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目次とメモを置いとく場

『偶然を飼いならす――統計学と第二次科学革命』(Ian Hacking[著] 石原英樹, 重田園江[訳] 木鐸社 1999//1990)

原題:The Taming of Chance (Cambridge University Press)
著者:Ian Hacking(1936-) 科学哲学。
訳者:石原 英樹[いしはら・ひでき](1962-)
訳者:重田 園江[おもだ・そのえ](1968-) 
NDC:112 哲学 >> 哲学各論 >> 自然哲学.宇宙論 
NDC:350.12 統計 >> 統計理論.統計学.製表 >> 統計学史 



『偶然を飼いならす』

偶然を飼いならす―統計学と第二次科学革命

偶然を飼いならす―統計学と第二次科学革命

 

 

【目次】
謝辞 [iii]
凡例 [iv]
目次 [v-xi]

 

第1章 本書の概要 003

第2章 必然性の教義 018

第3章 アマチュアは公表し、官僚は隠匿する 026

第4章 統計局 041

第5章 理性の甘美な専制 052

第6章 病気の数量 069

第7章 科学の穀倉 080

第8章 自殺は一種の狂気である 092

第9章 立法の哲学の経験的基礎 105

第10章 信憑性がなく、詳細も分からず、統制を欠いた、価値のない事実 116

第11章 何対何を多数決とすべきか 125

第12章 大数の法則 138

第13章 兵士の胸囲 154

第14章 社会が犯罪を準備する 169

第15章 社会の天文学的概念化 184

第16章 社会の鉱物学的概念化 196

第17章 最も古い崇高さ 209

第18章 カッシーラのテーゼ 221

第19章 正常状態 237

第20章 宇宙的な諸力と同じくらいリアルな 252

第21章 統計法則の自律性 268

第22章 プロイセン統計からの一挿話 282

第23章 偶然の宇宙 298


巻末訳注 [324-326]
解説 [327-339]
  1. 科学思想史としての本書の位置づけ(重田園江) 
  2. 社会統計学上の本書の位置づけ(石原英樹) 
事項索引 [340-342]
人名索引 [343-353]

 

 

【メモランダム】

  webで読める、本書への書評・短評・言及。

隠岐

http://soki.free.fr/hacking.html

・太郎丸氏

http://sociology.jugem.jp/?eid=760

・内井氏

http://obaq.soup.io/post/1753495/

 

 

  本書に先立つThe Emergence of Probability(Cambridge University Press, 1975) が、『確率の出現』として、2013年に慶應義塾大学出版会から刊行された。

  慶應義塾大学出版会 | 確率の出現 | イアン・ハッキング 広田すみれ 森元良太

 

『教養としての将棋――おとなのための「盤外講座」』(尾本恵市[編] 講談社現代新書 2019)

編者:尾本 恵市(おもと・けいいち) 分子人類学。
著者:梅原 猛(うめはら・たけし) 哲学。
著者:羽生 善治(はぶ・よしはる) 棋士
著者:清水 康二(しみず・やすじ) 考古学(遊戯史、鋳造技術、巨石文化)
著者:飯田 弘之(いいだ・ひろゆき) ゲーム情報学。
著者:熊澤 良尊(くまざわ・りょうそん) 駒師。
著者:安次嶺 隆幸(あじみね・たかゆき) 元・小学校教員。
著者:大川 慎太郎(おおかわ・しんたろう) 記者。
本文デザイン:土方 芳枝
NDC:796 将棋


『教養としての将棋 おとなのための「盤外講座」』(羽生 善治,梅原 猛,尾本 恵市):講談社現代新書|講談社BOOK倶楽部


【目次】
はじめに(制作者一同) [003-004]
目次 [005-010]


序章 「将棋学」ことはじめ――盤外の文化、ここに集う[尾本恵市] 011
  将棋はなぜ「文化」なのかに
  「将棋学」の旗揚げとなった共同研究
  広く日本人のための教養として


第1章 いまこそ将棋を知ってほしい――大山・升田からAI、怨霊思想まで[梅原 猛×羽生善治 021
1 文化は奇人がつくる 022
  将棋熱中時代
  おそるべき江戸時代の詰将棋
  「ひらめき」は「むだ」から生まれる
  恥ずかしい「インチキ将棋」
2 わざと悪手を指した名人 040
  理系は直観、文系は経験
  盤上を見ていなかった大山
  将棋に勝つには「他力」が必要
  盤上の研究者だった升田
3 直観は七割しか正しくない 053
  直観を捨てるつらさ
  「強いこと」とは「読まないこと」 
4 将棋界に「個性」は失われたか 060
  すさまじい情報戦
  ドライに書き換えられる常識
  将棋を「伝える」ことの大切さ
  コンピュータが将棋を面白くする
5 将棋に見る日本独特の思想 072
  「持ち駒」は武士道に反するか
  チェスの考え方、将棋の考え方
  「つるむ和」ではなく「羅漢の和」を


第2章 将棋はどのようにしてできたのか――考古学が追う「誕生」のミステリー[清水康二] 087
  「特異さの謎」を解くための三つの論点
  いまも続く論争
  戦国時代の「朝倉駒」
  興福寺での大発見
  将棋の進化が垣間見えた
  「奈良時代以前」に将棋はあったか
  「先祖」はマックルックだったのか
  将棋は「庶民のゲーム」だったのか
  将棋を伝え、改変した人たち
  「将棋学」の確立のために


第3章 将棋はなぜ人を夢中にさせるのか――数理で示す「面白さ」のメカニズム[飯田弘之 113
  勝負の世界から研究の道へ
  「危うきところ」にある本質
  「ふち」がもたらす「スリル感」と「遊戯性」
  ゲームの特徴を決める「スイング頻度」
  思考ゲームのスイング頻度
  思考ゲームの「洗練度」を示す指標
  「公平性」という問題
  思考ゲームにおける公平性問題 ①囲碁
  思考ゲームにおける公平性問題 ②チェス
  思考ゲームにおける公平性問題 ③将棋
  AIの登場で問われる日本人の叡知


第4章 将棋の駒はなぜ芸術になったのか――職人が明かす「わざ」の見どころ[熊澤良尊] 133
  将棋の駒とチェスの駒の違いは?
  将棋の駒は「木でできた宝石」
  「平べったいこと」の恩恵――多様さを生む空間
  「平べったいこと」の恩恵――「指し味」と「手さばき」
  「色分けしていないこと」の恩恵――飴色の木地の美しさ
  「文字で種類を区別すること」の恩恵――書体が深めた芸術性
  「文字で種類を区別すること」の恩恵――進化した漆の技術
  将棋の駒はいつから高級品になったのか
  五角形とルールとの関係
  駒づくりの実技
  駒木地をつくる ①櫛板は最低2年寝かせる
  駒木地をつくる ②ジグソーパズルの面白さ
  文字を彫る ①書体を選んで「字母紙」を貼る
  文字を彫る ②V字型に彫る「薬研彫り」
  文字を彫る ③「目止め」を忘れるな
  漆のわざ ①文字の仕上げは4種類ある
  漆のわざ ②猫の首の毛でできた筆
  漆のわざ ③文字は駒に正対して書くべし
  漆のわざ ④「銘」を入れる
  漆のわざ ⑤「磨き上げ」も手を抜くな


第5章 将棋はなぜ「頭のよい子」を育てるのか――教育者が説く「負けました」の効能[安次嶺隆幸] 173
  将棋ブームを支える親たちの期待
  「負けました」が秘める力
  「気持ちを折りたたむ」
  負けて泣いている子にどう接するか
  「無言のうちに察する力」
  「間違えることを恐れない」
  羽生さんが教えてくれたこと
  藤井聡太が学んだもの


第6章 将棋の「観戦記」はどう変わったか――取材現場で見た将棋界の「ハイテク化」[大川慎太郎] 195
  観戦記がなければ将棋はわからない
  「後日取材」は将棋界ならではの手法
  21世紀に将棋と観戦記は激変した
  序盤の描写が変わった
  登場する棋士が多彩になった
  「背景」が掘り下げられるようになった
  情景描写が減った
  「将棋めし」が注目される不思議
  ソフトで解析できるようになった
  観戦記はどうなるのか


おわりに――「形づくり」の美学[令和元年五月 尾本恵市] [226-232]
詰将棋 [233-234]




【メモランダム】
・以下、個人的な感想と注意喚起と疑問。


(1) 本書には面白いトピックが取り上げられているので全体としては評価できる。ただし、[安次嶺隆幸氏が執筆した]第5章「将棋はなぜ「頭のよい子」を育てるのか」だけは悪い意味で浮いている。
 はっきり言うと、第5章を真に受けてはいけない。将棋にかこつけた、安次嶺氏独自の教育語りにすぎないから。具体的なことは(4)で。


(2) 安次嶺氏は2017年には将棋連盟のホームページでコラムを連載していた。
 子供たちは将棋から何を学ぶのか【将棋と教育】|将棋コラム|日本将棋連盟

 SNS上では、幾人かこのコラムを問題視している人もいた。
 以下はTwitterから採取した例。


(3) 安次嶺氏には、「将棋連盟学校教育アドバイザー」という肩書が与えれている。安次嶺氏・金子光男氏・梅原厚子氏・古作登氏の4人以外がこの肩書を得たというニュースを私は知らない。
 また、名人経験者が安次嶺氏の著書に「推薦のことば」を寄せたほか、歴代名人と氏の対談記事も公開されている。
 ここから、将棋連盟は「将棋のことを持ち上げてくれる主張なら、または将棋を教育に取り入れてくれる人なら、選り好みせず将棋連盟のお墨付きを与える」という姿勢をとっていることがわかる。そして、普及に熱心で知名度の高い棋士数人も、SNSを見る限りそれに追従している。


(4) 何が問題かを確認する:将棋連盟が非科学的な言説に関与していること。
  私はこれまで、「日本人の忘れ物」等のキーワードを含んだ怪しい日本文化論や、怪しくないが独特な発想の日本文化論を好んで収集してきた。日本文化論マニアの私が判断すると、安次嶺氏の単著でこの主張(第5章の内容)が行われるなら、毒性は低いし、すぐに大きな問題につながることはないと思う。
  また、そもそも論として、個人の著作のなかで「将棋の文化」や「将棋の精神性」をどのように語るのも(表現の自由の範囲で)著者次第だ。相当の理由がない限り、文化庁も将棋連盟も止めることはできないし、するべきでもない。
  ただしそれと同時に、怪しい言説・主張が接近してきた場合、通常の組織なら警戒心をもって対応するという行動の余地はまだ残っているはずだ。
  しかし、現実には警戒心が無かった。私は、公教育のカリキュラムに「江戸しぐさ」が混入した件のようにはなってほしくないと思っている。


(5) 以上で述べた私の懸念も、残念ながらすべての人々には共有されることはないと思う。
 具体的には、次のような考えをもつ方には届かない。
  「安次嶺氏の主張はもっともで、なんの問題もない」
  「教育に偏った思想が混じってもよい。なんなら教育論を展開する本には、変な本が多いという現実がある」
  「将棋連盟の決定または大棋士の考えに対して、アマチュアが意見するのは許されない」
  「将棋の宣伝・普及に寄与するなら、怪しいものでもどんどん利用すればよい」
  「かりに将棋連盟や棋士が怪しい言説に接近したことが後に問題となったとしても、将棋というゲームは残るからどうでもいい」

 編者の尾本恵市氏と現代新書編集部が何故この点をスルーしたのかも分からない。

『つながる図書館――コミュニティの核をめざす試み』(猪谷千香 ちくま新書 2014)

著者:猪谷 千香[いがや・ちか](1971-) ジャーナリスト、作家。


筑摩書房 つながる図書館 ─コミュニティの核をめざす試み / 猪谷 千香 著


【目次】
目次 [003-007]


プロローグ 恋人と出会える図書館 009


第1章 変わるあなたの町の図書館 017
「住みたい」と言われる図書館――武蔵野プレイス 013
  人が集まる「広場」を作る
  地域の課題だった四つの機能
  司書の能力だけではできないシームレスな運営


第2章 新しい図書館の作り方 029
知の集積地が実現させた「これまでにない図書館」――千代田図書館 039
  コンシェルジュが本をご案内
  全国から視察が殺到
  明確なガバナンスのもとにプロが作った図書館
  指定管理者制度導入のメリット、デメリット

公募館長のもとに町民が作った図書館――小布施町 まちとしょテラソ 046
  図書館が必要かを住民が選ぶ
  図書館をどうやって「演出」する?
  「人情」の貸出システムで町中を図書館に
  来館者数が七倍に


第3章 「無料貸本屋」批判から課題解決型図書館へ 061
鳥取県内を走る知の大動脈――鳥取県立図書館 062
  米粉のベーカリーを貸し出した図書館
  図書館に入らずに悩みが解決できる図書館
  図書館がビジネス支援に本気を出したら
  ビジネス・ライブラリアンの育て方
  鳥取県にはりめぐらされた知の大動脈

新しい公共図書館の“種”を蒔く 081
  オホーツク海沿岸の小さな町が「図書館」を考える
  図書館員のバイブル『市民の図書館』が目指したもの
  文科省の政策に出現した「解決型図書館」
  「課題解決型図書館」誕生への道筋
  地方分権一括法で訪れた図書館の危機
  図書館を武器に暴力団と戦った女性


第4章 岐路に立つ公立図書館 101
神奈川県立図書館問題 102
  県立図書館と市立図書館は二重行政?
  神奈川県立図書館の舞台裏
  都道府県立図書館と市町村立図書館で異なる基準
  民間が考えた未来の神奈川県立図書館像
  公立図書館の「官民協働」と「資金調達」の方法


第5章 「武雄市図書館」と「伊万里市民図書館」が選んだ道 117
視察が絶えない二つの図書館 118
  本を売る図晝館
  “憲法”を掲げる図書館

伊万里市民図書館 129
  市民が図書館の“誕生日”を祝う
  市民を育て、町をつくる図書館
  「ブックスタート」や「家読」で子供を読書家に
  指定管理者を入れないという決意
  「市民」を冠するにふさわしい図書館

武雄市図書館 146
  毀誉褒貶にさらされる武雄市図書館
  武雄市図書館を絶賛する地方自治体の首長や議員、研究者
  樋渡市長が目指す市民価値の向上
  代官山蔦屋書店の空間が図書館に
  武雄市が世界に誇る武雄蘭学コレクション
  「武雄市図書館」はあなたの町にもできるかもしれない

指定管理者制度は特効薬か、毒薬か 173
  指定管理者制度導入が引き起こした論議
  五社が指定管理者として運営する「日比谷図書文化館」
  図書館側からの要望で始まった運営業務委託
  指定管理者から見た指定管理者制度の課題


第6章 つながる公共図書館 189
デジタル化、そして本棚から外界へ――青空文庫国立国会図書館飯能市立図書館 190
  青空文庫国立国会図書館が目指す「電子図書館
  東日本大震災で広まった「デジタルアーカイブ
  本棚から外界へ拡張する飯能市立図書館

新しい公共図普館 203
  公立図書館でも私立図書館でもない「新しい公共図書館」の波
  千葉県船橋市で急増中の「図書館」
  小さな図書館に育つ地域のコミュニティ
  公立図書館と公共図書館の違いとは
  世界中の本棚を図書館化する「リブライズ」

島をまるごと図書館にしてしまった島根県海士町 218
  図書館がない離島
  海士町らしい中央図書館が完成
  島の未来をつくる図書館
  海士町からのお土産を自分の町へ


あとがき(二〇一三年一〇月 猪谷千香) [233-238]

『ダーティ・シークレット――タックス・ヘイブンが経済を破壊する』(Richard Murphy[著] 鬼澤忍[訳] 岩波書店 2017//2017)

原題:Dirty Secrets: How Tax Havens Destroy the Economy(2017)
著者:Richard Murphy(1958-) 公認会計士
訳者:鬼澤 忍[おにざわ・しのぶ](1963-) 翻訳家
装丁:森 裕昌[もり・ひろまさ](1970-) 装丁家
NDC:345.1 租税政策・行政、税制改革

 

ダーティ・シークレット - 岩波書店

ダーティ・シークレット――タックス・ヘイブンが経済を破壊する

ダーティ・シークレット――タックス・ヘイブンが経済を破壊する

 

【目次】
謝辞 [v-vi]
はじめに [vii-xii]
目次 [xiii-xv]
献辞 [xvi]

 

第一章 タックス・ヘイブンの物語 001
  取締機関はタックス・ヘイブンが何をしていると考えているか 006
  市民社会における議論――守秘法域という認識 017
  メディアの役割 021

 

第二章 秘密主義の問題 027
  経済学によれば、こうあるべきではない 027
  タックス・ヘイブンの告発台帳 029
  プライバシーと秘密主義 032
  オフショア世界の構成要素 034
  透明性が必要な理由 037
  タックス・ヘイブンのコスト 039
  民主主義のコスト 043
  租税競争 044

 

第三章 タックス・ヘイブンとは何か 053
  オフショア 053
  タックス・ヘイブン 057
  守秘法域 060
  タックス・ヘイブンは何をしているのか 061
  租税回避 065
  企業のためのタックス・ヘイブン 072

 

第四章 タックス・ヘイブンの世界 085
  タックス・ヘイブンの製品 085
  オフショアのサービス産業 090
  秘密主義の地理学 101

 

第五章 タックス・ヘイブンのコスト 118
  タックス・ヘイブンのせいで失われる税収の影響 125

 

第六章 タックス・ヘイブンに立ち向かう 133
  公式の国別報告書 140
  企業と信託の実質所有者一覧 149
  法人税改革 157
  タックス・ヘイブンの提供者に立ち向かう 163
  政治的意思 166

 

第七章 タックス・ヘイブン後の世界 171
  タックス・ヘイブン後の世界における政府 176
  タックス・ヘイブン後の時代におけるタックス・ヘイブン 180
  タックス・ヘイブン後の社会 187

 

注 [14-23]
付録3 秘密度指数ランキング [10-13]
付録2 タックス・ジャスティス・ネットワークの評価基準 [8-9]
付録1 金融秘密度指数 [4-7]
索引 [1-3]

 

 

 

【関連記事】

 『〈税金逃れ〉の衝撃――国家を蝕む脱法者たち』(深見浩一郎 講談社現代新書 2015)

https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20150829/1480257013

 

 『私たちはなぜ税金を納めるのか――租税の経済思想史』(諸富徹 新潮新書 2013)

https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20150413/1473128422

 

 

『コーポレート・ガバナンス』(花崎正晴 岩波新書 2014)

著者:花崎 正晴[はなざき・まさはる](1957-) 金融論。コーポレート・ガバナンス。
NDC:335.4 企業.経営 >> 私企業.会社


コーポレート・ガバナンス - 岩波書店


【目次】
はしがき [i-vii]
目次 [ix-xi]


第1章 コーポレート・ガバナンスとは何か 001
1.1 所有と経営の分離 002
  老舗企業
  産業革命
  アダム・スミスの洞察
  アメリカ合衆国の発展と大恐慌バーリーとミーンズの指摘
  エージェンシー関係
1.2 エージェンシー問題 013
  情報の非対称性と契約の不完備性
  エージェンシー・コスト
  コーポレート・ガバナンスの広がり


第2章 アメリカ型ガバナンスの特徴と限界 019
2.1 株主による経営者のモニタリング 020
  エンロン事件
  アーサー・アンダーセン会計事務所
  企業スキャンダルと規制
2.2 経営者へのインセンティブ付与 027
  ストック・オプション
  インセンティブ・スキームの限界
  フリーキャッシュフロー問題
2.3 株式市場を利用するアプローチ 035
  委任状争奪戦
  M&A
  敵対的買収企業価値
  MBO
  事業部門の切り離し


第3章 日本型ガバナンスを再検討する 047
3.1 企業系列 049
  垂直的系列と水平的系列
  水平的系列の変化
  金融系列
3.2 日本独自のメインバンク・システム 054
  メインバンクとは何か
  メインバンクの機能
    (1) リスク・シェアリング機能
    (2) 情報機能
  モニタリング機能
  メインバンクを高く評価する研究
  メインバンクと金融規制
3.3 日本のメインバンクはガバナンス機能を果たしたか 065
  メインバンク論に対する代替仮説
  ガバナンスの三つのメカニズム
  株式所有の集中度、所有者の影響
  メインバンクと負債の役割
  市場競争による規律づけ
  市場競争の指標
  実証分析から得られた結果
  日本企業のガバナンスとは


第4章 日本の銀行のガバナンス 079
4.1 金融危機の何が問題か 080
  明るみに出た不良債権
  不良債権の累積
  経営破綻と公的資金による救済
  バブル崩壊金融危機を招いたのか
4.2 銀行のガバナンスと規制の役割 089
  預金者による規律づけ
  働かない規律づけ
  金融自由化の影響
  規制当局の役割
4.3 ガバナンスの空白 100
  銀行の株主は金融機関
  機能しない株主の規律づけ
  エントレンチメントの影響
  ガバナンスを機能させるには


第5章 東アジア企業のガバナンス構造 109
5.1 家族支配企業のガバナンス 110
  家族支配とは何か
  国際比較研究から
  家族支配とエージェンシー問題
  議決権と収益受取権
  東アジアと西欧の比較
5.2 アジア危機とコーポレート・ガバナンス 120
  投資家の保護とは
  投資家保護の効果
  情報開示と所有構造の効果
  所有集中度と企業収益率
  アジア危機以前と以後
  クローニー資本主義
5.3 財閥の功罪 134
  旧財閥系企業グループ
  東アジア企業の二つの仮説
5.4 中国の経済発展 140
  遅れた制度下での高度成長
  経済発展の背景


第6章 コーポレート・ガバナンスの将来展望 145
6.1 アメリカ型ガバナンスは浸透したか 146
  企業法制度の改革
  日本企業の変貌
  増加する社外取締役
  広まるストック・オプション
  委員会設置会社の実態
6.2 日本の企業行動はアメリカ型に移行するか 156
  ストック・オプション導入により収益性は改善したか
  ストック・オプションの導入は企業のリスク・テイキング行動を誘発したか
  事業の多角化とコーポレート・ガバナンス
  多角化の二面性
6.3 ステイクホルダー型ガバナンス 166
  ステイクホルダーソサエティ
  企業の社会的責任(CSR)
  社会的責任投資(SRI)
  コーポレート・ガバナンスとしてのCSRとSRI
  社会的なガバナンスへ


あとがき(二〇一四年九月 花崎正晴) [177-180]
参考文献 [1-4]