contents memorandum はてな

目次とメモを置いとく場

『「低度」外国人材――移民焼き畑国家、日本』(安田峰俊 角川書店 2021)

著者:安田 峰俊[やすだ・みねとし](1982-) ライター。
装丁:國枝 達也[くにえだ・たつや](1979-) ブックデザイン。
カバー写真:郡山 総一郎[こおりやま・そういちろう](1971-) 報道写真。
件名:外国人労働者--日本
NDLC:EL75
NDC:366.89 労働経済.労働問題


「「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本」安田峰俊 [ノンフィクション] - KADOKAWA

日本政府をはじめ、公的機関が使用している言葉、「高度外国人材」。「高度」な人材がいるということは、国の定義とは真逆の属性を持つ人材も存在するはずだ。それは、「(年齢だけは若いかもしれないが)学歴・年収が低く、日本語はろくに喋れず専門知識もない、非熟練労働に従事している」人たちといえる。しかし、日本社会は彼らにこそ強く依存しており、必要としているではないか。生身の「“低度“外国人材」は、紋切り型の報道のなかで語られるような、絶対的な弱者や被害者たちの群れではない。ましてや、陰謀をたくらむ存在でもない。そもそも中国は経済成長をとげ、稼げない日本に見切りをつける中国人は多く、在日外国人問題の主役はベトナム人に移行している。

【目次】
はじめに [003-021]
  陽性反応
  ベトナム人不法滞在者「ボドイ」の宴
  隠されたコロナ感染
  「低度」外国人材たちの急増
  「かわいそう」と「叩き出せ」のマンネリズム
目次 [023-027]


第一章 コロナ、タリバン群馬県――隣人は平和な「イスラム原理主義者」 029
  地方のモスク
  群馬のイマームに会う
  アフガニスタン人の子どもが集まる
  都内のムスリム三〇人がコロナ感染
  疫病と難民
  信仰による「密」がパンデミックを招く?
  タリバンを生んだ流派
  「NIMBY施設」としてのモスク


第二章 「兵士」たちの逃亡と犯罪――主役は中国人からベトナム人へ 063
  難民二世との再会
  不法滞在者はシカが出る河川敷でナンパする
  ルームメイトは逃亡しました
  コロナで困窮する逃亡者
  在日外国人問題の主役はベトナム人
  偽装する留学生と花嫁
  「新しく来た」人たち


第三章 頼りなき弱者――ベトナム「送り出し」業者に突撃してみれば 097
  送り出し機関
  「ミスマッチ」だらけの制度
  「人買い」と被害者の対決
  日本は外国人が働く国じゃない


第四章 “低度”人材の村――ウソと搾取の「破綻した制度」 115
  「クミアイは、なんでも、しってる」
  「お前らは国では売春婦をするしかない」
  難民二世は監理団体で働く
  カネを払えば「いい仕事」が得られる文化
  中国人・ベトナム人が同胞を喰う草刈場
  技能実習生が暮らす村に行く
  「健気な弱者」になれない人々


第五章 「現代の奴隷」になれない中国人――稼げない日本に見切りをつけるとき 149
  殺伐とした部屋のなかで
  文章を書き慣れていないのに理屈っぽい男
  「技能実習制度がどういうものかもわかっていなかった」
  開放骨折でも救急車を呼ばれない
  スマホで法テラスを検索した
  幸福な中国の甘い男
  五〇代男性に浴室を盗撮された
  外交問題エスカレートさせる
  起來、不願做奴隸的人們(起て、奴隷になりたくない人々よ)


第六章 高度人材、低度人材――「日本語だけは上手い」元技能実習生 183
  「日本語が上手い」というよりも「日本語だけは上手い」
  みんな一回きりの使い捨てで道具みたいだから
  「この街が嫌いって思った」
  「おぉい、おめえはバカかぁぁ?」
  多摩大学に留学したい
  元技能実習生ゆえの閉塞感
  皆さん、こんにち
  「みなさんありがとうって思う」
  偽装留学生「以下」の人材


第七章 「群馬の兄貴」の罪と罰――北関東家畜窃盗疑惑の黒い霧 219
  一九人が暮らす家
  一三人が捕まる大捕物
  摘発された“群馬の兄貴”
  ペルー夫人に隠れ家を尋ねる
  ブタ解体アパートに突撃
  “兄貴ハウス”で雑草を食う
  「群馬の兄貴」の正体は?
  真相
  偏見と無法のスパイラルはすでに起きている  


おわりに(二〇二〇年一月二五日 千駄木にて 安田峰俊) [251-258]
  バイアス
  「子どもが日本語を喋るようになればいい」
  現実的ではない解決方法
主要参考文献一覧 [259-260]