編者:金水 敏[きんすい・さとし](1956-)
著者:岩田 美穂[いわた・みほ](1980-) 日本語史 (文法史)。
著者:大田垣 仁[おおたがき・さとし](1980-) 日本語学 (換喩を中心とした名詞句意味論)。
著者:岡崎 友子[おかざき・ともこ](1967-) 日本語史。
著者:廣坂 直子[ひろさか・なおこ](1971-) 日本語史 (文法の変化・訓点)。
著者:藤本 真理子[ふじもと・まりこ](1983-) 日本語史。
著者:依田 恵美[よだ・めぐみ](1976-) 日本語史。
装丁・レイアウト:金子 泰明[かねこ・やすあき]
カバーイラスト:理事長の娘・一の宮蕗子〔いちのみや・ふきこ〕(池田理代子『おにいさまへ…』(中央公論新社)第一巻、71頁)
件名:日本語--位相
NDLC:KF115
NDC:814.9 日本語 >> 日本語--語彙 >> 隠語.俗語.階級語.女房詞.遊里語
※
以下の目次では辞典部分での見出しを、「見出し語(現代仮名遣い)/見出し語(漢字+仮名または原語)/[品詞]/〈役割語名〉」という順に並べてある。ただし二つ目の「見出し語(漢字+仮名)」のみ、省略することもある。
「品詞」の分類については、この辞典(巻頭の凡例で説明されている通り)学校文法の品詞が用いられているため、それにしたがった。
「役割語名」はひとつの見出しに対して複数個付加されることもある。また、巻末の役割語名索引が「役割語名」の一覧となっている。「役割語名」の分類は巻頭の「役割語とは何か――この辞典を利用する前に」を参照。
見出し語と執筆者の対応は、【目次】に盛り込むのではなく【メモランダム】の方に回した。
【目次】
はしがき [i-iii]
目次 [iv]
役割語とは何か――この辞典を利用する前に [v-xv]
役割語の定義
ステレオタイプとフィクション
役割語の分類
性差
年齢・世代
職業・階層
地域
人間以外
役割語の歴史的な形成過程
用例の示し方
こんな方にお勧めします
凡例 [xvi-xvii]
見出し
本文
付録
一覧 [xviii-xx]
〈役割語〉小辞典
あ行 001
あかん 明かん [連語] 〈大阪弁・関西弁〉
あそばす 遊ばす [動詞] 〈奥様ことば〉
あたい [代名詞] 〈女ことば〉〈スケバン語〉
あたくし 私 [代名詞] →「わたくし」
あたし [代名詞] 〈女ことば〉〈おばあさん語〉〈江戸ことば〉〈下町ことば〉
あっし 私 [代名詞] 〈江戸ことば〉〈やくざ〉
あほ 阿呆 [名詞] 〈大阪弁・関西弁〉
あら [感動詞] 〈女ことば〉〈おネエことば〉〈お嬢様ことば〉
あります 有ります・在ります [動詞] 〈アリマスことば〉 〈片言〉
ありんす 有りんす [連語] 〈遊女ことば〉
ある 有る・在る[動詞] 〈アルヨことば〉
あんた 貴方 [代名詞] 〈大阪弁・関西弁〉〈女ことば〉〈若者ことば〉
いたす 致す [動詞] 〈武士ことば〉
うち 内 [代名詞] 〈大阪弁・関西弁〉〈ギャル語〉
うらめしや 恨めしや・怨めしや [連語] 〈幽霊ことば〉
えらい 偉い [形容詞・副詞] 〈大阪弁・関西弁〉〈名古屋弁〉
おいでやす 御出でやす [感動詞] 〈大阪弁・関西弁〉〈京ことば〉
おいどん 吾共 [代名詞] 〈九州弁〉〈相撲取りことば〉
おいら 俺等 [代名詞] 〈江戸ことば〉〈男ことば〉
おお 応/O(Oh) [感動詞] 〈武士ことば〉〈男ことば〉〈片言〉
おおきに 大きに [感動詞] 〈大阪弁・関西弁〉〈京ことば〉
おじゃる お出やる [動詞] 〈公家ことば〉
おす [動詞] 〈京ことば〉〈舞妓ことば〉
おたく お宅 [名詞・代名詞] 〈※〉
おっす(おす) 押忍 [感動詞] 〈若者ことば〉
おぬし 御主 [代名詞] 〈武士ことば〉〈老人語〉
おのれ 己 [代名詞・感動詞] 〈男ことば〉
おばあ お婆 [名詞] 〈沖縄ことば〉
おひかえなすって お控えなすって [連語] 〈やくざことば〉
おほほ [感動詞] →「ほほほ」
おます [動詞] 〈ことば〉
おまん お前 [代名詞] 〈土佐弁〉〈ことば〉
おら [代名詞] 〈田舎ことば〉
おる 居る [動詞] 〈尾張ことば〉〈老人語〉
おれ 俺・儂 [代名詞] 〈男ことば〉
か行 068
かしら [助詞] 〈お嬢様ことば〉〈奥様ことば〉
かたじけない 忝い [連語] 〈武士ことば〉
がんす [動詞] 〈田舎ことば〉
きさま 貴様 [代名詞] 〈男ことば〉
くう 食う [動詞] 〈男ことば〉
くそ 糞 [名詞・接頭辞] 〈男ことば〉
くらう 食らう [動詞] 〈男ことば〉
ごしゅじんさま ご主人様 [名詞] 〈執事ことば〉〈メイドことば〉
ごぜえます 御座えます [動詞] 〈田舎ことば〉〈江戸ことば〉〈やくざことば〉
こと 事 [助詞] 〈お嬢様ことば〉〈奥様ことば〉
ごめん 御免 [名詞・感動詞] 〈武士ことば〉〈忍者ことば〉〈町人ことば〉
ごわす [動詞] 〈九州弁〉〈相撲取りことば〉
ごんす [動詞] 〈相撲取りことば〉〈田舎ことば〉
さ行 092
さ [助詞] 〈男ことば〉〈少年語〉〈沖縄ことば〉〈田舎ことば〉
ざあます [動詞] 〈奥様ことば〉
さよう 左様 [形容動詞・感動詞] 〈老人語〉〈武士ことば〉
さらば 然有 [副詞・接続詞・感動詞] 〈老人語〉〈武士ことば〉〈町人ことば〉
しっけい 失敬 [形容動詞・サ変動詞語幹] 〈書生語〉〈上司語〉
じぶん 自分 [名詞・代名詞] 〈軍隊語〉〈若者ことば〉〈大阪弁・関西弁〉
じゃ [助動詞] 〈上方ことば〉〈老人語〉〈大阪弁・関西弁〉〈武士ことば〉〈王様・貴族語〉〈お姫様ことば〉
しょくん 諸君 [名詞] 〈書生語〉〈演説ことば〉〈上司語〉
すんまへん 済んまへん [連語] 〈大阪弁・関西弁〉
ぜ [終助詞] 〈男ことば〉〈江戸ことば〉〈やくざことば〉〈下町ことば〉
せっしゃ 拙者 [代名詞] 〈武士ことば〉〈忍者ことば〉
ぜよ [助詞] 〈土佐弁〉
ぞ [助詞] 〈権力者語〉〈武士ことば〉
それがし 某 [代名詞] 〈武士ことば〉
た行 117
だ [助詞] 〈田舎ことば〉
だす [助動詞] 〈大阪弁・関西弁〉〈京ことば〉
たまえ 給え [動詞] 〈書生語〉〈上司語〉
だんな・だんなさま 旦那(様) [名詞] 〈江戸ことば〉〈上方ことば〉
ちゃう 違う [動詞] 〈大阪弁・関西弁〉
つかわす [動詞] 〈武士ことば〉〈王様・貴族語〉
っす [助動詞] 〈田舎ことば〉〈若者ことば〉
て [助詞] 〈お嬢様ことば〉〈女ことば〉
で [終助詞] 〈大阪弁・関西弁〉
であります [連語] 〈軍隊語〉
である [連語] 〈演説ことば〉〈軍隊語〉
ですな [連語] 〈おじさん語〉
でっか [連語] 〈大阪弁・関西弁〉
てやんでえ [感動詞] 〈江戸ことば〉〈下町ことば〉
と [助詞] 〈九州弁〉
とる [助動詞] 〈老人語〉〈博士語〉〈大阪弁・関西弁〉〈田舎ことば〉〈武士ことば〉
な行 142
なんじ 汝 [代名詞] 〈老人語〉〈神様語〉
なんでやねん 何でやねん [連語] 〈大阪弁・関西弁〉
ぬ [助動詞] 〈武士ことば〉〈老人語〉〈博士語〉
ね [助詞] 〈女ことば〉〈中国人語〉
ねん [助詞] 〈大阪弁・関西弁〉
の [助詞] 〈老人語〉〈博士語〉〈女ことば〉
のう [助詞] 〈老人語〉〈田舎ことば〉
は行 156
ばってん [接続詞] 〈九州弁〉〈田舎ことば〉
はる [助動詞] 〈京ことば〉〈大阪弁・関西弁〉
べ →「べえ」
へい Hey [感動詞] 〈片言〉
へえ [感動詞] 〈町人ことば〉〈田舎ことば〉
べえ [助動詞] 〈田舎ことば〉
へん [助動詞] 〈大阪弁・関西弁〉
ぼく [代名詞] 〈書生語〉〈上司語〉〈男ことば〉〈少年ことば〉
ぼちぼち [副詞] 〈大阪弁・関西弁〉
ほほほ・おほほ [感動詞] 〈お嬢様ことば〉〈奥様語〉
ほんま 本真 [名詞・副詞] 〈大阪弁・関西弁〉
ま行 176
まあ [感動詞] 〈女ことば〉
まいど 毎度 [副詞] 〈大阪弁・関西弁〉
まいる 参る [動詞] 〈武士ことば〉
まじ [形容動詞・副詞] 〈若者ことば〉〈芸人ことば〉
ませ 坐せ [助動詞] 〈奥様ことば〉〈執事ことば〉〈メイドことば〉
まろ 麻呂・麿 [代名詞] 〈公家ことば〉
みども 身共 [代名詞] 〈武士ことば〉
もうかりまっか 儲かりまっか [連語] 〈大阪弁・関西弁〉
もうす 申す [動詞] 〈武士ことば〉〈老人語〉
や行 189
やがる [助動詞] 〈男ことば〉〈江戸ことば〉〈やくざことば〉
よ(1) [助詞] 〈女ことば〉
よ(2) [助詞] 〈田舎ことば〉
よか 良か [形容詞] 〈九州弁〉
よっしゃ 良っしゃ [感動詞] 〈大阪弁・関西弁〉〈若者ことば〉
よろしい 宜しい [形容詞] 〈ピジン〉〈片言〉〈アルヨことば〉
わ行 198
わ [助詞] 〈女ことば〉
わがはい 吾輩・我輩 [代名詞] 〈上司語〉〈博士語〉
わし 儂 [代名詞] 〈男ことば〉
わたくし 私 [代名詞] 〈奥様ことば〉〈お嬢様ことば〉〈やくざことば〉
わちき [代名詞] 〈女ことば〉〈遊女ことば〉
わて [代名詞] 〈大阪弁・関西弁〉
わらわ 私/妾 [代名詞] 〈女ことば〉〈お嬢様ことば〉
われ 我 [代名詞] 〈大阪弁・関西弁〉
われわれ 我々 [代名詞] 〈演説ことば〉〈宇宙人語〉
ん 214
ん [助動詞] 〈大阪弁・関西弁〉〈田舎ことば〉〈書生語〉
引用出典一覧 [216-234]
エッセー・随筆
絵本
演説
脚本
狂言
記録
講談
滑稽本
古典
洒落本
小説
新聞
童話
人情本
俳諧・雑俳
翻訳
マンガ
漫才
読本
落語
和歌集
参考文献 [236-240]
役割語名索引 [241-243]
編著者・執筆者紹介 [244-245]
【メモランダム】
・〈奥様語〉(p.171)もあるが、基本的に〈奥様ことば〉という名称を基本としている。
上記目次は各項目の解説文中の分類をそのまま書き写している。つまり、ぶれも反映している。
・「ぜ」(pp.108-110)、「で」(p.130)など、[助詞]ではなく[終助詞]と細かくラベリングされていることもある。
・マンガの例が多い。マンガ作品の抜粋も多め。
・「おたく」の項目では、とくにこれといった役割語の分類されていない。「おたく」自体が役割語ではないが、役割語に大きく関連する(最近の作品の消費層として、またはサブカルチャーの潮流に関係するアクターとして関連する)から立項された……のだろうか?
・〈京ことば〉としての「〜やす」は立項されていない。ただし「〜おす」(「ある」の丁寧語)は立項されてる。
・(追記)2016年以降、Vtuberが増えた。キャラ設定がマンガ的(方言使いもお嬢様も怪物もいる)なので、役割語を多用している。