著者:三土 修平[みつち・しゅうへい] (1949-) 経済学(理論経済学、経済学説史)。評論。華厳宗僧侶。
件名:均衡論 (経済学)
NDLC:DA1
NDC:331 経済学.経済思想
【目次】
はじめに [i-v]
目次 [vii-x]
第1部 道具箱経済学を超えよう
第1章 システムの学としての経済学 003
個人のお金もうけのための学問?
ならば国家のお金もうけのための学問か?
再生産システムとしての経済
保護貿易主義から自由貿易主義へ
ポリティカル・エコノミーの誕生
使用価値と交換価値
「採算が合う」ことで順調な再生産が保障される
投下労働価値説と費用価値説
需要・供給の果たす役割と自由競争主義
限界革命と経済理論の革新
古典派経済学の知的遺産
第2章 ミクロ経済学教育の不幸 018
ミクロ経済学に対する一般のイメージ
主体均衡,部分均衡,一般均衡
ケインズ経済学の出現と経済理論の二分化
マクロ経済学への「丸投げ」
マーシャリアンとワルラシアンの混在
主体均衡論は何を到達目標としながら説かれているのか?
道具箱経済学の悲しさ
一般均衡モデルは片手間で説けるほど簡単ではない
第3章 再確認・ミクロ経済学の常識 031
効用関数と無差別曲線
予算制約式と最適消費点の条件
生産関数の立体グラフとその切り口
短期総費用曲線
短期総費用曲線から派生する諸曲線
利潤最大化の条件
限界費用曲線を読み換えると供給曲線になる
最大化された利潤の額の表示
負の利潤が出るが操業は続けられるケース
企業の供給曲線の全体像
生産者理論の要注意点
ボックス・ダイヤグラムとパレート効率性
第4章 一般均衡モデルの基礎 055
純粋交換経済モデルから一歩だけ前進しよう
生産可能集合と生産可能曲線
生産可能集合のもとでの自給自足経済
市場が開かれたときの予算制約式
所与の価格のもとでの最適な生産量の選択
生産と消費の差としての供給量・需要量
Aさんの第1財供給曲線の導出
Bさんの第1財需要曲線の導出
均衡点の存在とそこへの調整過程
ワルラスの法則と絶対価格の不決定性
均衡状態における三種の一致
限界変形率一致の厚生経済学的意義
限界変形率と限界代替率との一致の厚生経済学的意義
価格の媒介機能
ワルラスの法則の数式による確認
第2部 1財2要素モデルの多様な表現
第5章 生産関数の理論(1) 083
一般均衡モデルのさらなる展開のために
生産関数と等量曲線
限界生産力逓増局面を認めるか否か
等量曲線群に期待される形状
コブ=ダグラス型生産関数
等量曲線の湾曲の方向
要素価格という言葉について
費用最小化問題を解いてみる
長期総費用曲線の導出
第6章 生産関数の理論(2) 099
要素集約度の表現
1次同次生産関数についての二つの重要な定理
定理2の逆命題は条件つきで成り立つ
オイラーの定理の含意
1次同次生産関数を用いることの意義
第7章 労働の雇用を含む一般均衡モデル 111
余暇と消費財の無差別曲線
余暇と消費財の「生産可能集合」
A農場とB農場の産出量曲線の関係
A農場とB農場の自給自足経済
余暇と消費財の交換としての労働の雇用
無差別曲線の形状に微修正を加えておく
Aさんの労働供給曲線の導出
Bさんの労働需要曲線の導出
労働の需給一致と実質賃金率の決定
直角三角形の合同関係としての均衡状態の図示
雇用を通じた資源配分の適正化
これで財市場と要素市場をともに視野に収めたことになる
第8章 家計と企業を分離したモデル 131
企業としての農場の利潤最大化問題
オーナーの効用最大化問題
需給一致条件
実質利潤は土地の限界生産力と関連づけて解釈できる
出資型のモデル
方程式の個数と未知数の個数
出資型モデルの図解
出資型モデルにおける均衡点の模索
第9章 ロビンソン・クルーソー経済と複数主体経済 150
これまでの議論の流れ
企業と家計が1個ずつの場合
実質はロビンソン・クルーソーただ1人の経済
全員が平等な場合の複数主体経済
全員平等ではない場合の複数主体経済
労働供給曲線の左上がり現象
均衡点が複数生じる可能性
解が一意的であるなら
ヴイーザーの自然価値論
第10章 複数生産要素が調節可能なときの利潤最大化 165
2変数の利潤関数を考える
費用最小化から利潤最大化へ
総費用曲線と利潤最大点の発見
規模に関して収穫不変の場合
直接的アプローチ
1次同次生産関数の立体グラフとその接平面
投入係数を用いた表現
第11章 出資型モデルと無利潤モデルの相互読み換え 180
無利潤モデルの定式化
両モデルのあいだでの要素所得の対応関係
両モデルのあいだでの企業行動の対応関係
両モデルのあいだの完全な対応関係
投入係数を用いた表現
方程式の個数と未知数の個数
考えやすいほうで考えればよい
限界生産力と要素価格
第3部 2財2要素モデルとその含意
第12章 無利潤モデルとしての一般的記述 199
本格的な一般均衡モデルへの足掛かりとして
家計の行動と需給一致条件
企業部門の行動の描写
方程式の個数と未知数の個数
座標軸を減らして考察する方法
産出量曲線の上での接点の選択
要素価格比からのアプローチ
第13章 2財2要素モデルの産出量曲面 210
産出量曲面の切り口としての生産可能曲線
ボックス・ダイヤグラムと生産可能集合の関係
産出量曲面の立体模型のつくり方
財の生産量の入れ替え関係
立体模型の根拠
要素価格比が与えられたときの企業の選択
企業の財供給量と労働需要量は不決定になる
家計側の選択を加味することではじめて不決定性が解消される
産出量曲面が線織面になる理由のもうひとつの説明
第14章 出資型モデルとしての再解釈は可能か 231
1財2要素モデルの場合ほど簡単に「相互読み換え」はできない
産業部門別に固定量の土地が出資されている場合の産出量曲面
産業部門別の利潤はどう解釈されるか
第15章 経済モデルにおける期間概念の重要性 241
究極的帰結の表現としてのワルラス型モデル
需給均衡を考える際の期間概念の重要性
ワルラス理解のための補助的武器としての部分均衡分析
短期総費用曲線とそこから派生する諸費用曲線
利潤最大化の条件と利潤の額
狭義の利潤と広義の利潤
第16章 短期均衡と長期均衡はどう接続されるか 255
長期費用曲線の導出
短期供給曲線と長期供給曲線
短期均衡から長期均衡への移行過程
価格費用均等式の真意
ワルラス的調整過程とマーシャル的調整過程
教科書的な説明はじつはあまり適切でない
ワルラスもじつはマーシャル的調整過程を想定していた
第17章 古典派経済学と新古典派経済学 272
ワルラス型モデルの形式と実質
再生産は暗黙に組み込まれている
古典派経済学の自然価格論とワルラス理論
価格の説明原理としての需給の役割
所有権の割り当てに依存する需要・供給構造
長期均衡値の規定要因
均衡値先決主義を超えて
第18章 所得分配と所有権 282
限界生産力に応じた所得分配
クラークの限界生産力説
機能的分配と人的分配の区別
労働しか提供できない人と財産所得者との非対等性
賦存量だけでは決まらない限界生産力
需要構造の差による限界生産力の変化
需要構造と限界生産力との相互関連
ヴイーザーがすでに説いていた「自然価値からの乖離」
均衡解にはどこまで規範的な意義があるか
われわれはようやく道具箱経済学を超えた
付録 一次同時生産関数の性質についての補足 297
はじめに
レオンチェフ型生産関数からの出発
代替的技術がある場合のレオンチェフ型生産関数
生産関数における限界代替率逓減の法則の必然性
同次関数についての準備的考察
数式表現上の若干の書き換え
限界代替率逓減の法則と限界生産力逓減の法則との関係
副産物的知識
あとがき [314]
索引 [318-322]