著者:松中 照夫[まつなか・てるお] (1948-) 農学。土壌肥料学、草地学。
装丁:中濱 健治[なかはま・けんじ] デザイン。
シリーズ:農学基礎シリーズ
NDLC:RB64 農林水産学
NDC:613.5 産業 >> 農業 >> 農業基礎学 >> 土壌、土壌学。
件名:土壌学
http://shop.ruralnet.or.jp/b_no=01_54017105/
【目次】
はじめに(2018年8月 松中照夫) [001]
旧版「序」(2003年9月 岡島秀夫) [002]
旧版「はじめに」(2003年10月 著者) [003]
目次 [004-006]
第1章 地球の生命を支える土壌 007
1. 地球の中での土壌の位置 007
2. 土壌が地球に誕生するまで 007
1 月には土壌がない 007
2 地球の誕生と生命のはじまり 008
3 生物が土壌をつくった 008
3. 生命を支える土壌の機能 009
1 陸上の植物を育てる機能(生産機能) 009
2 水を保持する機能(保水機能) 010
3 有機物や化学物質を分解し浄化する機能(分解浄化機能) 010
4. 地球環境の保全と土壌の役割 011
1 土壌が支える地域環境 011
2 「社会的共通資本」としての土壌 011
第2章 土壌は「環境の産物」 012
1. いろいろな土壌――土壌と土壌物質のちがい 012
2. 土壌の認識と土壌観の確立 012
3. 岩石から土壌へ――土壌とはなにか 013
1 風化作用 13
2 土壌生成作用 14
3 土壌の定義 14
4. 環境がつくる土壌 014
5. 成帯性土壌と成帯内性土壌 015
6. いろいろな土壌生成作用 015
1 高緯度の土壌――有機物蓄積型 16
2 低緯度の土壌――有機物消耗型 17
3 中緯度草原地域の有機物蓄積土壌――チェルノーゼム 17
4 ポドゾル化作用 17
5 塩類集積作用 18
6 鉄アルミナ富化作用 19
7. 土層の分化 020
1 土層とは 20
2 A層およびE層 20
3 B層とC層 21
4 例外的な土層分化――火山放出物を母材とする土壌 21
8. 土壌断面が語る水分環境 022
1 鉄の斑紋 22
2 グライ層 22
9. 土層分化の発達と時間 022
10. 世界の土壌 023
1 世界共通の土壌分類のむずかしさ 23
2 ドクチャーエフの土壌分類体系 24
3 アメリの包括的土壌分類体系――ソイルタクソノミー 24
4 世界の土壌分布 24
11. 日本の土壌 026
1 わが国の土壌分類 26
2 主要土壌の特徴 28
3 わが国の農耕地における土壌分布 28
第3章 有機物が土壌をつくる 030
1. 土壌を完成させるもの 030
2. 土壌有機物は炭素循環で決まる 030
1 土壌の有機物収支は環境が左右 30
2 地球規模の炭素循環と土壌有機物 30
3 耕地規模での炭素循環 34
4 土壌水分環境,気温のちがいと土壌有機物の蓄積量 35
3. 土壌有機物,腐植,腐植物質――その意味のちがい 033
1 土壌有機物 33
2 非腐植物質 34
3 腐植物質 34
4. 土壌有機物の働き 035
第4章 「土は生きている」 036
1. 土は生き物か? 036
2. 土壌と有機物をつなぐ土壌生物 036
3. 土壌に生息する生物の種類と数 037
1 土壌動物 37
2 土壌微生物 37
(1) 分類と生息数,量
(2) 細菌
(3) 放線菌
(4) 糸状菌
(5) 藻類
3 土壌動物と土壌微生物の関係 39
4. 土壌動物の働き 040
1 粗大有機物の粉砕 40
2 有機物の土壌中への引きずり込み 40
3 ミミズによる土壌改良効果 41
5. 土壌微生物の働き 041
1 有機物の無機化 41
2 土壌酵素による有機物の分解と無機化 42
3 有害有機物の分解と浄化 42
4 植物との共生関係 43
(1) 共生的窒素固定菌
(2) 菌根菌
5 エンドファイト 44
第5章 土壌の骨格とそれを決めるもの 045
1. 土壌の三相――固相,液相,気相 045
2. 土壌の容積重 045
1 容積重とは 45
2 容積重は土壌でちがう 46
3. 三相分布と土壌の重量,有機物含量との関係 046
1 容積重の軽い土壌は固相率が低い 46
2 有機物含量が高い土壌は固相率が低い 46
4. 土壌粒子の大きさと液相―― 三相分布の適度なバランス 047
5. 土壌粒子の大きさとのちがいと土壌の性質――土性と土性による土壌分類 047
1 土壌の可塑性・粘着性 47
2 粒径と土性 48
3 粒径区分と反応特性 48
(1) 砂
(2) シルト(微砂)
(3) 粘土
4 土性による土壌分類 49
6. 土壌の性質を支配する粘土の働き 049
1 粘土と比表面積 49
2 粒子相互の調和 50
7. 粘土と粘土鉱物 050
8. 粘土鉱物の種類 051
1 層状ケイ酸塩粘土鉱物 51
(1) 2:1型粘土鉱物
(2) 2:1:1型粘土鉱物
(3) 1:1型粘土鉱物
2 明確な結晶構造をもたない粘土鉱物 52
3 鉄,アルミニウムの酸化物・水和酸化物 53
9. 粘土鉱物の生成と環境 053
第6章 土壌の水と空気 055
1. 土壌の保水と排水の仕組み 055
1 重量タオルの力くらべ 55
2 表面張力と毛細管現象 56
3 水分保持力と土壌の粒径 56
2. 土壌の構造と孔隙 057
1 粒団,団粒の形成と有機物 57
2 土壌の構造と水分保持 58
3. 土壌の水分保持力 058
1 水圧と水柱高 58
2 土壌水分張力とpF 59
4. 土壌水分の分類 060
1 土壌が加湿状態のとき 60
2 土壌水分が適度なとき 60
3 土壌が乾燥したとき 61
4 植物の利用できない水 61
5. 土壌による有効水分量の違い 061
1 有効水分量の土壌間差 61
2 pF値に対応する水分率の土壌間差 62
3 土性と有効水分量との関係 62
6. 土壌空気 063
1 土壌空気の特徴とガス交換の仕組み 63
2 土壌空気と作物生育 63
第7章 土壌の温度(地温)とその影響 065
1. 地温の重要性 065
1 気温や地温は作物の育成に大きく影響 65
2 土壌養分への影響 65
3 作物への影響 65
2. 地温に影響をおよぼす各種要因 066
1 大気の状態 66
2 緯度と土地の傾斜 67
3 土壌表面への植物の被膜 67
4 土壌の性質 68
3. 土壌中での熱の伝わり方と保温の仕組み 068
1 熱伝導率と土壌 68
2 土壌の保温と水 69
3 植物による被膜と水 69
4. 地温の変動 070
1 日変化 70
2 季節変化 71
第8章 土壌が養分を保持する機能 072
1. イオン交換現象の発見 072
1 トンプソンとスペンスの実験 72
2 ハクスタブルの実験 73
3 ウエイ【J. T. Way】の実験 73
2. イオンとは 075
3. スペンスの実験の化学 075
4. 土壌の養分保持能の作物生産にとっての意義 076
5. 土壌の養分保持能の担い手 077
1 土壌の負電荷の担い手 77
(1) 粘土の構造変化に基づく荷電
(2) 粘土鉱物の結晶端末にできる荷電
(3) 土壌の腐植が持つ荷電
2 土壌の正電荷の担い手 79
(1) アルミナ8面体層の端末にできる正荷電
(2) 鉄およびアルミニウムの酸化物が持つ正荷電
(3) 腐植が持つ正荷電
6. 交換性陽イオンと陽イオン交換容量(CEC) 080
1 交換性陽イオン 80
2 陽イオン交換容量 81
3 塩基飽和度 82
7. 陰イオン交換容量(AEC) 083
8. 土壌の養分保持能と土壌水分条件やpHとの関係 084
第9章 土壌の酸性化と作物生育 085
1. 水素イオン濃度 085
1 pHの意味
2 常識的感覚とちがう―― pHで1のちがいは濃度で10倍のちがい
2. 土壌のpH 086
1 水で測定する土壌のpH ―― pH(H_2O) 86
2 土壌のpHのもう1つの表示法―― pH(KCl) 86
3 土壌のpHが測定法でちがう理由 87
4 pH(KCl)のほうがpH(H_2O)より例外的に高まる土壌 90
3. 交換性アルミニウムと土壌の酸性 091
1 交換性Alの発生の仕組み 91
2 交換性Alによる酸性化 91
4. 交換酸度(y_1)と全酸度――大工原〔だいくばら〕酸度 092
1 アルミニウムに由来する水素イオン(H+)と交換酸度 92
2 土壌の酸性改良の指標としての全酸度 93
3 黒ボク土の分類基準としての交換酸度(y_1)とその重要性 93
5. 酸やアルカリに対する土壌の反応―― pH緩衝能 094
1 土壌は緩衝能をもっている 94
2 pH緩衝能の土壌間差異 94
3 土壌のpH緩衝能の仕組み 95
(1) 陽イオン交換によるpH緩衝能
(2) アルミニウム(Al)や鉄(Fe)の水酸化物によるpH緩衝能
(3) 変異荷電の発生や消滅に基づくpH緩衝能
(4) 土壌有機物に基づくpH緩衝能 145
6. 土壌の酸性化の原因 096
1 雨による影響 97
(1) 雨は天然の炭酸水
(2) 雨による酸性化の仕組み
2 酸性雨(雪)の影響 97
3 化学肥料の影響 98
4 特殊な事情による酸性化 98
7. 土壌の酸性と作物生育 099
1 水素イオン濃度(H+)と作物育生 100
2 アルミニウム,鉄,マンガンなどの過剰害 100
3 リンの吸収低下 101
4 カルシウムやマグネシウムなどの不足 101
5 微量必須元素の欠乏 101
6 微生物活性の低下 102
8. 作物の好適土壌pHと耐酸性 102
9. 作物にアルミニウム過剰障害が発生しやすい土壌 102
10. 酸性土壌の改良の方法 103
1 改良目標のpHをどこに設定するか 103
2 カルシウム資材などの施与 104
3 リン資材の施与 105
4 有機物の補給 105
5 アルカリ性資材の過剰施与の害 105
第10章 土壌肥沃度と作物生産 106
1. 耕地の作物生産力と土壌 106
2. 土壌肥沃度とは 106
3. 土壌肥沃度維持の歴史的経過 107
1 土壌肥沃度の維持は養分補給からはじまる 107
2 輪作による土地肥沃度の維持 107
4. わが国の水田での土壌肥沃度の維持 110
5. 堆肥の施与効果 110
1 そもそも堆肥とはなんであったのか 111
2 堆肥の施与効果に対する考え方 111
3 堆肥の施与によって期待される効果 111
(1) 養分としての効果
(2) 安定腐植としての効果
(3) 生物の給源としての効果
6. 堆肥と化学肥料 113
1 化学肥料への不安と堆肥への期待 113
2 化学肥料だけしか使わない畑でのコムギの育生 113
3 化学肥料だけしか使わない畑での土壌生物 115
4 わが国での堆肥連用試験 117
5 堆肥と化学肥料の共通点とちがい 117
6 有機栽培と慣行栽培による作物の品質や栄養価のちがい 117
7 堆肥と化学肥料の利点を生かす 118
7. 作物生産とって「よい土壌」とは 118
1 「よい土壌」であるための4条件 119
2 土壌の物理的性質を改善することのむずかしさ 120
3 土壌の化学的性質は改善しやすい 120
4 どのような土壌でも「よい土壌」になる 120
第11章 「作物の養分は何か」を求めて 121
1. 作物の養分とは何か 121
1 ギリシャ哲学の時代 121
2 へルモンドの実験――水が養分 123
3 ウッドワードの実験――養分は無機物(灰分) 123
4 シュプレンゲル――最初に無機栄養説,最小律を提唱 124
5 土壌中の有機物自身が養分 125
6 タルの理論――土壌粒子が養分 126
2. 有機栄養説と無機栄養説 126
1 テーヤの有機栄養説 126
(1) テーヤという人 185
(2) テーヤの理論 185
2 シュプレンゲル・リービヒの無機栄養説 127
3. 最近の無機栄養説批判 128
1 有機態窒素の直接吸収 129
2 有機態窒素の吸収能の作物による違い 130
4. 植物の養分は何か,その結論と未来 130
第12章 作物養分の土壌中での動き 131
1. 作物の生育になくてはならない養分とその条件 131
1 必須元素の条件 131
2 多量必須元素,微量必須元素,有益元素 131
2. 窒素 131
1 窒素の働きと作物への影響 131
2 窒素の供給と形態 134
(1) 有機態窒素と無機態窒素
(2) 大気から供給される窒素
3 有機態窒素の無機化 134
4 有機化と無機化の調整弁としてのC/N比 136
5 気体に変化して大気へ逃げる窒素(脱窒作用) 139
3. リン 139
1 リンの働きと作物への影響 139
2 リンの供給と形態 140
3 土壌によるリンの固定――リンの難溶性化 141
4 土壌のリン固定能を決めるもの 141
5 黒ボク土の種類のちがいとリン固定能 142
6 活性アルミニウムの形態のちがいと土壌の可給態リンの関係 143
7 酸性黒ボク土の酸性改良と施与リンの肥効改善との関係 144
8 土壌溶液中のリン濃度の維持 146
9 作物のリン吸収に対する適応 147
(1) 拡散による土壌溶液中リン濃度の維持
(2) 根張りによる根表面積の拡大
(3) 菌根菌との共生
(4) 難溶性リン可溶化物質の分泌
10 土壌中のリン過剰蓄積問題 148
4. カリウム 148
1 カリウムの働きと作物への影響 148
2 カリウムの供給と形態 149
3 作物のカリウム吸収を支えるカリウム形態 151
4 カリウム供給源としての家畜ふん尿 150
5 ふん尿の多量施与による土壌のカリウム蓄積 151
(1) 低マグネシウム問題
(2) 高カリウム,高窒素含有率の問題
(3) その他の問題
5. カルシウム 154
1 カルシウムの特徴 154
2 植物による吸収とカリウムとの拮抗 154
6. マグネシウム 154
1 マグネシウムの特徴 154
2 植物による吸収とカリウムとの拮抗,補給 154
7. イオウ 155
8. 微量必須元素 155
1 鉄 156
2 マンガン 156
3 亜鉛 156
4 銅 156
5 ホウ素 156
6 モリブデン 157
7 塩素 157
8 ニッケル 157
第13章 作物生産に生かす土壌診断 158
1. 土壌診断の重要性 158
2. 正しい土壌診断のための留意点 158
1 土壌の採集方法 158
(1) サンプル採取は正確に
(2) 正しい採取方法とは
(3) 障害診断での採取法
2 土壌の採取位置と下層土の観察 159
3 分析値だけではわからない 160
4 分析値の表示方法 161
(1) 土壌重量と分析値の表示法
(2) 元素表示と酸化物表示
5 土壌診断の価値を高める圃場管理ファイル 162
3. 土壌診断基準値 163
1 土壌診断基準値とその例 163
2 窒素の基準値について 164
4. 土壌診断に基づく養分の補給方法 164
1 基準収量と施肥標準量 164
2 土壌診断に基づく施肥対応 165
3 適正な施肥量の決定 165
4 有機物施与にともなう減肥量 166
第14章 主な耕地土壌の特徴 167
1. 水田土壌 167
1 人工土壌としての水田土壌 167
2 湛水することの利点 167
(1) 水がイネの生育の制限因子にならない
(2) かんがい水による養分供給
(3) 塩類障害を受けにくい
(4) 地温の調節がある程度できる
(5) 連作が可能である
(6) 貯水池としての機能による土壌浸食の防止
3 還元状態が作る水田土壌の特徴 169
(1) 独特の土層分化
(1) 表面酸化層
(2) 作土層
(3) 酸化的下層土
(2) 有機物の蓄積と窒素の有効化
(3) 生物的窒素固定
(4) リンの有効化
(5) 土壌pHの変化
4 還元化による障害 172
(1) 脱窒現象
(2) 鉄の溶脱と硫化水素の害
(1) 老朽化水田と「秋落ち現象」
(2) 「秋落ち現象」の原因
(3) 「秋落ち現象」の防止対策
(3) さまざまなイネの栄養障害
5 味と多収をめざす 175
2. 畑土壌 175
1 畑の立地条件と生産阻害要因 176
(1)畑土壌の生産阻害要因の特徴
(2)最近の養分過剰問題
2 水田との水分条件のちがい 177
3 畑土壌での有機物 177
4 酸性化しやすい畑土壌 178
5 自然からの養分補給の少なさ 179
6 連作と畑土壌 179
7 土壌侵食への対応 180
3. 露地野菜畑土壌 180
1 露地野菜畑土壌とは 180
2 堆肥条件に由来する問題点 181
3 多回作付けによる問題点 181
4 畑条件による問題点 182
5 露地野菜畑土壌の改良対策 182
4. 施設土壌 183
1 施設土壌とは 183
2 降雨の遮断がつくる問題点 183
3 多肥・集約栽培による問題点 183
4 狭い空間と多肥栽培がつくる問題点 184
5 施設土壌の改良対策 185
5. 草地土壌 186
1 草地の立地条件 186
2 草地土壌の特徴――水田,畑とのちがい 187
3 草地の土壌肥沃度と家畜ふん尿 189
(1)草地造成時の堆肥の施与効果
(2)草地に施与する堆肥の腐熟度の意味
(1) 完熟より未熟堆肥で多収
(2) 腐熟度にこだわらなくてもよい理由
(3) 腐熟化させることの利点
(3)堆肥などからの養分流出を防ぐ
6. 樹園地土壌 191
1 果樹園土壌 192
2 茶園土壌 193
第15章 耕地に由来する環境汚染 194
1. 農業と環境問題 194
2. わが国での窒素循環 194
1 食料自給率の変化 194
2 わが国の食料生産,消費と窒素循環量 196
3 わが国の伝統的養分循環とその破綻 197
3. 土壌の窒素環境容量 197
1 窒素環境容量 197
2 許容限界窒素量 197
4. 家畜ふん尿と窒素循環 198
1 家畜ふん尿による耕地への窒素負荷量 198
2 耕地から切り離された畜産 199
3 飼育密度低下のための工夫とその限界 199
4 堆肥の広域利用のための試み 200
5. 土壌から流出する窒素よる環境汚染 200
1 水質汚濁 200
2 大気汚染 202
6. 耕地土壌の地球温暖化へのかかわり 205
1 なぜ地球に生命が存在できるのか 206
2 地球温暖化と土壌 206
3 土壌による温室効果ガスの発声と吸収 207
第16章 農薬や重金属による土壌汚染 209
1. 農薬による土壌汚染 209
1 農薬とその功績 209
2 農薬の安全性への不安 209
3 過去の農薬による土壌汚染 210
4 農薬やその他の化学合成物質と内分泌撹乱化学物質 211
5 農薬の安全と安心 212
2. 重金属による土壌汚染 212
1 重金属とは 212
2 重金属汚染による被害 213
3 重金属による土壌汚染の特徴 213
4 土壌汚染防止法,土壌汚染対策法 214
5 汚染除去対策 215
3. 放射性物質による土壌汚染 215
1 福島第一原子力発電所事故による放射性物質の拡散 215
2 農地土壌と農作物の放射性物質による汚染 216
3 土壌に選択的に強く保持されるセシウム 217
4 セシウム固定能の土壌間差 218
5 農地での放射性セシウムの除染対策 219
6 チェルノブイリと福島の教訓からなにを学ぶのか 220
第17章 持続的食料生産と土壌保全 221
1. 古代文明崩壊からの教訓 221
1 土壌と文明 221
2 肥沃な三日月地帯,メソポタミアの例 221
3 エジプト・ナイル川流域の例 222
(1) 自然を生かした土壌肥沃度の維持
(2) 通年かんがいへの転機
(3) ダムの功罪と自然の摂理
(4) 生かされない教訓
2. 人口問題と土壌環境 224
1 食料問題をとりまく現実 224
2 人口爆発 225
3 食料増産への化学肥料の役割 225
4 食料増産の持続性への不安 227
3. 土壌劣化と発生要因 227
1 不適切な土壌管理 228
2 過放牧 228
3 森林の消失 229
4. 土壌の塩類化 230
5. 土壌浸食 230
1 土壌侵食の過去と現在 230
2 自然侵食と加速侵食 232
6. 酸性雨がもたらす土壌劣化 233
1 酸性雨とは 233
2 酸性降下物による被害 234
7. 持続的食料生産への不安要因 235
1 淡水資源 235
2 エネルギー資源 236
3 不安をこえて 236
参考・引用文献 [238-244]
索引 [245-247]
【メモランダム】
[NDL目次データベース]
・国立国会図書館のすごさが伝わる。詳細目次を作成した先駆者がいたようだ。スキャン・OCRを活用しても・してなくても相当手間がかかったに違いない。ただし、旧版(2003年)の目次だけ。
〈https://rnavi.ndl.go.jp/mokuji_html/000004327133.html〉
[シリーズ一覧]
農学基礎シリーズ
■「作物学の基礎1 食用作物」
■「作物学の基礎2 資源作物・飼料作物」
■「作物生産生理学の基礎」
■「園芸学の基礎」
■「野菜園芸学の基礎」
■「果樹園芸学の基礎」
■「花卉園芸学の基礎」
■「植物病理学の基礎」
■「応用昆虫学の基礎」
■「土壌学の基礎」
■「草地学の基礎」
■「森林保護学の基礎」
【抜き書き】
・「12.3.9 作物のリン吸収に対する適応」から(148頁)。
また、ラッカセイの根の細胞壁は難溶性Pを可溶化させる能力を持ち、その働きで通常の作物が生育できないP欠乏の土壌での生育も可能にしている(Ae et al., 1996;Ae And Otani, 1997)、この事実は、根自身が養分に接触して吸収するという、これまで否定的に考えられてきた説 (ジェニーが唱えた接触吸収説)を肯定的に指示している点でも注目される(注 25)。
こうした作物自身の根張りを旺盛にすることや、菌根菌、さらには根のP溶解物質の分泌、根細胞壁の働きという事例は、土壌溶液に溶けている水溶性P濃度が低いという、厳しい環境がで生きぬくための作物の見事な適用例である。注25 ラッカセイの根表面の細胞壁にアルミニウム(Al)や鉄(Fe)と強く結合する部位(官能基)が複数あり、そこにリン酸アルミニウムやリン酸鉄のような難溶性Pが接触すると、AlやFeが細胞壁の複数の結合部位に挟み込まれ(このような結合をキレート結合という)、その結果としてPが遊離し、リン酸イオンになる。これをラッカセイが吸収利用する。このような反応をAe And Otani(1997)は接触溶解反応と呼んでいる。