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『食の実験場アメリカ――ファーストフード帝国のゆくえ』(鈴木透 中公新書 2019)

著者:鈴木 透[すずき・とおる](1964-) アメリカ地域研究、現代アメリカ論。
NDC:383.853 飲食史[食制](北アメリカ)


食の実験場アメリカ -鈴木透 著|新書|中央公論新社


【目次】
まえがき [i-vi]
目次 [v-vii]
地図 [viii]


序章 三つの記憶と一つの未来――アメリカ食文化史の見取り図 003
  記憶媒体としての食べ物
  アメリカの原風景
  ファーストフードの成立過程
  ファーストフードの抵抗の記憶
  ポストファーストフードの未来
  食から社会を変革する


第1章 生き続ける非西洋の伝統――食に刻まれたアメリカの原風景 013
1 白人入植者の食を支えた先住インディアンと黒人奴隷 014
  食糧調達の素人としての白人入植者
  先住インディアンの食の伝統と農業技術
  先住インディアンの食材の代用と混血料理/創作料理の萌芽
  西インド諸島型経済体制の食糧事情
  料理人となった黒人奴隷
  カリブ海からアメリカ南部へ
  国民的スナックと返信したポップコーン
  バーベキューとフライドチキン
  ソウルフードの横断的性格
2 パンプキンパイの兄弟――創作される混血地方料理 032
  植民地建設競争への列強の参入
  イギリス植民地の多様性と非イギリス的要素
  文化融合の組み合わせの帰結としての地域的多様性
  ルイジアナクレオールケイジャン
  テキサスのチリコンカルネ
  ペンシルヴァニア・ダッチの食文化
  ニューイングランドのクラムチャウダー
  ナショナルに先行するローカル/インターナショナル
  外部の恩恵を土着化していく創造力
3 飲み物の恨みは恐ろしい?――独立革命の食文化史 047
  解放と模倣――イギリス植民地の矛盾した心理
  独立革命直前のイギリスブーム
  酒とグルメとタバーン
  食通だった独立革命の指導者たち
  砂糖と茶
  ボストン茶会事件の象徴的意味
  ラム酒からバーボン、ビールへ
  紅茶からコーヒーへ
  飲み物をめぐる社会的選択と文化的独立


第2章 ファーストフードへの道――産業社会への移行と食の変革の功罪 067
1 ハンバーガーの登場――移民の流入エスニックフードビジネスの遺産 068
  南北戦争でのカルチャーショックと共通体験
  急速な工業化と新移民の流入
  都市型エスニックフードの新たなビジネスチャンス
  ハインツ社とトマトケチャップ
  ベーグルとデリカテッセンの普及
  クレオール料理の進化
  ハンバーガーとホットドッグを普及させた万国博覧会と遊園地
  創作サンドイッチとてのハンバーガ
  多様な創作エスニックサンドイッチ
  創作エスニックサンドイッチとチリの出会い
  新たなクレオール化と食の標準化
2 コカ・コーラの数奇な運命――健康食品市場の登場と変質 092
  労働形態の変化と食事の危機
  都市の生活環境の悪化と体力低下への懸念
  薬に依存する社会と健康食品起業家の登場
  シリアルの発明とケロッグ
  コカ・コーラ社と清涼飲料産業の成立
  健康食品とファーストフードの意外な関係
3 食の安全から炊事のルールヘ――食肉工場、禁酒運動、台所 106
  金ぴか時代の経験と公共部門の再構築
  不正の告発と安全意識の高まり
  格好の攻撃対象としての食肉産業
  食品規制の法制化と禁酒運動
  禁酒法
  台所の進化
  広告産業の発展と理想の主婦像の強化
  規範としてのクッキング
4 自動車時代の外食――利便性・収益性追求の終着点としてのファーストフード 119
  南北戦争と缶詰の普及
  西部開拓とチャック・ワゴン
  夜勤労働者とダイナーの普及
  世界大戦のスパムの発明
  宇宙食とインスタント食品
  モータリゼーションとフードビジネスの成立
  マクドナルドとKFC
  フランチャイズ化とファーストフードビジネスの成立


第3章 ヒッピーたちの食文化革命――蘇生する健康志向とクレオール的創造力 137
1 冷凍食品からの脱却――有機農業と自然食品 138
  ファーストフード時代の到来と一九五〇年代の時代状況
  TVディナーと受動化する消費者
  ヒッピーたちの目指したもの
  環境・消費者・食
  ウィンウィンの農業モデルの構築
  健康な食生活の実践
2 ヘルシーからエスニックヘ――食の多様性をめぐる新展開 148
  消費されるカウンターカルチャー
  スローフードの高級化とヘルシー志向の限界
  ナチュラル/ヘルシーのヒントとしての異文化
  多様性を擁護する社会的圧力
  マルチからクロスへ――復活する創作料理の伝統
3 開花するフュージョン料理――味覚のフロンティアを求めて 159
  進化するスシ
  再発見するハワイ
  ヒスパニックの増大とラテンアメリカの料理の影響
  創作の器としてのボウルとフィンガーフード
  創作料理の最前線としてのビーガン
  グリーン系ファーストフード
  食文化革命の到達点


第4章 ファーストフード帝国への挑戦――変わり始めた食の生産・流通・消費 175
1 格差社会とシンクロするファーストフード 176
  「マクドナルド化」現象
  レーガノミクス格差社会の深刻化
  ピジネスチャンスとしての格差社会
  ロードサイドビジネスの進化形としてのデリバリーサービス
  ロードサイドビジネスからフードコートへ
2 肥満大国への警鐘とフードビジネスのパラダイムシフト 190
  『スーパーサイズ・ミー
  『ファーストフード・ネイション
  フードトラックと新たな路上食文化
  クラフトビールの興隆
  定着するファーマーズマーケット
3 農業共同体の再構築――効率から公益へ 201
  アグリビジネスと農業の工業化
  効率的農業生産の代償
  新しい農業のモデルとしてのCSA
  食を超えたCSAの効用
  フードジャスティスからフードアクティヴィズムへ
  アグリフッドの実験
  都市農業のフロンティアとしての屋上農園
  食文化革命への再チャレンジ
  社会のトータルなコストを考える
  コンパクトな経済圏とコストの公平な負担を考える
  儲かることより暮らしやすいことを考える
  アメリカン・ドリームと食


終章 記憶から未来へ――新たなる冒険の始まり 223
1 現代アメリカの歴史的位置と課題 224
  人口構成の変化と
  冷戦の終結アイデンティティの危機
  過去の直視と自己相対化の必要性
  多文化主義アメリカ第一主義のねじれ現象
  自己中心主義と反知性主義
  打開の糸口としての食
2 食に対する意識改革の射程 232
  異種混交性とアメリカのポテンシャル
  多文化主義と国際協調主義の結節点の強化
  格差社会の解消と公的世界の再構築
  記憶と変革を媒介する食文化研究
  変革は国境を超えて


あとがき [241-250]
参考文献 [251-257]