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『中央銀行論――セントラル・バンキングの本質を求めて』(小栗誠治 知泉書館 2022)

著者:小栗 誠治おぐり・せいじ](1947-) セントラル・バンキング論、金融政策論。


中央銀行論 - 株式会社 知泉書館 ACADEMIC PUBLISHMENT



【目次】
はしがき [v-viii]
目次 [ix-xv]


序章 中央銀行論の再構築をめざして 003
  1. 中央銀行論の再構築の試み
  2. 中央銀行の本質と伝統理念――市場の中の銀行
  3. 中央銀行の目的・役割――不易と流行
  4. 本書の構成


  第I部 銀行券の債務性とシーニョレッジ


第1章 銀行券の本質と債務性 027
はじめに 027

第1節 銀行券の債務性を認める見解 028
  1. 銀行券の無形資産見合い論――日本銀行の見解
  2. 銀行券の信用通貨論 銀行券の債務性の理論的根拠

第2節 銀行券の債務性を認めない見解 040
  1. 不換銀行券 フィアット・マネー論――従来の通説
  2. 不換銀行券=現在財論ミーゼスの見解

第3節 通常の意味での債務性に疑問を持つ見解 046
  1. 銀行券の特殊債務論
  2. 銀行券の形的式債務性,実質的非債務性
  3. 贈与としての信用貨幣論

第4節 不換銀行券=商品貨幣としての信用――貨幣不換銀行券の債務性論のフロンティア 053

第5節 評価――結びにかえて 059


第2章 セントラル・バンキングとシーニョレッジ 061
はじめに 061

第1節 セントラル・バンキングの本質とシーニョレッジの歴史 062
  1. シーニョレッジの歴史と会計
  2. 銀行券の発行とシーニョレッジの発生プロセス
  3. 貨幣(硬貨)の発行と古典的シーニョレッジ
  4. シーニョレッジを巡る諸問題

第2節 シーニョレッジの定式化  071
  1. シーニョレッジの定義
  2. 2つのシーニョレッジの比較と会計方法

第3節 銀行券と硬貨の具体的な会計方法 077
  1. 銀行券の製造コスト
  2. 銀行券の在庫システム
  3. 発行銀行券,流通硬貨の記録
  4. 記念硬貨の会計

第4節 シーニョレッジの大きさ 081
第5節 シーニョレッジの政府への納付 083
  1. シーニョレッジの捉え方
  2. シーニョレッジの国庫納付に関する工夫
  3. わが国中央銀行の利益処分方法の特徴

結び 091


第3章 銀行券の会計的把握 095
はじめに 095
第1節 通貨の債務性と統一的な会計把握 095
  1. 貨幣 (硬貨) の場合
  2.銀行券の場合
第2節 バーグルンドの金貨・兌換銀行券と不換銀行券の統一的把握 101
第3節 銀行券の資本性 104
第4節 ボッソネ=コスタの「貨幣の会計学ビュー」 106
第5節 クムホフほかの法的観点からみた 「貨幣の社会的株式論」 109

結び 112


第4章 政府紙幣の本質およびヘリコプターマネー,統合政府,MMT 115
はじめに 115

第1節 政府紙幣の本質について 中央銀行券との比較を中心に・・・ 116
  1. スティグリッツの提言
  2. 政府紙幣の特質 中央銀行券との比較
  3. 小括

第2節 通貨発行の仕組みとシーニョレッジ 129
  1. 通貨発行の仕組み
  2. 通貨発行のシーニョレッジ
  3. 政府紙幣発行の方法と帰結

第3節 ヘリコプターマネー 134
  1. ヘリコプターマネーの形態および代替的政策手段との比較
  2. ヘリコプターマネーの会計的側面とコスト
  3. ヘリコプターマネーと財政・金融の区別
  4. ヘリコプターマネーと中央銀行の独立性

第4節 統合政府論
  1. 統合政府のバランスシート
  2. 統合政府の含意
  3. 統合政府論を巡る争点
  4. 国債相殺の経済的実体

第5節 MMT(現代貨幣理論)
  1. MMT貨幣論
  2. 批判的検討と評価

結び 164


  第II部 中央銀行の 「最後の貸し手」 機能

第5章 「最後の貸し手」機能とバジョット再考 169
はじめに 169

第1節 LLR 機能の根拠とモラルハザード 170
  1. LLR 機能の起源と進化
  2. LLR 機能が必要な根拠
  3. モラルハザード

第2節 LLR機能の発動等に関する主要な見解 176
  1. 古典派の見解
  2. インソルベント銀行支援派の見解
  3. 公開市場操作派の見解
  4. フリーバンキング派の見解

第3節 「バジョット原則」再考 183
  1. バジョット原則
  2. バジョット原則の検討
  3. 中央銀行と政府の役割分担
結び 196


第6章 「最後の貸し手」 機能についての日本銀行の考え方とその概念の拡張 199
はじめに 199

第1節 日本銀行法におけるLLR 機能の位置付け 200
  1. 日本銀行法第37条
  2. 日本銀行法第38条

第2節 LLR機能についての日本銀行の考え方 207
  1. 日本銀行の基本的な考え方と具体的な LLRの4原則
  2. 日本銀行原則とバジョット原則の比較検討

第3節 LLR概念の拡張
  1. LLR概念の拡張
  2. 「銀行類似機関に対する最後の貸し手」
  3. 「最後のマーケット・メーカー (Market Maker of Last Resort)
  4. 「最後のグローバル貸し手 (Global Lender of Last Resort)

結び 224


  第III部 中央銀行の独立性と財務の健全性

第7章 日本銀行の独立性再考法的位置付けと新しい挑戦 229
はじめに 229

第1節 中央銀行の独立性の法的規定と近年の状況変化 230
  1. 独立性のルーツ
  2. 独立性の法的規定
  3. 日本銀行法の目的規定の特徴と問題点
  4. 中央銀行の独立性を巡る近年の状況変化と新しい挑戦

第2節 中央銀行の独立性と対政府信用供与の禁止 239
  1. 国債日本銀行引受けの禁止 財政法第5条の問題
  2. 政府短期証券日本銀行引受け 財政法第7条の問題
  3. 間接的な対政府信用供与と財政規律

第3節 日本銀行の独立性と憲法第65条 245
  1. 1997年の日本銀行法改正時における憲法第65条を巡る問題
  2. 考察 中央銀行業務と行政権,通貨主権,経済的自由権

第4節 日本銀行憲法的位置付け 258
  1. 通貨価値の維持と憲法第83条
  2. 「権力分立」と日本銀行の帰属問題

結び 262


第8章 中央銀行の債務構造と財務の健全性――銀行券,準備預金および自己資本 263
はじめに 263

第1節 銀行券の本質とその会計 264
  1. 銀行券の本質
  2. 銀行券の会計
  3. わが国の発券制度の沿革と課題

第2節 準備預金の性格とそれを巡る誤解,準備預金への付利 271
  1. 準備預金の性格
  2. 銀行は金融取引により銀行部門全体の準備預金残高を変化させることができるか?
  3. 銀行は準備預金を元手に貸出を行うのか?
  4. 準備預金への付利

第3節 中央銀行の損失 インソルベンシーと自己資本 282
  1. 中央銀行自己資本の定義と役割
  2. 中央銀行に資本は必要か会計上の資本とネットワース
  3. 中央銀行の損失・インソルベンシーの形態と通貨の信認
  4. 中央銀行の損失インソルベンシーへの対応策
  5. 中央銀行の資本金制度

結び 297


  第IV部 金融調節と内生的貨幣供給

第9章 日本銀行の金融調節と「日銀流理論」 301
はじめに 301

第1節 金融調節の実際とその特徴 302
  1. 日本銀行の金融調節
  2. 資金需給
  3. 金融調節の手段
  4. 金融調節の1日の流れ――「シグナリング・オペレーション」と「ハウスキーピング・オペレーション」
  5. 積みの調整

第2節 いわゆる「日銀流理論」と内生的貨幣供給論 315
  1. 小宮隆太郎の「日銀流理論」批判
  2.「日銀流理論」とマネタリーベースの「受動性」 「能動性」
  3. 「日銀流理論」と内生的貨幣供給論
  4. 「日銀流理論」の淵源 深井英五の通貨調節論

結び 324


終章 中央銀行の本質を再考する――中央銀行の公共性,銀行性,独立性および一般原則 327
はじめに 327
第1節 中央銀行の公共目的 329
  1. 中央銀行の目的は何か――「通貨の安定」 の追求
  2. 中央銀行は何を行っているのか
  3. 近年の中央銀行の政策枠組みとその評価
  4. 小括

第2節 中央銀行の銀行的性格 341
  1. 中央銀行は銀行である――「市場の中」 の存在
  2. 銀行券の債務性
  3. 銀行券と政府紙幣の相違
  4. シーニョレッジ問題
  5. 「最後の貸し手」機能
  6. 中央銀行自己資本

第3節 中央銀行の独立性 348
  1. 中央銀行の独立性を巡る近年の変化と挑戦
  2. 対政府信用供与の禁止と財政規律
  3. 中央銀行憲法的位置付け

第4節 中央銀行の本質 351

第5節 ハーヴェイによる中央銀行の一般原則 353

第6節 中央銀行の一般原則 
結びにかえて 357


参考文献 [361-375]
索引 [376-382]