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『検証・学歴の効用』(濱中淳子 勁草書房 2013)

著者:濱中 淳子[はまなか・じゅんこ] (1974-) 教育社会学
NDC:371.3 教育 >> 教育学.教育思想 >> 教育社会学.教育と文化
件名:学歴
件名:教育社会学


検証・学歴の効用 - 株式会社 勁草書房


【目次】
はしがき――個人がコントロールできる数少ない地位達成手段「教育」 [i-v]
目次 [vii-xiii]


序章 学歴不信社会の到来? 001
1 増大する学歴の効用 002
2 「学歴の効用」を疑う風潮の広がり 008
3 研究者は何をしていたのか 014
4 本書の構成とデータ 022
注 025


第I部 大卒という学歴を問いなおす

第一章 高卒と大卒は何が違うのか――人材としての質的違いにみる学歴の効用 031
1 「学歴で人材タイプが変わる」という視点 031
2 注目する三つの要因――現職以前の経験・他者との関わり・自己学習 035
  要因(1) 現職以前の経験(転職)
  要因(2) 他者との関わり
  要因(3) 自己学習
3 同じ学歴でも異なる所得 043
4 高卒人材・大卒人材それぞれの成長要因 046
  現職以前の経験の効果にみる学歴間の相違
  他者との関わりのなかで成長する高卒/自己学習で成長する大卒
  職業領域による違いはあるか
5 効用をめぐる新しい見方――その可能性と意義 053
注 057


第二章 出世する大卒・しない大卒――「学習経験」が学歴内の多様性をもたらす 058
1 分散から考える「学歴の効用」問題 058
2 経済学における二つの理論と「学び習慣仮説」 060
3 みえにくい経済学系の効用 064
4 ミドル以降に上昇する効用 071
5 時間の隔たりが失わせてしまう効用観 076
6 効用があらわれるための「条件」としての学習習慣 080
注 082


第三章 大卒人材と読書 084
1 「自己学習の中核である読書」の効用を考える 084
2 工学系の読書と経済学系の読書 088
3 読書と所得のつながり方 091
  所得を高める読書のジャンル
  読書版「学び習慣仮説」は成立するか
4 きっかけとしての専門書 101
注 107


第II部 もう一つの学歴社会論――女子・専門学校・大学院

第四章 女子と学歴 111
1 女子の進学という未解明問題 111
  急増した大学教育への進学需要
  吟味が必要な理由
  「学歴効用の解明」と「進学行動の解明」という二つの課題
2 女子高等教育の経済的効用――正規社員・非正規社員・結婚 118
  正規社員として働く女子にとって有利な学歴
  非正規社員にとっての経済的効用
  結婚市場での価値
  学歴の経済的効用はどの領域で顕著か
3 経済合理的に説明できる進学需要の変化 126
  従来型(男子)モデルによる分析
  労働力追加モデルによる分析
4 「女子の高学歴化」以降の課題 134
注 136


第五章 専門学校への進学は「得」なのか 138
1 「第三の進路先」としての専門学校 138
2 政府統計資料による分析の限界と本章のアプローチ 142
3 専門学校卒業者が従事している職業 146
  職業の分布――「要資格職」への従事という特徴
  「専門学校卒→非資格職」といういま一つのルート
4 専門学校教育の効用分析 152
  経済的効用はどのようなものか
  要資格職への従事が高める職業意識
5 「期待できる効用の範囲を知る」ことの重要性 159
注 161


第六章 院卒という学歴は「使えない」のか 164
1 注目されはじめた院卒学歴問題 164
2 院卒就職の厳しさ 166
  安定雇用に就かない者の比率
  文系では認められない経済的効用
  安定までの道が遠い研究者ポスト
3 背景としての政策と現行の対応策の不十分さ 172
4 データにみる院卒学歴の強さ 177
  修学費にみる「強い学習意欲」
  「企業が用意できない教育機会」を補う機能
  「フレームワークの修得」
  「考えることの練習」の場としての大学院
5 状況改善のかすかな兆し 188
注 190


第III部 「学歴の効用」の認識社会学

第七章 学歴不信社会の源泉――三つの社会的要因 195
1 「なぜ、不信が芽生えるのか」という問い 195
  (1) 大卒学歴の効用は増大している(序章)
  (2) 高卒と大卒は「異質な人材」だとみなすことができる(第一章)
  (3) 大学時代をどのように過ごしたかが、経済的効用を左右する(第二章・第三章)
  (4) 女子にとって大学進学は、「オールマイティー」な効用をもたらす(第四章)
  (5) 専門学校の効用は、資格につながる領域に限定して確認される(第五章)
  (6) 院卒学歴の効用は、現段階では小さいが、注目される教育機能もある(第六章)
2 効用低下の実体験 200
3 妥当な試金石の欠如と報道の影響 207
4 速すぎた高学歴化 213
注 217


第八章 学歴と「健全に」向き合える社会へ 219
1 学歴好きの学歴嫌い 219
2 諸悪の根源は、入試? 222
3 大衆化育ちの大衆嫌い 225
4 教育を軽視する社会――地に足がつかない「北欧好き」 228
5 普通の子の学びを見守る「健全な」社会へ 233
注 237


あとがき(二〇一三年四月 濱中淳子) [239-243]
文献 [v-xiii]
索引 [i-iii]