著者:山本 勲[やまもと・いさむ](1970-)
著者:黒田 祥子[くろだ・さちこ](1971-)
装丁:渡辺 弘之[わたなべ・ひろゆき]
件名:労働時間--日本
件名:ワークライフバランス
NDC:366.32 労働経済.労働問題
現代日本人の働き方に関する事実や問題を、個票データを用いた緻密な分析によって幅広く検討した上で、今後の働き方はどうあるべきかを論じる労作。わが国労働市場分析の本格的決定版。
【目次】
まえがき(2014年2月 三田と早稲田にて 山本勲・黒田祥子) [i-ix]
目次 [xi-xviii]
序章 本書の目的と概要 001
1 本書の目的 001
2 本書の概要 005
第I部 日本人の働き方
第1章 日本人の労働時間はどのように推移してきたか――長期時系列データを用いた労働時間の検証
1 日本人の労働時間の長期的推移 014
2 正確な労働時間の把握 016
3 タイムユーズ・サーベイでみる労働時間の長期的推移 018
4 労働時間減少の背景 020
(1) 短時間労働者の増加
(2) 週休二日制の普及
5 平日の労働時間の増加が労働者に与えた影響 025
(1) 睡眠時間の減少
(2) 深夜就業者の増加
6 2000年代初頭の長時間労働――壮年男性正規雇用者の働き方の変化 028
(1) 正規雇用者の労働時間の推移
(2) 正規雇用者の長時間労働の実態
(3) 2000年代初頭の長時間労働者の特徴
(4) 2000年代初頭の労働時間急増の背景
7 日本人の働き方の変化:長期時系列の観察からみえてきたこと 037
BOX 1 長期の視点から余暇時間を測る 039
第2章 労働時間規制と正社員の働き方――柔軟な働き方と労働時間の関係 041
1 労働時間規制のあり方をめぐる議論 042
2 労働時間規制は人々の働き方に影響を与えるか 043
(1) 日本の現行法における労働時間規制の適用除外者
(2) 労働時間規制に関する二つの経済理論モデル
3 分析アプローチとデータ 047
(1) 分析アプローチ
(2) 推計手法
(3) データと変数
4 分析結果 054
(1) 分析結果
(2) 頑健性チェック
5 労働時間規制の影響とバーゲニングパワー 059
補論1 法制度化にまつわる昨今の議論 061
補論2 マッチング推計による頑健性チェック 065
第3章 長時間労働と非正規雇用問題――就業時間帯からみた日本人の働き方の変化 069
1 働く時間帯はどう変化してきたか 070
2 就業時間帯はどのように決定されるか:理論的背景 072
3 就業時間帯 074
(1) 1990年代から2000年代にかけての推移
(2) 労働時間の調整
4 非正規の就業の深夜化はなぜ起こったか 079
(1) 就業時間の深夜化の背景にあるいくつかの要因と分析概要
(2) 分析結果とその解釈
5 就業の深夜化の進展と今後の研究課題 084
第4章 日本人は働きすぎか――国際比較や健康問題等からの視点
1 日米比較からみた日本人の「働きすぎ」 094
(1) 「働きすぎ」 の解釈
(2) 国際比較の留意点
(3) タイムユーズ・サーベイを用いた労働時間の日米比較
2 時間当たり生産性、 希望労働時間、健康面からみた日本人の「働きすぎ」 100
(1) 時間当たり生産性
(2) 希望労働時間と実労働時間の乖離
(3) 健康面からみた日本人の「働きすぎ」
3 日本人は働きすぎか 108
補論 経済学で捉える労働者の働き方と健康状態 108
BOX 2 働く時間帯は国によってちがうのか
第II部 労働時間の決定メカニズム
第5章 日本人は働くのが好きなのか――仮想質問による希望労働時間の計測
1 国による労働時間と選好のちがい 116
2 データ 119
3 労働供給弾性値の計測 122
(1) 労働供給弾性値を計測するための分析方法
(2) 仮想質問を用いた労働供給弾性値の計測方法
(3) 計測結果
4 企業・職場環境による影響 134
(1) 人的資源管理が希望労働時間に及ぼす影響
(2) 実労働時間、希望労働時間と企業・職場環境の効果
5 日本人の長時間労働への選好は今後変わるのか 140
BOX 3 日本人は今も昔も休日が少ないのか 133
BOX 4 東日本大震災前後の働き方の変化 142
第6章 労働時間は周囲の環境の影響を受けて変わるのか――グローバル企業における欧州転勤者に焦点を当てた分析
145
1 余暇の補完性とグループインタラクション効果 146
2 データおよび理論的フレームワーク 150
(1) データの観察: 労働時間の変化
(2) 理論的フレームワーク
3 グループインタラクション効果の識別方法 157
(1) インタビュー調査の実施
(2) コントロール変数:仕事と人的資源管理(HRM)の特徴
(3) グループ・インタラクション効果を捉えるための変数
4 グループインタラクション効果の推計結果 161
(1) Difference-in-differences(DD)推計
(2) 仕事とHRMの特徴のコントロール:労働時間とプレゼンティイズム
(3) 現地の同僚やその他の労働者の労働時間への収束スピード
(4) グループインタラクション効果をもたらすチャネル
5 グループインタラクション効果と外部性 182
BOX 5 有給休暇取得日数の国際比較 1
BOX 6 職場でのHRM と労働時間:インタビュー調査の結果から 180
第7章 長時間労働は日本の企業にとって必要なものか――企業 = 従業員のマッチデータに基づく労働需要メカニズムの特定 187
1 労働時間の決まり方 188
2 利用データの特徴 190
3 理論的背景および分析のフレームワーク 193
(1) 理論的背景
(2) 分析のフレームワーク
(3) 固定費の代理変数
4 推計結果 204
(1) 労働時間制約と労働の固定費の関係
(2)企業=従業員のマッチデータによる需要要因の特定
5 仕事の特性や職場でのHRMのちがいが労働時間に及ぼす影響 208
6 日本の長時間労働に対する評価 211
BOX 7 職場の同僚と飲みに行く機会 192
BOX 8 よい長時間労働と悪い長時間労働 210
第III部 日本人の望ましい働き方の方向性
第8章 ワーク・ライフ・バランス施策は企業の生産性を高めるか――企業パネルデータを用いた WLB 施策の効果測定 215
1 ワーク・ライフ・バランス施策の推進 216
2 分析フレームワーク 219
(1) WLB 施策が企業の生産性を高めるチャネル
(2) WLB 施策導入の内生性
(3) 推計アプローチ
3 利用データ 222
4 企業のWLB施策とTFPの関係 224
(1) 基本的な観察事実
(2) 全企業 企業規模・ 業種別の推計結果
(3) 労働の固定費別の推計結果
(4) 中小企業の推計結果
5 WLB施策は企業の生産性を高めるのか 239
補論 TFP の計測方法 242
BOX 9 節電対応とWLB施策 238
第9章 ワーク・ライフ・バランス施策に対する賃金プレミアムは存在するか――企業 = 労働者マッチデータを用いた補償賃金仮説の検証 249
1 WLBと補償賃金仮説 250
2 データ 253
3 伝統的アプローチによる補償賃金仮説の検証 254
(1) 推計モデル
(2) 推計結果
4 仮想質問に基づくアプローチによる補償賃金仮説の検証 262
(1) 仮想質問の概要
(2) 仮想質問を利用した分析
5 施策の導入は賃下げによって実現可能か 271
BOX 10 職場以外での仕事と情報通信機器 273
第10章 メンタルヘルスと働き方・企業業績の関係――従業員および企業のパネルデータを用いた検証 275
1 労働時間とメンタルヘルス 276
2 先行研究 279
(1) 労働時間とメンタルヘルス
(2) 仕事内容 ・職場環境・評価システム・職場管理とメンタルヘルス
(3) メンタルヘルスと企業の生産性および対策
3 労働者データを用いた検証 286
(1) 利用データと変数
(2) 分析結果
4 企業データを用いた分析 300
(1) 利用データと変数
(2) 企業単位でみたメンタルヘルスの状況
(3) 従業員のメンタルヘルスに影響を与える企業属性
(4) メンタルヘルスの不調が企業業績に与える影響
5 労働者のメンタルヘルスと働き方の方向性 318
BOX 11 根回し(Nemawashi) 299
統計データ appendix
1 本書で利用した個票データの概要 321
(1) 『社会生活基本調査』
(2) 『労働力調査特別調査』および『労働力調査』
(3) 『慶應義塾家計パネル調査』
(4) 『仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する国際比較調査』
(5) 『人的資本形成とワークライフバランスに関する企業・従業員調査』
(6)『日系グローバル企業転勤者調査』
(7)『企業活動基本調査』
2 労働時間を把握できるその他の統計 328
(1) 労働時間を把握できる統計
(2) 就業日数、 休暇・休日を把握できる統計
あとがき(山本勲・黒田祥子) [333-337]
初出一覧 [338-340]
参考文献 [341-352]
索引 [353-359]
著者略歴/奥付索引 [361]