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『図書館情報学を学ぶ人のために』(逸村裕, 田窪直規, 原田隆史[編] 世界思想社 2017)

編著者:逸村 裕(1957-)[いつむら・ひろし] 筑波大学図書館情報メディア系教授。文学修士図書館情報学,学術情報流通。
編著者:田窪 直規(1958-)[たくぼ・なおき] 近畿大学司書課程担当教授。博士 (図書館情報学)。図書館情報学など。
編著者:原田 隆史[はらだ・たかし] 同志社大学免許資格課程センター教授 兼 同志社大学大学院総合政策科学研究科教授,国立国会図書館非常勤調査員。工学修士,文学修士図書館情報学,図書館システム,情報システム。
著者:呑海 沙織[どんかい・さおり] 筑波大学図書館情報メディア系教授。博士(都市創造)。図書館情報学,知識情報基盤,高齢者サービス。
著者:永江 朗[ながえ・あきら] ライター,書評家。出版文化,哲学
著者:根本 彰[ねもと・あきら] 慶應義塾大学部文学部教授。教育学修士図書館情報学
著者:池内 淳[いけうち・あつし] 筑波大学図書館情報メディア系准教授。 文学修士図書館情報学公共図書館政策。
著者:中山 伸一[なかやま・しんいち] 筑波大学図書館情報メディア系教授。博士(学術)。応用情報学。
著者:加藤 信哉[かとう・しんや] 国際教養大学特任教授兼国際教養大学中嶋記念図書館長。図書館情報学大学図書館運営。
著者:平久江 祐司[ひらくえ・ゆうじ] 筑波大学図書館情報メディア系教授。修士(教育学,図書館情報学)。図書館情報学学校図書館
著者:溝上 智恵子[みぞうえ・ちえこ] 筑波大学図書館情報メディア系教授。博士(政治学)。高等教育政策。
著者:毛利 るみこ[もうり・るみこ] 国立教育政策研究所社会教育実践研究センター専門調査員。 修士(教育学)。社会教育行政。
著者:吉田 右子[よしだ・ゆうこ] 筑波大学図書館情報メディア系教授。博士(教育学)。図書館情報学公共図書館論。
著者:三森 弘[みつもり・ひろし] 名古屋大学 施設環境計画推進室 講師。博士 (デザイン学)。建築・都市計画。
著者:松林 麻実子[まつばやし・まみこ] 筑波大学図書館情報メディア系講師。図書館情報学,情報行動,学術コミュニケーション。
著者:鈴木 佳苗[すずき・かなえ] 筑波大学図書館情報メディア系准教授。社会心理学,教育工学。
著者:横山 幹子[よこやま・みきこ] 筑波大学図書館情報メディア系准教授。博士 (人文科学)。哲学,図書館情報学,知識論。
著者:緑川 信之[みどりかわ・のぶゆき] 筑波大学図書館情報メディア系教授。博士(図書館情報学)。分類論。
著者:白井 哲哉[しらい・てつや] 筑波大学図書館情報メディア系教授。博士(史学)。日本アーカイブズ学,16-20 世紀の日本地域史学。
著者:水嶋 英治[みずしま・えいじ] 筑波大学図書館情報メディア系教授。博士(世界遺産学)。博物館学
著者:関 洋平[せき・ようへい] 筑波大学図書館情報メディア系准教授。博士 (情報学)。自然言語処理,情報アクセス, コミュニケーション理解。
著者:高久 雅生[たかく・まさお] 筑波大学図書館情報メディア系准教授。博士 (情報学)。情報検索,電子図書館,情報探索行動。
著者:宇陀 則彦[うだ・のりひこ] 筑波大学図書館情報メディア系准教授。博士 (工学)。知識情報学,デジタルライブラリ。
著者:大庭 一郎[おおば・いちろう]  筑波大学図書館情報メディア系講師。修士(図書館情報学)。図書館情報学,図書館職員の人的資源管理,図書館の情報サービス。
著者:三波 千穂美[さんなみ・ちほみ] 筑波大学図書館情報メディア系講師。 文学修士図書館情報学,テクニカルコミュニケーション。
装丁:井上 二三夫[いのうえ・ふみお] ブックデザイナー。
NDC:010 : 図書館.図書館情報学 


図書館情報学を学ぶ人のために - 世界思想社



【目次】
まえがき(編者一同) [i-ii]
目次 [iii-viii]


  第1部 知識の宝庫,図書館 


第1章 図書館の誕生と変貌[吞神沙織] 002
1 駱駝の図書館 002
2 粘土と葦と図書館の源流 003
  年度版の図書館
  パピルスの図書館
3 巻子本から冊子本へ 004
  羊皮紙の誕生
  コデックスの発明
4 紙とグーテンベルク 006
  製紙法の発達と広がり
  活版印刷の普及
5 中世の修道院図書館と鎖からの解放 007
  中世の修道院図書館
  大学図書館の誕生
6 すべての人々に開かれた図書館へ 009
引用・参考文献 011


第2章 本が生まれる場所,育つ場所[永江朗] 012
1 出版社の仕事 012
2 製紙・印刷・製本 013
  製紙
  印刷
  製本
3 取次の仕事 016
4 再販制と委託制 018
  再販制/委託制の功と罪
5 読んだ本はどこへいくか 古書の世界とリサイクル 019
6 電子書籍と流通 021
引用・参考文献 022


第3章 偉人たちの知識はそこにある[逸村裕] 023
1 大学図書館は知識の根っこ 023
2 学術情報基盤の機能 024
  『三四郎』にみる大学図書館
  大学図書館の基本的機能
  デジタル情報源の入り口としての学術情報基盤
  ラーニングコモンズの展開
3 オープンアクセスと機関リポジトリ 028
  学術論文をめぐる状況
  オープンアクセス
4 未来を志向する学術情報基盤 030
引用・参考文献 031


第4章 図書館情報学からみる図書館の姿[根本彰] 032
1 図書館情報学とは何か 032
  アカデミズムとプロフェッショナリズム
  アメリカにおける図書館情報学の位置づけ
2 ヨーロッパ系の図書館情報学 036
  ヨーロッパの大学の動き
  ヨーロッパの図書館情報学
3 日本の図書館情報学 038
  世界の中の位置づけ
  出版と図書館との関係
  その後の発展
4 新しい「図書館」 042
引用・参考文献 043


  第2部 図書館の舞台裏 


第5章 公共図書館のサービス[池内淳] 046
1 市民にもっとも近い公共施設 046
2 貸出サービス 047
  貸出
  ユニークな資料の貸出
3 予約と返却を受け付ける 048
  予約
  返却
4 延滞された資料を督促する 049
  延滞への対応
  督促
5 プライバシーを保護し,蔵書を構築する 051
  貸出履歴の活用とプライバシー
  選書と蔵書構築
6 どこにいても使えるサービス 053
  全域サービス
  電子書籍サービス
  未来の図書館サービスと司書の役割
引用・参考文献 055


第6章 大学図書館の仕事と経営[中山伸一・加藤信哉] 057
1 大学図書館って何をしているところ? 057
  本を選びそろえる
  情報システムの運営と契約
  他館との協力
  場の提供
2 大学図書館の経営 060
3 大学図書館事務長の仕事と悩み 061
4 大学図書館長の仕事と悩み 063
  大学内の仕事
  大学外の仕事とかかわる組織
  将来の大学図書館と図書館長の悩み
引用・参考文献/参照URL 066


第7章 学校図書館の活動[平久江祐司] 067
1 日本の学校図書館の発展 067
2 学校教育と学校図書館 069
3 学校図書館活動の実際 070
4 学校図書館の経営とは 073
5 学校図書館担当者の役割と資質 074
6 将来の展望 075
引用・参考文献 076


第8章 国が考える図書館政策[溝上智恵子・毛利るみこ] 077
1 図書館政策とは何か 077
2 生涯学習・社会教育の振興と公共図書館 078
  公共図書館に関する法律
  国による図書館施策
  新たなな取り組み
3 高等教育改革と大学図書館 081
  大学教育の質保証をめぐる政策
  ラーニングコモンズと言う学習支援
  新たな大学図書館サービスとは?
4 これからの図書館政策 085
引用・参考文献 086


  第3部 図書館のある知的な社会


第9章 マイノリティを支吸する図書館[吉田右子] 090
1 マイノリティグループと書館サービス 090
  文化的に多様な背景を持つマイノリティとは
  文化的に多様な社会と図書館サービス
2 移民・難民への図書館サービス 092
  移民を対象とした図書館サービスの発展
  子どもと女性に図書館サービスを届ける
  移民サービスを支える仕組み
3 性的マイノリティへの図書館サービス 094
  1970年代に始まった性的マイノリティへの図書館サービス
  必要とされる情報を確実に届ける
  性的マイノリティが集う場としての図書館
  差別と偏見を図書館から変える
4 先住民への図書館サービス 096
  先住民文化と図書館サービス
  ニュージーランドにおける先住民サービス最前線
  先住民専門職が先住民サービスを支える
5 マイノリティ利用者への図書館サービスを支える理念 097
  図書館の理念とマイノリティサービス
  国際図書館連盟・ユネスコ「多文化図書館宣言」
  アメリカ図書館協会「図書館の権利宣言」
6 なぜ図書館がマイノリティへのサービスを行うのか 098
    文化的多様性を映し出すコレクションを収集し提供する
    マイノリティの情報ニーズに応えエンパワーメントを支える
    社会の文化的多様性を伝える
  マイノリティサービスの課題
  図書館が多様な文化的背景をもつ人々へのサービスを行う理由
  「すべての人を歓迎します……」
引用・参考文献 101


第10章 知識が活性化する場所[三森弘] 102
1 図書館に求められる新しい役割 102
2 大学図書館によるアクティブラーニング支援 103
3 学生にとっての「ラーニングコモンズ」 106
4 気づきを誘発する「武蔵野プレイス」 108
5 建築が果たす役割・可能性 110
引用・参考文献 112


第11章 人々のイメージのなかの図書館[松林麻実子] 113
1 小説や映画に登場する図書館 113
  「図書館」は知の象徴? それとも出会いの場?
2 内容分析とは:人々の語りを分析する方法 115
3 「図書館」に対するイメージの分析 117
4 ふたたび小説や映画に登場する図書館 119
引用・参考文献 122


第12章 ネット社会の青少年と図書館[鈴木佳苗] 123
1 青少年のメディアと図書館の利用 123
  ネット社会の青少年の情報探索と問題解決
  青少年のメディア利用と学習
  探究的な学習における図書館資料の活用
2 情報探索や問題解決におけるインフォメーション・リテラシー 125
  インフォメーション・リテラシーとは
  日本におけるインフォメーション・リテラシー
3 インフォメーション・リテラシーの育成 126
  情報探索や問題解決のプロセスとインフォメーション・リテラシー
  情報探索プロセスモデル
  導かれた探究モデル
4 総合的リテラシー育成の展開 130
  ネット社会の総合的リテラシー
  メディア・インフォメーション・リテラシーの概念モデル
  メディア・インフォメーション・リテラシーの育成に向けて
引用・参考文献 133


  第4部 図書館の向こうに広がる知識の宇宙 


第13章 知識はどこにあるのか[横山幹子] 136
1 知るということ 136
  正当化された真なる信念
  遡行問題とゲティアの凡例
2 知識の外在化 139
  外在主義と内在主義
  双子地球の思考実験
3 言語による伝達 141
  言語論的転回
  外に現れたものとしての知識
4 記録による知識共有 144
引用・参考文献 145


第14章 分類を通して知識の体系をとらえる[緑川信之] 146
1 知識の体系と分類 146
  古代・中世の学問分野
  近代以降の学問分類
2 知識の配列順序 148
  分類順の資料配列
  19世紀の資料分類法
  20世紀の資料分類法
3 知識の構造 151
  階層構造
  多次元構造
4 動的分類は可能か 154
引用・参考文献 155


第15章 知識を探す仕組み:書誌情報[田窪直規] 156
1 書誌情報とはなにか:商品カタログと目録を通じて 156

2 書誌記述とアクセス・ポイント 157
  書誌記述
  アクセス・ポイント
3 書誌コントロール 160

4 ウェブの世界の書誌情報と書誌コントロール 161
  メタデータ:Web の世界の書誌情報
  ダブリン・コア・メタデータ・エレメント・セット
  メタデータの問題点
  メタデータレジストリセマンティック・ウェブ

5 書誌情報・書誌コントロールの未来とセマンティック・ウェブ 166
引用・参考文献 167


第16章 社会と文化の記憶[白井哲哉・水嶋英治] 168
1 「記録」されたものの本質 168
2 記憶と記録を伝えるアーカイブズ 169
3 古文書の世界とアーカイブズの発展 170
4 記録文書を保存する/提供する方法 171
5 標本と芸術作品 173
6 文化財としての記録資料 175
7 知識と命名法 176
引用・参考文献 


 第5部 21世紀の技術が示す知識のカタチ


第17章 1億件のデータから必要な情報を探し出す技術[原田隆史] 180
1 もはやひとつの図書館だけでは資料を集めきれない 180
2 収集したデータの事前加工はなぜ必要なのか 181
  書誌同定:同じものは同じと言うのは実は難しい
  著作同定:同じ本でも単行本も文庫本もある
3 大量データの高速処理:コンピュータも索引を使う 186
4 コンピュータを高速にするための仕組み 188
5 検索システムの高度化はさまざまなところで 189
引用・参考文献 190


第18章 検索と推薦の技術[関洋平] 191
1 商用サイトにおける図書推薦 191
  自分が読みたい本との出会い
  書籍販売サイトにおける本当の出会い
  自分と似ている人はどういう本を読んでいるの?
  協調フィルタリングを応用した本の推薦
2 図書館における図書推薦の課題 193
  図書館における書誌推薦と貸出記録
  武雄市図書館における新たな取り組みと課題
  電子化した書誌を活用した検索と推薦
3 電子書籍とソーシャルリーディング 195
  電子書籍の活用の広がり
  ソーシャルリーディングと推薦
  本棚サービスを活用した推薦
4 ユーザの嗜好を活用した大学図書館における推薦技術 198
  大学におけるデジタル図書館の役割と学術関連情報の推薦
  利用者の満足度を考慮した学術情報の推薦
  研究者間のコミュニケーションに向けた推薦機能の実現
引用・参考文献 199


第19章 知識をリンクする技術[高久雅生] 201
1 次世代のウェブから考える 201

2 セマンティック・ウェブの技術的基盤 202
  データ表現のための階層
  セマンティック・ウェブにおけるデータ表現:グラフデータ構造とトリプル
  リンクト・データ(Linked Data)
3 つながるデータとその応用例 207
  リンクト・データのデータ提供例と応用
  マイクロフォーマット
  オープンデータという潮流
4 これからのウェブとつながる知識 211
引用・参考文献 213


第20章 世界の知識に到達するシステム[宇則彦] 214
1 電子図書館の夢 214
2 ディスカバリサービスの登場 215
3 図書館の本質 217
4 ドキュメントによる知識共有現象 218
5 未来の図書館 221
引用・参考文献 223


  資料編

資料編1 司書になるためには[大庭一郎] 226
 1 図書館の種類 226
 2 司書資格の取得方法 227
 3 司書教諭資格の取得方法 228
 4 図書館情報学を学べる大学 229
 5 司書の就職先と就職方法 229
 6 図書館情報学の学びを活かせる職場 231
 引用・参考文献 232


資料編2 テクニカルコミュニケーターとは [三波千穂美] 234
 1 テクニカルコミュニケーション(TC)とは 234
 2 TCの現在 235
 3 テクニカルコミュニケーターの知識・技術 236
  引用・参考文献


索引 [241-244]
執筆者紹介 [245-246]

『ニューロラカン――脳とフロイト的無意識のリアル』(久保田泰考 誠信書房 2017)

英題:Neuro Lacan: The real in the brian and the Freudian unconscious
著者:久保田 泰考[くぼた・やすたか](1967-) 精神医学。滋賀大学保健管理センター教授。
装丁:柴田淳デザイン堂
件名:Lacan, Jacques, 1901-1981
件名:精神分析
NDLC:SB35 科学技術 >> 心理学 >> 心理学説・心理学史 >> ゲシュタルト心理学,連合心理学,行動主義心理学精神分析
NDC:146.1 臨床心理学.精神分析


ニューロラカン - 株式会社 誠信書房

 ラカン対脳?! ――これまでラカニアンにとって脳を語ることは暗黙のタブーだった。しかし真にフロイトへの回帰を志向するなら、その神経学的基盤にも回帰せざるを得ず、要するにフロイトは元来ニューロフロイトなのだ。では、ニューロラカンを語る根拠はどこに見出されるのか。人はそこで『エクリ』におけるピンポイント攻撃というべき脳への正確な言及を思い起こすだろう。精神分析神経科学の交錯から明らかになるフロイト的無意識のリアルとは?


【目次】
目次 [i-iv]


導入に代えて、あるいは、どうしてあなたはラカンを読むのか(よりにもよって)? 001
  どうしてこんな書き方になったのか?
  誰がラカンを必要とするのか?
  あなたはどの程度ラカンを必要としているのか?
  ラカンは何をしたのか?
  フロイトは未だ読まれていない
  フロイト反復強迫
  フロイト精神分析を生き延びさせるために


第1章 最後の精神分析家 015
  最後の分析医?
  精神療法 VS 薬物療法
  誰がそれを恐れるのか?
  精神分析の幻想の未来
  ラカンへの回帰


第2章 夢の中のクオリア 027
  無意識のクオリア
  マトリックスと夢
  あなたはもうすぐ目覚める……
  REM睡眠と夢をめぐる論争
  私たちは意識体験において何を見ているのか?
  光学装置と主体
  もう一つの場所
  デジタルイメージにおける無意識


第3章 もし意識がなかったら、神経症は存在しないだろうか? 047
  一九五〇年代の「脳科学的」精神分析
  ジャクソン――神経システムのアナーキー
  精神病は無政府状態ではない
  何が進歩したのか?
  側頭葉てんかん扁桃体、ネガティブなクオリア
  発作を起こすドストエフスキー
  父の死後、何も許されない


第4章 意識・サブリミナル・無意識 065
  パラパラ漫画とストロボ(回転)円盤
  運動を視る脳
  アニメーションの極限
  意識体験を編集する
  皮膚電気反応――意識されない精神過程の指標
  「ヘビだ!」
  無意識の発見・サブリミナルの発見
  意識の時間性と解釈
  運動=行為の時間知覚と解釈


第5章 精神病・シニフィアン・意味 085
  パリ・ラカン派の精神科医たち
  ラカン派の「臨床」などない?   
  精神病という存在
  「精神病治療技法論」などない
  幻聴と「あなた」   
  難聴の精神病患者たち
  幻聴の神経基盤   
  ほんとうにそれは聴こえているのか?
  シニフィアンと脳
  幻聴をイメージする
  幻聴はバーチャルリアリティーではない


第6章 言説の「外」――パラノイア自閉症論の現在 105
  「人間」の権利
  シュレーバーは何者だったのか
  「望んでも狂者にはなれない」
  自閉症と精神病


第7章 もし言語がなければ統合失調症はないだろうか1  121
  統合失調症の「神話学」
  古典的な言語障害と意味処理のネットワーク
  言説における異常
  「排除」という想定と、その影響のもとにある存在
  意味の限界へ


第8章 もし言語がなければ統合失調症はないだろうか2 139
  「初期の精神分裂病」の症例
  表象の意識化というオペレーション
  脳は意味である
  「穴は穴である」、あるいは「全部言葉だべ」
  どこまで行けば、言葉から自由になれるのか


第9章 死の欲動論1 159
  生命と渦巻き
  結晶と死
  「フロイトの生物学」という困難
  ゾウリムシの「性と死」
  エントロピー・熱力学・情報
  死の欲動の臨床
  革新される精神分析


第10章 死の欲動論2 181
  フロイトと戦争
  神経回路における思考、ボルツマン的な無意識
  トラウマと反復
  見られるものとしての私
  アヴァター ――仮象としての自我
  自我、無意識、脳
  「死の欲動」の未来
  フィナーレ


あとがき、あるいはその体裁をとったもうひとつの導入(二〇一六年一一月二五日 パリにて) [206-208]
文献 [209-226]
索引 [228-232]





【抜き書き】


p. 88

 つまり、ラカン派の精神分析の主役は、入院する必要も、薬物療法の切迫性もなく、世界でそれなりに自立して生活する人々である。それは、分析理論でさしあたり「神経症」とカテゴライズされる人々であり、入院治療やシェルター、グループホームなどの福祉サービスの対象となる、比較的重い精神疾患の人々ではない。
 「神経症」という言葉について、もう少し説明しておこう。やや乱暴な説明だが、ラカン派がこのカテゴリーを使うとき、それは「普通の人」というのとニュアンスの上でほとんど違いはない。

『技術の完成』(Friedrich Georg Jünger[著] FGユンガー研究会[訳] 人文書院 2018//1953)

原題:Die Perfektion der Technik. Vittorio Klostermann. Frankfurt am Main (1946,1953)
著者:Friedrich Georg Jünger(1898-1977) 批評。詩作。
訳:F・G・ユンガー研究会[えふ・げー・ゆんがー・けんきゅうかい]
 [監訳]
今井 敦[いまい・あつし] (龍谷大学
桐原 隆弘[きりはら・たかひろ] (下関市立大学
中島 邦雄[なかじま・くにお] (水産大学校
 [翻訳]
島浦 一博[しまうら・かずひろ] (九州国際大学
能木 敬次[あたぎ・けいじ] (日本経済大学
福山 美和子[ふくやま・みわこ] (ドイツ語通訳)
熊谷 エミ子[くまがい・えみこ] (龍谷大学 非常勤講師)
西尾 宇広[にしお・たかひろ] (慶応義塾大学)
小長谷 大介[こながや・だいすけ] (龍谷大学
稲葉 瑛志[いなば・えいじ] (京都大学 非常勤講師)
NDC:118 文化哲学.技術哲学


技術の完成 - 株式会社 人文書院


【目次】
目次 [001-005]
凡例 [006-007]


緒言 011


一 〔技術とユートピア
二 〔労働とゆとり〕
三 〔富と貧困〕
四 〔技術的組織と損失経済〕
五 〔技術による収奪と合理性〕
六 〔経済的思考の技術的思考への敗北
七 〔エコノミーと大地の掟〕
八 〔自動化の増大と時間〕
九 〔技術的搾取過程の基盤としてのデカルト理論〕
一〇 〔ガリレイニュートン力学が時間概念に及ぼす影響〕
一一 〔自然科学と機械化された時間概念〕
一二 〔死んだ時間〕
一三 〔歯車装置としての技術〕
一四 〔決定論と統計的蓋然性〕
一五 〔意志の非自由性〕
一六 〔労働の専門化と細分化、労働者の諸組織〕
一七 〔労働問題の成立〕
一八 〔機械と労働者組織、労働者の失意〕
一九 〔労働者と搾取、安全性〕
二〇 〔意図的な技術と意図的でない技術、目的論と力学〕
二一 〔因果論的思考と目的論的思考の協働〕
二二 〔技術的合目的性の限界〕
二三 〔機械機構と人間組織の相互関係〕
二四 〔機能主義と自動化〕
二五 〔技術的組織と他の諸組織、技術と法〕
二六 〔科学と技術〕
二七 〔技術的組織と貨幣・通貨制度〕
二八 〔技術的組織と教育〕
二九 〔技術と栄養摂取〕
三〇 〔技術的人間組織による国家の機械的改変〕
三一 〔科学的悟性の収奪的特徴〕
三二 〔科学的真理の概念〕
三三 〔技術の消費力と惑星規模の組織化、恒常的革命の時代、工場の稼働事故〕
三四 〔技術的完成の概念〕
三五 〔技術と大衆形成〕
三六 〔機械機構とイデオロギー、俳優〕
三七 〔イデオロギーと剥離〕
三八 〔動員(流動化)としての技術〕
三九 〔ローマ史の理論〕
四〇 〔技術とスポーツ〕
四一 〔映画のメカニズム〕
四二 〔自動化の麻酔的魅力〕
四三 〔惑星規模で組織化された収奪、総動員、総力戦〕
四四 〔欠乏諸組織の課題〕
四五 〔ライプニッツ、カント、ヘーゲルの哲学〕
四六 〔機械的進歩と根源的退行〕
補遺 世界大戦 252


内容外観 275


訳者解説1「技術をめぐる交友、ユンガー兄弟とハイデガー ――『労働者』『技術の完成』『技術への問い』を繋ぐもの」[今井敦] 281
  『ナショナリズムの行進』
  エルンスト・ユンガーのエッセイ『総動員』
  『労働者』
  「収奪」としての技術
  フリードリッヒ・ゲオルグ・ユンガーにおける「総動員/総流動化」
  マルティン・ハイデガーの「ゲシュテル」概念との類縁性
  ユンガー技術論への批判

訳者解説2「エコロジーの書としての『技術の完成』」[中島邦雄] 

訳者解説3「フリードリヒ・ゲオルク・ユンガーにおける社会思想の視座」[桐原隆弘] 
  主な参考文献 316
   F・G・ユンガー研究会メンバー 一覧

訳注 [320-337]

『東アジアの農村――農村社会学に見る東北と東南』(細谷昂 筑摩選書 2022)

著者:細谷 昂[ほそや・たかし](1934-) 農村社会学
シリーズ:筑摩選書;229
NDC:361 社会学


筑摩書房 東アジアの農村 ─農村社会学に見る東北と東南 / 細谷 昂 著


【目次】
目次 [003-007]


はじめに 011


  I まず北へ――日本、韓国、中国 

第1章 日本農村――長野県富士見町瀬沢新田 016
  日韓中の比較研究
  まず日本――長野県瀬沢新田
  単一の家から複合の家へ
  日本の家と同族、村と水利
  農間稼ぎと貢租、商品交換
  瀬沢新田の「村」と「組」
  神社・寺院、小祠・社祠の「三重の階統構造」
  村と祭、家と祭


第2章 韓国農村——忠清南道唐津郡大湖芝面桃李里 030
  次は韓国――忠清南道桃李里
  宗族マウル(村)、日本における 「武士の帰農」との違い
  戦後の変化、桃李里農業の概況
  両班マウルの二重原理、宗族と同族の違い
  桃李里の運営組織
  チプ、家族、家口
  桃李里の家族
  宗族集団と宗族マウル
  桃李里の水利組織、畜産業
  労働組織――トゥレ・プマシ・賃労働
  祖先祭祀と民間信仰


第3章 中国農村——山東省萊蕪市萊城区鹿野郷房幹村 049
  続いて中国――山東省房幹村
  八路軍・土地改革・人民公社文化大革命
  その後の推移
  水庫(貯水湖)の築造、人民公社の解体と農地の再編成
  村の祭祀と信仰生活
  家族あるいは家庭とその継承
  大家族の事例と均分相続の実態、「輪流管飯」
  日本の分家との違い
  結婚式と葬儀
  父系出自親族集団の特徴
  農村工業化と労働問題
  信仰世界と村落祭祀


第4章 日韓中農村の比較 060
  同族団と宗族
  歴史的背景
  秋とウリ・ナム
  定住、移動と宗教 (信仰)
  社・やしろと自然神


  II 南に向かって――東南アジア 

第5章 東南アジア農村の「基層」――タイと台湾 078
  東南アジア農村の基層 少ない人口と豊富な土地
  交易社会と農業社会の二重構造
  支配層と農民との関係
  戦後農村社会の変化
  かつてはシャム
  バーン、屋敷地共住集団
  村落の内部構造
  屋敷地共住集団の現状
  屋敷地共住集団と村落
  タイの農民家族
  妻方居住、男女均等相続・夫婦別財システム
  タイにおける産業化と家族変動
  台湾における「社区」形成
  台湾南部の客家の村
  前期の「社区発展」事業
  後期の「社区発展」事業


第6章 東南アジア農村の「地方的世界」――ラオス中国西南部雲南ベトナム 108
  「地方的世界」とは何か
  東アジア「地方的世界」の特質
  メコン圏概説 ラオス北部農山村
  農山村に暮らす人々の移動ラオス北部サイの変貌
  ラオス北部における農村都市関係
  中国西南部雲南回族の世界
  隊商馬の発展
  西南中国の地方的世界と自然村
  ベトナムカオダイ教について
  ベトナム北部の村落社会


第7章 東南アジア島嶼部――インドネシア、ジャワとバリ 131
  インドネシア・ジャワ島
  調査対象地
  家族と親族間の相互扶助
  行政と村落社会
  農業生産の構造
  稲作の展開
  刈り取り作業の変化
  ギアツのいう「貧困の共有」
  農業新技術導入と農外所得世帯・親族関係
  集落内関係
  バリのデサ(村落)
  二重の規範秩序
  デサ政策の推移
  農業と農村の変容
  調査対象地プモガン村
  行政村を構成する一六の集落
  プモガン慣習村
  クパオン慣習村
  二つの水利組織
  チュチュラン水利組織(Subak Cuculan)
  クパオン水利組織(Subak Kepaon)
  二つの水利組織のメンバーへの聞き取り
  プモガン村農民生活の変容
  イスラム教の人々多様なエスニシティ、多様な言語


  III ふたたび北へ——中国各地 

第8章 『中国農村社会の構造』――華中と華北 172
  東南アジアから中国へ
  大戦中の中国調査
  華中農村 クリーク地帯
  土地所有関係――「田底田面所有権の分離」
  日本の地主制との対比
  水田の灌漑
  肥料と農具
  農業労働
  農村副業と商品経済
  華中農村の家族
  相続から見た家族の性質
  華北農村の集落――土壁
  村落の自治組織
  求雨と驅蝗
  宗教的な協同、経済的な協同
  隣接村落との関係、行政的な関連
  村落の内部構造
  村落の集団的意識


第9章 「沸騰する」華北平原農村――河北省辛集市新塁頭村 204
  中華人民共和国初期の変動
  耕地の請負期限
  郷鎮企業
  失地農民
  新農村建設
  一人っ子政策
  脚光を浴びていた人民公社
  中国河北省社会科学院との共同調査
  河北省新塁頭村
  農業機械サービス・センター、水利の状況
  事例農家①〜⑤
  事例農家⑥〜⑩
  事例農家①~⑩
  自家農業の現況と動向
  農外の職業
  「沸騰状態」の中国農村、その問題点
  村の仕組み
  村の中の区分け(範域)
  日本の農村との違い
  一〇年後の変化


第10章 華北農村における新農村建設――山東省平陰県 243
  山東省農村調査の三部作
  農業共同組織の歩み
  農業産業化の歩み
  農村合作経済組織の類型
  山東省の事例に見る変化の方向性
  日本の農協との対比
  山東省農村調査の第二作と第三作
  「三農問題」とは何か
  新農村建設政策の内容
  晃峪村の事例
  生活の変化
  張山頭村の事例
  新型農村社区の類型
  集住化のなかでの問題点
  社区はコミュニティなのか


第11章 蘇南農村における経済発展 268
  沿海部農村経済発展の三つのモデル
  離土離郷とは
  食糧自弁の転籍、暫定戸籍の認可
  蘇南地域における工業化農村M村の事例
  村民への分配と村民生活の変化
  内発的農村工業化は可能か


第12章 そして今――二〇〇〇年代の中国 280
  村の変化
  「アウトロー的行為の正しさ」
  中央政府と地方政府
  「団地移転プロジェクト」の導入と住民の言い分
  中国の村と「尺蠖の屈め」
  中国の村の懐の深さ


おわりに [291-293]

『ナショナリズムとは何か』(Anthony D. Smith[著] 庄司信[訳] ちくま学芸文庫 2018//2010)

原題:Nationalism: Theory, Ideology, History, 2nd edition.
著者:Anthony D. Smith(1939-2016) 社会学ナショナリズム研究)。美術史。哲学。
訳者:庄司 信[しょうじ・まこと](1958-) 。  
NDC:311.3 国粋主義ナショナリズム民族主義


筑摩書房 ナショナリズムとは何か / アントニー・D・スミス 著, 庄司 信 著


【目次】
目次 [003-006]
凡例 [007]
まえがき(アントニー・D・スミス ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス) [008-010]
タイトル [011]
題辞 [012]


序論 013


第一章 概念 020
1 「ナショナリズム」の意味 021
2 定義 027
  ナショナリズム 027
  エトニーとネイション 030
  ナショナル国家 040
  ナショナル・アイデンティティ 044
  ナショナル・アイデンティティ批判 044
    アイデンティティのレベル
    連続性と変化


第二章 イデオロギー 055
1 根本的理想 061
2 中核概念 070
3 文化および宗教としてのナショナリズム 080
4 主意主義有機体論 085
5 「エスニックな」ナショナリズムと「市民的」ナショナリズム 091


第三章 パラダイム 098
1 近代主義 101
  1 社会経済的近代主義
  2 社会文化的近代主義
  3 政治的近代主義
  4 イデオロギー近代主義
  5 構築主義近代主義
2 永続主義 108
3 原初主義 112
  生物学と文化 113
  道具主義的な批判 119
4 エス象徴主義 123
結論 


第四章 理論 132
1 イデオロギーと産業主義 133
2 理性と感情 145
3 政治と文化 154
4 エリートと日常のナショナリズム 164
5 構築と再解釈 170
結論 184


第五章 歴史 196
1 「大きなネイション」、小さなエトニー 188
2 ナショナリズム以前のネイション 195
  ナショナリズムの産物としてのネイション? 197
  近代以前のネイション? 201
  ナショナリズムの源泉 207
  エスニックなネイションと市民的ネイション 211
3 古代におけるネイション? 216
4 歴史のなかのネイション――もう一つの見方 226
  エスニック・カテゴリーとエトニー 228
  エスニック国家と早期のネイション 231
  王朝のネイションと貴族のネイション 234
  革命的でナショナリズム的なネイション 239
    中産階級ナショナリズム
    大衆ナショナリズム
結論 245


第六章 将来展望 
1 増殖するナショナリズム 251
2 ネイション国家の消滅? 256
3 ハイブリッド・アイデンティティ? 264
4 ナショナリズムの消滅? 270
5 消費社会 274
6 グローバル文化? 277
7 ナショナリズムのインターナショナル化 282
8 不均等なエスノ・ヒストリー 292
9 聖なる基礎 294
結論 303


原注 [305-323]
読書案内 [324-328]
訳者あとがき――『ナショナリズムとは何か』入門の入門 [329-341]
参考文献 [342-368]
索引 [369-375]




【図表 目次】
表1.1 エトニーとネイションの特性 036
表3.1 ネイションとナショナリズムパラダイム 130
地図 5.1 ヨーロッパの早期の近代国家,1648年 203
地図 5.2 古代のネイション 219
地図 6.1 ヨーロッパにおけるエスニック・リバイバル,1960-90年 252
地図 6.2 「失敗国家」と1989年以降の民族紛争 288-289





【抜き書き】

  凡例
一、本書は、Anthony D. Smith, Nationalism: Theory, Ideology, History, 2nd Edition. Polity Press, 2010の全訳である。
一、原注は、本文中に番号を( )で括って示し、巻末にまとめた。
一、原文において、‘ ’で括られている箇所には「 」を用い、イタリック体で強調されている箇所には傍点を付した。
一、本文中〔 〕で括った箇所は,訳者による補注である。
一、原書の明らかな誤植については、特に断らずに修正して訳出した。
一、本文中の引用箇所については、必要に応じて邦訳文献を参照したが、訳文は新たに作成した。
一、訳語について。「nation」は基本的には「ネイション」と訳し、「people」は文脈に合わせて「人々」「人民」「民衆」「国民」「民族」などと訳し分けた。そのほか、一部の語句については、適宜、( )内に原語を挿入したり、ルビを付した。