医療決定における障害者の権利
病院との合意事項
WPASの不可解
未解明の費用
8 K. E. J. 事件とケイティ・ソープ事件 122
1) K.E.J.事件 123
K.E.J.判決(イリノイ州)
セーフガードのスタンダード
代理決定のスタンダード
本人の最善の利益を認めるに当たって考えるべき六つのファクター
米国産婦人科学会倫理委員会「知的障害者を含む女性の不妊手術に関する意見書」
2) ケイティ・ソープ事件【英国】 131
繰り返される論争
「この子にできるのは息をすることだけ」
NHSは要請を却下
9 法と倫理の検討 141
ある倫理学者の論文
豪・法律事務所の見解
アリシア・クウェレットの論文
エイミー・タンらの論文
「どうせ」が共有されていく「すべり坂」
第3部 アシュリー事件が意味するもの
10 その後の展開 162
ディクマがカルヴィン大学で講演
父親のブログ1周年アップデイト・CNNインタビュー
ピーター・シンガーが再びアシュリー・ケースに言及
子ども病院の成長抑制シンポジウムとワーキング・グループ
ディクマとフォストらが成長抑制に関する論文
ディクマとフォストが論文でアシュリー・ケースへの批判に反論
親のブログ3周年アップデイト――既に12人に実施
インターネットで続く“怪現象”
ディクマ著、小児科学会の栄養と水分停止ガイドライン
アンジェラ事件(オーストラリア)
メリーランド大学法学部で障害者に関する医療と倫理を巡るカンファレンス
成長抑制ワーキング・グループの「妥協点」論文、HCR
別の存在だと「考えるべきではない」という防波堤
11 アシュリー事件の周辺 206
ゴンザレス事件とテキサスの“無益な治療”法
ノーマン・フォストの“無益な治療”論
シャイボ事件(米 2005)
ゴラブチャック事件(カナダ 2009)
リヴェラ事件(米 2008)
ナヴァロ事件
ケイリー事件
フォスト、シンガーらの「死亡者提供ルール」撤廃提案
臓器提供安楽死の提案
「死の自己決定権」議論
12 アシュリー事件を考える 236
記事から“消えた”2行
親が一番の敵
親たちの声なきSOS
ダブル・バインド
対立の構図を越えるために
メディカル・コントロールと新・優生思想の世界へ
あとがき(ガンサー&ディクマ論文から五年目の秋に 児玉真美) [261-264]
著者略歴 [265]
【メモランダム】
・「医学的無益性」についての短報。
児玉真美(2019)「「死ぬ権利」と「無益な治療」:命の選別と切り捨てへの力動の両輪として」『科学技術社会論研究』19, 55-67.