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『そのビジネス課題、最新の経済学で「すでに解決」しています。――仕事の「直感」「場当たり的」「劣化コピー」「根性論」を終わらせる』(今井誠,坂井豊貴[編著] 日経BP 2022)

編者:今井 誠[いまい・まこと]
編者:坂井 豊貴[さかい とよたか]
著者:上野 雄史[うえの たけふみ]
著者:星野 崇宏[ほしの・たかひろ]
著者:安田 洋祐[やすだ・ようすけ]
著者:山口 真一[やまぐち・しんいち]
デザイン:大場 君人[おおば・きみと] グラフィックデザイン
装画:川原 瑞丸[かわはら・みずまる](1991-) 
NDLC:DA1
件名:経済学
NDC:331 経済学.経済思想
備考:株式会社エコノミクスデザインのメンバーによる。


そのビジネス課題、最新の経済学で「すでに解決」しています。 仕事の「直感」「場当たり的」「劣化コピー」「根性論」を終わらせる | 日経BOOKプラス


【目次】
まえがき 眠れる学知を貪欲に使う[今井誠](2022年3月) [003-005]
目次 [006-014]


●パート1 なぜ経済学が、今、「働く人」に必須なのか? 「直感」「場当たり的」「劣化コピー」「根性論」による、不毛な戦いを終わらせよう 015


1章 ビジネスパーソンの「武器」としての経済学[安田洋祐]
経済学は、本当はもっと、ビジネス・実生活で役立つ学問です 018
  なぜ経済学は「役に立たない」と誤解されているのか?
  ビジネス実装に向け「エンジニアリング化」する経済学
  ビジネスパートナーとしての経済学者にできること

武器としての経済学①マーケットデザイン 027
  「マッチング・マーケットデザイン」
  「オークション・マーケットデザイン」
  サイエンスとしての「ゲーム理論

武器としての経済学②需要分析 038
  ビジネスの永久課題「付加価値を上げる? コストを下げる?」
  利益を増やすもうひとつの方法──「その価格、本当に正しいですか?」

経済学は、お金儲け「にも」役立つ学問 046

まとめ 


2章 オンライン上に新しい市場をつくる[坂井豊貴]
オンライン市場は人工物――「自然任せ」では成り立たない 052
  売り手よし、買い手よしのオークション市場をつくる 設計実務での注意
  「オーダーメイド」が必要
  問題の本質をどうつかみ、どう対処するか
  ともに大切な「科学的根拠」と「職人感覚」

まとめ


●パート2 経済学の初心者でも! 知っているだけでビジネスの結果が変わる4つのツール――最新の経済学が「すでに解決」した知恵を、現場で使うには? 071


3章 利益を最大化するツール=「FSP-D」モデルの基礎知識[山口真一]
値下げ競争がきつい、売れなくなった、顧客が離れた、顧客の高齢化が心配だ…… その悩み、効果的な対策を打てていますか? 074
  「技術」と「価値観」、2つの変革がビジネス環境を劇的に変えた
  50代以上が見ている「日本の栄光」と現実
  日本企業を揺さぶる「絶え間ない進歩」と「お金の使い方の大変革」

これからのビジネス成長の起爆剤FSP-D」モデルとは 081
  「F=フリー」──「タダ」によってネットワーク効果で巨大ビジネスに
  「S=ソーシャル」──今や侮れない「口コミ」の経済効果
  「P=プライス・ディスクリミネーション」──「多段階価格差別」で利益を最大化する
  「D=データ」──「F・S・P」成功の根拠をつくる

FSP-D」モデルを活用しやすい分野「5つの特徴」 122
  ただし、5つすべてを網羅しなくても、メリットは十分享受できる

まとめ


4章 世界標準の学知に基づく新しい顧客関係管理[星野崇宏]
顧客は増えたのに利益が減った、競合とシェアを取り合っている、データをビジネスに活用したい……――どこから手を付けたらいいのか? 130
  マーケティングを利益観点で管理するフレームワーク……それがCRM
  顧客を「利益観点」で管理するから「利益を最大化」できる
  携帯キャリアを乗り換えただけで「10万円」これってどういうこと?
  顧客の生涯価値=「その顧客は、どれくらい稼がせてくれるのか?」の重要性
  顧客生涯価値の一番簡単な計算方法
  「顧客生涯価値」という考え方が、経営層の心をつかむ理由

様々な問いに答える膨大なCRMの学知……貴社の悩みに答える研究もすでに! 146
  「どんなときに新規顧客獲得のコストが高いか?」の研究

営業の科学としてのCRM……誤ったKPI・KCI設定の問題 149
  KPI・KGIによる管理の罠 ……機会費用という経済学の概念

「その顧客が稼がせてくれる額」を測り、最大化するためのデータ活用 184
  顧客生涯価値の計算にはどんな情報が必要か?
  具体的に必要なデータ
  顧客データがない場合の対処法
  「とにかくデータを集めておけばいい」は危険な発想

顧客生涯価値を最大化する「投資」とは? 行動経済学の学知の活用 161
  「優良既存顧客への手厚い特典」は実は無駄!?
  データが語る顧客の行動経済学

業績アップの鍵は「スペシャリストを大事にする」文化 168

まとめ


5章 会計とESC 価値観とルールの大きな変化をざっくりつかむ[上野雄史]
会計 ESC、SDGs......会社員が最低限知っておくべきビジネス 養を身につける 174
  財務諸表を読むと「未来のヒント」が見えてくる
  経済ニュースを「深く読める」ようになる

ビジネスパーソンに今、「会計への理解」が強く求められている理由 179
  会計は、「とらえどころのない会社」の全体像をつかむための「ひとつの表現」
  アップルとテスラー対照的な2社の会計

「ESC」という難題――「プライム市場」新設との関連性は? 
  財務担当者だけでなく、多くの会社員の仕事を変える
  ESGは企業価値を上げるのか?
  ESGは「新しいゲームのルール」
  おわりに

まとめ 


6章 ダメな会議はなぜダメで、どうすれば改善できるか[坂井豊貴] 
判断の質が悪い・時間がかかる・生産性が低い――「困った会議」に経済学ができること 200
  「明日の会議を実際に改善したい」
  集団は個人より誤作動しにくい
  多数派の判断が正しい確率はどのような条件下で高くなる?
  「みなで目的を共有するが、互いに忖度しない」は必須条件
  ミツバチはなぜ、「最適な決定」ができるのか?
  会議のベストな人数は?
  おわりに

まとめ 


終章 ビジネスに経済学の視点を加えるだけで、新しいチャンスが加速度的に広がっていく[今井誠] 
「経済学×ビジネス」をすでに実践している立場だからこそ言えること 224

経済学をビジネス実装するための3つのポイント 227
  「先生に教えてもらう」のではなく「ともに解決していく」 
  知っておきたい「経済学者の考え方」
  ビジネスサイドにまず必要なのは、学知より”発注能力”

学知は「過去の経験則・成功体験」を超えるためのツールの一種 
  経済学は、「世界から取り残される日本」という現状を打破する切り札
  「経済学を使って答えを出す」は、成功率の高い成長戦略
  「経済学の活用はグーグルだからできること」ではない


著者紹介 [244-247]





【抜き書き】
・巻末の「著者紹介」。
 ところで私は、ここで挙げられる6人のうち4人の著作を拝見したことがある(そして著書略歴を読んだことがある)。著者紹介欄は、文面そのものと同時に、読者層がビジネスマン向けの場合の執筆者の示し方(ないし「箔の付け方」)も見えてきて面白い。

編著者 今井誠(いまい・まこと)
 株式会社エコノミクスデザイン共同創業者・代表取締役
 1998年関西学院大学商学部卒業。金融機関を経て、株式会社アイディーユー(現 日本アセットマーケティング株式会社)にて不動産オークションに黎明期から従事。その後、不動産ファンドを経て独立。2018年株式会社ディアブル代表取締役、株式会社デューデリ&ディール取締役に就任し、不動産オークションでの経済学実装に取り組む。さらなる経済学のビジネス実装に挑むべく、株式会社エコノミクスデザインを創業。


編著者 坂井豊貴(さかい とよたか)
 慶應義塾大学経済学部教授、株式会社エコノミクスデザイン共同創業者・取締役
 2005年ロチェスター大学経済学博士課程修了 (Ph.D. 取得)。横浜国立大学准教授などを経て、2014年より慶應義塾大学教授。専攻は制度設計(メカニズムデザイン)。東京経済研究センター業務総括理事、読売新聞読書委員、朝日新聞書評委員などを歴任。デューデリ&ディール・チーフエコノミスト、Gaudiy経済設計顧問、メルカリ・アドバイザリーボード委員、Stake Technologies Pte. Ltd. アドバイザー、日本ブロックチェーン協会アドバイザーなどを務める。主著『多数決を疑う』(岩波書店)は高校国語の検定教科書に掲載。著書は多くアジアで翻訳されている。


著者 上野雄史(うえの たけふみ)
 静岡県立大学経営情報学部教授、株式会社エコノミクスデザイン・シニアエコノミスト2000年に関西学院大学商学部卒業。同大学で2002年に修士号、2007年に博士号を取得。2005年より静岡県立大学経営情報学部助手を経て、2021年より現職。専門は財務会計、経営分析。年金、保険、リスクのトライアングル関係を、会計学の視点で研究を進める。2011年日本年金学会創立30周年記念賞佳作、2012年生命保険文化センター優秀論文賞、2017年日本リスク研究学会大会優秀発表賞を受賞。


著者 星野崇宏(ほしの・たかひろ)
 慶應義塾大学経済学部教授、株式会社エコノミクスデザイン共同創業者・取締役
2004年東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。博士(経済学)。名古屋大学大学院経済学研究科などを経て、慶應義塾大学経済学部教授、慶應義塾大学経済研究所所長。
2017年からAI研究の国内中核施設である理化学研究所AIPセンターでチームリーダーを兼任。行動経済学会会長、マーケティング・サイエンス学会理事などを歴任。45歳未満の研究者に政府が授与する最も権威のある賞である日本学術振興会賞を受賞(2017年)。内閣官房経済産業省内閣府総務省などでEBPMやナッジの政策応用、政府統計の改善に関わる。NTTドコモ、マネーフォワード、サイバーエージェント、ヤフー研究所の技術顧問をはじめ、金融、流通小売、ネットサービス、広告代理店等多業種の顧問を務める。


著者 安田洋祐(やすだ ようすけ)
 大阪大学大学院経済学研究科准教授、株式会社エコノミクスデザイン共同創業者。2002年に東京大学経済学部を卒業。最優秀卒業論文に与えられる大内兵衛賞を受賞し経済学部卒業生総代となる。米国プリンストン大学へ留学して2007年にPh.D.を取得(経済学)。政策研究大学院大学助教授を経て、2014年より現職。専門はマーケットデザイン、ゲーム理論。American Economic Reviewをはじめ、国際的な経済学術誌に論文を多数発表。新聞・雑誌オンライン媒体への寄稿 (計250本以上)やテレビ番組への出演(計500回以上)を通じて情報発信に取り組む。朝日新聞論壇委員会、政府系審議会(環境省経済産業省財務省など計15委員会)の委員などを歴任。


著者 山口真一(やまぐち・しんいち)
 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授、株式会社エコノミクスデザイン・シニアエコノミスト 
 2015年に慶應義塾大学経済学研究科で博士号(経済学)を取得。2020年より国際大学准教授。研究分野は、ネットメディア論、情報経済論、情報社会のビジネス等。 KDDI Foundation Award 貢献賞、組織学会高宮賞、情報通信学会論文賞 (2回)、電気通信普及財団賞を受賞。主な著作に『正義を振りかざす「極端な人」の正体』(光文社)、『なぜ、それは儲かるのか』(草思社)、『炎上とクチコミの経済学』(朝日新聞出版)、『ネット炎上の研究』(勁草書房)など。東京大学客員連携研究員、早稲田大学ビジネススクール兼任講師、シエンプレ株式会社顧問、日本経済新聞 Think! エキスパート、総務省厚生労働省の検討会委員なども務める他、メディアを通した一般向けの情報発信も積極的に行なっている。